XP873スキー登頂〜四ツ峰-迷沢山縦走・新送電線コース滑降〜
- GPS
- 09:52
- 距離
- 15.6km
- 登り
- 885m
- 下り
- 1,090m
コースタイム
- 山行
- 9:45
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 9:57
天候 | 曇りのち雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
写真
感想
XP873とは、迷沢山と四ツ峰の間の873m峰に私が勝手につけた名前である。Xというのは、この山を地形図で見ると、頂上から四方に延びる稜線の等高線がXの字のように見えることに由来している。要するに「X字状をした873m峰」ということである。
1年近く前まで、私はこの山のことは何も知らなかった。阿部山から迷沢山へ縦走の途上、定天の手前に印象的なピークを見たのは昨年3月のことだった。はじめは四ツ峰かと思ったが、そうではなくてP873だった。地形図を見ると、四方に稜線と急な斜面を張り巡らせた、まるで要塞のような山だとわかり、登ってみたくなった。
どういうルートで登るかだが、四ツ峰と迷沢山を結ぶ稜線上にあるのだから、この2つのピークを縦走するのがいいだろう。交通の便などから考えても、四ツ峰から迷沢山へ向かった方がいい。そこからの降りは、まだ行ったことのない新送電線コース。
と、そこまでは昨年の春に既に構想していたのだが、これを実行する日ついにやってきた。いざ行くとなると、最近の遅いペースでここを“完走”できるだろうか?とか、二日前に降った雪が重くて四ツ峰〜迷沢山間はトレースはないだろうからラッセルが大変かな?とか、雪崩が怖そうだな、とかいろいろ出てくるが、まあ何とかなるだろう。
逆に、入山口の滝の沢林道入口からは烏帽子岳にも登れそうだな、様子を見てみるかな、などと変な色気?も出てくる。
今日の目標は、
1. P873登頂
2. P873から迷沢山への縦走
3. 四ツ峰登頂
4. 迷沢山・新送電線コース滑降
だが、4は2を達成しなければできないし、2は1を達成しなければできないし、1は4を達成しなければできない。ということで、四ツ峰の登頂が最初の目標になる。実はこのピークも私にとっては未踏だ。
家からは朝は7時近くならないとバスがないので、円山公園駅まで歩いていく予定だったが、ギリギリになってしまったのでタクシーを呼ぶ。千円の追加出費。地下鉄を乗り継いで真駒内駅から定山渓行きのバスに乗る。曇天。天気予報では、午後から夕方にかけて雪が降り始めるとのこと。車窓から八剣山や神威、烏帽子などは何とか見えるが、札幌岳などは雲の中。
定山渓から、携帯でつばめタクシーを呼び、四ツ峰トンネル手前の滝の沢大橋へ向かう。定山渓にタクシーはないのだ。一体スキーでどこへ行こうというの?物好きな人もいるものだ、というような運転手の態度にはもう慣れた。
滝の沢林道の入口からは、さっぽろ湖の向かい側に定天が見えるが、白い空に白い山がとけ込み、寒々しい。林道を上流へ。足首ほどのラッセル。このあたりの滝の沢は定山渓ダムのバックウォーターとなっていて川幅が広い。このあたりから烏帽子岳の南西尾根に取り付けるようだったら行ってみようか、などとも思っていたが、末端はかなり急で、文字通り「取り付く島もない」感じ。取り付くとしたら、少し北へ行ったところの支尾根か。
林道が橋で左岸から右岸へ滝の沢を渡ったあたりで、四ツ峰の稜線に上がる左の尾根に取り付く。この取付点木や枝には赤テープがいっぱい。一週間ほど前のものらしきトレースも残っている。四ツ峰には結構人が登っているようだ。尾根は適度な傾斜で着実に高度を稼げるが、若干ながらラッセルがあるし、割と滑る雪なので、思ったほどはスピードが上がらない。
振り返ると、高いところに烏帽子岳がうっすら、ぼーっと大きく見える。登ろうかと思っていた南西尾根の上の方、標高950〜1000mのところには、垂直に近いような50mほどの段差が見える。あそこをスキーで登る自信はないな。巻くとしても...。
