いままでのツキノワグマの事件とくらべても、ちょっと異様だなと思うところがあります。
被害者の様子は、地元紙のこの記事が詳しい。
死亡男性もクマ被害 県内で今年初の犠牲者
http://www.minyu-net.com/news/news/0530/news7.html
経過は次のようでした。
5月27日に山菜取りのために入山した男性(78歳)が夕方になっても帰宅せず、家族が捜索願いを出す。
5月28日、40人の捜索隊が入山。道から約600メートル入った所で遺体を見つけたが、運ぼうとした際にクマに襲われ4人が顔や腕に2週間のけがをした。
5月29日、再度、捜索隊が山に入り、男性の遺体を収容。
被害者を収容した捜索隊によると、遺体の様子は次のようだったとのこと。
*顔や胸にクマによる複数の傷があり、検視の結果、死因は失血死と判明。
*遺体にはクマにかまれたり、引っかかれたりしたとみられる傷が多数あり、失血死だった。
今度の事件で気にかかったことの第一。
このツキノワグマが1人、および数人の人間に対して、繰り返し攻撃をしていることです。
大人の男性が4人いるところに攻撃した事例は、ツキノワグマではほとんどなかったと思います。
このことに関連させて報道されているわけではありませんが、5月3日にも、同じ会津美里町の同じ地域で、65歳の男性がクマに襲われ、右足を負傷しています。
同一のクマなら、3回、人を襲ったことになる。
これが気にかかったことの2つめ。
3つ目の、異様さは、記事では ぼかしていますが、おそらくこの熊は最初の被害者を食べているのではないかと思います。
傷の様子から見て、この人は致命傷を負わされただけではない。
また、執着ぶりを感じさせます。
下記の日記に数年前の志賀高原の事件を紹介しています。
いま、山里では、人家が廃屋になり、畑も荒廃し、狩猟をする若い人たちも減って、人間とクマとの距離感・緊張感は、双方から壊されかけています。
だいたい、丹沢の南側の街中や、JR長野駅周辺に熊が出るなんてことは、いままではなかった。
人と熊との距離感・緊張感が変なことになってきて、
ヒトから見て意外な行動に出る熊や、
熊から見て、ちっとも怖くない人
などが、多くなってきて、
それで、今度のような事件が起こるのかな? と、また考えてしまいました。
以前に私なりの感じたことを書いてきました。
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-23617
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-14120
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-1420
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-20859
登山者は、熊に遭遇しかけたり、出合ったときの自分個人のおこないで、
わが身を守ったとか、
不幸にも襲われたとか、
いろいろ教訓化をするわけですが、実はずっと深い双方の関係づけの変化のなかで、今の異変が起こっているように感じます。
tanigawaさん、こんばんは。
先日は有り難うございました。
今回の報道で、一番先に驚いたのは、被害者の遺体を収容しようとした際におそわれたこと 。
熊は、自分の獲物を横取りされると思ったのではないかということでした。これはかなり危険なことだと(熊鈴やラジオは全く意味を成さない)思いましたが、少なくともこの個体に関してはそういうレベルの警戒をする必要がありそうです。
そして、仲間の熊たちにも・・・・やっぱり、今後は熊スプレーを常時携帯するべきなのかと考えました 。
fireboltさんが書いているように、熊鈴については、捜索隊は身に付けて鳴らして行動して、熊の攻撃を受けています。
おそらく、5月上旬の事故と同じ熊とするならば、この熊はヒトの弱さを学習してしまった可能性があります。
一方、大型野生獣としての本能の方は、目覚めてしまったのかもしれません。
ツキノワグマではあっても、いまの環境や人との距離感がとれなくなって、「悪い熊」になってしまったのではないかと思います。
5月初めの最初の事故のときに、徹底した対策がとられなかった様子です。
この山里の町でも、ハンターが減り、また山林での林業にともなう作業が減っているのではないかと思います。
登山者は、自然の中にいるだけでなく、やはり社会とのかかわりのなかで、山へ入り、いろんな体験をしますね。
