http://www.yamareco.com/modules/diary/41125-detail-129309
にankotaさんから頂いたコメントで勧められた本「地獄への登攀」を購入して読みました。
1957年のアイガー北壁での遭難「コルティーのドラマ」について、アメリカの雑誌「スポーツ・イラストレイテッド」の編集長であった著者が調査をして書いたドキュメンタリーです。
遭難の顛末は以下サイト(前回の日記でもリンクを貼りましたが)で概要がわかります。(当時の写真も見られます)
http://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83%BC%E6%82%B2%E5%8A%87%E3%81%AE%E8%A8%98%E6%86%B6/6144282
この遭難については有名な「新編・白い蜘蛛」にも記載がありますが、これに比べてその内容は、わかりやすく整理されておりまた、積極的に救出にあたったアマチュア登山家、地元の人々、地元の山岳ガイドなどの事が詳しく書かれていて興味深く読みました。
古い(1973年)本ですが、オススメです。¥50でした。
写真2枚目、コルティの疑惑が晴れる前に出版された「白い蜘蛛」(1960年 白水社)も買って読んでみました。
目次のタイトルとかが違うものの内容的には「新編・白い蜘蛛」と同じようでコルティに対してあらぬ疑惑をかけるような記述はありませんでした。
写真3枚目は「北壁の死闘」という小説で、表紙のデザインが内容に対して何とも安っぽい(個人的印象です、失礼)と思うのですが、秀作だと思います。
原題は「Traverse Of The Gods」でそのまま「神々のトラバース」としたほうが良い思うのですが、アイガー北壁を知らなければ、「なにそれ?」でしょうから仕方のない所でしょうか。
図書館で借りて読みました、こちらもオススメです。
ヘイナイさん、こんにちは。
コルティの遭難の際に、同時に取り付いていたドイツ人二人の消息が途絶えたことから疑惑が生まれたようです。コルティの説明が二転三転したためでもあります。ハラーはイタリア隊が犯罪を犯したのではないかと主張したようです。簡潔に言えば殺人ですね。アイガー北壁の中で殺人事件が起きる状況ではないと思いますが、初登攀者であったハラーの言葉はかなり影響したようです。数年後、偶然に(コルティを救助した時に残した頂上の器具を回収した際)二人のドイツ人の遺体が下降ルートであった西稜で見つかって、彼等は登頂してから下山中に死亡した事が明確となり、コルティに対する殺人疑惑が晴れました。ハラーはコルティを疑ったことに弁明も謝罪もしなかったし、書き直した「新編・白い蜘蛛」にもその件は当然触れていません。
アイガーについてはトニー・ヒーベラーの「死はともに登る」も面白いです。アイガーの下の方で登ったフリして写真を撮って、完登したと主張したチームのトリックを崩すなど、当時のアイガー北壁にまつわる事故、事件を扱っています。
ankota さんこんばんわ
「ハラーはイタリア隊が犯罪を犯したのではないかと主張したようです。」の根拠は何処で確認できるのでしょうか?
そう主張する方が多いようなので疑問です。
「白い蜘蛛」にはそのような事は書かれていません。
「新編・白い蜘蛛」では、(ノートドゥルフトとマイヤーの遺体が発見されたことで)「彼らの運命が分からなくて何年も苦しんだにちがいないクラウディオ・コルチの名誉回復もこれで出来た。」と書かれています。
ヘイナイさん、再びこんにちは。
ヒーベラーの本が出所です。「白い蜘蛛」の中で、ハラーはコルティのことを「疑惑が、まだ、人びとの間に持ちあがらない以前に、これを打ち消そうとした男」と表現しているとヒーベラーは書います。私は新編でない「白い蜘蛛」は持っていないのでその部分を確かめる事は出来ません。その「疑惑」が徐々に犯罪と人びとが想像する様になったので、ハラーが「犯罪と主張」はしていないので、この部分は私の誤りで謝罪します。
ヘイナイさんの疑問となった英国のサイトでのハラーがコルティを悪く書いているとというのは、この部分かもしれません。その英国サイトの最後の段落にもHe apparently believed that Corti ...と書かれています。ハラーの言葉がコルティの疑惑に対して強い影響力を持っていたのは事実でしょう。
なお、ドイツ人の遺体の発見はコルティの救助の時ではなく、ロンギの遺体回収時の機材撤収時の間違いでした。
ankota さんこんばんわ
「疑惑が、まだ、人びとの間に持ちあがらない以前に、これを打ち消そうとした男」
とは「白い蜘蛛」の中で
《・・・・コルティはもっと多くのひどいことを言っていてのだそうである。このようなトネッラの態度にもかかわらず、コルティーはその弁護士の悪い入れ知恵によって、名誉毀損の訴えを雑誌(『レウロペオ』)で発表させた。トネッラにはやたらに事をあばく意図はまったくなかった。それなのにコルティーは、トネッラがまだ何も言わないうちから、嫌疑を無効にしようと努力したのである。》
とある所だと思われ、トネッラが病院でコルティーにおこなったインタビューの内容を雑誌『レウロペオ』に掲載したのだが、じつは掲載した内容よりもっとひどいことを言っていて、これを暴露されないように防衛したという内容です。
同様の部分は「新編・白い蜘蛛」では237頁で
《コルチは疑惑に対して自己防衛をしている、いや彼自身の本性が暴露されるのを防衛しているとトネラは考えた。》
の所にあたります。
この疑惑とは、当然犯罪ではなく、その登山においてコルティーの準備が十分でなかったこと、失敗、過失があったこと、彼の過去の遭難事件などから知れる本当の性格です。
このトネッラ=トネラのくだりは古い「白い蜘蛛」の方が長々と書かれていました。
ハラーは「白い蜘蛛」の中で、これでもかというほどコルティーを批判しており、また混乱した彼の証言の矛盾を指摘したので、結果的に憶測された疑惑をあおる結果になったのかなと想像します。
ハラーに対しては良く思わない人も多いようですが、さすがに何度読み返しても「白い蜘蛛」の中でコルティーが犯罪を犯したという疑惑をかけた、という事は無かった思います。
また余談ですが、バスタブのようなステップを切ったと表現されているのは「新編・白い蜘蛛」の中(229頁)でコルティに対するもので、ヘックマイヤーがカスパレクにの切ったステップに対して言ったのは「バケツみたいなでっかい奴」でした。
たぶん思いちがいですね。
また、ハラーは正確には終始ラストではなく、カスパレクが落石で手に怪我を負った後はカスパレクがラストになっていました。
重箱の隅を突くようですいません。
「死はともに登る」は知っていましたが図書館にはありませんでした。
買入するつもりはありませんでしたが、こりゃ買って読まざるおえない。
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