コイカクシュサツナイ〜ペテガリ
コースタイム
5日:上二股 4 コイカクシュサツナイ岳 3 ヤオロマップ岳
6日:ヤオロマップ岳 6 1599m峰 1.5 1469コル
7日:1469コル 4 ルベツネ山 2 ペテガリ岳Cカール
8日:ペテガリ岳Cカール 2 ペテガリ岳
9日:ペテガリ岳 4 ペテガリ山荘 3 神威山荘
歩いた実感として,札内川ヒュッテ→ヤオロマップは早デッパすれば1日で行けると思う.やオロマプ→ペテガリ岳Cカールは1日で抜けている記録もあるが2日に分けたほうが無難.ペテガリ岳Cカール→神威山荘も1日で抜けられる.3泊4日に’39をつけて4泊5日といった日程が妥当かなという感じがした.
過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
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感想
ルート詳細)<しばらく現役が行っていないので少々詳し目に>
コイカクシュサツナイ沢:渡渉が複数回あるため沢足袋があると楽.平水であればなくてもなんとかなるが,入山ならば靴も濡れるし持って行った方が良いと思う.難しいところはない.砂防ダム・函ともに右岸から巻くことができる.
コイカク夏尾根の岩場:場所は頭よりも標高100mほど下の地点.最初だったのもあるがコイカクシュサツナイ沢まで抜けておりなかなかの高度感.岩場は15mほどで固定ロープが張られている.
コイカクシュサツナイ岳〜ヤオロの窓先のポコ:ブッシュはそれほど濃くなく,踏み跡がしっかりしている.穏やかな稜線.
ヤオロの窓先のポコ〜ヤオロマップ岳:踏み跡はしっかりしているが高度感あり.風が強い日はかなり緊張するのではないかと思う.
ヤオロマップ岳〜ペテガリ岳:この区間も基本的に踏み跡があるが,他の区間に比べてブッシュは濃い.ただ,濃いといっても裏大雪ほどではない.全体的に高度感があり転倒するとはるか下まで落ちそうなところがある.イメージとしては強化のニペソツ南陵に高度感を加えた感じ.この区間の中で特に注意を要するのは以下の区間.
・ヤオロマップ岳の下り…稜線上に岩が結構ある.岩を直接降りるのは難しいが,多くは日高側に踏み跡がある.
・1688〜ルベツネ山手前…ここにも岩がいくつかあり,それを上り下りする.落ちられないので3点確保した.晴れていれば高度感も結構あるだろう.
・1535〜1647…ペテガリ岳Cカールの壁からその先の区間.稜線が細い.また踏み跡も日高側に外傾しており,慎重に歩く必要がある.濡れていたり風が吹いていれば緊張し時間がかかりそう.
ペテガリ岳Cカールへの踏み跡:笹の急な斜面.問題ない.
ペテガリ岳西尾根:快適な登山道.
ペテガリ山荘〜神威山荘:東の沢林道をベッピリガイ沢上流に向けて5.8km歩く.林道から沢に入るところ(林道の終点ではなく途中)には看板がありルート中にはデポ旗が多く付けられている.ベッピリガイ沢側は細い沢.現在地確認しづらく,デポ旗が全くなかったら難しいかもしれない.ニシュオマナイ沢側は深いV字の谷であるものの沢底は夕日の沢のような感じで渡渉を繰り返しながら進む.現在地確認もしやすい.途中に5mほどの綺麗な滝が1つある.捲き道は右岸についている.下流部は林道となっており,ニシュオマナイ沢を渡渉後,神威山荘より下流側の標高360m地点で元浦川林道と合流する.ニシュオマナイ沢は増水に気をつけたほうが良さそうである.この尾根乗越の区間の沢は登山靴で問題なく歩ける.
水場)(コイカクシュサツナイ沢上二股〜ペテガリ山荘までの区間)
ヤオロマップ山頂の天場から十勝側に10分下ろした地点(湧き水.ここよりも下側に水量が多く湧いているという記述もあるが未確認),ペテガリ岳Cカールから流れ出る沢(テンバから15分弱降った地点).ともに短時間で十分な水量を確保することができた.
天場)
コイカクシュサツナイ沢上二股,コイカク夏尾根Co.1350(6人用3張り),コイカク夏尾根頭(6人用2張り),コイカクシュサツナイ岳(6人用1張り),ヤオロの窓(6人用1張り),ヤオロマップ岳(6人用1張り;’39側にもあるらしいが未確認),1599m峰(6人用1張り),1469コル(5人用1張り:結構無理やり,不快),1720(ルベツネ南峰;6人用1張り),ペテガリ岳Cカール(6人用3張り:1張り分はカールのかなり底の方),ペテガリ岳山頂(5人用1張り),ペテガリ岳西尾根の1301手前のコル(6人用1張り),それよりペテガリ山荘側には30〜1時間ごとに6人用テントで幕営可能な場所がある.
