美しくも厳しい冬の赤岳
- GPS
- 27:10
- 距離
- 18.6km
- 上り
- 1,540m
- 下り
- 1,539m
コースタイム
美濃戸口9:30-10:08美濃戸-南沢-12:08行者小屋12:30-地蔵尾根-13:58赤岳天望荘
二日目
赤岳天望荘7:30過ぎ(多分)-赤岳山頂-文三郎道-10:14赤岳鉱泉10:50-北沢-12:26美濃戸口
天候 | 一日目:快晴 二日目:曇りのち快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・美濃戸口から美濃戸:凍結してます。アイゼン必須と思います。 ・美濃戸から南沢を経て行者小屋:特に問題ありません。アイゼンつけたまま行きました。 ・行者小屋から地蔵の頭、赤岳天望荘:ナイフリッジは慎重に。あとは特に問題ありません。 ・赤岳天望荘から赤岳山頂:特に問題ありません。 ・赤岳山頂から文三郎道を経て行者小屋:山頂直下の岩場は慎重に。あとは特に問題ありません。 ・行者小屋から赤岳鉱泉、北沢を経て美濃戸:赤岳鉱泉でアイゼン外しましたが、美濃戸近くのショートカットが凍結していたので、再び装着しました。 ・美濃戸から美濃戸口:下りは特にアイゼン必須と思います。 この二日間で通った道には、すべてトレースがありました。 赤岳鉱泉のブログに最新情報が色々と出ています。 |
写真
感想
週末に冬型の気圧配置が緩むという予報を得て、これは赤岳チャレンジの絶好のチャンスでは?と思い、厳冬期オープンの赤岳天望荘で夕焼けと朝焼けを見よう!と早速予約。
毎日天気予報を気にしながら、その日を待ちました。
ところが、いざ行くと決めると不安が次々とよぎります。
昨年末にはなかったナイフリッジとやらができているらしい。滑落したらどうする?
厳冬期の寒さに耐えられる装備になっているか?ホワイトアウトになったら?道に迷ったらどうするの?
数え上げればきりがありません。
しかし、不安に思うならむしろ行くしかないでしょう!そうでないと、自分の心の弱さに負けたことになりますから。
というわけで、前日同僚に教えてもらったガーミンのGPSニューモデルをお守りがわりに慌てて買い込み、行ってまいりました。
各駅停車で茅野駅に向かう道中、晴れ渡る空、雲ひとつない南アルプスが見えてきて心が踊ります。
八ヶ岳はと言うと、少し雲がかかっているものの、なかなかいい感じです。
美濃戸口に着いた頃には、青空が広がり風もありませんでした。
美濃戸口から美濃戸までの林道は凍結しており、始めからアイゼンを装着します。
気温が高く、アウターなしでもすぐに汗だくになってしまいました。
途中うれしい再会がありました。
昨年末の赤岳でお世話になったガイドさんです。
この日は雪上生活の講習とのこと。ちなみに赤岳鉱泉は予約客190名だそうです。
握手を交わして、先を急ぎます。
美濃戸からは北沢コースを行くつもりでしたが、南沢コースにもトレースがあったので、距離の短いこちらのコースを行きました。
行者小屋に近づいたあたりから、素晴らしい景色が見えはじめます。
行者小屋で一休みして昼食をとりましたが、周りの方々はみな満足そうな表情です。
近くで休んでいた青年が下山してきたところだと言うので、稜線の様子を聞いてみました。
風は大したことなく、風速15mぐらい、絶景でした〜とのこと。おお〜。
一方、不安なことも。
地蔵尾根の登りはアルパインっぽいですよ〜。文三郎道は山頂直下にちょっと嫌らしいところがありますとのこと。う〜む。でも、ナイフリッジにはトレースがついていると聞いてひと安心。
ふんどしの紐、じゃなかった、アイゼンの紐を締め直して、いざ出発です。
地蔵尾根は昨年末に下りで通っていますが、あまりにも様子が違うのでびっくり。
積雪が増えて傾斜が急になっていました。
登り甲斐のある楽しい傾斜でしたが、途中ふと下を見ると気持ち悪くなり、踵を返して帰ろうかと思ってしまいました。
いやいや、ここから帰る方がもっと大変じゃん。と気を取り直して登り続けます。
そして、いよいよ登場しましたよ〜。ナイフリッジです。一歩間違えれば即滑落ですね。
距離はほんの僅かなので、足下だけ見て、アイゼンを引っかけないよう慎重に通れば特に問題ないのですが、思い出すと怖くなります。高所恐怖症なもので。
稜線に出ると、絶景が広がっていました。
目指す赤岳天望荘はすぐそこ。その向こうに主峰赤岳が堂々とした勇姿を見せています。そして右手には真っ白な阿弥陀岳。
振り返ると、横岳がどんと構えています。
横岳から先の硫黄岳、西天狗岳、蓼科山まで全部見えます。
ああ、来てよかった〜。
赤岳天望荘に14時までに着いたら、赤岳山頂を往復するつもりでしたが、一旦暖かい小屋に入るとすっかりその気は失せ、まったりしたり、外に出て写真を撮ったりして過ごしました。
