槍ヶ岳・南岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 41.8km
- 登り
- 2,134m
- 下り
- 2,126m
コースタイム
1日目(8/15)
沢渡駐車場 0930
上高地BT 1005/1020
明神池 1100
徳沢 1145/1205
横尾 1255/1310
ニノ俣 1350
槍沢ロッジ 1415/1435
ババ平 1500
2日目(8/16)
ババ平発 0455
槍沢大曲 0515
休 0555/0605
休 0630/0645
坊主岩 0700
殺生ヒュッテ 0800
槍肩 0835/0850
槍ヶ岳山頂 0900/0950
槍肩 1005/1030
大喰岳 1100/1105
中岳 1145/1155
天狗原分岐 1230/1315
南岳 1330
南岳テン場 1340
3日目(8/17)
南岳テン場発 0450
天狗原分岐 0510/0520
天狗池 0640
槍沢分岐 0705/0710
ババ平 0750/0755
槍沢ロッジ 0810
一ノ俣 0825
横尾 0905/0920
上高地BT 1145
過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
写真
装備
個人装備 |
靴:シリオP.F.301
|
---|
感想
そろそろテント泊山行を再開することにした。およそ8年ぶりか。手始めに槍ヶ岳と南岳稜線を選んだ。体力面の不安が払拭できないので、荷物を極力減らして行くことにした。自宅出発時の荷物は水入りで16kg、減らしても重い。
1日目
4時自宅発。お盆中だが、中央道をはじめ道中で渋滞はなし。上高地はマイカー規制をしているので、沢渡の市営第2駐車場に車を置いた。上高地までのシャトルバスはそれほど待たされることもなくスムースだったが、混んでいたため、荷物は抱えて座った。釜トンネル綺麗になった。先日の土砂崩れの爪あとがまだ残っており、片側交互通行になっていた。
上高地は相変わらずの盛況っぷり。もっとも、例年に比べたら少ないほうなのかも知れない。明神池、徳沢あたりまでは観光地だ。徳沢で正午を迎えたので、1分間黙祷。沢沿いの道は冷気がとても気持ち良い。
長く退屈なアプローチだが、曇で日差しがなかったため大変助かった。しかし、槍沢ロッジに到着したとたんに土砂降りの雨に見舞われた。しばらく雨宿りしてやり過ごす。天気予報では晴れだったのだが、山ではまったく通用しない。ババ平テン場は既に空きが殆どなく、水場近くにテントを張った。docomoが繋がり、PM試験の結果を確認することができた。ちなみにauは圏外。こんな山中で繋がるなんて恐るべしdocomo。
夕食はコンビニ弁当。単独行で、食事にこだわらなければ、手間いらずのコンビニ弁当はとても便利。温められればさらにいいのだけれど。スタバのドリップコーヒーを持っていったのだが、これが今回ヒットだった。
とくにやることもないので19時に就寝。しかし、よく眠れなかった。シュラフマットを持ってきておらず、さすがに地面が固くて熟睡できないのだ。
2日目(8/16)
0320起床。夜中は曇っていたが、この時間は晴れて、影ができるくらい月明かりで明るい。朝食もコンビニサンドイッチにコーヒー。すぐ済む。とても便利。
槍沢は長い。ゆっくり歩く。山頂は雲で覆われており見えない。どうやら雲は取れそうにない。坊主岩、懐かしい。槍沢は僕が高校2年生の夏に合宿で来て強烈な洗礼を受けた場所だ。この長丁場を何とキスリングで歩いたのだ。ところでこの坊主岩は、播隆上人が53日間も籠って念仏を唱えたそうである。何食べてたんだろう?
