奥鬼怒の山中に双龍を見よ(三沢大滝(仮称))
- GPS
- 10:04
- 距離
- 14.1km
- 登り
- 1,648m
- 下り
- 1,628m
コースタイム
(全行程14.3km/10時間5分)※滝前などでGPSがぶれているため実際にはもっと短い
天候 | 晴れときどき曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
黒部ダムを越え、開運橋をとおり上栗山集落内の林道を終端まで詰める。駐車は林道突き当たりに2台程度。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・基本的にバリエーションルートです。全体にがけ崩れや土砂崩れも多く、慎重な行動が必要です。 ・三沢左岸のトラバースルートは崩落箇所や小さな沢が多く危険箇所を含みます。 ・三沢の水深は浅く、滝も小規模なものがほとんどですがひざ下程度の渡渉が必要となる箇所もあります。 ・沢のいたるところに渓流釣りの痕跡があります。お互い配慮が必要と思います。 ・今回、利用しませんでしたが『開運の湯』という共同浴場が上栗山の集落にあり、たいへんアットホームな雰囲気で好評のようです。 上栗山温泉 開運の湯 料金/500円 住所/栃木県日光市上栗山179-31 電話/0288-97-1952 時間/09:00〜17:00 休み/不定休 |
写真
感想
鬼怒川の奥、女峰山の北には無名ながら他を圧する二条の滝があり、双龍と呼ぶ人もいるそうです。無名である(公式な記録上に名前が確認できない)ことから沢の名前をとり「三沢大滝(仮称)」と呼ばれる滝、しかしその行程は長く滝を目指すものの気力と体力を奪い去ってゆくとか。果たしてたどり着くことはできるのでしょうか?
仕事が急に増え忙しかったのが、これまた急に解消し「それなら」ということで決行となった今回の山行き。不規則な生活が続いていたので、なるべく睡眠時間を増やしたかったのですが結局眠いまま4時に集合、高速道路を進みます。
普段はほとんど利用しない東北道。時間も早く、地震以降の諸々もあってか車もそれほど多くない様子です。大谷石で有名な大谷PAで休憩し、鬼怒川温泉街を抜け、川俣温泉への細い道を進みます。目標の林道の終端にはすでに車が一台。先客といえば(滝マニアでなければ)釣り客さんでしょう。沢筋を歩くときは少し注意が必要そうです。
今回のルートでは、最初こそ斜面のトラバースルートを歩きますが、後半の半分以上は沢を歩く予定でしたので沢靴にしました。水は行程の長さを考え1.8l。ウェアは着たきりスズメのファイントラック装備です。
薄暗いトラバースルートに入ると、最初こそ明瞭だった踏み跡も所々で途切れ、細かな流れをまたぐ部分では高度感もありなかなかヒヤヒヤします。ザレたルンゼを数回わたり、これまたザレザレの土砂崩れ跡を越えます。各ルンゼや土砂崩れの先のルートも不明瞭で、通りやすい広い斜面でツツジなどを眺めつつ1.5kmほど進んだところで、川の様子が伺える地点に出ました。行く手の斜面はかなり高い位置まで崖になっていて、高さが足りない様子です。
少し悩みましたが、少々回り込めば安全に沢に降りられそうなルートをmiyasan3が発見、沢へ降りることにしました。川原は広く、流れまでの間はガレガレの尖った岩が山積みになっています。ボコボコと立方形に出っ張った崖が20mほど上に見えます。どうやら現在進行形でガレガレを生産中のようなので、急いで下を通り抜けます。
ボコボコの崩壊地を抜けると4番目の堰堤が見えてきました。下水面からの高さは1mほどと低いので、積まれた石組みを使ってらくらくクリアします。沢は広く、周囲の石の大きさは大きめですが、水深が浅いので気持ちのよい沢歩きができます。
堰堤かと思うような4mほどの垂直の滝などを眺め、しばらく行くと今度は10mほどありそうな本物の堰堤が。おそらく最後の堰堤だと思うのですが名称が三の沢第二コンクリート堰堤とかなんとか。うーん第二?
右岸の巻き道も考えましたが、堰堤の左側付け根にトンネル状の縦穴を見つけ、そこをくぐり抜けました。
徐々に小段瀑などが連続で見れるようになってきて、沢の雰囲気がよくなってきたな、と思ったところで行く手の大きな淵に人の影が。おお、釣り客さんです!
無用の接触は回避したいところなので、右岸側の樹林帯の中を大きめに巻くことにします。淵の上にやや回り込んだことを確認したところで目があったので、お互い軽く目礼。
明るく、がけ崩れの多い沢をひたすら歩きます。水深は浅いのでザブザブとはいってもスネまでというところが多いのですが、結構登り調子になりつつあり、思うように進めない部分もでてきました。
堰堤から1時間ほど歩き続け、ようやくチェックポイントと考えていた左岸の大崩壊地が見えてきました。3時間かけて4キロほどを進んできた計算です。巨大な岸壁を眺めつつ進んでいると沢の真ん中にまるで鉢植えのような4〜5mほどの高さの巨岩が転がっています。岩なのですが上面には土が堆積しているらしく、三色のツツジが群れ咲きとても鮮やかです!いい目印なので、勝手に盆栽岩と命名、そろそろ大きく方向が変わるのでコンパスを確認し南南西へとセットしなおします。
沢が曲がるごとに、削られた崖が現れ、登りがドンドンきつくなってきました。川原の岩が大きくなり周囲は1m以上のものがほとんどになってきます。と、釣りゴミ?が非常に多くなってきました。筌とかペットボトル製のモンドリとか四ツ手網の破れたものやらが大量に川原の落ち葉の上に転がったり、樹林帯の岩に挟まったりしています。釣り券では筌や網は使わせてくれないと思うので(参考:http://blog.goo.ne.jp/ojika-kinu/e/ac93cd97955eda7d168f5df3dedadd30)、地元の方が使用されてたものなのでしょうか、、?