小屋の入り口で一服しながら横岳方面を見ていると、大人数のパーティーが地蔵尾根を登って来るのが見えてきました。
後から聞いたら、風の谷の山田さんのガイドパーティーということでした。
25名を引き連れて厳冬期の赤岳へ。凄いですね〜。
話は逸れますが、赤岳天望荘の階段には要注意です。
この日だけで、二名の方が滑落していました。
そのうち一人は私の目の前で、一回転して一番下まで落ちて行きました。
どこにも怪我がなかったようで何よりです。
食事のときやその後の談話室でまったりしながら、天望荘で出会った単独行の男性たちと色々話をさせてもらったのですが、皆さん凄いですね。
一人は硫黄岳から横岳を縦走して、赤岳山頂も往復してきたそうです。
もう一人は文三郎道から赤岳を経て天望荘に泊まり、翌日は横岳に向かうそうです。
地蔵尾根をを同じ時間帯に登ってきた青年は、翌日は赤岳に登ってから赤岳鉱泉に泊まり、硫黄岳から天狗岳に向かい、さらに一泊して北横岳まで行くそうです。いいな〜。
他にも色々な人と話をさせていただきましたが、単独で来ている初心者は自分ぐらいのもので、はて?自分にはここに来る資格があったのだろうかと思ってしまいました。
夜はあまりよく眠れませんでした。
そもそも山小屋で熟睡できたことはないのですが、この日は特に翌日の天候が気になっていました。
登山天気の予報では、八ヶ岳付近は高度3000mで風速25mでしたから。
夜明け前に起きて、外の様子を見ようと思い、小屋の扉を開けてみると…
ひょえ〜!一面ガスに覆われ、猛烈な風が吹き荒れているではないですか!
何も見えません。
翌日は前線を伴った低気圧がやって来るので停滞はあり得ないし、どうしよう…。
しばらくして朝食の時間になりましたか、緊張してなかなか喉を通りませんでした。
撤退するにしても、この強風下で地蔵尾根のナイフリッジを通過する自信がありません。
風の谷の山田さんに聞いてみると、やはり文三郎道の方が安全とのこと。
しかし、この強風でトレースが消えていたら、文三郎道も不安だな〜と思いましたが、風の谷のパーティが赤岳のピークを踏んで文三郎を降りるというので、後ろをついて行くことにしました。
黙ってついて行くのも何なので、山田さんに一言申し上げましたが、その後も下山中顔を会わせるたびに会釈してくれ、とても爽やかな方でした。
結果的にトレースは消えてなく、もう少し待てば晴れたのですが、先行者がいなければ本当に難儀しているところでした。この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。
強風の中、風の谷の皆さんに続いて出発!…するはずだったのですが、なかなか出発してくれず、寒くて仕方なかった(笑)。
写真を撮る心の余裕もなく黙々と登り、やがて山頂へ着くと、山田さんが握手を交わしてくれました。
鼻の下が凍傷になっていると言われ、慌ててバラクラバを引き上げ、ゴーグルを装着します。
眼鏡の曇り対策として、鼻と口は覆わないようにしていたのですが、寒さが限界だったようです。
バラクラバで鼻と口を覆っても、鼻だけで息をすれば眼鏡もゴーグルも曇らないことが分かったのですが、そうすると息苦しい。
口の部分に空気穴のついているバラクラバをしている人がいたので、今度調べてみようと思います。
また、アウターもこの日の気象条件では問題がありました。
パタゴニアのソフトシェルを使っており、素材は快適なのですが、フードが小さくて頬の部分が痛くなってしまいました。
来シーズンは、ちゃんとした冬山用のハードシェルを買う必要がありそうです。
文三郎道を降りて、樹林帯に入り、ようやく生きた心地がしました。
行者小屋に着く頃には、山頂付近にも青空が見え始めました。
その後、林道を歩きながら後ろを振り返ると雲一つない快晴。悔しいので、それからは後ろを見ないようにしました(笑)。
帰りのバスの中、ほかの人の後をついてピークを踏み下山したという悔しさと、そうは言っても厳冬期の八ヶ岳主峰に登頂を果たしたという気持ちがないまぜになって、ちょっと胸が詰まってしまいました。
厳冬期の赤岳は、12月とは比べものにならないほど美しく、そして厳しかった。
冬山の美しさと厳しさ、その両面を十二分に知らされた貴重な二日間でした。
こんにちわ。小屋のひと時をご一緒させていだいたものです。(緑の帽子です。)
下山時は天候に恵まれなくて散々でしたね・・自分もそうそうに退散しました。
小屋でのお話に影響されて、自分も今回の山行アップしてみました!(飽きやすいの続くかいかもですが・・)
また、どこかの山小屋で会うこともあるかもしれませんがその時は宜しくお願いします!