左手の稜線の下には、木が生えていないところが続いているな、何だろう?と思っていたら、何のことはない。送電線下の苅分だった。標高680m付近で送電線下に出る。最近の電子国土等には送電線が表示されていないので忘れていたが、地形図にはまだちゃんと載っている。左を見ると、送電線の先にさっぽろ湖と小天狗岳が見える。振り返ると烏帽子岳の全貌が見える。こちら側から登るとしたら、南西尾根よりも、くの字形に見える北西尾根か。
回り込むようにして、標高740mの四ツ峰の広い主稜線に上がると、そこは二重山稜になっていた。ここから北へ進路を変えて四ツ峰の三角点を目指す。視界が開け、左に四ツ峰、そして右奥に、今日一番の目標であるP873が初めて見えてくる。半分四ツ峰に隠れているためもあってか、あまりパッとしない感じで、ちょっとガッカリ。左の方を見ると、定天、ヒクタ峰、白井岳がうっすら見えるが、1100m以上は雲の中。ヒクタ峰はこちら側から見ると、なんだかショボい山容。
稜線上は意外とアップダウンがあり、四ツ峰の頂上に着いたときには、出発から既に2時間半近く経っていた。ここからP873まで1時間半、そこから迷沢山まで2時間で行けるか? 行ければ14時半には迷沢山に着くのだが、ちょっと無理かな? 山頂は木で視界も遮られており、長居は無用。北へ向かう尾根の右側の東斜面には送電線があり、オープンバーンになっているので、烏帽子岳に向かって滑りたい誘惑に駆られるが、まだまだ先は長いのであきらめる。
P770近くの鉄塔のところから、P873と、ここからそこへと続く尾根がはっきり見える。頂上近くの尾根はかなり急な上に右=南東側に雪庇もできているようだ。果たして、あそこをスキーで突破できるのだろうか?と少し心配になってくるが、まあ行ってみるしかない。
ここから先の尾根は比較的平らだが、灌木が少しうるさそう。尾根の左(西)側の斜面には送電線があって、下が開けているので、その右端=尾根の上との間を行ってみることにする。左に傾斜した斜面なのに加えて、尾根自体が前方に向かって降っており、かなり急。シールを外して滑ってもいいが、割と幅が狭い上に、標高差も50mほどなので、シールのまま滑る。急斜面に新雪が20cmほど積もっていて、ちょっと雪崩が怖い感じ。
行く手のP873の左には迷沢山、その左にはP960、さらに左にはつげ山も見える。760mのコル付近からは、これから登るP873南西尾根の様子がさらによくわかってくる。尾根の右には岩場が見える。30mぐらいはありそうだ。
尾根上は想像以上に急なようだ。送電線は南西尾根上770m付近の鉄塔から尾根の左を通って、西尾根上850m付近の鉄塔に上がっている。下=770mの鉄塔までは送電線下を行くが、その先の上=850mの鉄塔までは、急斜面を小尾根、小沢を越えてトラバース気味に斜上して行かなければならず、ちょっと大変そうなので、当初の計画通り右の尾根に上がる。
尾根は急なだけでなく、木、ブッシュがうるさく、登るのは大変。スキーを履いていても、ところどころ急にズボッと埋まる。間違いなく今日のルートの核心部。なかなか進まず、ここを突破しても、P873から北へ降る尾根がまたこんな調子だったらどうしよう、と心配になるが、地形図で見る限り、北尾根は南西尾根よりも幅が広そうだ。標高800mを超えて傾斜が緩むと、北東に向かう尾根なので、当然のごとく右側に雪庇が出てくる。それほど大きくはなさそうだが、よく見えず、冒険はできないので、尾根上の木を巻く所などは慎重に。
P873の頂上も視界はない。何も考えていないと、真っ直ぐ東尾根を降ってしまいそうになる。北尾根は頂上付近は幅が広いというか、単なる斜面なので、下に、北のP840とのコルが見えてくるまでは、降るべき方向がわかりにくい。
