槍ヶ岳 槍ヶ岳山荘冬季小屋泊
- GPS
- 31:09
- 距離
- 33.0km
- 登り
- 2,478m
- 下り
- 2,462m
コースタイム
- 山行
- 8:44
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 9:53
天候 | 1日目:曇り後晴れ 2日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ではなく、少し離れた深山荘の無料駐車場に停めてしまいました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【新穂高温泉〜滝谷避難小屋】 しっかりとしたトレースありで歩きやすい。 林道の先から登山道に入ると、一部道が狭くなっており、滑落注意な箇所も。 アイゼンを装着するのが安心。 【滝谷避難小屋〜槍平小屋】 ワカン無しだとズボズボで体力を奪われる。 デブリ帯が歩きづらい。 それ以外は特段問題なし。 【槍平小屋〜千丈分岐点】 徐々に傾斜がきつくなっていく。 アイゼンを装着。ここからが本番。 【千丈分岐点〜槍ヶ岳山荘】 小屋が上部に見えているが、近くて遠い。 どんどん傾斜がきつくなっていき、上部に行けば行くほどガチガチの斜面になる。 一歩一歩慎重に、滑落注意。 【槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳(穂先)】 鎖・梯子は出ている。 ピッケル・アイゼンワークをしっかり行い、慎重に進めば大きな問題は無い。 梯子の横には巨大な氷の固まりがついており、いつ落下してくるか分からない。 当然だがヘルメットは必須。 |
その他周辺情報 | 下山後はいつもの「ひらゆの森」で汗を流しました。(500円) |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
チャレンジしたかった厳冬期槍ヶ岳。
何度も悪天候で中止を余儀なくされ、延び延びになっていましたが、
ついに予定していた週末が絶好の登山日和!
金曜の夜、埼玉の自宅を出発し、相棒を拾って新穂高温泉へ。
深夜1時半着で車中泊。
5時半に起床し、準備をしていざ出発。
登山指導センター前の駐車場が無料で開放されていることを知り、少しショックを受けつつ、ひたすら林道を進みます。
所々小規模なデブリ帯を越え、穂高平小屋を通過し、林道終点へ。
ここから登山道らしくなります。
樹林帯を進み、中規模のデブリ帯を越え、左側が斜面になっている細い道を進むとやがて滝谷避難小屋に到着。
ここまでアイゼン無しで来ましたが、一部アイゼンを装着した方が安心な箇所が点在していました。
少し休憩を取ってから槍平小屋へ向かいます。
少し進んだところで、財布が落ちている。
ここまですれ違ったのはスキーヤーの1名だけ。
先行者が落としたのかもしれないと考え、拾って持っていくことにしました。
ここからはワカンを履いた方が良いかも知れません。ズボズボ埋まります。
なかなかのデブリ帯続きで歩きにくい。
暫く歩くとガスが取れてきてジャンダルムの稜線が見えるようになってきました。
程なくして槍平小屋に到着。
ここで食事休憩を取り、槍ヶ岳山荘へ向けて出発。
ここから夏季コースタイムで約5時間。遠い…
ここまで大した登りはありませんでしたが、ここからが本番。
徐々に傾斜がきつくなります。
ここで1名のスキーヤーが滑走されてきました。
斜面の凍結に危険を感じて途中で撤退されてきたとのこと。
その後、1名の登山者が下山されてきました。
槍に登頂し、鎖や梯子は出ていて難易度は比較的低いとの情報を得ました。
いずれの方も財布の持ち主ではありませんでした。
さて、登りはひたすら続きます。
気付けば雲を越えて青空が広がっています。
少し進むと正面の岩稜帯上部に槍ヶ岳山荘が見えました。
見えているも遠い、遠い…
ひたすら登り続け、だいぶ前から見えていたソロの先行者に追い付きました。
財布の持ち主ではないとのこと。
うーむ、この先は誰もいない。
ということは持ち主は下山してしまっている。もしかしたら探しに戻ってきているかもしれない。余計なことをしてしまったか。
仕方ないので、登りに集中。
もうかなりバテバテでペースが全然上がりません。
傾斜がきつくなり、座って休めるような場所もない。
一度融けた表面が再び凍ってガチガチになった斜面。
ピッケル・アイゼンワークを確実にこなさなければ危険な状態です。
…と、その時、先行されていた方が滑落しました!