4日:札内川ヒュッテ→上二股
どの夏ワンもそうだが,4年生にとっては最後.日高の稜線を楽しみにパッキングしていると低気圧の接近の情報を聞き出発を2時間早める.午前1時札幌発.札内川ヒュッテに着くとひんやりと涼しくすでに秋の気配を感じる.北海道の夏はやはり短い.久しぶりに沢足袋を履いてコイカクシュサツナイ沢を渡渉しながらの開放的な河原歩き.水量は少なく渡渉点に悩むことはない.函は木がつまっていたので右岸巻き.上二股に到着し,軽く尾根取り付きを確認.到着30分後くらいから強い雨が降る.集めた焚き木が無駄になってしまったが,流石に焚き火をする天気ではない.流木が多く,よく燃えそうな焚き火だったのに残念だ.鈴木Jr. から頂いたマッコリを飲んだり,果物を食べたりと沢の音を聞きながら贅沢にのんびりとする.
5日:上二股→ヤオロマップ岳
山は朝早く行動するのが基本だし早起きは三文の得らしいので2-4でデッパ.が,これが失敗.取り付きから先が笹ブッシュでわかりづらい.結局1時間ほどブッシュを漕いだり,斜面を這い上がったりして上二股周辺を彷徨した.鬱蒼とした森が明るくなりだす頃に夏道を見つける.息を切らせ登った主稜線からは南も北も日高の山が一望され人里離れた大山脈の真っ只中にいることを実感する.ヤオロマップまでも気持ちのよい稜線歩き.ピークのテント場で夕日を眺めながらのんびりウイスキーを傾けようと思っていたが,テントを張ったら風が強くなりガスってしまった….
6日:ヤオロマップ岳→1469コル
目指す1599m峰が格好良い.ブッシュは濃くないものの全体的に面倒.時間がすごくかかる.1599m峰に快適そうな良い天場があり先に進むか悩む.結局先に進む.1469コルに着く前くらいから十勝側より猛烈にガスが湧き上がる.雨が降っているわけではないのだが,全身ビショビショになってしまう.天場は探せど探せどちゃんとしたサイズのものが見つからず,結局ルベツネの登りだしまで確認して15分ほど戻った稜線上に無理やり張る.片側は地面がなく張り綱で無理やりテントを成形して幕営.記録通りここの天場は良くなかった.明日はCカールだし我慢我慢.
7日:1469コル→ペテガリ岳Cカール
朝起きるとガスガス.本当は晴れている中歩きたいがこれも山.前進するのみだ.ルベツネのピークから1720の間は穏やかな稜線でブッシュも薄く快適.ルベツネ付近から晴れてきたので1720標高点(ルベツネ南峰?)で1時間ほど景色を眺めてだらだらする.昼寝をしたり,ボケーっとしたり,景色を眺めたり思い思いに過ごす.どうしても主稜線に目がいってしまうが,ヤオロ〜’39〜シビチャリ山の支稜は幾つもの目立つピークとカールを抱え格好良い.今宵の幕営地,ペテガリ岳Cカールは七つ沼とは比較にならないほど良い.開放的でカールの壁は草木が色づき,カールの底はお花畑になっている.おまけにブルーベリーのような甘酸っぱい美味しい実が無数にあり,それをつまみに残り全てのビールとウイスキーをほとんど飲み干す.盛大な焚き火を囲んで都ぞ弥生を歌い最高の気分で寝る.
8日:ペテガリ岳Cカール→ペテガリ岳
1年生とsLが重度の二日酔いのため出発を昼頃に遅らせる.ペテガリピークへはすぐ.ピーク手前でみんなに譲ってもらい一番最初にピークへ.ここまで来ることができて感動する.今日の天場はペテガリ山荘で快適小屋泊の予定だったが図らずも稜線天場.
9日:ペテガリ岳→神威山荘
朝起きるとガスガスだがデッパする直前にガスが取れる.稜線を渡るガスと凛とそして幾重にも聳える日高の山々が美しい.ペテガリ山荘は立派な山荘で驚く.
主要道々111号(:日高横断道路)と東の沢林道を使えばここまで車で来ることができるのだが,通行止めのためここから尾根を一本乗越す.日高の深淵なる山に巨額の税金と労働力を費やして道路を作るべきだったのかどうかは難しい問題だ.林道を使って山に登る以上,ワンゲラーが自然保護だけを訴えることは絶対に間違えている.しかし林道を作ることで山深さが失われることも残念だ.それはさておき日高横断道路の通行止めは自然破壊と税金と労力の無駄を我々国民に隠すためとしか思えず,僕は気に入らない.自然を破壊し,それを有効に活用せず放置する.こんなにも破壊した自然と納税者,そして汗水たらし道を作った労働者に対して不誠実なことがあろうか.
札内川ヒュッテでY谷くんと別れてから6日間,彼に神威山荘まで迎えに来てもらうまで誰とも会わない静かな旅だった.最後の夏に良い山行に行くことができた.
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