強烈な思い出は殺生から上にもある。槍ヶ岳山荘までの最後の200mのジグザグ道がやたらつらいのだ。道は整備されていて針金で固められており、僕にはこの200mが針金のイメージなのだが、それは今でもそのままだった。相変わらずつらい場所だったが、またここに来られたことは感慨ひとしおである。
槍肩に到着するも、まったく槍の穂先が見えない。強い西風で雲が流れている。さすがに眺望は望めそうにない。ともかく穂先へ。山頂では半時間以上粘ったが、結局眺望はなかった。お盆最中にしては妙に人が少なくて、10分間ばかり山頂を独占した。槍の山頂を独り占めって、あまり経験がない。槍の穂先といえば渋滞しているイメージしかないのだ。
肩に戻ると、一瞬だけ穂先を拝むことができた。しかしこれが本当に一瞬、数十秒なのである。この先、南岳までの稜線歩き。僕はこの稜線を個人的に「雲上の散歩道」と呼んでおり、今回の山行の目的はこの雲上の散歩道の眺望を堪能することにあったのだが、それも全部ご破算だ。強く冷たい西風に煽られながらガスに覆われた世界を歩く「雲中の修行道」であった。眺望が期待できないので、今日中に南岳から槍沢へ下ることも選択肢として考え始めた。
しかし幸運なことに、天狗原分岐の手前で一瞬だけ雲が切れて、多少の眺望があった。まずは眼下に天狗原、そして対岸に常念、蝶。左手に東鎌尾根、喜作新道、大天井岳。さらには燕。まあこれだけ見られたら上出来だろうか。こんなことがあるから山の天気はわからない。もしかしたら夕方には晴れるかもしれない、あるいは明朝晴れるかもしれない。そんなもしかしたらを考えるとこのまま下りてしまうのが惜しくなり、予定通り南岳テン場泊とした。
ところが、テン場に着いた頃は再び暴風となり、テントを立てるにも一苦労。テントを張ってみると、シームレステープがベリベリと剥がれ始めた。前日からその兆候はあったが、今回テントを広げたときに剥がれがひどくなったようだ。折しも、暴風に雨滴が混じるようになった。携帯で国交省レーダーを見ると、富山地方から雨雲が接近しているのがわかる。運が悪いことに、今回は荷物減らしのためフライを持ってきていない。晴れ予報だから雨がないことを前提とし、万一降っても小降りならゴアテン本体で耐えられると踏んでいたのだ。それが裏目に出た。間もなく暴風雨となり、縫い目部分から浸水が始まった。テント内部に水が溜まらないよう、滲みでた水滴をタオルで拭き取っては絞って排水、それを一時間ばかり続けた。南岳テン場には苦い思い出があって、かつて大キレット越えのためここに泊まったとき、大雨に見舞われて一日停滞し、テントに大量の浸水があって酷い目に遭ったことがあるのだ。まさか同じ場所でまた同じ目に遭うとは、一体どういう因縁なのか…などと考えながら排水を続けたが、おかげで何とか目立った被害もなく乗り切った。
とはいえ、まだ安心はできなかった。レーダーで見ると一塊の雨雲は去っているが、いつまた雨が降り始めるかわからない。夜中に降られたらシュラフが濡れるまでまず確実に気づくまい。が、もう開き直ることにした。テントを事前に十分点検しなかった僕のミスだ。いざとなったら小屋に駆け込めばいい。それに昨日と同じなら、夕立が終われば雨は降らないだろう。夜はご飯を炊いてレトルトのすき焼き丼を作って食べた。温かいご飯はやっぱりいい。
3日目(8/17)
0300起床。結局、夜中に雨は降らなかった。強い西風は絶え間なく吹き続けていたが、その点についてはテントがよく耐えてくれた。しかし、やたら寒い。3,000mの寒さを忘れていた。防寒着もろくすっぽ持ってきておらず、シュラフに包まっても寒くて熟睡できなかった。夜が明けても暴風とガスは止まず、期待していた眺望もついに得られなかった。キレット越えをするつもりだったが、この暴風と視界不良では危険なのでキャンセルして、天狗原経由で下りることにした。
諦めきれず、天狗原まではゆっくり下りる。しかし、山頂から雲が取れることはついになかった。天狗原まで下りると急に視界が開けた。山頂の雲から抜けたわけだ。そんなものだ。そこからはもう速やかに下った。徳沢あたりからまた雨。結局、今回の山行では毎日雨に見舞われたことになる。晴れ予報を狙ってきてもこれだ。運が尽きているのだろうか。
帰りに白骨温泉に寄ったのだが、沢渡からの県道が改修工事で通行止めとなっており、乗鞍高原経由の遠回りをする必要があった。公共野天風呂に入ったのだが、これが酷い。ただ湯船があるだけ。洗い場もろくすっぽない。いや、湯治に来てる人ならそれでもいいだろうが、登山客は汗を流して垢を落としたいのだ。なのに石鹸もシャンプーもないとは! 客にサービスして喜んでもらおうという雰囲気を感じることはできなかった。少なくとも、往復40kmも遠回りしてまでわざわざ来るところではない。
さらに、帰りの中央道では甲府〜八王子で大渋滞にはまった。お盆とは言え、もうUターンラッシュも終わってるだろうにどうして混むのかわからない。自宅にたどり着いた頃は日付をまたいでいた。
今回の山行は残念ながら目的の眺望を得ることはできなかったが、今の僕の体力でも2泊3日のテント山行がかろうじて可能であることがわかったのは収穫である。しかし、反省すべきは装備品だ。考えてみると、僕の装備品は靴以外はほぼすべて20〜25年ものなのだ。テントはシームレステープが剥がれ、コンロは重く、コッヘルはフタがなく、ザックはベルトが切れ、ライトはマグライト、シュラフは専用袋がなくてかさばり、シュラフマットはない。こんな装備でよくこれまでやってきたなあと我ながら感心する。しかしお陰で今回はとっても惨めな思いをした。そろそろ、全面的に装備を更新すべきときなのかもしれない。しかしゴアテンをそのまま捨てるのは惜しいな。修理を検討したい。
いいねした人