記録ID: 2041447
全員に公開
アルパインクライミング
甲斐駒・北岳
甲斐駒ヶ岳・鋸岳
2019年09月27日(金) 〜
2019年09月28日(土)
体力度
8
2〜3泊以上が適当
- GPS
- 33:33
- 距離
- 26.9km
- 登り
- 3,141m
- 下り
- 3,136m
コースタイム
1日目
- 山行
- 9:36
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 10:55
天候 | 27日:晴 28日:曇り時々晴一時雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
27日:戸台川水場ノ沢(左俣) 赤河原(丹渓山荘)までは北沢峠への一般ルートですが、これがなかなかにわかりにくいです。第2堰堤まではずっと右岸(上流に向かって左側)を歩きますが、川岸が迫った部分は山側に巻き道があったりしますので、目印のテープをよく見て歩きましょう。第2堰堤の先で左岸(右側)に移動しますが、この辺りは河原歩きで目印が乏しいので、左岸にある目印に注意しながら極力踏み跡らしいところを歩きます。丹渓山荘手前の1410m付近で3本の丸太の橋で支流の藪沢を渡るとまもなく丹渓山荘です。 戸台川本谷方面へは山荘手前から左に分岐します。(山荘まで行くと行き過ぎ)ここは旧登山道ですが、廃道になって久しいため、踏み跡もはっきりしないくらいですが時々テープがあります。七丈ノ滝沢出合手前までは地形図上の旧登山道をたどりましたが、さほど歩きやすくもないため、沢装備なら早めに沢を登った方が良いかもしれません。 七丈ノ滝出合を過ぎ、旧登山道の分岐(テープがありました)を過ぎると間もなく1つ目の滝15mが現れます。直登は無理で右から巻きますが、すぐ右のルンゼは急すぎて無理なので、少し下流の枝沢の滝から登っていき、上部を怪しげなトラバースで抜けました。枝沢の小滝はいきなりのシャワークライムとなるし、巻きは予想通りの脆さで、騙し騙しながらも慎重に乗り越えました。ほっとするのもつかの間、すぐに2つ目の滝15mとなり、これまた直登不可で右の草付きを登りますが、尾根上のところから左へのスラブのトラバースがかなりいやらしいです。 このあと駒津沢、奥駒津沢が次々と合流します。駒津沢は40mの階段状、奥駒津沢はスラブのナメ滝で最後はハング状となって本谷と合流します。その奥には50mはあろうかという迫力の枝沢もありました。(すべて右岸に流入)本流はしばらくゴーロ状を歩くと25mのナメ滝が現れます。左に小さなナメ滝があり、安全策でこの左から登りましたが、本流の滝を登った方がスッキリしていてよかったような気がします。越えるとすぐに水場ノ沢の分岐になります。 水場ノ沢の出だしはゴーロ歩きですが、やがて50mのナメ滝となります。登山大系では滝を越えると二俣とありましたが、滝の途中で左右に分かれている感じでした。右俣の滝の方が高いのですが、50mまでのスケールはないように感じました。 ここからは登山大系には「興味が薄い」となっていた左俣をたどります。10m足らずの滝が何度か現れますが、避けようとして右に行くと復帰が難しいところが多いので、できるだけ左寄りの本流から外れないように登ります。スラブ状の岩が多いのですが、フェルト靴は実に滑り、また苔もよく生えているので、フリクションは全くあてになりませんでした。 最後は六合石室直下に直接出るのかと思いきや、やや右に登ってしまったようで、短いながらもハイマツ・シャクナゲの藪漕ぎトラバースを経て小屋のすぐ上までたどり着きました。時間的にはまだ余裕があったので、濡れた沢道具や重い荷物を小屋前や小屋の中にデポして甲斐駒を軽荷で往復してきました。 全体としてこの沢ルートは怪しい足元に怪しいホールドの登りが終始続き、登攀的グレードは高くないものの、決して易しいとは言えない沢でした。入渓者も極めて少ないと思われ、残置支点等は皆無です。踏まれていないこともあり、巻き道はどれも脆くて怪しいものですので、そこを低リスクでクリアする能力が必要です。 28日:鋸岳縦走 4時半ころヘッデンスタート。駒ケ岳からの縦走路は意外と踏み跡が錯綜していて、ところどころGPSで現在地を確認しながら歩きました。三ツ頭付近では烏帽子岳方面への踏み跡に入ってしまい、やや強引に直登して三ツ頭山頂を経て、鋸岳方面へと辿りました。 