初冬の神室連峰 小又山 (よっちゃん道を下山)
- GPS
- --:--
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 1,495m
- 下り
- 1,467m
コースタイム
天候 | 曇り後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
小又山への西ノ又コース(神室山への西ノ又コースとは異なります)はしっかり切り開かれています。最初に西ノ又沢を渡渉します。 下山に使ったよっちゃん道は、小又山〜火打岳稜線上の1071mビーク付近から南東へ権現山に向かって延びる尾根上に切り開かれた道。下り初めは痩せた急斜面で要注意。その後平坦になると笹薮がうるさくなりますが、テープがこまめに付けられています。西ノ又沢が近くなるとロープにつかまりながら下りる急斜面です。沢に降り立つと、右岸沿いに付けられた道を500m程で駐車地です。 |
写真
感想
神室連峰小又山。名前は凡庸だが神室山や火打岳から眺めるその姿は端整で美しい。今年はまだ頂に立てずじまいだった。その姿を思うと登りたいという気持ちがつのる。だが山はすでに雪の季節、チャンスは一度あるかないかだろう。3連休最終日、なんとか冬型は緩みそうだが寒気はどうだろう、抜けてほしいのだが。
未明、秋田県内は小雪が舞っていたが、山形県最上町に入ると秋に歩いた大尺山から八森山への稜線がきれいに見える。雪で小又山頂まで届かなくても少しでも近付けたらと思っていたが、予想より積雪は少ないようだ。
小又山への西ノ又コースは、西ノ又沢の渡渉から始まる。長靴にロングスパッツで問題ない。赤倉又沢の右岸沿いの隧道をしばらく登り、登山道に入るとまもなく、杉林の中に一合目の標識がある。ここから左手へつづら折りの急斜面をゆっくり登る。今日はスパイク付き長靴ではなく、ホームセンターで買った滑りにくいという長靴だが、雪の斜面でもいいようだ(ただ、落ち葉の積もった急斜面の下りではスパ長に軍配)。このコースはほど良く切り開かれており、適度に踏み込まれて、昨年初めて歩いた時は掘られていないフラットな道に感動した。
尾根に上がると目指す小又山、そして左手には火打岳が梢の間から見える。五合目を過ぎたあたりでワカンを着けた。雪は少し硬くなっていて、時々沈み込むものの、比較的歩き易い。
山頂直下の登りにかかると、次第にガスに包まれるが、灌木に付いた霧氷がきれいだ。まるで結婚式での新郎新婦退場時に参列者同志が手を上に上げてトンネルを作るがごとく、山頂へと導いてくれる。そして時折、頭の上に手荒い霧氷シャワーをかけてくる。やがて風もなく静かな小又山の頂に立った。
何も見えないので、そのまま火打岳への主脈縦走路を辿ることにした。かすかに小さな尾根が見え、30m程下りてみる。だがどうも尾根が細すぎるし、灌木が密で縦走路らしくない。一旦山頂へ戻っておにぎりを食べながらお茶を飲む。今度は一つ左手の尾根を下りていくが、傾斜が次第にきつくなって落ち込んでいくようだ。これは明らかに違うと、少し戻って最初の小さな尾根にもう一度移るが、下りていくと右前方から、かすかに沢の音が聞こえるようだ。右手は土内川水系だろうと判断し(間違った決めつけ)、再び登り返して、今度は落ち込む尾根よりもさらに南側へトラバースする。すると、自分が登ってきた時の足跡があった。このまま下山してもいいが、時間はあるから迷わず再挑戦、三たび最初の細い尾根に移り、下っていく。
尾根が少し幅広くなったところで下界から雲が晴れてきた。やはり自分が今立っているのは、主脈ではないようだ。地図を見ると、このまま尾根を下ることはできそうだが、問題は西ノ又沢に下りてからだ。仕方ない、もう一度上に戻ろうと顔を上げると、主稜線にかかっていた雲が次第に薄くなってきて、火打岳まで見えてきた。主稜線とこの尾根の間は岩盤に近い急斜面、とてもトラバースは無理だから、喘ぎ喘ぎ上へ登り返す。こんなバカなことができるのも、風もなく穏やかで、何より雪面がワカン歩行に適した状態だからだ。山頂で慎重に下り口を探す作業を怠けた結果だ。山頂からの写真でわかるように、主脈縦走路は足元からはっきりとわかる。道はこっち側にあるだろうと、勝手に自分の頭の中にバイアスがかかっていたようだ。
改めて山頂に立と、眼前には雄大な光景が広がった。波うつ稜線の向こうに主峰神室山が圧倒的な存在感を見せている。山頂直下でウロウロし、喘ぎながらまた登ってきた自分に神様が御褒美をくれたんだ・・などと、自分のバカさ加減は脇に置いて調子よく感激する。
火打岳への縦走路を下りて行きながら、何度も立ち止まって晴れ渡った神室連峰の山々を眺める。さっきのウロウロで体力を使い、雪は腐り加減だが、ほとんど下り気味だから楽だ。1071m点の東側ピークが、よっちゃん道への分岐、細い尾根上に忠実に道は切り開かれている。刈払いはあまりされておらず、道も踏み込まれてはいないと思われる。ただ灌木は切られているので、下りに使うのなら重宝するルートだ。途中のピークで、今日登ってきたと思われる足跡があった。なるほどここは、小又山から火打岳・大尺山にかけての主稜線が見渡せる展望スボットだ。この人は晴れ渡った稜線を眺めることができただろうか。
よっちゃん道の最後は、神室お決まりの五葉松の混じった急斜面降下。暗くなりかけた林の向こうに、淡い色を映した小又山が見えた。今日も充実の山歩きができたことに感謝、神室の山々に感謝である。
コメント
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すばらしい眺めをありがとうございました。
そちらでは、早くもわかんが活躍しているのですね!
