栂海新道〜新雪の北アから海へ。北又小屋ー親不知駅
- GPS
- 54:18
- 距離
- 38.4km
- 登り
- 3,112m
- 下り
- 3,745m
コースタイム
- 山行
- 5:03
- 休憩
- 0:11
- 合計
- 5:14
- 山行
- 8:48
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 10:07
- 山行
- 8:42
- 休憩
- 1:46
- 合計
- 10:28
天候 | 10/20 雨 2000m 3℃ 稜線は雪 https://tenki.jp/past/2018/10/20/chart/ 10/21 快晴 05:30 2000mで-3℃ https://tenki.jp/past/2018/10/21/chart/ 10/22 快晴 05:30 1600mで8℃ https://tenki.jp/past/2018/10/22/chart/ 朝の冷え込みが強いです。日中は晴れれば長袖シャツ1枚で十分なくらい |
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過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
--- えちごトキめき鉄道 親不知駅15:14 - 糸魚川駅15:26 |
コース状況/ 危険箇所等 |
□アプローチ ・北又小屋 … 10/31までタクシー通行可 黒東タクシー 0765-83-1166 ・蓮華温泉 … ヒワ平ゲートで冬期閉鎖 ・坂田峠 … 10/23より全面通行止 http://www.city.itoigawa.lg.jp/item/21803.htm ・ニ本松峠ー尻高山間の車道 … 通行可 ・栂池高原ゴンドラ … 10/31まで運行 □宿泊 ・北又小屋 … 営業終了 ・朝日小屋 … 営業終了。冬季小屋なし ・蓮華温泉 … 営業終了 ・栂海山荘 … 利用可。テントは1張1000円。屋内の協力金箱へ ・白鳥避難小屋 … 利用可 ・白馬大池山荘、白馬山荘 … 営業終了 □水場 ・北又小屋 … 水道利用可 ・イブリ尾根五合目 … 未確認 ・朝日平 … 小屋閉め後でテント場に水場なし(水道使えません) ・朝日小屋水源の沢 … 水平道から僅かに下ると細い水流あり ・黒岩平 … 水流あり。どこも水量豊富 ・北又の水場 … 未確認 ・黄蓮の水場 … 水流あり。往復10分で水量豊富 ・シキ割 … 塩ビ管から水流あり □登山道 ・北又小屋〜朝日平 吊橋は通年利用可。コースも夏と同様で歩きやすいです。 ・朝日平〜朝日岳〜長栂山〜アヤメ平 アイスバーン(岩肌や木道の表面にべったり張る氷)が多く対策必須。 ・栂海新道 通行に支障なし。落ち葉の量が多く転倒注意。人影なく熊鈴必携 ・尻高山〜入道山 スズメバチに3回追われました。泣 □積雪、紅葉(10/22時点) ・入山日の10/20に標高2000m以上で降雪し朝日岳頂上で2 - 3cm程度の積雪、白馬連峰は真っ白に雪化粧しました。 ・長栂山は雪、アヤメ平は枯野 ・黒岩平は落葉寸前の紅葉 ・犬ヶ岳の紅葉は見頃〜散り始め ・黄蓮の水場のブナ黄葉は散り始め〜落葉 ・白鳥山がちょうど紅葉見頃 ・尻高山付近のブナ林の黄葉は始まりそう |
その他周辺情報 | 親不知下山口の観光ホテルに、日帰り入浴+駅への送迎付きパッケージがあるとのこと(地元の方から聞きました) |
写真
感想
曇った秋の朝。電車の終点、泊駅で降りると予約のタクシーが待機していました。運転手に聞くと北又へ客を乗せるのは10月初め以来とのこと。谷から霧が湧く中、車は峠を越え約1時間かかって北又小屋に到着しました。
既に山域の山小屋は全て営業終了し、一般車も入れないので静寂そのもの。仕度をしていると車列の音が聴こえ、数台が次々と駐車してびっくり。草刈り機を持って現れた山男は北又小屋のご主人。元気に挨拶を交わして吊橋に向かいました。
1日目の行程は朝日小屋の建つ朝日平まで。最初は猿の親子と出会ったりしてほのぼのムードでしたが、五合目に着く前から雨がザーザー降り出しました。本降りがずっと続きGORE-TEXのアウターもぐっしょり。雪が薄っすら残る夕日ヶ原では全体が沢になってしまい登山靴も水没し、氷水のような冷たさに凍える始末。朝日平へ急いで行ってテントを設営し、防水袋からシュラフを引っ張り出して包まりました。
暗くなってきた夕方5時。この季節の日没は本当にあっという間。ヘッデンを着けて料理分の水を汲みに出かけます。テント場の水道は蛇口が外されて使えないので、西斜面の水平道へと続く導水管をたどって水源の沢を目指しました。すると正面の白馬連峰を覆うガスに動きが。まるで波が引くようなスピードで雲が取れてゆき、
「うわーーー」
と1人歓声。登りの間中ずっと降り続いたあの雨、白馬岳では完全に雪だったんだ。月の光を反射する新雪の白馬、ヒマラヤのような凄い存在感がありました。明日の栂海新道を雪倉岳に変えようかと一瞬考えたものの、蓮華温泉は冬季閉鎖され稜線の積雪深も未知数。雪倉は春スキーで目指すとして、やっぱり当初の栂海新道に入ろう、と決めました。
冷え切った快晴の翌朝。テントのフライシートなどバリバリに凍り付いて圧縮袋に入らず、別袋でザックに外付け。昨日の浸水のせいで凍って木靴と化した登山靴に無理やり足をねじ込み、滑り止めの縄チェーンを履かせて出発。木道は最初氷の滑り台でしたが、少し登ると5cmほど新雪が積もり楽になります。朝日岳頂上はもちろん貸し切りで、白馬連峰も一望できました。
のんびり歩いていくと、長栂山周辺でコメツガの森が雪景色となりメルヘンチックな雰囲気に。照葉の池も凍結し、雪山と白い森に囲まれていました。アヤメ平まで下ると雪は消えて枯野になりましたが、黄金色の草原に焼山〜火打が浮かぶ爽やかな光景。再び樹林帯に入り少し下ると、突然パッと開けて黒岩平が見下ろせます。
なんと!
