福島に墓参りに行った機会に、久しぶりに故郷の吾妻連峰の花と山菜を見て、撮影してきました。吾妻連峰の南面の、湖に沿った明るい林で、早咲きのスミレや、群れから離れた雄ザルなどを観察していたところ、近くの小さな集落に住む年配の親父さんが、声をかけてくれました。
「何を撮っているんだい?」
カミさんが「スミレです」というと、
「それより、こっちへきなよ。コゴミが育っているから」
えっ、まさか! もうコゴミが?
親父さんが向かう斜面の下を見ると、背丈20センチほどの食べ頃のコゴミが、4カ所ほどに群生していました。
「早い! 写真撮らせてください!」
「いいから、なんぼでも摘んでけ!」
そして、親父さんは、土手の下にある森の中へ降りて行きます。見ると、切り開かれた場所に、お墓がありました。親父さんのご家族、ご先祖様のものでしょう。
「あんた、わしが幾つに見える?」
不意に聞かれて、私が「80代ですか?」と正直に言うと、「ちょうど、80歳だ」と親父さん、胸を張る。「ずっとここで暮らしてきたんだ」。
天気がいい日は、こうやって歩いて、墓や森を見て回っているのでしょう。
親父さんは、今度は森の少し中程に進んで、「わさびもあるんだよ」と言います。ついてゆくと、そこは山肌を流下してきた沢水が、小さな自然の池を満たし、さらに下段の沢へと流れ落ちてゆく場所でした。
その小さな池も、沢水が落ち下る流れの岸も、そしてずっと下段に広がる大きな池も、そこらじゅうのあちこちから、わさびが生えだし、花を咲かせていました。
私たちが写真に夢中になっているあいだに、親父さんは沼の岸辺のわさびを、両手を根元まで差し込んで、ごっそりと抜きあげました。
「もっと持ってけ」と、また掘ろうとしますが、10株ほどあれば十分楽しめます。
一帯にはミズバショウ、毒草のトリカブトの若芽なども。
桃源郷のような場所で、仙人のような方と出会って不思議な時間を過ごし、久しぶりの故郷の山の時間を過ごしてきました。
写真は、現地の森のワサビの沼沢、家で仕込んだわさびのいじめ漬け。
作り方は、下記の日記に。
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-95425
こんにちは、tanigawaさん
以前、名残雪を照らす朝日の日記にコメントさせていただいたものです。
福島ご出身なのですね。東北の方にはつい親近感を抱いてしまいます(自分が青森なので)
仙人のような方との邂逅。山を歩いていると、いろいろな出会いがあるのだなあと思いました。
ワサビ、いじめちゃうんですね。
いいワサビが手に入る土地ならではの食べ物ですね。
奥多摩もそこそこワサビが採れるようですし、奥多摩へ行くときには、お店を覗いてみます。
Francescaさん、今日は奥多摩へ足を伸ばしてきました。もうすっかり新緑で、おもだった山菜は終盤という感じでした。雪化粧の話は、ついこのあいだだったのに。
ワサビは、野生のものは根が曲がり、形も小さめです。でも、ワサビは葉も茎も、全草を味わってこそ、「山の味」が体験できますね。
刻んで、80度くらいの湯に1,2分泳がせて、すぐに取り出し、冷水をさっとかける。
ボールに入れて、手をこぶしにして、押し、もみ、いじめます。
アクを絞ったら、瓶に入れ、醤油を少なめにふりかけ、密閉して冷蔵庫保存。
食べる分だけ、取り出し、香りと辛みを楽しみます。
今日は、カミさんが、この「ワサビの醤油漬け」で刺身で食べたいというので、メバルと、マグロの刺身を入手してきました。
ワサビ醤油漬けはざっくり刻んで刺身にのせて、頬張ります。
ご飯と日本酒にかなり合いそう。
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