エベレストで遭難したマロリーのカメラの謎や、森田勝、長谷川恒男といった実在の登山家をモデルにした登場人物が出てくるのでキャラクターをイメージしやすく読みやすいです。やはり読み応えがあるのは、孤高の登山家である羽生丈二(モデルは森田勝)がエベレスト南西壁冬季無酸素単独登攀に挑むクライマックスでしょう。手記などを使って登山者が幻覚や幻聴といった過酷な心理状態に置かれている姿がリアルに描かれています。
エンターテイメント小説なので当然ドラマチックなエピソードが随所にみられますが、ネパールの政治状況等の説明にもページを割いていて、全体的には硬派な印象でした。読んだ限りでは映像化するにはかなり厳しい内容だと思うので、どんな映画になるかは少し心配。エベレストの登攀シーンがCGだらけだったら興醒めしてしまうでしょう。期待したいけれど少し不安もある。木村大作が監督ならおもしろいかもしれない。
今日、トレイルランナーの相馬剛さんがマッターホルンで遭難したとニュースで知りました。地元警察によると800m滑落しており生存の可能性は極めて低いそう。このニュースを見て、まず頭に浮かんだのが「神々の山嶺」の中で、エベレストの稜線から主人公の仲間が滑落する描写でした。FBでのFuji Trailheadのツアーの様子やトレラン雑誌、UTMFのDVD等で何度も見ているだけに、相馬さんが滑落する姿をイメージしてしまった。なんともやるせないイメージがなかなか頭から離れないです。今はただ奇跡を信じて生きていることを祈るばかりです。
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