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Yamareco

記録ID: 163463
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無雪期ピークハント/縦走
八ヶ岳・蓼科

八ヶ岳・編笠山(富士見高原から往復)

1978年08月09日(水) [日帰り]
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tanno1967 その他2人
GPS
--:--
距離
12.7km
登り
1,246m
下り
1,230m

コースタイム

富士見高原保健休養地――不動清水――編笠山――不動清水――富士見高原保健休養地
天候 晴れ
アクセス
コース状況/
危険箇所等
別荘地から標高1530mの不動清水までは1時間ほど林道を歩いた。

冷たくおいしい水が滾々と湧く不動清水からは、深い針葉樹林の中をひたすら上った。それほど歩く人が多くなく、割合と踏まれていない道だったと思うが、ところどころ指導標はあった。暗い針葉樹林はやがて樹高の低い林に代わり、最後の200-300mは大岩の積み重なった登りとなった。不動清水から頂上まで、4時間近くかけて登ったと思う。

下りは往路を戻ったが、降りてきて飲んだ不動清水のおいしかったことは今もって忘れられない。

感想

小学校の時両親と登った八ヶ岳・編笠山の記録です。

この頃、伯父の別荘が富士見高原にあり、夏休みに利用させてもらって二、三日泊まりに行くのが毎年の楽しみでした。

まだ家庭にエアコンが普及する途上の時代で、我が家を含め、多くの家庭では、夏には長野の高原かどこかの海岸にでも行かなければ涼しさの得られない時代でした。三菱の家庭用エアコンが今でも「霧ヶ峰」シリーズなのは、その名残なのでしょう。

我が家には車はなかったので、ボストンバッグやリュックに荷物を詰め、新宿から中央線に乗っていきました。それもたいがい各駅停車で、冷房のない列車なので、四人掛けの向かい合わせの席を家族で占領して、窓を開け放して行くのです。

高尾を過ぎて山に入っていくと、泊まる駅ごとに「沿線案内」の看板があり、「OX駅 標高三百四十一米、名所: OX山 千百五十七米 北4粁」などという表示が出てきます。夏場のことで、たいてい沿線の山々の上の方は雲に覆われていたりすることが多かったのですが、駅の標高や沿線の山々が段々高くなってくると、いかにも遠い場所に来た、という感じがしたものです。なんとワクワク感と神秘に満ちた旅行だったことでしょう。

酷暑の甲府盆地を抜け、釜無川沿いの上り勾配を上がりきると爽やかな高原の別世界が広がります。標高956ⅿの富士見駅に着くと食料の買い出しです。別荘地といっても、カラマツやシラカバの樹林の中にログハウスがあるばかりで、周囲に店など全くないので、富士見駅近くのスーパーで三日分の食料を仕入れ、日に何本かしかないバスに乗っていくのです。

コンピューターゲームやインターネットは勿論、テレビも電話も何もないので、やることといえば周囲の散歩、夜のバーベキューの準備や虫取り、キノコ探し、それに夜の花火くらいのものでした。しかし、自然以外に何もない、その環境こそ今考えれば一番の贅沢でした。

別荘地を早立ちして、朝のすがすがしい空気の中、林道を歩いて不動清水の湧水が湧く登山口に達し、そこからはツガやモミの鬱蒼とした樹林をただひたすらに上りました。途中、下界では考えられないほどお腹がすいて、スーパーで買っておいた安っぽいチョコパンを食べたのがおいしかったこと!

森林限界を超えて高山帯に出たのもこの時が初めてで、長い針葉樹林の登りの果てに次第に低木帯に入り、ついには森林限界を超えたときは本当に感動しました。私が本当に山が好きになったのはこの日の登山がきっかけでした。降りてきたときの不動清水のおいしさもまた忘れられない思い出です。

編笠山の頂上付近は大岩が積み重なったようになっています。私は長いこと、山頂にあった火口から噴出された噴石が堆積した位に思っていましたが、編笠山は火山の形をしていても火口はありません。恐らくは、山頂部分はおそらく中程度の粘度を持った溶岩の流出によって溶岩の帽子をかぶったような状態になり、それが風化によって割れて多数の岩に分かれたような様相を呈しているのだと推測しています。

ネットで調べたところによると、編笠山の頂上部は現在は崩壊が進んだ南八ヶ岳火山の頂上部(権現岳―赤岳―硫黄岳)西側に噴出したいくつかある溶岩円頂丘の一つで、北側の美濃戸中山や峰の松目と同類だ、ということのようです。
http://www.kubota.co.jp/urban/pdf/33/pdf/33_1_1.pdf

南八ヶ岳で最も人気があるのは比較的楽な美濃戸口からのコースでしょうが、裾野の高原から深い針葉樹林を通って高山帯に出れば、稜線に出たときの感動もひとしおです。富士見高原から編笠山のルートがよいかどうかはともかく、八ヶ岳をよく味わいたい方には、天女山から権現岳へのルートや、観音平から編笠山など、長い登りが続くコースもお勧めです。

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