すみません。まだ写真をアップしてなくて、下書き状態なのですが、見られるのですね。
知らないままhiro-pさんのレコにコメントしてしまいました。
またどこかでお会いできるといいですね!
はじめまして。
山田さんのガイドに参加していた雪山初心者です。
(私も当日のレコをアップしました)
同じコースを歩かれたのですね〜。
1日目はまたとない好天、2日目は雪山らしい厳しさで、いい経験ができた山行でしたよね。
それにしても、単独行の方々のお話はすごい。
自分も早くそんな山行ができるようになりたいものです。
#今、下書き状態なのですか。
#今朝は長時間システムが落ちていたようですし、何か変ですね。
厳冬期、赤岳登頂おめでとうございます!
あのパーティの中におられたのですね。
すみません!視界が悪いので、目標にさせていただきました(笑)。
八ヶ岳山荘でうどんを食べているときに、皆さんが入ってこられたので、そこでもお会いしたかもしれないですね。
お互い雪山初心者として、これからも安全に楽しみたいですね!
昨年の12月のガイド登山から、2ヶ月で「単独」で登頂をされるとは、
スゴイです!!参りました。
可能であれば、100拍手させて頂きたいです。
レコもホント素晴らしいです!
現実的なルート状況の説明ももちろん、geraniumさんの一瞬一瞬の心の動きが手に取るようで、
私もこんなレコが書けたらなー、と切に思いました。
最後にパタゴニアのソフトシェルは何をお使いですか?
私は、厳冬期はAscensionist jackt、残雪期はReady mix jacktを愛用しています。
どちらもヘルメットを着用してもフードに問題点はありません。
参考までに是非教えて下さい。
ほめ過ぎですよ〜、ricalonさん。
でも嬉しいです。師匠にそう言っていただけると。
いつかはricaloご夫妻のように、みずからトレースつけられるようになりたいです。
パタゴニアのソフトシェルは、ガイドジャケットフーディです。
多分フードなしがメインの商品で、フード付きはオマケみたいなものなのだと思います。
天望荘でご一緒させていただいた、八ヶ岳縦走者です!
山小屋では楽しいひと時を過ごさせていただき、ありがとうございました。
日曜午前は大変な天気でしたね。
私も少し遅れて文三郎尾根から下山しましたが、行者小屋まで下りてくると紺碧の空・・・。
時間もまだ早かったので、再度文三郎尾根を登り返し、山頂から地蔵尾根を経由して下りてきました(笑)
おかげさまで予定通り、その後は赤岳鉱泉〜硫黄岳〜天狗岳〜しらびそ小屋〜中山峠〜高見石小屋〜白駒池〜麦草峠〜茶臼岳〜縞枯山〜北横岳を4泊5日で縦走できました。
(下山後、小諸にある中棚荘という温泉宿でお世話になったのですが、宿のブログにもご紹介いただきました(笑))
赤岳では滑落者のヘリ収容を目の当たりにし、中山展望台ではトレースがなく道に迷い、麦草峠から縞枯山はひたすらラッセルでしたが、何とか初志貫徹でき、ホッとしています。
また、いつかどこかの山で、お会いできるといいですね。
お互い、安全登山を目指しましょう!
何か嬉しいですね♪ この場を通じて再会できたようで。
こちらこそ、天望荘では楽しいひと時をありがとうございました。
それにしても、赤岳にもう一度登ったとは(笑)。
冬期八ヶ岳縦走、ご無事で何よりでした。と同時に羨ましいです(笑)。
ぜひぜひ、山行記録も書いてください(ご自分のためにも)。
私など、記録に残しておかないと、半年もするとすっかり忘れてしまいます(笑)。
またどこかの山で再会できることを楽しみにしております♪
PS
私が掲載した写真で、地蔵尾根の階段を登っているのはkatsu-pyonさんですよ。
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