薬師岳，黒部五郎岳

2000年08月11日(金) 〜 2000年08月12日(土)

• GPS: --:--
• 距離: 36.7km
• 登り: 2,999m
• 下り: 2,993m

コースタイム

ルートはヤマプラで作成。

1日目
0715　　　折立発
0805/0815　休
0835　　　三角点
0910/0930　休
1035/1040　太郎平小屋
1055/1145　薬師峠キャンプ地発
1205　　　薬師平
1245/1255　薬師岳山荘
1330/1415　薬師岳山頂
1425/1445　山頂の手前
1505　　　薬師岳山荘
1545　　　テン場着

2日目
0415　　　テン場出
0430　　　小屋
0515/0530　休，日の出を見る
0530　　　北ノ俣
0610　　　赤木岳
0655/0705　休
0745　　　黒部五郎の肩
0755/0825　黒部五郎岳山頂発
0915/0945　休，珈琲を飲むが…
1030　　　赤木岳
1050/1100　北ノ俣
1155　　　小屋
1210/1255　テン場
1410/1425　休
1530　　　折立着

感想

aquody

1日目

午前4時に金沢の自宅を出る．下道を行き，有峰林道小見線を折立まで行く (*1)．何も障害がなければ亀谷ゲートから車で約40分というところ．折立には 駐車場があるが，もちろんこの時期は駐車は道路まで溢れ出ていた．逆にいえば 駐車場が満車でも何とでもなるということだろう．

折立から太郎平までの登りは，昭文社エアリアマップの標準コースタイム（以下 CT）では5時間となっているが，一般の単独行者だとテントを持っていても4時 間弱で行けるようだ．きついのは前半部の石畳が終るまでで，あとはなだからな 登りになる．太郎平小屋から薬師峠のキャンプ地までは15分くらいだ．
薬師峠キャンプ場 (*2) は水，トイレ完備，分別すればゴミも捨てられる．30 張くらいでいっぱいじゃないかという感がある．この時期だと昼前にはまともな 場所はほぼ埋まっている．

薬師の登りは思ったほどきつくはない．薬師平からは尾根に出て景色もよく，登 りの辛さなどふっ飛ぶ．CT で3時間のところだが，空身だと2時間弱で行けた．

薬師岳山頂の三角点はほこらのすぐわきのすごく気が付きにくいところにある． 山頂ではガスが出て全方位クリアというわけにはいかなかったが，立山，水晶， 鷲羽，黒部五郎などの勇姿を垣間見ることができた．とくに立派に見えたのはす ぐ目の前にそびえる赤牛岳だった．

しばらくすると中年女性の団体が山頂にやってきてすごくうるさくなったので， 山頂から少し外れたところで半時間ばかりガスが晴れるのを待った．しかし少し 日差しが出てもすぐにまたガスが湧いてきて埓が開かない．諦めて下りる．

テン場に戻って10分ほどすると，大雨になった．この雨は1時間半ばかり降り 続いてから，からっと晴れた．さすがに疲れていたので明るいうちに寝てしまう．

(*1)　有峰林道は夏期のみで，6〜20時のみ通行可．通行料は普通車1800円．
(*2)　薬師平キャンプ地は 500円/人．

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2日目

3時前に起床する．一日で黒部五郎岳を軽装でピストンして，テントを畳んで折 立に下りるという，全CT14時間の長丁場を予定していたので，なるべく早め に出発する．

夜明け前から行動を起こしている中年団体はほとんどないので，早朝はすごく静 かな山を楽しむことができる．山の朝はそよ風が草木を揺らす音や小鳥のさえず りとともに迎えるべきものなのだ．
北ノ俣の手前で日の出を見る．赤牛岳の右手から太陽が顔を出す．完璧な晴天の 完璧な日の出．さっき顔を出したと思ったら，その5分後には太陽全体が姿を現 している．太陽の動きはそれほどに速い．あまりのんびりしている時間はないの だ．

太郎平から黒部五郎岳までの稜線歩きは，とくにきついところもなく，高原の散 歩道という感じだ．ただいくつもの小山を越えるのでアップダウンはあるし，な にしろ長い．目の前に黒部五郎がいて励ましてくれていなかったら，ちょっとやっ てられなかっただろう．

黒部五郎岳の最後の登りだけは少しきつい．運良く10分ばかり山頂を独占でき て，絶景を静かに楽しむ．まだガスもほとんど出ていなかったので，北アルプス を一望できた．薬師，立山，剱，針の木，赤牛，前年にその頂きに立った水晶と 鷲羽，三俣蓮華，そしてもちろん槍，穂高連峰，とんがり帽子の笠．憧れの雲の 平もばっちり見える．西に目を向ければ，雲海の中の孤島のように白山山系がぽっ かりと浮かんでいる．こんなにたくさんの名山を一度に目にしたのは初めてかも しれない．しばらくするとまた中年の団体に山頂を占領されて銀座のデパートみ たいな状況になってきたので，名残惜しいが山頂をあとにする．

黒部五郎を下りた直後からガスが出始めて，復路は眺望がよくなかった．往路は なるべく急いで時間を稼ぎ，復路で時間があったらのんびり景色を楽しもうと思っ ていただけに残念である．それでもときおりガスが切れたので，静かなお花畑を 見つけてそのそばで珈琲を飲みながら薬師の勇姿を眺めていたのだが，そこにお ばさん団体が通りがかって，あろうことか僕の目の前にどっかと腰を下ろした． もちろんそこは，センスの悪い昼下がりの喫茶店みたいな雰囲気になってしまっ た．なんか呪われているみたい．早々に立ち去る．

テン場に戻った頃は，ちょうど陣取り合戦の真最中だった．テン場もこれだけ混 んでくると，健康温泉ランドの大休憩室のようにごちゃごちゃしてしまう．テン トを畳んでまた重い荷物を背負う．下り道では何百という登ってくる人々とすれ 違い，挨拶するのも大変だった．下りの前半はスピードを出して下りたのだが， 足が痛くなってきたので後半はスピードを落とす．非常に珍しい，女の子だけの パーティが僕の前を歩いていて，彼女達は遅過ぎず速過ぎずの絶妙なスピードで 下っていたので，その子達を抜かない程度のスピードで歩いた．

黒部五郎は夢のように素晴らしい山だった．今度はシーズン・オフに憧れの雲の平に行きたい．