紅葉見ごろ、、、とは言い難いのですが、落葉にはギリギリ間に合った感じ。ナナカマドなどの赤く紅葉した低木が黄色い草紅葉の湿原に散らばり、密集したエリアは芝桜の島のよう。北ア最後の楽園とは聞きましたが、その様相はまさに天然の紅葉庭園でした。清流が何本も流れていて、どれも美味しい。プラティパスもここで満たしました。
黒岩山の頂上は展望があり、下ってきた巨大ドーム型の長栂山と、これから歩く細い稜線が犬ヶ岳まで連なっていました。サワガニ山までは大きなアップダウンはなく、頂上でゆっくりランチ。北又の水場からは今日最後の犬ヶ岳への登り。これが偽ピークの連続で結構険しく、4峰目にしてようやく現れた頂上はアルペンムードが漂い、標高1600でも流石は北アの主稜線だと思いました。犬猫よりはマシな山名が付いても良いのでは、と思います。笑
栂海山荘は建屋の前に芝生のような草地があり、ドアにテント1張1000円と記載されていました。冬季の情報が見つからず中は入れないかもと思って正面玄関に手をかけると、ガラッと開きました。営業小屋のように綺麗で飾り付けもされ、管理人の部屋まであったのには驚き。過去見た避難小屋の中では東北の飯豊本山のそれに似ていて、役割的に近いものと思われます。テントの草地もフカフカ、傾斜もなく快適でした。
夕方、テント設営を終えて犬ヶ岳の頂上に戻るとまた「ウワッ」と感動。あたり一面、雲海が広がる中での日没を迎えました。朝日岳も全体を現し、足元の尾根を見下ろすと滝雲が流れ、雲海の切れ目からは日本海沿岸の街の灯りがチラチラ見えていました。
最終日。前夜の凍える寒さとはうって変わって暖かい朝を迎え、午前4時半に予定通り行動開始。ヘッデンを消灯したのは5時半で、冬至に近づいているのを実感。黄蓮の水場が近づくと下から人の声が。白鳥小屋泊で犬ヶ岳を往復される方で、長栂山で昨朝トレイルランナーとスライドして以来、ようやく山行中2人目との遭遇でした。その後は犬ヶ岳日帰りの方々と数回すれ違い、ブナの樹間からは日本海の海岸線も見えてきます。ついに人里か。まだ2日しか経っていないのに、1週間くらい山に籠ったかのような錯覚を覚えました。
白鳥山では親切な方に坂田峠から車同乗のお誘いをいただくも、此処まで来たら日本海まで頑張ろうと思い先へ。尻高山ではスズメバチに追われて走り、よし逃げ切ったと思ったら次のハチが寄ってきて全力疾走。気が付くとコースタイムを50分短縮し、15時の電車に間に合うことが分かり、タクシーに電話しようとするも、微弱電波が拾えずいつの間にか下山。迎車には1時間かかると云われ、電車を逃すと帰宅が倍に遅れるため駅まで徒歩を決行したのでした。親不知はむかし命を落とす難所だったと言われていますが、歩行者にとっては今も昔も難所であることに変わりはないです。
月曜日の18時。駅に降り立つと定時に仕事を終えたスーツ姿の人々で溢れかえっていました。電車を前に並ぶ行列。大型ザックを担いだ山男に集まる冷ややかな目線。そしてドアが開き、押し込まれると同時にのしかかる重圧。。
人や仕事の波に飲み込まれ、日々の記憶も消化されるかのように流れ去っていくこの頃。せめて私にとって大切な山行の記憶を心に留めておこうと、今日も帰宅するとヤマレコを開いてキーボードを叩き出すのでした。
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