マムシに噛まれると
【経緯】
4月26日午前10時ちょうど、トレラン練習中右くるぶし付近に刺すような痛みを感じ、足下を見たらマムシがとぐろを巻いているのを確認。靴下を脱いでみると小さな傷だが血が滲んでいたためマムシに噛まれたと認識。
マムシを枯れ枝で追い払い登山口方面に向かいながら携帯で119番通報。10時6分電波状態が良い場所で湖西市消防に連絡出来、マムシに噛まれたこと、概略の現在位置を知らせる。
10時14分湖西市消防より連絡。現在地にとどまり安静にして動かないよう指示を受け、座りやすい場所を探して待機開始。足に大きな変化はないが痛みが増してきた。
サイレン音止まる。10時26分救助隊員の携帯から電話。登山口に到着とのこと。
10時47分現在地の緯度、経度を知らせるよう救助隊員の携帯から要請。少し手間取るも通報。痛みがさらに増してくる。
11時25分救助隊員到着。自分で立てるか聞かれたが痛みで立てず、担架に乗せられる。
11時41分搬送開始。6人づつ隊員が交代しながら大知波田峠まで搬送。12時1分到着。
12時11分上空待機のヘリに吊り上げられる(多分愛知県の防災ヘリ)。
12時15分豊橋市民病院ヘリポート着陸。ストレッチャーで救急外来へ運び込まれ治療開始。問診、マムシかどうかの確認後破傷風ワクチン注射、点滴(生理食塩水、抗生剤)。この時点で足の甲からふくらはぎにかけて大きく腫れていた。病室へ運ばれ点滴(生理食塩水、抗生剤)を継続、15時頃マムシ血清注射。その夜は痛みと熱であまり眠れず。
4月27日、太ももまでパンパンに腫れてきて、足を曲げることも出来ない状態。シーツが当たっても痛い。
4月28日、腫れがさらに強くなり、アイスノンで冷やすことで耐える。
4月29日、看護士が点滴は今日で終わりと言われ、大丈夫なのか心配に。
4月30日昼過ぎ、抗生剤の錠剤とロキソプロフェン(ロキソニン)の服用開始。点滴のチューブが無くなったので車いすに自力で乗ることが可能になったが、右足の痛みと腫れが強く、腕と左足の力でかろうじて自力でトイレまで行けるように。
5月1日、シャワーの許可。嫁さんの助けを借りて5日ぶりに体を洗う。腫れは太ももから少しひいてきたが、ふくらはぎはカチカチ。膝の後ろの皮下出血がひどい状態。シャワー後体重を測ったが、噛まれる前と変化なし。
5月2日〜5月6日、連休に入る。抗生剤は終了、ロキソプロフェン(ロキソニン)だけ継続。少しづつ腫れがひいてきているのか、左足を地面につけることが次第にできるようになるが、ベッドから足を下に向けると1分程度激痛が続き、まだ2本足で立てる状態では無い。
5月7日、プレドニゾロン(ステロイド)の投与開始。
5月8日、足の痛みが大幅に軽減。腫れがひき始め、杖を突けば左足に負担はかかるが歩けるようになる。シャワーも嫁さんの助けを借りなくても入れるようになったが、着替えの時に足をあげるのがまだ不自由。
5月9日、腫れはあまりひいていないが、杖を突かなくても何とか足を引きずりながら歩ける状態に。杖は持っているが積極的に歩く訓練をして、約5000歩歩けるようになり、退院の目途が立った。
5月10日、昼前に婦長さんが部屋を替わって欲しいような言い方をしたので、それなら退院したいがと話をしたら、主治医と相談するとの回答。手術等で多忙とのことで、午後2時頃回診があり、退院の許可が出る。プレドニゾロンとロキソプロフェンを家でも飲むよう処方され、会計やらなにやら済ませて退院できたのが午後4時30分過ぎ。バリアフリーでない我が家の療養に多少不安はあったが、特に不自由はなかった。
20日経過した5月16日現在、足の腫れはふくらはぎと足の甲部分だけになり、弾力も出てきて順調に回復しているが、皮下出血がまだ癒えず、足をまっすぐ延ばすことができないが、日常生活、自動車の運転等に支障はない。ただ足のバランスが悪いため膝やくるぶし付近に痛みがあり、疲れる状況が続いている。
主治医からは腫れが引くまでには1か月はかかると言われており、のんびり治すしかないと諦めている。
【反省点など】
基本は自然の中の危険性についての警戒感が薄れていたこと。噛まれたあたりは何度かマムシやヤマカガシを目撃していたポイントであり、以前はそれなりに警戒していたのが、何度も走ったり歩いたりしているうちに「大丈夫」という気になっていた。
またトレラン練習のため、ローカットの靴、薄手のソックス、タイツと、マムシに対して不十分な足回りが事故につながった。スパッツ(ゲーター)などで防護していれば危険性は低くなると思うが……。
