御池岳《山岳遭難顛末記~完結編~》
- GPS
- 07:17
- 距離
- 10.6km
- 登り
- 845m
- 下り
- 847m
コースタイム
※GPSはスマ−トフォン用アプリケーションソフト「山旅ロガーG」「地図ロイド」使用
天候 | くもり、強風、時々小雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・登山ポスト〜登山口にあり ・危険箇所〜積雪はほぼ消失していましたが雪解け後のぬかるみで滑りやすくなっている箇所が多くありました。 |
写真
感想
季節はもう冬、初冠雪直後の「御池岳」山行となりました。
遭難事故から4ヵ月が経過しても「御池岳」のことを考えない日は一日たりともありませんでした。現場へ行けば事故の原因に少しでも迫れるかと思い山行の実現を願い続けておりましたがようやくその機会に恵まれました。
【山行】
当初「ノタノ坂」か「丁字尾根登山口」から遭難現場へ行く予定でしたが君ヶ畑の林道が土砂崩れで通行止めになっており 急遽、鞍掛トンネル登山口からのスタートとなりました。 小雨の中出発、杉の植林帯を抜け県境尾根を登り超強風の鈴北Pを過ぎて丸山P、ボタンブチからテーブルランド南側を辿り丁字尾根下降口へ到着しました。 遭難当時と違い木々は葉が落ち山の色も緑から茶へ変わっており六日間彷徨っていた谷が上から良く見えました。
一瞬、青空を見せましたが直ぐに曇り小雨となります。時間的なことも考え丁字尾根には降りず今日はここで下山と判断、風が遮られている場所を探して二人で食事を摂り下山開始。午後3時過ぎには下山完了しました。
【同行者Nさん】
登山歴35年の山岳ライターNさん、フリーランスのライターで著書には「登山入門(山と渓谷社)」などがあります。東北出身の方で口数が少ない代わりに発せられる一言に物凄い重みを感じました。自分が今まで同行した中ではおそらく最強の同行者、長年登山を生業とされてきたプロフェッショナルです。
今回の山行ではNさんから山登りについていろいろと教えていただこうという目論見がありましたが自分との力量の差を恥ずかしいくらいに感じました。
終始先行いただいたNさんは初めて歩く「御池岳」をまるで毎週登っているかのように進んで行かれます。テーブルランドでもコースを大きく外れることなく薄い踏み後を見分けて確実に最短、安全で最も効率の良いコースを歩かれます。ズレたとしても数メートル以内で修正されます。雨が降ればひどくなるにつれ確実に雨具の上、下と順番に身に付けてザックカバーもきちんと装着されます。また現在58歳で登山は半年ぶりだそうですが終始姿勢も呼吸も乱れることなく安定していました。長年国内外の数々の登山を経験されているNさんですが決して自分の経歴を語るようなことはされませんし「こうすべきだ」と上から物を言うこともされません。一日ご一緒するだけで大変勉強になりました。
【自身の登山について】
対する自分はどうなのか?呼吸は乱れコースは大きく外れ、迷うまで外れたことに気が付かず、雨具の下は忘れ上を着るのも面倒に思い「もう少し後で」と思っているうちに雨脚は強まり濡れてしまう。雨具は忘れても食料だけは大量に持込む。ラーメンの湯を沸かし過ぎてカップに入りきらなった分は惜しげもなく捨てる。
御池岳へもう何回も登っていますが今回ほど効率よく早く下山できたのは初めてです。いつもテーブルランドを目標もなく歩き細かく時間を計算せずに行動するので下山は予定より1時間以上オーバー。ひどい時には日没に間に合わなかったりしていました。最初にNさんから「13時になったら必ず下山を始めて16:30には下山完了しましょう」と言われてハッとしました。今まで一人で登っている時そのような決めごとを最初にしていただろうか?