スパ長靴、知りませんでした。ちょっと調べてみます。東京でだって手に入るはずでしょうから・・・
いやいや、いつもドラマチックだな〜
去年に続き初冬の神室は、最高峰の小又山でしたか
仕事が終わった午後3時ごろ、うちの近くのちょっと高いところから山を眺めてました。栗駒と虎毛がきれいに見えていて、神室山の頭が白く覗いてた。誰か登ってるかなって眺めてました。kamadamさん、歩いてたんだね…tooleさんも
山頂でのロストと、二度目の山頂での大展望、これも神様の配合でしょう。kamadamさんの執念に神様、根負けしたんじゃない 美しき白き峰々
神室連峰も、今週末の雪でどんどんハードル高くなりますね うーん
ワカン大活躍でした いつもはスパイク付きの長靴なのですが、結構ピンが抜けたり、曲がったりするので、あんまり持ちはよくありません。知らぬ間に山の中にピンを落としていることは、ゴミを捨てているのと一緒じゃないかと思って、気にしておりました。
今回はダンロップ製の、スパイクの付いていない長靴を買って試してみたのですよ。スパイクタイヤからスタッドレスタイヤに変えたという感じです 雪の上ではOKでしたが、急斜面の下りではやっぱり滑りました。
凍結している岩場なんかではどうでしょうね。私はそんな山はそもそも歩けないので行きませんが・・
神様の配合・・・そう思いたいです 雲がとれるまで山頂で待っていたことにすれば恰好がつきますがね
小又山頂下のウロウロについては、自分なりにこれからも考察しなきゃな・・と思っています。
ガスっている中でも、道は見えていたはずですから。
この尾根かもしれない・・この尾根じゃないかな・・この尾根であってほしい・・
それが「この尾根に違いない」となったら、やばかったと思います。
今週末も強い冬型のようですね。私は行けてホントにラッキーでした
おそらく神室のどこかを歩いていらっしゃるのだろうと思っていましたが、まさか小又山とは思いませんでした
そうでした!よっちゃん新道があったのですね
地図にはない登山道ですね。
こんな誰も知らないルートを歩かれるkamadamさんはさすがです!
そして神室は奥が深いですね
kamadamさんと稜線でお会いしたかったですよ
そうですね、火打に立った時に晴れていたら、きっとtooleさんなら小又山へ向かったことでしょう。そうしたら他には誰もいない稜線上でバッタリ!なんてことになったでしょうね
よっちゃん新道は昨年小又山へ初めて登った時に、初対面のkiyoshiさんに教えていただいたのですよ。重宝するルートだと思いますが、登りではちょっと遠慮したい・・tooleさんならOK?
大展望を私に見せてくれたのは、神様のお情けだと思っています tooleさんはこれから何十回も見る景色ですね
白い神室連峰、とっても素晴らしいです。
目の保養になりましたよ
いつか冬の神室を間近に見てみたいです。
雪の主稜線に立つのは私の技量では難しいですので、せめてどこかで真っ白な山脈を眺めることができればと思っています。
あ、もちろん麓からではありませんよ
ルーファイが難しい季節になりましたね。私も気をつけないと
小又山〜火打岳〜大尺山の展望スポットとして、よっちゃん道途中のピークは最適な所では と思いましたよ。火打の切れ落ちた東面は迫力がありました。晴れた日に限りますが、出だしの500m程の沢沿いの雪崩の危険を避けることができたら、残雪期もいいのではないかと思います。権現山から辿るのはかなり長くなりますし。でも途中まで登ったら、主稜線に立ちたくなるでしょうね
モッケさんが考えておられるのは、虎毛からでしょうか それとも、いつも晴れ男本領発揮という鳥海山からでしょうか?
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