20年ほど前に海外通販で買ったポイズンリムーバーを持っているが、確率的に低いマムシ咬傷に対応するため荷物に入れるのは大げさと考え、押入れの肥やしになっていたが、今後は少しコンパクトになるよう工夫して、救急セットの中に入れていくことを検討している。
【終わりに】
マムシに噛まれて初めて判ったことは、噛まれたら1時間程度で行動が難しくなり、特に山の中では救助されるまで時間がかかるため重症化しやすいことだった。
噛まれた当初は、血清を打てば長くても1週間くらいで回復すると甘く見ていたが、結局2週間入院(入院治療費約20万円!)し、暫らくは靴も履けない不自由な生活を強いられることとなり、今後の山行きや自転車旅行などにも大きな影響が出そうだ。
山歩きは自然の濃い空間で行われるスポーツである以上、常に緊張感をどこかに残しながら今後は楽しんでいきたい。
最後に重い体(70?)を峠まで担いでいただいた救急隊員の方々やヘリの乗務員の方に深く感謝するとともに、車を長期間放置したりしてご迷惑をおかけした皆さんにお詫びいたします。
4月26日午前10時ちょうど、トレラン練習中右くるぶし付近に刺すような痛みを感じ、足下を見たらマムシがとぐろを巻いているのを確認。靴下を脱いでみると小さな傷だが血が滲んでいたためマムシに噛まれたと認識。
マムシを枯れ枝で追い払い登山口方面に向かいながら携帯で119番通報。10時6分電波状態が良い場所で湖西市消防に連絡出来、マムシに噛まれたこと、概略の現在位置を知らせる。
10時14分湖西市消防より連絡。現在地にとどまり安静にして動かないよう指示を受け、座りやすい場所を探して待機開始。足に大きな変化はないが痛みが増してきた。
サイレン音止まる。10時26分救助隊員の携帯から電話。登山口に到着とのこと。
10時47分現在地の緯度、経度を知らせるよう救助隊員の携帯から要請。少し手間取るも通報。痛みがさらに増してくる。
11時25分救助隊員到着。自分で立てるか聞かれたが痛みで立てず、担架に乗せられる。
11時41分搬送開始。6人づつ隊員が交代しながら大知波田峠まで搬送。12時1分到着。
12時11分上空待機のヘリに吊り上げられる(多分愛知県の防災ヘリ)。
12時15分豊橋市民病院ヘリポート着陸。ストレッチャーで救急外来へ運び込まれ治療開始。問診、マムシかどうかの確認後破傷風ワクチン注射、点滴(生理食塩水、抗生剤)。この時点で足の甲からふくらはぎにかけて大きく腫れていた。病室へ運ばれ点滴(生理食塩水、抗生剤)を継続、15時頃マムシ血清注射。その夜は痛みと熱であまり眠れず。
4月27日、太ももまでパンパンに腫れてきて、足を曲げることも出来ない状態。シーツが当たっても痛い。
4月28日、腫れがさらに強くなり、アイスノンで冷やすことで耐える。
4月29日、看護士が点滴は今日で終わりと言われ、大丈夫なのか心配に。
4月30日昼過ぎ、抗生剤の錠剤とロキソプロフェン(ロキソニン)の服用開始。点滴のチューブが無くなったので車いすに自力で乗ることが可能になったが、右足の痛みと腫れが強く、腕と左足の力でかろうじて自力でトイレまで行けるように。
5月1日、シャワーの許可。嫁さんの助けを借りて5日ぶりに体を洗う。腫れは太ももから少しひいてきたが、ふくらはぎはカチカチ。膝の後ろの皮下出血がひどい状態。シャワー後体重を測ったが、噛まれる前と変化なし。
5月2日〜5月6日、連休に入る。抗生剤は終了、ロキソプロフェン(ロキソニン)だけ継続。少しづつ腫れがひいてきているのか、左足を地面につけることが次第にできるようになるが、ベッドから足を下に向けると1分程度激痛が続き、まだ2本足で立てる状態では無い。
5月7日、プレドニゾロン(ステロイド)の投与開始。
5月8日、足の痛みが大幅に軽減。腫れがひき始め、杖を突けば左足に負担はかかるが歩けるようになる。シャワーも嫁さんの助けを借りなくても入れるようになったが、着替えの時に足をあげるのがまだ不自由。
5月9日、腫れはあまりひいていないが、杖を突かなくても何とか足を引きずりながら歩ける状態に。杖は持っているが積極的に歩く訓練をして、約5000歩歩けるようになり、退院の目途が立った。
5月10日、昼前に婦長さんが部屋を替わって欲しいような言い方をしたので、それなら退院したいがと話をしたら、主治医と相談するとの回答。手術等で多忙とのことで、午後2時頃回診があり、退院の許可が出る。プレドニゾロンとロキソプロフェンを家でも飲むよう処方され、会計やらなにやら済ませて退院できたのが午後4時30分過ぎ。バリアフリーでない我が家の療養に多少不安はあったが、特に不自由はなかった。
