五十沢川下ノ滝沢から巻機山
- GPS
- 32:00
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 1,660m
- 下り
- 1,546m
コースタイム
※五十沢キャンプ場からみやて小屋までの車道は夜間ゲート施錠
8/27:C1発(6:00)→上部ゴルジュ帯抜口の大滝上(8:30)→超絶大スラブ→大スラブ抜け口12m滝(9:30)→巻機山頂上・1967m(12:30〜13:00)→小屋→井戸尾根→桜坂駐車場(16:00)
天候 | いずれも曇り時々晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
すでに還暦となった上越のスラブ王(沼田の会社役員)と巻機山でもなかなか行けない沢、北面超絶スラブを擁する下ノ滝沢へ。ここにきてようやく今期の沢初め。
アプローチは五十沢本流の取水口まで左岸の山腹を削るようにして続く「遊歩道」から。途中幾つかの支沢を跨ぎながら延々とトラバースする絶妙な山道だ。眼下の本流ゴルジュは最近キャニオニングも盛んらしい。遊歩道から取水口へ至ると堤体ブロックの上を1.5mくらいジャンプしなければ対岸へ渡れない。このところの雨で増水した沢は、烏龍茶のように濁っている。落ちたら大変だ。ここでスラブ王の「泣き」が入る。なんとか対岸へ渡ったものの、そこから先の夏道は様相が一変し、狂ったかのように急登を強いる。鎖と虎ロープが頼りだ。日中の照りつける太陽に記憶が飛びそうになった頃、本流(四合目渡渉点)に降り立った。ようやく遡行開始。
下流へ少し戻って下ノ滝沢出合から巨岩雑じりのゴーロ状。所々滝が出てくる。下部ゴルジュ帯の入口は2段20mの滝となり、その先も登れそうもない。右岸のブッシュから捲きはじめる。しばらくはゴルジュ内部の様子を覗きながら地形の変換点付近をウジウジと捲いていく。が、濃い笹薮のトラバースが老体に堪える。ここでもスラブ王の「泣き」が入った。隙あらばいつでも水線に戻る気構えで行くが、実際に登れそうな滝は少ない。それはこの沢全体の特徴でもある。要するにストレスが溜まる沢なのだ。
下部ゴルジュの中間からは、いったん函状が途切れ、沢底まで降りることができた。そこから後半部分は勇んで水際近くのラインを求めていく。匍匐前進の後、右岸の立ったところを1p直上する連釜、減水していたら突破できそうなプール滝、などいろいろ出てくる。下部ゴルジュ帯を抜け、今宵はCo1050m付近の明るい雰囲気のゴーロ帯にタープで泊まる。沢筋から遠く五日町の田園地帯と八海山が望める天場。久しぶりに星空を眺めて横になったが、明け方は冷えた。
翌朝、天場からしばらくはゴーロとナメが断続し、上部ゴルジュ帯へ突入していく。入口は12mのトイ状滝。再び右岸から捲きはじめる。捲きの方針は昨日と同じだったが、結局のところ上部ゴルジュ帯は大滝の中段まで延々と捲くことになった。100m級の大滝は何段かに分かれていて、上部40mの中段近くまで右岸草付きスラブをトラバースして近付くことができた。そこから大滝抜け口へのラインを探す。遠くから見れば登れそうもない大滝であったが、近くまで来てみると落ち口ひょんぐり横の浅い凹角沿いに唯一の弱点が見える。このあたりで落ちたら大変な事になるので、ザイルは出していく。大滝の落ち口に出る最後のひと跨ぎに勇気が出ず、そのまま水線横のコーナーを直上した。核心部には古くない残置ハーケンが1枚打ってあった。
大滝登攀の後は三俣となり、右の40mナメ滝を左岸水際から越える。再び沢が左へ曲がればいよいよ超絶大スラブ帯に突入。巻機山の中でも一番広大らしいスラブのナメをなめ尽す。ここまで来てこのような光景を目の当たりにすれば、これまでの苦労やストレスが一気に霧散する、と先人達は言う。今回そのような感慨は湧かなかったが、気持ちの良い所であることは間違いない。
スラブどん詰まりの12m滝は右岸から越える。そこから先はしばらくナメ滝ナメ床が続くがいきなりぬるぬるになってゴム底のフリクションが利かなくなってペースが落ちる。雪渓は上部3、4カ所残っており、いずれも上に乗って通過。最後の三俣は直接巻機山の最高点に向かう沢筋を選ぶが、結局は頂上付近で一番藪の濃いラインだったことが分かる。源頭部は右へ右へと詰めた方が藪漕ぎナシで縦走路に出られて楽だし、時間も早い。我々が採った沢筋には直登できない8mの滝もあり、左岸の急なガレと草付き泥壁にザイル1p出した。
巻機山の頂上からは避難小屋を経由して井戸尾根を下る。米子沢の源頭は北面とは違い、明るく牧歌的な流れだ。その米子沢を登ってきたgankoyaさん達5人と小屋で合流し、一緒になって夏道を下る。下山の桜坂駐車場からはコーラ1本で反対側の登り口まで車で送ってもった。gankoyaさんありがとう。
下ノ滝沢はウジウジとした下部ゴルジュ帯の捲きで始まり、中間の大滝登攀、フィナーレは極上のナメ歩き、と色々な要素が出てきて玄人好みの沢でした。
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