私は、北海道でヒグマを意識した登山をしてきたため、これは人によっても違いますが、私の場合は、小さくても何か武器になるもの、ないしは朝晩や個人行動のときには、熊スプレーを携行しています。
しかし防護以前に大事なことは、お互いの変化をよく知ることですね。
こんにちは。
私は今まで何度かクマには遭遇していますが、ツキノワグマはヒグマと違って、よほどのことが無い限り積極的には人間をエサとは認識しないものだと勝手に考えてきました。
子を守るため、エサを確保するためや鉢合わせなど驚いたときの防衛本能から人を襲って、結果食料にしてしまうことがあるとしても。
エサの豊富な田舎の山奥のクマは比較的のほほんとしていて人間に気付いてもまるでカモシカのようにこっちをのんびり観察してからゆっくり逃げる。(子育て時期や至近距離での鉢合わせを除く。)
奥多摩や山梨あたりのエサの少ない冬眠できないクマはイライラしていて下手したら攻撃してきかねない。
または人間に気付き次第(こちらが気付く前に)大急ぎで逃げる、というパターンが多いのではないかと思ってきました。
近年、尾瀬あたりで行列のハイカーを襲った例もありました。
みんなで熊鈴を鳴らし、メジャーな一般ルート上を賑やかに歩く最中のことだったと記憶してます。
個人的には11月末の夜中に山野井さんが襲われたあたりでクマに威嚇されたこともあります。
たいがいは笛を鳴らしたり声でこちらの存在を知らせると逃げてくれるんですが、この時は逆にガオ〜っと吼えながらこちらに向かってきました
良いクマ、悪いクマ、考えさせられます。
環境がそうさせたのでしょうから、どちらにしても当然クマに責任はありませんが。
今回の事故もめずらしい事例ですよね。
こうなってしまうと今後の対処の仕方も難しいですね
クマとミーティングを開いて話し合うわけにもいきませんので、人間が色々考えざるを得ません。
人の都合ばかり優先させては色々と不都合も出てくるのでしょう。
bunacoさん
>たいがいは笛を鳴らしたり声でこちらの存在を知らせると逃げてくれるんですが、この時は逆にガオ〜っと吼えながらこちらに向かってきました
人間の事情がある一方で、クマにも、ときには、ただ身を引くだけではすまない事情がある場合がある。
昨今の変化(その最大のものは人間の怖さを知らない、距離感をとれない熊がいる)もある。
だから、登山者の側でも、クマにはクマの事情があることを知って、1つの回避手段に頼らず、相手と状況に見合った対応をするということでしょうか。
熊鈴については、「うるさい」かどうか、マナーの角度の議論がされます。
でも、相手のクマにもいろんな事情があるので、音が効果的な場合もあれば、私が岩菅山のガイド協会のみなさんから聞いたように、人が出す音が、かえって熊の気配や、「これ以上近づくな!」という威嚇音を、登山者の側に察知しにくくする弊害もあります。
私は熊鈴を使う人と同行することもありますが、「音を止めて」と言う場合もあります。
奥志賀でクマに食べられた男性は、ラジオを大きな音量で鳴らしてタケノコ採りをしていて、クマに襲われました。(リンク先のヤマレコ日記参照)
逆に、buncoさんのケースは、クマが普通の状況でないことを、登山者の側で察知できたケースですね。
大半のケースでは事故にいたりませんが、そうでないこともある。2枚腰、3枚腰で、よく考えた対峙と対応が必要と思います。
どこで会うかわからない熊。今は鈴だけです。それと笛を吹きます・・・
鉄平がいますがだめですかね・・・
去年の春は白山に行きました。遠く雪の斜面を歩いているクマを鉄平が見つけました。
riekoさんの登山も、人が少ない場所に行くことが多いので、いざというときは、自分の力で状況を判断し、的確に対応することが必要になりますね。
北海道のある方のサイトでは、人間の側で、どんな小さな道具でもいいから、一矢報いる装備がいると推奨しているものもあります。
しかし、武器の携行だけで問題が解決するのかということもあります。今回もそうですが、いったん人を襲いなれた熊の場合は、反撃は困難があります。
私は状況によっては熊スプレーを携行していますが、これは、スプレーを見舞われた熊が、以後は人間を恐れれてくれるのでは? という期待感もあります。
あまり神経質になっても、いけないと思います。
熊と人間のそれぞれの側の状況が変わってきていることに留意すること、そこから相手の様子をよく見極めつつ行動したい、というのが私が思っていることです。
少なくとも、熊と人間の距離感が双方からとれなくなっているという事情を考え、フィールドでのいろんな「サイン」には注意していたいと思います。
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