20日経過した5月16日現在、足の腫れはふくらはぎと足の甲部分だけになり、弾力も出てきて順調に回復しているが、皮下出血がまだ癒えず、足をまっすぐ延ばすことができないが、日常生活、自動車の運転等に支障はない。ただ足のバランスが悪いため膝やくるぶし付近に痛みがあり、疲れる状況が続いている。
主治医からは腫れが引くまでには1か月はかかると言われており、のんびり治すしかないと諦めている。
【反省点など】
基本は自然の中の危険性についての警戒感が薄れていたこと。噛まれたあたりは何度かマムシやヤマカガシを目撃していたポイントであり、以前はそれなりに警戒していたのが、何度も走ったり歩いたりしているうちに「大丈夫」という気になっていた。
またトレラン練習のため、ローカットの靴、薄手のソックス、タイツと、マムシに対して不十分な足回りが事故につながった。スパッツ(ゲーター)などで防護していれば危険性は低くなると思うが……。
20年ほど前に海外通販で買ったポイズンリムーバーを持っているが、確率的に低いマムシ咬傷に対応するため荷物に入れるのは大げさと考え、押入れの肥やしになっていたが、今後は少しコンパクトになるよう工夫して、救急セットの中に入れていくことを検討している。
【終わりに】
マムシに噛まれて初めて判ったことは、噛まれたら1時間程度で行動が難しくなり、特に山の中では救助されるまで時間がかかるため重症化しやすいことだった。
噛まれた当初は、血清を打てば長くても1週間くらいで回復すると甘く見ていたが、結局2週間入院(入院治療費約20万円!)し、暫らくは靴も履けない不自由な生活を強いられることとなり、今後の山行きや自転車旅行などにも大きな影響が出そうだ。
山歩きは自然の濃い空間で行われるスポーツである以上、常に緊張感をどこかに残しながら今後は楽しんでいきたい。
最後に重い体(70?)を峠まで担いでいただいた救急隊員の方々やヘリの乗務員の方に深く感謝するとともに、車を長期間放置したりしてご迷惑をおかけした皆さんにお詫びいたします。
持っていかなかったポイズンリムーバー
ほぼ10日間の足の代わり
ともかく熱がでるので必需品
やっと歩けるようになった5月9日の状態
救急外来へ搬入時の状態
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子供の頃は自宅前の排水溝にマムシがいるような
山ン中で育ったせいか、マムシに対する恐怖心と、
そういいつつ棒で突っついて遊んでいた子供時代では
ありましたが、実際に周囲で噛まれた人間がいなかったので、
改めて体験を聞くにつけ、山中で毒蛇に噛まれるとどういうことに
なるか身の毛がよだつ思いがします。お大事になさってください。
山でマムシに出会う確率は実際には低く、まして噛まれるのはレアケースなのですが、街場と違い医療機関まで行くのに時間がかかるので、応急対応方法などマニュアルが必要と思いますが、現時点では体系的に整備されたものは無く、医療機関の対応方法も違いがあるようです。
いずれにしても噛まれないようお互い気をつけましょう。ご配慮ありがとうございます。
自分も血清打てばすぐ良くなると思ってましたが、長引くんですね。
山歩きのとき、あらためて注意しようと思いました。
入院中暇に飽かしてマムシ咬傷への対応をいろいろ調べてましたら、一部の医療機関では血清を使わず治しているようです。血清は特効薬ではないみたいです。
今日5月19日時点でも腫れはひかず、あと1週間くらいは必要かな?と思ってますが、今日からビールを飲みはじめようかな?と思う程度に精神的に安心感が出てきました。
kamiishiさん、こんばんは。
マムシ抗毒素(血清)の投与は受傷(咬まれた時)から数時間経過してから医療機関に診察に来られた場合が多いですね。
受傷部位にもよりますが、症状が軽い場合には、血清を投与しない事もあります。
お大事になさってください。
ありがとうございます。私のケースでは受傷から2時間程度で医療機関で診察を受け、その後3時間(受傷後5時間)経過後に血清を投与してもらいました。その間、「特効薬」と思っていた血清を早く投与してくれないか、不安でやきもきしてました。
はじめまして、貴重な体験談ありがとうございます。
私も妙義山で危うく踏みかけたことがありました、
ポイズンリムーバー はお守りとして持参していますが
使用方法を再確認しようと思いました。
おだいじになさってください!
