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Yamareco

五竜岳(ごりゅうだけ)

春先に武田菱が浮かぶ後立山連峰の雄


五竜岳は富山県黒部市と長野県大町市にまたがる山で、標高は2814mです。北アルプス北部の後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)を構成する一座で、深田久弥により日本百名山に選定されました。彼が"筋骨隆々"と表現するほど佇まいはどっしりとしており、力強さを感じさせます。

"西遠見山付近:ハクサンフウロ"
"西遠見山付近:ハクサンフウロ"

五竜岳の山体は非対称山稜で、後立山連峰の山々によく見られる地形です。東側は傾斜がきつく、西側の斜面は比較的穏やかです。豪快な山容でありながら、様々な高山植物やライチョウに出会える、自然に恵まれた山でもあります。

"武田菱の雪形"
"武田菱の雪形"

春先に山頂直下に現れる雪形(山肌と残雪が織り成す模様)は、戦国時代の武家・武田氏の家紋にそっくりとされています。その紋は「武田菱(たけだびし)」と言い、4つの菱型を組み合わせた菱型です。この雪形が見える長野県側は、かつては武田氏の領地であったことから、武田菱を「御菱(ごりょう)」とも呼んでいました。

山名の由来はいくつかありますが、雪形にちなんだ「御菱岳(ごりょうだけ)」から"ごりゅうだけ"に転訛した説が広く知られています。かつては「割菱ノ頭」の別名もありました。また富山県側での古名は「餓鬼ヶ岳」でした。

後立山連峰を眺め渡す

"山頂:剱・立山連峰を望む"
"山頂:剱・立山連峰を望む"

五竜岳山頂は、遮るものがない大展望です。
黒部峡谷を挟んだ向かいには、剱岳や立山連峰などがダイナミックに連なります。

"山頂:唐松岳へと続く稜線を望む"
"山頂:唐松岳へと続く稜線を望む"

"山頂:鹿島槍ヶ岳を望む(残雪期)
"山頂:鹿島槍ヶ岳を望む(残雪期)

稜線続きには、後立山連峰の名峰がずらりと並びます。唐松岳や白馬連峰の山々、翻っては双耳峰の鹿島槍ヶ岳など、見飽きることがありません。
遠くには槍・穂高連峰や中央アルプス、八ヶ岳も見えます。

五竜岳登山の要衝「五竜山荘」

"白岳付近:五竜山荘と五竜岳を望む"
"白岳付近:五竜山荘と五竜岳を望む"

五竜岳登山は長丁場のため、多くの登山者は山頂に最も近い「五竜山荘」に宿泊します。
五竜岳を望む格好のロケーションで、山荘前の斜面にはテント場を備えています。朝には五竜岳が赤く染まるモルゲンロートが堪能できます。

"五竜山荘:夕食の一例"
"五竜山荘:夕食の一例"

夕食はおかわり自由のカレーライスです。おかずも付いて、おなかいっぱいに食べることができます。

"五竜山荘オリジナルTシャツ"
"五竜山荘オリジナルTシャツ"

オリジナルTシャツは評判のお土産で、背中には"山が好き酒が好き"とプリントされています。

遠見尾根から行く

"モデルコース(遠見尾根〜五竜岳)"
"モデルコース(遠見尾根〜五竜岳)"

1日目:5時間3分 6.5km
アルプス平駅(135分)→中遠見(42分)→大遠見(28分)→西遠見池(98分)→五竜山荘
2日目:5時間25分 8.5km
五竜山荘(74分)→五竜岳(41分)→五竜山荘(69分)→西遠見池(21分)→大遠見(35分)→中遠見(85分)→アルプス平駅

"アルプス平"
"アルプス平"

一般的な登山路は「遠見尾根」からです。(登山口:白馬五竜アルプス平
アプローチに白馬五竜スキー場のゴンドラ「テレキャビン」を利用し、スキー場のゲレンデから出発します。

"白馬五竜高山植物園:ヒマラヤの青いケシ"
"白馬五竜高山植物園:ヒマラヤの青いケシ"

ゲレンデの斜面は、夏季は「白馬五竜高山植物園」が設けられています。ヒマラヤの青いケシや、白いコマクサなど、数々の高山植物が鑑賞できます。

"地蔵の頭"
"地蔵の頭"

ゲレンデ最上部の「地蔵の頭」には大きなケルンが建ちます。
ケルンの内部はくり抜かれ、上部に鐘、下部にはお地蔵様が据えられています。お地蔵様は「風切地蔵」と呼ばれ、山から吹き下ろす風や害虫から、農作物を守るために祀られました。

"小遠見山"
"小遠見山"

