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Yamareco

記録ID: 21654
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積雪期ピークハント/縦走
道南

メップ岳

2005年04月23日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
15.7km
登り
782m
下り
742m

コースタイム

利別目名川林道ゲート車デポ(6:30)発→除雪終点(7:00)→カスベ沢左岸尾根末端(7:55)→吊り尾根稜線(9:45)→遭難現場メップ岳北西尾根標高900m(11:00-12:20)→尾根末端(14:50)→林道ゲート車デポ(16:00)
天候 【天候】
小雨のち吹雪、視界有り
過去天気図(気象庁) 2005年04月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
遭難したA君の遺品を回収に登る。
●2005年4月
【ルート】
利別目名川林道→カスベ沢左岸尾根→吊り尾根→メップ岳北西尾根より遭難現場往復
【行程】
4月23日
利別目名川林道ゲート車デポ(6:30)発→除雪終点(7:00)→カスベ沢左岸尾根末端(7:55)→吊り尾根稜線(9:45)→遭難現場メップ岳北西尾根標高900m(11:00-12:20)→尾根末端(14:50)→林道ゲート車デポ(16:00)


4月10日、函館に来て以来つきあいのあったB君とその仲間のA君がメップ岳で遭難して、A君が死んだ。春にしては硬く凍った尾根上でアイゼン無しのまま20m滑り落ち、ダケカンバにぶつかってそのまま息を戻さなかった。その日ヘリは二人を見つけられず、救助は翌朝になった。B君は冷たいミゾレの夜をイグルーで過ごした。現場に残った装備一式を取りに、八雲の山スキー部OB北川君、熊石の水産ワンゲルOB卜部君と三人で出かけた。二人と僕は初対面だが、共通の友人が多く、山センスもすぐに理解した。

仕事の後、特急で八雲へ行き、そのまま薪ストーブのある北川宅に前夜泊。翌朝は北檜山で熊石の卜部君と合流して林道ゲートまで。途中まで除雪が入っていて、そこからスキーで尾根末端目指す。少し小雨。尾根はスキーで登るに適した傾斜で、濡れた新雪にシールがよく利く。小雪に変わるが視界は効いている。メップ山頂の少し手前、遭難現場辺りまでが、かすんでいるがぎりぎり見える視界だ。尾根上はブナの疎林で良い感じだ。

吊り尾根に出るところはトラバースが少し怖い。白い斜面で、凍った層に新雪が乗っている。傾斜が緩まる高さまで横着せず登ってから、小さくトラバースする。吊り尾根に出ると厳しい風。日本海側からの風雪がかなり強い。尾根上は雪庇が真上に伸びているようなところがいくつかある。最低コルあたりでアイゼンに替える。雪は締まっていて吹きだまり以外はほとんど潜らない。雪つぶてが目に痛く目出帽を下ろす。

遭難現場にはスキーがまだ立ててあり、イグルーの天井は落ちていたがビバーク跡もすぐに分かった。B君に聞いた様子から、南側斜面20mほど下のカンバの脇にA君のザックを発見、まわりからスコップの柄なども見つけた。その場所に花と線香など立てて黙祷する。A君のザックには食料に生のイカ開きがあった。船乗りの彼は、最初に会った函館山西岸の海岸歩きではイカ飯を作ってきてくれたし、僕の家で飲んだときは一夜干し、金星丸で飲んだときは沖漬けを出してくれた。現場の斜面は急ではあるが、ここが硬く凍っていたとは特別な気象条件だったと思われる。

二人分のザックとスキーなどを三人で背負って下る。山頂はガスの中で、行く気がおきなかった。結構な重さになったが、下りの尾根のスキーはそれなりに快適に滑り降りた。ブナの尾根というのは悪かった試しが無い。尾根末端に着くと、除雪がそこまで進んで来ていた。スキーに乗ったり引っ張ったりして林道を歩き終える。

北檜山の町民食堂でカレーやラーメンをがつがつ食べ、臼別温泉という秘湯に浸かり、そのまま熊石、見市川畔の卜部宅にやっかいになる。季節もののサクラマスのルイベをごちそうになって、飲んでいるうちいつしか記憶を無くす。翌日の好天は昼過ぎまで登りやすいタンネのある庭で焼き肉などして過ごし、A君のイカも焼いて食べた。荷物を受け取りに来てくれたB君の車に乗って函館へ。卜部、北川両氏とは、今後の道南山行を約束した。A君の取り持った仲だ。

A君とは函館に来てからのつきあいだったが、無口ながら心の伝わる人物で、印象が深い。九州なまりのとつとつとした語りをする。仕事を始めたあと始めた山に熱心で、イグルーにも興味を持ち、先が楽しみだった。船乗りだし、海の航海法も教えて欲しかった。一度吹雪の夜、泊まり番で西埠頭に停泊していた金星丸におじゃまして、みんなでキムチ鍋をして飲んだ。気持ちよく飲んで吹雪の市電通りを帰った。君が死んでも忘れない事はたくさんある。
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コメント

urabe
卜部君というのは私と同期の男で覚えがあります。メップでそんなことがありましたか。合掌。
2021/5/15 5:42
Re: urabe
熊石時代のボロい社宅が屯田兵舎みたいで、庭に草木が茂り、若い家族が元気に暮らしていて、いい時代でした。子供が小さかった頃は、狭くてボロい家で楽しく暮らすのが幸福ですね。
2021/5/15 9:17
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