ご心配いただきありがとうございます。ポイズンリムーバーがもう少しコンパクトだとファーストエイドキットの中に入れやすいのですが。
こんにちは しばらく前の投稿なのでもうすっかり元気で仕事に
はげんでる事と思います 写真入りで詳しく経過を記事にしてもらい
まるで自分事の様に思われ身に染みる気付きになりました
マムシは横目で見て通ったり 踏みそうになったりですが 一層気を付
なくてはとおもいました 治療費20万円+約20日の休業 災難でた
お大事になさってください 近くにヘビセンターがあり血清などの
配布などしているので私も特効薬だと思っておりましたので電話で詳しく
質問などしてみたいと思います ではでは <(_ _)>
ほぼ1か月の運動ブランクによる筋肉の衰えを元に戻すため苦労してます。 ともかく噛まれないのが一番で、半ズボンでの山行はやめました。
それでも先日ヤマカガシと目が合い、石を投げて追い払いました。多少ヘビに対する恐怖感が増加したのかもしれず、後遺症かな?と思っています。
初めめまして。以前、那須で大きなマムシを見ましたので、それ以来、どんな山でも注意しています。わが県では河原で咬まれる人がいて、市内の薬問屋と県庁にマムシ血清が準備してあります。血清を打てば、重篤にならないと勝手に思い込んでいました。小生も参考にさせていただきました。お体にご自愛ください。
raijintengu35 さん、こんにちは。血清があまり効かなかったと思われるのは、噛まれてから医療機関で手当てを受けるまでに時間がかかったことも影響しているのかな?と思っています。
噛まれたらできるだけ早く医療機関へ行くことが大切なようで、先日山仕事でマムシに噛まれた人の話を聞いたら、山奥だったので半日以上かかってから手当を受けられたこと、ともかく痛かった!ということで、完治まで半年近くかかったそうです。
完治まで1ヶ月?大変なご苦労だったと思いますが、マムシに咬まれると命を落とすこともあるので、とにかく治って良かったですね。
私は西丹沢によく行くのですが、大きなマムシを見たことがあり、
どこの山に行っても、クマに出会うことよりも、マムシに咬まれることの方が怖いと常々思っています。
マムシに咬まれたら、とにかく早い治療が決め手になるので、
最近では、安静にして救助を待つよりも、とにかく走ってでも早く病院に行け!と言う専門家の意見もあるようですね。
uechiさんおはようございます。マムシ恐怖症は最近は収まりましたが、山に入るときには、暑い日でも必ず長ズボン、厚手の靴下は欠かしません。
早く病院に行った方が良いということは確かですが、119番通報した時点で麓近くまで歩くことを提案しましたところ、「動かず安静にして待て」という指示を救急隊員から指示を何度も受けたので、指示に従いました。
登山口までの距離、マムシ血清のありそうな病院の場所など、歩いて降りる判断をするには、いろいろ検討事項がありそうです。
ちなみにマムシに噛まれた前年の秋に、白山で目の前(10m程度の距離)にクマが現れましたが、やはり怖かったですね。
なるほど。救急隊からそういう指示だったんですね!
平地ではなく山中は特に、咬まれた状態で歩くといろんな危険があるという判断かもしれませんね。
南房総の山で炭焼と陶芸をやっている人が、
「スズメバチやムカデは蚊に刺されたのと変わらないけど、マムシだけはすぐに病院行けよ。」と言っていたのが、とても印象に残っています。
10mでクマに遭遇もすごい体験ですね!
北海道のヒグマとは絶対に戦えないけど、ツキノワグマは体重60〜80kgぐらいだから、
土佐犬ぐらいかな?ストック振り回せば、なんとか戦えるかな?ぐらいに思ってましたが、
本物見た人にしかわからない恐怖心あるでしょうね😅
ちなみにイノシシも牙で猟犬が殺されるぐらいだから、オスはかなり危険みたいですね。
私は笊ヶ岳で立派な角の大きな牡鹿に出くわしたことがあり、
そいつは全く逃げないで、こちらをじっと見つめて、悠々と去りました。
襲われる心配はしなかったけど、「こいつが本気で向かって来たら勝てないな。」と感じました😅
とにかくマムシの話、貴重な体験談をありがとうございます。
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