【事故の原因】
遭難事故について今までは他人や環境など周囲に原因があるような発言も多くしてきましたが、やはり原因の99.99%は自分自身にあったと思います。これは自分を卑下したり皆様の同情を期待しての発言ではありません。
私は登山といっても43歳で突然自発的に始めて情報は殆どがヤマレコを中心としたネット情報でした。周囲に登山を趣味とする人もおらず我流の見よう見まねで色々な知識らしい物を頭に詰め込んで半年も経つ頃にはもう一人前の顔をしていましたがそこに落とし穴があったと思います。登山を始めて数カ月の人間が単独で雪の御池岳へ登るということがどれほど危険かということすら理解出来てませんでした。何も知らないことの怖さすら知らないということです。Nさんから著書の「登山入門」をいただき早速読んでみると恥ずかしながら自分の知らないこと意味を勘違いしていた言葉などがどんどんと目に飛び込んできました。私は「トラバース」の意味すらわかっていなかったのです。そのくせリストウオッチは高度計付きを身につけたり何だかバラバラです。雨具は忘れても食料は大量に持ち歩き、脱水症状が原因で遭難し死にかけていながら湯を無駄に沸かし余った分は惜しげもなく捨てる。 登山における物事の優先順位、必要最低限身につけておくべき知識、万が一を想定した行動や考え方。皆無ではありませんでしたが欠如していたことは確かです。
【防止策】
今後私のようなにわかハイカーは増えて行くと予想されます。ネットの情報が悪いわけではないことは承知しています。温泉や食事、土産物店、史跡巡りなどを楽しむ旅行ならネット情報一つで充分ですが登山は全く違います。
インターネット情報以外にきちんと責任を持って書かれた「入門書」を最初から最後まで読んだり、登山講習会に参加したり指導者がおられるグループや団体に参加して教わるなどネット以外にも自分のチャンネルを持った方が良いのではと思います。
いずれにせよネット情報を眺めて数か月ですべてしっかりと身に付くほど「登山」は簡単なものではありません。
最後に素人の私に親切に同行頂いたNさん、そしていつ訪れても美しい姿で迎えてくれる御池岳に心より感謝します。
鈴鹿はホームなので、よく行きます。
行くたびに、遭難者に遭遇します。
しかし本人は、遭難と認めません。
ルートが分からず聞いている時点で、アウトなのです。
誰か知らない人に付いてく、アウトです。
予定外な下山口、アウトなのです。
ホント、登山講座等やってますので受けて欲しい。
本もたくさん読んで欲しい。
気付くチャンスが有ったあなたは、幸せだと思います。
たかが鈴鹿、されど鈴鹿。
これからは安全登山で、もっともっと楽しんでください♪
待っていてくれる家族の為にも。
yuconさん、今晩は。
元気になられたなと思いながら、この記録を読みました。
私も一度、謙虚な気持ちで自分の山行を見直す必要が有るかも知れないと感じました。
いづれにしても、「お帰りなさい。yuconさん」
お疲れ様でした。
いい方と同行できてよかったですね。お元気になられて以前の山行を振り返ることができたのもいい経験でしたね。
登山ってただ歩くだけなんですけど、知っておかなければならないことはすごく多いですよね。これからも山歩きは頑張って続けてください。
コメントありがとうございます!
一回の登山で数分間道を見失うことは当然のように思っておりましたが、それはあってはならないことだと気が付きました。
気が付くチャンスどころか生きているだけで幸せなことです。
もっともっと楽しむために必要なことをもっともっと身につけて行きます。
ありがとうございました。
皆様のおかげで再び「御池岳」に来ることができました。 いつ訪れても素晴らしい山であれほどひどい目にあっても魅力には抗えませんです。
今夏よりの「遭難顛末記」により皆様に何か今までと違うことを感じていただければお役に立てたと思います。
コメントありがとうございました
コメントありがとうございます。
同行者のNさんは本当に親切な方でした。山岳ライターとして山登りと物書きを長年仕事にされてこられたというのは羨ましい限りです。
おっしゃるとおり ただ歩くのに勉強しなくてはならないですね、最もシンプルに見えることが最も複雑であったり奥が深かったりするものですね。
山歩きは 歩ける限り続けて行きたいです。
御池岳ではありがとうございました。当初は一人で行くつもりでした。天気もあまり良くないうえ、yuconさんも来られて多少心配しましたが、行ってよかったと言ってもらえたので、自分としてもうれしかったです。
yuconさんは1年半ぐらいのキャリアにもかかわらず、自分の力で山へ登ることに対して大変こだわっているように見えました。そして、登山をどこで勉強したかとたずねると、ほとんどネットの情報だけだと言いました。
登山は、ネットの情報だけではわからないこと、伝えられないことがたくさんあると思います。雑誌や本など活字媒体にしたって、それだけで理解できるものではなく、実際の体験を反すうしないとなかなか身に付くことではありませんね。
何かのご縁で知り合ったので、疑問点があったら聞いてください。
それではまた。
ライターNより
ついに行かれたんですね。
雪のある冬の御池岳をよく登ってこられました。
レコを読ませていただいて大変、勉強になりました。
私自身、落石事故にあって、痛い目にあって、はじめて山の怖さと、そして山に対して自分が知らなさすぎること、考えが甘すぎることを思い知らされました。
気づかせてもらって本当に良かったです。
HNAさんありがとうございます。
わざわざユーザー登録までされましたか !
