元祖ホワイトチョコレートで知られる帯広の菓子舗「六花亭」の、パッケージの「北方の花と植物」の絵を見た人! と書くと、年代にもよりますが、かなりの割合の方が、その絵ならば見たことがある、というのではと思います。
パッケージはたとえば(写真1枚目)がそれです。
直行さんは多くの画文集も遺しています。
その一冊で山菜・野草のエッセイとスケッチを綴った「私の草木漫筆」(1964年)があり、24種の植物を新たに加えた同名の文庫本が茗溪堂から2000年に出版されました。
北の植物の本には、「内地」の植物ガイドブックにはない、北方の人々の暮らしや知恵が折りこまれていて、同じ植物を見るにも別の世界がひらけます。
今回は、ネコヤナギ(写真2枚目)。
私は、ネコヤナギが開花すると磁石のように北の方向がわかる、というのを、直行さんの「私の草木漫筆」で遅ればせながら知りました。
花の蕾は南向きの側から温められて開花する。その開花したてのとき、つぼみの北側はまだ縮こまっているので、つぼみは湾曲して北を指す。「磁石の代用になる方向指標植物だ」と本では書いています。
春の野山で現物を見ると、なるほど。暖かい毛に包まれた猫が、南側から大きく体をそらせ、縮こまった北側を包み込むような姿です。
蕾みが体を反らせて、後頭部(頭頂部)が北を示す、というところでしょうか。
和人は、ネコヤナギの仲間を材料にして、柳行李やまな板を作りました。
アイヌは、柳の皮の繊維を紐やロープに加工し、柳の材からは小船までつくりました。
ところで、坂本直行さんは1982年に72歳で亡くなりました。彼のことを「チョッコウさん」と呼ぶのは、北大山岳部や学生寮出身の山好きのOBということになるでしょうか。
直行さんの絵のファンは各地におられて、例えば尾瀬の長蔵小屋の平野さん方にも、直行さんとの交流のなかで入手されたという秋の日高山脈の絵を数幅あり、見せていただいたことがありました。
ここではシリーズで、この本や北の植物についての他の資料も使いながら、日本の野草、山菜と古の人びとの暮らし、アイヌの人々の利用方法について、紹介していきたいと思います。
チョコウさんの秋の日高の絵、うらやましいですね。昔、絵を買うとは思いよらず、自分で似せて描いたことがありました。よく言えば模写。盗作というほどうまくはありませんでした・・・。
yoneyamaさんにとっては、直行さんは部の先輩で、身近な方ですね。
尾瀬の平野さんは、長靖さんが小屋を継ぐ前は北海道新聞の記者で、奥さまも北海道でしたから、そういう縁もあって絵をお持ちだったのだと思います。
ご存じと思いますが、中札内に直行さんの絵を展示した美術館があります。
http://trace.kinokoyama.net/mt-journal/journal-nakasatunai.htm
現物は、十勝という環境で対面すると、やはりすばらしいです。
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