小遠見山は展望の良いピークで、お地蔵様と慰霊碑が置かれています。ベンチもあり、五竜岳や鹿島槍ヶ岳を望みながら一休みすることができます。
小遠見山までの往復は、日帰りトレッキングコースとしても知られており、登山初心者や子連れ登山者もよく訪れています。

遠見尾根は長く、中遠見山、大遠見山、西遠見山とアップダウンを繰り返しながら登ります。

"カクネ里雪渓"
"カクネ里雪渓"

大遠見山は、カクネ里雪渓の眺めが美しいとされています。この雪渓は鹿島槍ヶ岳の北東斜面にあり、2018年に長野県内で初めての氷河に認定されました。

"西遠見池"
"西遠見池"

西遠見池は、湖面に映る逆さ五竜岳が明媚とされています。
西遠見山を越えると、鎖場がある急坂の岩場です。白岳に着き、後立山連峰の主稜線に乗れば、間もなく五竜山荘です。

"山頂手前"
"山頂手前"

五竜山荘から山頂へは、主にごつごつとした岩の道で高度感があります。所々に鎖が掛けられており、岩場の基礎的な登り方である「三点支持」を守り、集中して登ります。

人気の縦走路

"モデルコース(唐松岳〜五竜岳)"
"モデルコース(唐松岳〜五竜岳)"

1日目:6時間7分 8.2km
八方池山荘(62分)→八方池(85分)→丸山ケルン(79分)→唐松岳(141分)→五竜山荘
2日目:5時間25分 8.5km
五竜山荘(74分)→五竜岳(41分)→五竜山荘(69分)→西遠見池(21分)→大遠見(35分)→中遠見(85分)→アルプス平駅

後立山連峰主稜線の縦走登山は、多くの登山者がいつかはと憧れます。
とりわけ唐松岳と五竜岳結ぶルートは、登りと下りにゴンドラリフトが利用できるため、比較的挑戦しやすく人気を得ています。(登山口:八方池山荘

"八方池"
"八方池"

唐松岳へ至る八方尾根は、五竜岳や白馬岳を望む見晴らしの良い尾根です。
登山口から八方池までは、ハイキングコースとして常に観光客で賑わっています。お目当てとされるのは、大きく水を湛えた八方池と白馬三山の神秘的な光景です。

"牛首"
"牛首"

唐松岳から五竜岳へ向かう稜線は、気持ちの良い稜線歩きが楽しめます。
ただし、途中には「牛首」なる難所があります。痩せた岩稜帯で足場は悪く、長い鎖が掛けられています。
登山口 白馬五竜アルプス平
周辺の山小屋 五竜山荘
唐松岳頂上山荘
基本情報
標高 2814m
場所 北緯36度39分30秒, 東経137度45分09秒
カシミール3D
山頂 三角点がある山頂は縦走路の分岐から北西に100mほど離れている
展望ポイント 360度 南に大きく鹿島槍ヶ岳、西に立山連峰など

山の解説 - [出典:Wikipedia]

五竜岳(ごりゅうだけ)は、飛騨山脈(北アルプス)後立山連峰にある標高2,814 mの山。山体は富山県黒部市と長野県大町市にまたがり、山頂部は富山県側に位置する。男性的な山容で、日本百名山の一つ。「竜」のみを旧字体にして五龍岳と表記されることもある。旧字体による表記は「五龍嶽」。
JR東日本大糸線神城駅の西8.4 kmに位置し、中部山岳国立公園内にある。鹿島槍ヶ岳と並んで、後立山連峰の主要峰の一つである。両山は丁度吊橋の支柱の様に日本三大キレットの一つである八峰キレットを挟む形で鎮座している。両山はそれぞれ逆側(鹿島槍ヶ岳は南側から、五竜岳は北側から)からは登りやすいが、両山を縦走するためには、難所である八峰キレットを通過しなければならない。
山頂部は濃飛流紋岩型の溶結凝灰岩、山腹は黒雲母花崗岩からなる。山頂部は森林限界を越える高山帯で、1952年(昭和27年)に多くの高山植物が自生している南斜面は白馬岳周辺の山域と共に白馬連山高山植物帯の特別天然記念物に指定された。コケ植物のナンジャモンジャゴケが、1951年(昭和26年)初めて五竜岳で採取された。イワヒバリ、カヤクグリ、コマドリなどの亜高山帯の鳥が生息している。
山頂の北西2.0 kmの餓鬼谷上流部の左岸斜面には、1906年(明治39年)に発見され翌年から鉱山の操業が行われた「大黒銅山跡」がある。そこで精錬された銅は牛により唐松岳と八方尾根を経由して運ばれ1918年(大正7年)に閉鎖された

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