岩をヨジヨジ登る様になり始めたところで、左岸に支流が見えてきました。岩に加え倒木も多くなってきます。周りに生えているのはシラカバですが倒木は肌色のダケカンバが多いようです。かなり上流から流されてきたのでしょうか?
左岸に2本目の支流が現れ、堆積した岩と倒木と土砂崩れを越えます。のぼりはますますキツク、岩をヨジヨジゼェゼェ。miyasan3もかなり疲れてきた模様で残りの距離を確認する頻度が高くなってきました。岩を越え水を渡り、としているうちにまたも先に二股が見えてきました。直進気味の左が細く、迷いましたがコンパスと水量から右と判断します。
二股を越え、30分以上登ってきましたが、まだ滝の気配がありません。地図上に見落とした支流がないか不安になってきます。それなりに鋭角に交わるのは右岸の支流だと再確認して進みます。行く手が高く狭まってきましたが岩はますます大きく、倒木、巨岩のオンパレード。ほとんど機械的に岩を乗り越え乗り越えしていくと、目前の2mほどの石積みを乗り越えたmiyasan3が何かいってます。
こちらも岩を登り越すと、100mほど見通せる傾斜のゆるい川原の奥に滝が見えます!しかも、話に聞いていたよりも大きい!70mくらいはありそうです!
幅20mほどの広い川原が漏斗のように急速に狭まった先に二条の流れが見え隠れしています。緩やかな滝前の川原は春の様相で、まだ葉も出掛かりのものが多いようです。わずかながら雪も残っていました。
あっという間に滝前に見えなくなった写真班をゆっくりと追いつつ、パチリパチリと写真を撮ります。漏斗の細くなった部分には小さな滝と淵があり、左岸は丘状になっていますが高低差が大きそうなので、スレートのような薄い岩の転がる右岸側から近づきます。
両岸が急速に狭まっているため、二本の滝の全部がどちらも見える位置はごく限られているようです。滝下の層はどちらも5ブロックくらいからなり、10,7,13,10,10として50くらいでしょうか?もう少し大きい気もするのですが。
右岸から近づくも、のしかかってくるような2重のハングによってものすごい圧迫感があります。右の滝は左よりやや高めのように思えます。下からではよくわかりませんが5m〜10mくらい違うでしょうか?
漏斗の先端に当たる場所では冷え切ったしぶきが充満しており、滝つぼに近寄ろうとしたものの寒さのあまり断念しました。どんどん体が冷えてゆくので、写真班の撮影が終わるのを待って、広い川原部分まで戻り昼食にします。ただのおにぎりですが、うまい!最後の登りなどで気力が減っていた分、心にしみます!
小さな花を咲かせていたワサビや木の根のオブジェを観察し、帰り支度です。
行きに通った川原をひたすら降ります。樹林帯があれば、土がたまって歩きやすいことが多いので、なるべくそういう部分を狙って歩きます。川底も浅いのでなるべく巻かずに川にザブザブ入ってゆきますが、遠い。。おにぎりで補給された気力もザブザブと減ってゆきます。
ようやく、という思いで盆栽岩まで戻ってきました。ほんの2kmを一時間半もかけて歩いてきた計算です。行きも一時間四十分ほどかかっていますが、まだ三分の二ぐらい残っています。日もやや傾きだし、少しいそぎ足になります。さらに一時間以上歩いて堰堤がやっと見えてきました。登りで苦労した縦穴を案外あっさり降り、下流から四番目の堰堤も下り、行きで沢に下りたあたりに差し掛かりました。
ん?miyasan3が崖の方へ、、あらら?来た道で戻るの、、、?
、、、、、、まあいいか。川原にも飽きたことですし。
と思ったのもつかの間。
ぎゃー!
行きには何とか通れた、ルンゼや土砂崩れが怖い!疲れた足がズルズルと滑り、ますます斜面に体が近づき、また滑り、と悪循環におちいってなけなしの気力が奪い取られてゆきます。それでも何とかトラバースルートを進み、肉体的にも精神的にも疲労困憊で林道奥の駐車場所に帰り着きました。
20km以上歩いた角間渓谷からの湯の丸山よりも疲れました。。
・ルートの予習が足りず、もう少し良いルートを検討しておいてもよかったと(今回も)反省しました。
・帰りの沢歩きでは、多めに時間を見積もっていたこともあり行動時間の余裕はあったのですが、体力が足りませんでした。結果的に体力のなさが気力の低下も招いていたように思います。
・体力的に余裕があった行きの段階では、基本的にmiyasan3にルートをまかせきりでしたが、これまでの山行きで選択眼が磨かれていたのか的確なルートどりで安心できました。
コメント
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初めまして
三沢大滝(仮)は行程が長いけどそれに見合う感動がありますね
私も初めて行った時は沢通しで行きました
今は尾根道からのルートもありますが
(滝仲間の雪田爺さんがよく使っています)
いずれにしても長い行程ですね。。。
今じゃ滝業界(?)じゃメジャーになりましたが
「双龍」の言いだしっぺはたぶん私です
oyakataさん、はじめまして。といってもレコを参考にさせていただいたり、滝業界のソコココでお名前はかねがね伺ってました
尾根道もあるんですね!帰ってから何パターンかルートを引きなおしたのですが、ともかく長い行程で。。
でも本当にそれだけの甲斐のある空間でした!
そして双龍の名付け親でらしたとは!表(?)の雲竜瀑との対比や、漂うロマン臭にひきつけられレコタイトルに使ってしまいました。
コメントいただきありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
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