ピッケルによる滑落停止を試みるも止まらず、比較的傾斜が緩やかになるポイントまで滑り落ちてしまいました。標高差100m程。距離にして200〜300m程でしょうか。小さな石や氷の塊は点在しているものの、基本的にはただの雪の斜面なので、ピッケルやアイゼンで自身の体を傷つけていなければ大事には至らないハズ…
動けないようなら助けに下りようと思っていましたが、程なくして起き上がったので一安心。
大声でやり取りしたところ、足を痛めたものの自力で下山できそうだとのこと。
幸いにもその方はダブルストックも持っていました。
様子を見て、我々は登山を続行することにしました。
そこから更にガチガチの斜面が始まります。
滑落は人事ではない、緊張を強いられる登りでした。
疲れがピークに達し、ますますペースが上がらない。
本当に遠い…
ようやく稜線に立ち、槍の穂先や常念岳が見えました。
ここからあとほんの少し、なんですが、疲れた体に鞭打つ最後の一登り。
これがまた結構遠く感じます…
テント場を越え、ようやく山荘に到着。時刻は16時過ぎ。長かった…
物凄く良い天気ですが、気温はマイナス15℃。
やや風も出てきました。
もはや本日はピークに向かう気力も無く、とにかく小屋に入りたい。
冬季小屋のロックを外し、重い落とし戸を上げて中に転がり込む。
宿泊者ノートを見る限り我々が今年最初の利用者の模様。(本当か?)
料金箱にお金を入れ、ご飯を食べて即就寝。
…と行きたい所ですが、マットを忘れるという大失態。
小屋の中はマイナス10℃。
寒くてほとんど眠れず、長い長い夜になりました。
翌朝4時15分。行動開始。
夜間は物凄い強風でしたが、朝4時にはピタリと止み、ほぼ無風状態に。
5時半頃、槍の穂先へアタック開始。
暗くてよく分からないなりに、順調に進み、若干難しいところもありましたが無事登頂。風はほとんど吹いておらず、御来光まで穏やかな時間を過ごしました。
常念岳の向こうから太陽が上がり、山々が色づきました。
最高の景色を楽しんだ後は慎重に下って山荘へ。
荷物をまとめ、例のガチガチの斜面へ。
下りの難易度を懸念していましたが、予想よりは問題なく下れました。
自分は普通に前向きにささっと下りられましたが、相棒は昨日の滑落にビビってかクライムダウンスタイルでやたら時間がかかりました。
日曜日も好天のため、たくさんの方が登ってこられました。
ガチガチの斜面で撤退を決めるスキーヤーの方もいらっしゃいました。
下山途中の林道で、昨日滑落した男性に追い付きました。
辛そうに歩いていましたが、右足の捻挫か骨折だけで済み、自力で下山できるというのは不幸中の幸いです。
さて、長い長い林道を歩き、ようやく登山口に戻ってきました。
登山指導センターに都合よく岐阜県警の方がいらしたので、財布を届けました。
話によると、やはり昨日、落とし主が滝谷避難小屋まで財布を探しにいったとのこと。片道4時間かけて行って無かったときの絶望感たるや…何だか申し訳ないことをしてしまったなと思います。
落とし主は昨日帰宅されたとのこと。警察が送ってくださるそうです。
とにもかくにも、一瞬の油断が命取りとなる山の怖さを再認識すると共に、山の素晴らしさも再確認できた印象に残る登山となりました。
天気が良すぎてもはや厳冬期ではなく残雪期な感もありましたが、かなりの達成感のある山行でした。
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