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Yamareco

記録ID: 109467
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
塩見・赤石・聖

安倍奥(七面山ー八紘嶺ー山伏ー十枚山)縦走

2011年05月04日(水) 〜 2011年05月06日(金)
 - 拍手
GPS
47:35
距離
56.3km
登り
4,600m
下り
4,779m

コースタイム

1日目:七面山登山口(12:30)-安住坊(13:40)-明浄坊(14:30)-敬慎院(15:20)-七面山(16:00)-希望峰(16:25)
2日目:希望峰(4:15)-八紘嶺(6:00)-大谷嶺(7:15)-山伏(8:50)-牛首峠(10:10)-笹山(10:35)-井川峠(11:30)-深沢山(12:25)-一服峠(13:10)-梅ヶ島キャンプ場(14:05)
3日目:梅ヶ島キャンプ場(4:05)-関の沢橋(4:50)-十枚山登山口(6:10)-十枚山(7:45-8:20)-十枚山登山口(9:40)-なんぶの湯(12:05-14:10)-内船駅(14:15)
天候 1日目:晴れ
2日目:曇り
3日目:曇り時々晴れ
過去天気図(気象庁) 2011年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
行き:JR身延駅〜七面山登山口(山交タウンコーチ)
帰り:JR内船駅
コース状況/
危険箇所等
井川峠〜孫佐島までの区間は、危険なトラバースがあり、道が不明瞭な箇所もあります。通行には注意が必要です。

感想

連休でないと行けないような山で、かつGWでも人の少なそうな山ということで、安倍奥の山々を縦走することにした。
安倍奥は、静岡と山梨の県境にある山塊で、前々から歩きたいと思っていたのだが、私の家からでは日帰りはほぼ無理だ。ということで、テントを担いでいくことにする。

■1日目
身延駅に10:00に到着。バスの時間までの1時間45分の間、富士川の河原に下りて時間をつぶす。とても天気がよく、川を泳ぐ鯉を眺めたりして、のどかな時間を過ごした。
バスに揺られ、七面山登山口に着いたのは12時30分。既に遅い時間なので、急ぎ気味で登り始める。
今回はザックの重量が19kgほどになってしまった。これは、水場が期待できないため、水を6ℓほど担いでいるのと、余分な衣類(防寒着や下山後の着替えなど)を持ってきているせいだ。

今日の目的地の七面山までは、1700mの登りだ。
七面山は、身延山と同じく日蓮宗の信仰の山となっていて、今日は、北参道と呼ばれている道を登る。普通の登山道と違い、人が3人くらい並んで歩けそうな道で、完璧に整備されている。

上からは、登山姿ではない人が多数下りてくる。若い女性や子供も多く、あまり惨めな姿は見せられないと、平気なふりをして登っていくものの、延々と続く登りで、実際は相当バテている。

奥の院に到着する。影郷石と呼ばれる巨大な石があり、富士山を望めるポイントがある。霞んだ富士が水墨画のよう。

更に登り、敬慎院に到着。とても立派な建物があり、信者らしき白装束の人が30〜40人ほどいる。ここには、富士の展望台があるのだが、その方達の「南無妙法蓮華経」の大合唱が始まり、落ち着かず、先に進む。

ここまで来れば、七面山まではあと一息だ。最後の急坂を登り詰めて、七面山の山頂に到着した。山頂は、木々に囲まれ展望はない。時刻は16時を回っている。誰もいない山頂で、この後どうするかを考える。

山頂は、テントが6,7張ほど張れそうなスペースがあるが、信者でも無い人間が、信仰の山の山頂に泊まるのは、気が引ける。もう少し進んだところに希望峰というピークがあり、そこにテント泊している記録があったことを思い出し、そこまで進むことにする。

16時半頃、希望峰に到着。西側の眺めが良く、雪に覆われた聖岳や上河内岳、その手前には笊ヶ岳なども見える。
山頂は非常にせまく若干斜めでテント適地とは言えないものの、1張ならなんとか張れそうだ。先客がいなくて良かった。テントを張り、夕食後19時頃就寝。

■2日目
朝4時過ぎ、暗い中、ヘッドライトを点けて出発する。
今日は、八紘嶺ー山伏ー笹山と縦走して、梅ヶ島キャンプ場まで下る予定だ。

八紘嶺までの道は、以前は笹薮が酷かったらしいが、今は下草が刈られ、歩きやすくなっている。アップダウンが続く道を、小ピークとコルで、現在位置を確かめながら進む。
インクラ跡に到着。テントが4張くらい張れそうだが、何かが祀られていて、あまり泊まりたくない雰囲気の場所だ。
そこから150mほど登ると八紘嶺に着く。早い時間のためか、誰もいない。今日は空は曇り、霧も濃く、辺り一面真っ白で何も見えない。

大谷嶺に向かう道は、過去に死者も出ているらしく慎重に進んだが、特に危ないような所や迷うような所も無かった。山頂で一息入れる。GWだというのに、まだ誰にも会わない。
大谷嶺から、南に延びる尾根を確認する。この尾根は、七人作りの峰と呼ばれ、猛烈な薮と道迷い遭難で有名で、過去に何人も死者が出ているとのこと。怖くて、とても歩こうという気にはならない。

ガスで何も見えないため、先を急ぐ。大谷嶺から山伏の途中で、ようやく対向する一人の登山者に遭遇した。

山伏に到着するものの、やはりガスで何も見えない。ここで、2人の中高年の方に出会い、少し話をする。この方達は、雷鳥の調査を行っている方たちで、来月の光岳調査の準備のために山伏に来たとのこと。光岳に1ペア、茶臼岳に4ペアの雷鳥がいることと、光岳が雷鳥の生息地最南端であることを教えてもらった。