中ノ川乗越からいよいよ鋸岳縦走が開始します。最初は中ノ川乗越からのガレのルンゼ状を足元に注意しながら第二高点まで登ります。この先はいよいよ危険地帯。ハーネス等をセットします。 第二高点からは大ギャップを越えるために左に大きく下っていきます。やや右寄りにも踏み跡がありますが、最終的に行き詰まるので、はじめから右の太い踏み跡をたどるのがいいです。大ギャップのルンゼを下る踏み跡をたどっていると、大ギャップ方面にテープのついた踏み跡がルンゼを横断して分岐します。本来はこちらに入らずにより下に下っていくようですが、誤ってこの踏み跡をたどり、大ギャップから中岳を無用に(しかも2回も)歩いてしまいました。 大ギャップに至るルンゼは非常に脆く、狭いルンゼで上方からの落石も非常に危険です。(実際に登っていく直前に自然落石があり、登行中であれば避けられなかった可能性大でした。)ギャップには中岳へ残置ロープがかかっており、この壁を登りますが、これがまたかなり脆いです。ホールドが次々と剥がれるので、全体重をかけるのでなく、前進用に押し当てるように使います。残置ロープは劣化が激しく、全体重を預けるのは危険ですから、補助的な利用に留めましょう。 ここを登りきると中岳ですが、大ギャップを鹿窓と勘違いしていたため、登山大系に「(第一高点からは)小ギャップから甲州側を巻き信州側に抜け落ちた風穴(鹿窓)をくぐって信州側に抜け」と書かれていたため、ギャップの反対側に回り込んで小ギャップに至る必要があると考え、登路のやや東側にあった懸垂支点から2回の懸垂で大ギャップの20mほど甲州側に降り立ちました。しかし降り立ったルンゼは踏み跡になっておらず、これほど脆く不安定なルートはありえないと判断、脆いルンゼを大ギャップのコルまで登り返して、再び壁を登って中岳の山頂へ立ちました。 すると踏み跡が稜線上にずっと続いており、じきに鹿窓が左側に現れました。鹿窓には鎖もしっかり設置されており、ここで初めて登ってきたのが大ギャップだったの認識したのでした。 小ギャップは今は双方ともに鎖が設置されており、回り込まずに直接ギャップに降り立ちます。鎖がなかったとしたら、中岳側は懸垂しないとちょっと下れないと思います。小ギャップからの鎖場を登ると難しいところはなく、第一高点です。 第一高点から角兵衛ノコルまで問題なく降りるとあとは下降のみですが、この角兵衛沢のガレの下りがまた問題です。出だしこそ割と安定していますが、そのうちにどこをどう歩いてもグズグズと足元の1mくらい上から崩れている不安定ゾーンとなります。そんな不安定なところなので、踏み跡や目印などあるわけもなく、少しでも安定していそうなところを探りながら下ります。下りでも苦労しますから、登りで重荷の場合はなおしんどいでしょう。途中から樹林が出てきますが、状況はさほど変わりません。樹林に少しでも絡んで歩いた方がいいと思います。目印が出てきたらできるだけ目印沿いを歩きましょう。大岩の近くまでこうした状況が続きます。 大岩から下はようやく安定してきます。完全に樹林帯まで入るとあとは目印に従って踏み跡を下るのみです。踏み跡はかなり濃いのでここまで来れば安全地帯です。最後の戸台川の渡渉は飛び石はかなり微妙です。今回どうにか飛び石で渡れましたが、はだしになった方が無難かもしれません。 <ビバーク適地> 熊穴沢ノ頭や中ノ川乗越に数か所、第2高点に1か所、角兵衛ノコル付近にありましたが、熊穴沢ノ頭以外は2テンが適正サイズのようです。確認はしていませんが、大岩の岩小屋には先客がいたようですし、角兵衛沢出合付近には適地があり2張のテントが張ってありました。ただし角兵衛沢は水流がないので、戸台川の水を使うしかないでしょう。 |
写真
撮影機器:
感想
鋸岳はエアスポットのように訪れていない山だったので、どうせなら往路も通常とは異なる登り方をしようとして沢から登って石室に泊まり、鋸岳を縦走して下るという今回のルートにしましたが、なかなかどうしてハードな山行になりました。噂通りというより、噂以上にものすごく脆い山であることが痛感できました。
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:769人
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する