ランタンはホヤがガラスのものと金属メッシュのものがある。ガラスは割れる心配があるので、山では金属メッシュのほうが良さそう。しかし、金属メッシュは明るさにおいて今ひとつである。どちらにしてもウィークポイントはマントルである。山行中の歩行の衝撃でマントルが破損することは十分に考えられる。しかし、マントルが破損しないように慎重に歩くことは現実的でない。
そこでこのSOTOの「プラチナランタン SOD-250」である。マントルは使用せず、プラチナの触媒作用を利用した発光体を輝かせるのである。マントルを使用しないため、保護するホヤも不要。山行でウィークポイントとなるマントルとホヤの両方を解決した画期的なランタンである。リフレクターを使用して120luxの明るさだそうだ。
実際、冬の上高地で使用してみたが、-6℃のテント内をこのランタンを灯すことで室温を8℃まで上昇させた。もちろん十分に外気が入るように換気をした上で、ある。冬山用のかさばるシュラフを持っていくより、0℃程度対応のシュラフにプラチナランタンとOD缶を持って行ったほうが荷物はコンパクトである(重いかもしれないが)。この日は上下ダウンを着込み、mont-bellのダウンハガー#3で眠ることができた。寝ている途中で消えないか心配したが、OD缶SOD-725Tを使用して21時〜4時の7時間灯して、ガスの残量は2割程度であったため、あと1.5時間くらいは使用できただろう。明るさの面でも、狭い山用テント(mont-bell ステラリッジテント2型)では十分な明るさであった。マントルがないので運ぶのに特に気を使うこともなく、安心して持って行くことができた。
問題もある。このプラチナ発光体は消耗品であり、交換するためにはSOTO社に送って取り替えてもらう必要がある。その費用およそ\4,000、なかなかのお値段である。そして、何よりの問題は山で貴重な燃料を消費することだ。この暖色はLEDランタンやヘッドランプでは出せないムードを演出する。それをどれだけ重要視するかで、このランタンの価値は左右するだろう。UL志向の方には受け入れられない代物だと思う。今回の私のようにテント内で暖を取る、という目的であれば十分に価値はあるだろう。実際、これがなければ寒くて眠るどころではなかった(そのことは危機管理の問題でもある、本来はシュラフの性能で対応するべきだろう)。
私としてはできれば今後の山行には携帯したい道具である。多少重くても、この明かりのもとで旨い酒を飲みたいものである。
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