その方に、この先のルートを聞かれたので、井川峠から孫佐島に下りますというと、その道は荒廃していて今では誰も通らないからやめた方がいい、と言われる。
非常に不安になり、西日影沢のコースで下りようかとも思ったが、登山地図(2008年度)では実線となっているし、延々と車道を歩くのもどうかと思い、予定通り、井川峠に向かう。

途中の牛首峠では、下山道がロープで何重にも塞がれ、通行禁止となっている。崩落が激しく、一般装備で通れるような状態ではないようだ。井川峠の下山道も同じように塞がれていた場合のことを考えると不安が募る。そのときは、山伏まで戻らないといけない。

笹山では、南側のガスがようやく晴れ、井川湖を見下ろすことができた。ここで軽い昼食を取って、先に進む。

焦っていたせいか、誤って林道に下りる道を進んでしまう。戻るのは面倒なので、林道経由で井川峠に向かうことにする。林道には勢いよく湧き出る水場があり、ありがたく頂く。とてもうまい。道を間違ってよかった。

林道から井川峠に登り返す。嬉しいことに井川峠からの下山道は、塞がれていなかった。崩壊が進んでいるので注意しろ、といった警告文も張られていない。あるのは山蛭に注意という警告のみだ。

これで少し安心したが、登山地図には、トラバースに注意しろと書かれており、迷マークもあるので、まだまだ気が抜けない。

井川峠からは巻き道を進みながら高度を下げていく。下には沢が流れている。この巻き道は、かなり危険だ。山の斜面は急で、足を滑らすと沢まで落ちてしまう。高さは10mほどだが、沢には石がごろごろしているので、無傷では済まないだろう。巻き道は埋まりつつあり、細くて歩き辛い。

ここで、一度沢まで下りる。何度か徒渉するが、ここはピンクテープが多数あり、道を失うことはない。

そこからもう一度、斜面を登り、巻き道を進むが、ここは更に危険だ。今度は、下の沢まで20〜30mほどの高さがあり、道の埋もれ方も増している。斜面がどんどん崩れてきているようだ。酷い所にはロープが張られている。ロープにしがみついて、通り抜ける。
その後、道が尾根に乗り、ようやく滑落の恐怖から解放された。

尾根を登っていくと、深沢山への分岐となる。ルートから5分ほどで山頂に行けるようなので、行くことにする。
深沢山の南西側は、崩落していてこれまた怖い。山頂で、しばらく休憩する。やはりガスのため展望はない。

ここから一服峠までは、尾根を下るだけなので、分かりやすい。
一服峠で道が二手に分かれる。一般的なのは、大きく遠回りするコースだが、ダイレクトに孫佐島に下りる道があるようなので、そちらを進む。

道が急に細くなるが、地形図を見ると、尾根をひたすら北東に向かって下るだけなので、迷うことは無さそうだ。
しかし、赤テープを拾って進んで下ると、北に向かっていて、尾根に乗っていない。斜面は非常に急で、登り返すのは大変なので、不安になるが、赤テープは続いていて、細いながらも踏み跡がある。
しばらく下ると、踏み跡が直角に右折して、尾根に向かったため、安心する。尾根に乗ってからは、道がしっかりして、道路まで下りることができた。

車道を進み、梅ヶ島キャンプ場まで行く。ここは、オートキャンプ場のようなところだが、非常に安い。テント持ち込みであれば、300円だ(ただし、事前予約が必要)。

キャンプ場は、GWにもかかわらず閑散としている。1人用テントであれば、200張くらい張れそうなテントスペースに4組の家族だけだ。皆さんのテントは、オートキャンプ用の巨大テントで、快適そうだ。

今日は精神的にも疲れたため、すぐにテントを張って昼寝をした。周りで小さな子供たちの遊ぶ声がするというのは、山の上のテント場では無いことなので新鮮だ。

■3日目
朝4時に出発する。真っ暗な中、安倍川にかかる吊橋を渡る。

今日は、十枚山を越えて内船駅まで歩く予定だ。25kmほどの道のりだが、山道は7kmほどで、残りは車道歩きだ。

十枚山の登山口を間違え、少し手前から取り付いてしまい、時間をロスする。地形図の点線は、実際の登山口と違うところに描かれているようだ。
実際の登山口は、舗装道路から未舗装の林道になってから、100mほど進んだところにある。

ここから900mほどの登りとなる。すぐに直登ルートとトラバースルートの2つに分かれるが、迷わず直登ルートを進む。
樹林帯の急坂を黙々と登りつめる。辛いが、別のことを考えながら登ると案外短く感じるものだ。

7時45分、十枚山山頂に到着する。もちろん誰もいない。
山頂は、平らでテント10張は可能なスペースがある。

日差しが暖かかく、しばらく誰も上がってこなそうな感じだったので、ここでシートを敷いてしばらく寝転がることにする。
昨日登った山伏がかすかに見える。他は雲で見えず。

40分ほど寝ていたが、空が雲に覆われ寒くなったため、下山することにする。
下山道は、尾根を忠実に下るだけで、迷いそうな所はなかった。

未舗装の林道に下りてからは、くねくねと方向を変えながら進む。途中から川が寄り添い、単調な林道歩きに、川を覗き込みながら歩く楽しみが加わる。

十枚山登山口のバス停まで来た。今日は平日ということで、バスも運行しているが、内船駅まで6、7kmほどなので、歩くことにする。のどかな田畑の間を歩くのは楽しい。

2泊3日の山行の最後は、内船駅の近くの「なんぶの湯」に立ち寄って、疲れを癒した。

今回も、とても幸せな山旅だった。山に登ることが出来るのは、本当に恵まれていると思う。

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