「登山入門」毎日読んでます 。同行のお礼にヤマレコ内でもっと宣伝しておきます。
天候が少し良くなかったですが 大変心に残る「山行」を経験できました。
12/2も再びお越しいただけるとうかがいましたので大変楽しみにしておりますし僕の友達を是非紹介したいです。
通行止めだった所も何とかなりそうですので、お天気さえ何とかなれば多人数でのワイワイ賑やかな楽しい山行になると思います。
では!お楽しみに。
やっと表に出てこられましたね!
ここまで出れば山へはもう少し、あと一歩踏み出して下さい、きっといいことが待ってますよ 。
甘い訳ではありません、甘いことすら知らなかったのですから「知らないことすら、知らない」のです。
この状況を少しでも無くすためにじぶんが「知らない」事に気付き正しい知識を得て少しづつ経験を積んでいくことだと思います。
では、また!
PS 先日 monsieurさんとお会いしました(山ではなく街で) 。
初めてお会いしたのに話は尽きることなくドリンクバーをおかわりする時間も惜しんで4時間近く話し続けました 。とっても楽しかったです !
冬の御池岳はくれぐれも気を付けてくださいね
いよいよ雪の季節ですね !
どんな美しい姿で迎えてくれるのか楽しみですが 安全第一心掛けます 。
始めましてyosshyです。
いつも拍手を頂きありがとうございます。
本日までyuconさん遭難レコはタイトルだけ読んで
Nさんの話しとばかり思い込んでおりました。
今回のレコを読んでびっくりしているともに
遭難レコを全て一読させていただきました。
ほんとに生命の間をさまよわれていた状況がひしひし伝わり涙がでてきました。
まさかNさんを捜索されていた人が同じ山で遭難されるとは。
全く人ごとでは無いですね。
今まで私が遭難しなかったのも全く、たまたまであったように思います。
日々の装備チェック実施や基本的な登山技術もあらためて見直し、細長く学習していきたいと思います。
一度コンタクトを取りたいなと思いながら今日まで来てしまいました。
ご心配とご迷惑をかけて申し訳ございません。
みなさまのおかげでようやくここまで来ることができました。「生きているからこそ」の喜びをかみしめております。
私の遭難レコを知っていただいて、読んでいただいて、何かを感じていただければそれだけでいいんです。
yosshyさんにも何かを感じていただけたようでよかったです。
100%じゃないの?
その0.01%は何だっていうんですか?
また登り始めたみたいやけど、そんなこと言ってたらまた遭難するよ。
あなたを捜しにいってた者の一人です。
はじめまして。
yuconさんの遭難記録を見て登山を始めました。単なる山登りスポーツの側面だけであればあまり興味が沸かなかったのですが、安全な登山の為には登山計画を立てる事、地形をイメージして記憶しておく事、地形図と実際の地形のイメージ合わせ、すべてが合わさったものが「地図読み技術」なのだと気づいて、登山は奥深いのだと関心させられました。
色々なご意見ありますが、私にとっては新たな趣味と目標を持たせてくれた機会をいただきまして感謝しています。
ご訪問ありがとうございます。
感謝だなんてとんでもないです。私のブログがきっかけだなんてうれしいですね!(お恥かしい記録ですが・・)
登山は自分の持てる体力・知力・精神力・技術力などをフルに使用します、いわば人間の総合力を発揮する場だと思います。
同じ滋賀県にお住まいのようで どこかの山でお会いできるといいですね!
症状と相談して他人に迷惑かけない程度でがんばって。
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