コルを過ぎた鉄塔のあたりから振り返ると、P873の頂上の右の西尾根上に鉄塔が見える。登りに見た上=850mの鉄塔だ。向こう側からあそこまで登れたとしても、そこからここまで、また急斜面を斜降してこなければならず、大変だっただろう。
足元の雪面がズレ落ちる。はっきりした破断面。15cmほど下に弱層があるようだ。P840の尾根上は木がうるさいので、西側の少し下の斜面をトラバースし、北東の760mのコルへ降る。このあたりから振り返ると、先ほど通ったP840の南コル付近の鉄塔とP873、その東尾根が見上げるような、ずいぶんと高いところに見える。あそこから、どこをどう降ってきたんだっけ?そうか右のP840の裏を回ってきたのだ。
コルの先、標高770m付近は、これまでとうってかわって平らでのどかなところ。右手に少し登った820m付近の鉄塔のところから尾根は左=北北西に向きを変え、迷沢山へと登っている。左手にはさらに鉄塔、そして白く尖った小ピークが見える。P920(=迷沢山南峰?)だ。あんなに尖っているとは知らなかった。
テレマーク靴の左足の甲がきつく圧迫されると思ったら、ジャバラ部分と爪先部分の間がパックリと口を開け、そこから雪が入り込んでインナーブーツとの間で固まっていた。ジャバラのてっぺん部分は以前から割れていたのだが、ここまでのことになっているとは迂闊にも気づかなかった
ここからは緩く、しかし着実に登っていく。後ろにはP873の全貌が見える。P920の頂上は通らなくてもいいのだが、折角だからてっぺんに登ってみることにする。うーん尖っている。雪のピラミッドというか、雪の円錐。雪の下はどうなっているのだろう?
ここから迷沢山の頂上まで標高差100mだが、傾斜が緩いので、結構距離がある。緩いと言っても、均一な斜度ではなく、平らなところと、50mずつ二段の登りとに分かれている。既に頂上到着目標時刻は15時に変更しているが、それにも間に合うか?
結局、平らな頂上にたどり着いたときには、目標時刻を10分過ぎていた。ちょうど男女二人パーティが降るところだった。男性は既に降り始め、滑降準備中のスノーボードの女性に「送電線コースを登ってきたんですか?」と訊くと、ちょっと迷ってから、そうだ、と言った後に「林道から上がってきたんです」。???そうか、送電線コースというのを知らないのだな。上平沢林道から来たのだろう。あっちにも送電線通ってるからな。そう言われれば、私が今日登ってきたのだって送電線コースだ。まさに、このあたりは送電線銀座。今日の山行にサブタイトルを付けるなら「送電線銀座を行く」。
山頂から通常の迂回ルートを行ってもつまらないので、滝の沢の源頭をショートカットし、トラバースして旧送電線コースの尾根上の鉄塔のところに出るルートを採る。まずは頂上の東面をP936に向かって滑る。すでに暗くなり始めていて斜面がよく見えないが、まずまずの雪質。あまり右に行くと、滝の沢が落ち込んでいるので、左側に回り込むようにして、標高860m付近で本流を渡る。さらに850m付近で支流を渡る。そして、ここから右(南東)に方向を変え、P936の尾根の等高線に沿うようにしてトラバース。この尾根の南端を回り込むあたりで送電線下に出て、鉄塔のある尾根上に這い上がる。
既に午後4時過ぎ。ここから旧送電線コースを降ってもいいのだが、今日は新送電線コースと決めているので、尾根上をさらに南東へ。発寒川の支流の源頭を巻き、P850下の新送電線の鉄塔に出る。ここから先はスキーのトレースがいっぱい。左の尾根に旧送電線コースを見ながら滑っていく。最後は発寒川の支流へ降る。この新送電線コースは旧送電線コースよりも平らなところが少なくて滑りやすい気がするが、その分、沢に降ってからが長い。発寒川の本流をスノーブリッジで渡り、平和の滝までややしばらく、ほぼ平地滑走をして、それからバス停を目指し、永峰橋近くまで、お薦めできない車道滑走をしたのだった。
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