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Yamareco

記録ID: 2585207
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
剱・立山

毛勝山(西北尾根登山口より往復)

2020年09月21日(月) [日帰り]
 - 拍手
体力度
5
1泊以上が適当
GPS
12:03
距離
12.7km
登り
1,820m
下り
1,817m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
11:29
休憩
0:33
合計
12:02
3:09
3:10
156
5:46
5:46
130
7:56
8:00
38
8:38
8:38
53
9:31
9:57
41
10:38
10:38
38
11:16
11:16
104
13:00
13:02
120
15:02
15:02
4
天候 雨のち曇り
過去天気図(気象庁) 2020年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
北陸自動車道(魚津IC)〜県道52号線〜県道132号線
※ 最後の3kmほどはダート
コース状況/
危険箇所等
■登山口駐車場〜モモアセ山
駐車場から橋を渡って右に進み、ロープを乗り越えて車道を進む。車道はU字を描いて進み、再びカーブするところにある登山口から登山道に入る。最初ば緩やかにスタートするが、すぐに十数ヶ所のお助けロープの現れる急坂を登る。1時間ほどすると緩やかになる。1274Pの手前で急坂になるが、再び緩やかに登る。尾根道は根が張り巡らされており、歩きにくい。尾根道はアップダウンを繰り返しながら、最後に急坂になり、1479Pに出る。再びアップダウンを繰り返しながら、尾根を登り、所々尾根を巻いて進み、モモアセ山(標識なし)に達する。

■モモアセ山〜山頂
モモアセ山から尾根の急登をこなし、そのまま尾根を進む。尾根を巻いてガレ場の直登の後、4度トラバース気味に登っていく。ガレ場の急登をこなし、登山道が平坦になるとクワガタ池に出る。クワガタ池からほ稜線を登り、高度上げていく。山頂部はガレた道を直登していく。いったん水平になるが、また直登する。直登が終わると右に緩やかに登り、山頂に達する。
その他周辺情報 満天の湯魚津店 ¥750
長丁場が予想されるので3:00過ぎに出発。この橋を渡って登山口へと向かいます。
2020年09月21日 03:07撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 3:07
長丁場が予想されるので3:00過ぎに出発。この橋を渡って登山口へと向かいます。
車道をU字に進み、この標識から登山道に入ります。
2020年09月21日 03:14撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 3:14
車道をU字に進み、この標識から登山道に入ります。
暗くて何だかわからないでしょうが、登山口からすぐに急登が始まり、お助けロープが多数現れます。1時間くらいはこういう状態が続きます。おまけに雨が降り始めました。
2020年09月21日 03:31撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 3:31
暗くて何だかわからないでしょうが、登山口からすぐに急登が始まり、お助けロープが多数現れます。1時間くらいはこういう状態が続きます。おまけに雨が降り始めました。
登り始めて1時間ほどすると先ほどより緩やかな尾根道を進むようになりますが、根が張り出してとても歩きにくいです。これなんて全て根っこ。これを登ります。
2020年09月21日 05:32撮影 by  DSC-RX100, SONY
1
9/21 5:32
登り始めて1時間ほどすると先ほどより緩やかな尾根道を進むようになりますが、根が張り出してとても歩きにくいです。これなんて全て根っこ。これを登ります。
油断しているとお助けロープ付きの急坂も現れます。雨が降り、しかも誰にも会わずで、心が折れそうになります。
2020年09月21日 05:37撮影 by  DSC-RX100, SONY
1
9/21 5:37
油断しているとお助けロープ付きの急坂も現れます。雨が降り、しかも誰にも会わずで、心が折れそうになります。
先ほどの急坂を登ると1479Pでした。ひっそりと奥に三角点がありました。とりあえずモモアセ山までは頑張ってみようと思いました。
2020年09月21日 05:46撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 5:46
先ほどの急坂を登ると1479Pでした。ひっそりと奥に三角点がありました。とりあえずモモアセ山までは頑張ってみようと思いました。
とはいえ根の張り出た尾根道は続きます。
2020年09月21日 06:09撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 6:09
とはいえ根の張り出た尾根道は続きます。
アップダウンも微妙にあって体力を奪われます。
2020年09月21日 06:10撮影 by  DSC-RX100, SONY
1
9/21 6:10
アップダウンも微妙にあって体力を奪われます。
大岩に育つ樹木のたくましさ。見習いたい。
2020年09月21日 06:42撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 6:42
大岩に育つ樹木のたくましさ。見習いたい。
イワショウブがまだ咲いていました。
2020年09月21日 06:44撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 6:44
イワショウブがまだ咲いていました。
小さな秋を見つけました。
2020年09月21日 06:45撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 6:45
小さな秋を見つけました。
足場がなくて腕力で上がらなくてはなりません。
2020年09月21日 06:48撮影 by  DSC-RX100, SONY
1
9/21 6:48
足場がなくて腕力で上がらなくてはなりません。
ここにも小さな秋
2020年09月21日 06:53撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 6:53
ここにも小さな秋
こんなところも通ったり
2020年09月21日 06:59撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 6:59
こんなところも通ったり
モモアセ山は標識もなく通り過ぎ、池塘が現れ始めました。
2020年09月21日 07:27撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 7:27
モモアセ山は標識もなく通り過ぎ、池塘が現れ始めました。
とは言え傾斜の急な沢状の道を登ったりします。
2020年09月21日 07:34撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 7:34
とは言え傾斜の急な沢状の道を登ったりします。
こんな感じで尾根を巻きながらトラバース気味に登る道が繰り返します。
2020年09月21日 07:37撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 7:37
こんな感じで尾根を巻きながらトラバース気味に登る道が繰り返します。
先ほどよりは大きな池塘
2020年09月21日 07:40撮影 by  iPhone 11, Apple
9/21 7:40
先ほどよりは大きな池塘
先ほどと同様にトラバースして登る。
2020年09月21日 07:47撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 7:47
先ほどと同様にトラバースして登る。
ここも同様です。
2020年09月21日 07:52撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 7:52
ここも同様です。
ここにも池塘
2020年09月21日 07:56撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 7:56
ここにも池塘
一瞬ガスがとれて御大がちらり
2020年09月21日 08:01撮影 by  iPhone 11, Apple
1
9/21 8:01
一瞬ガスがとれて御大がちらり
イワイチョウの葉が黄色くなっていました。
2020年09月21日 08:18撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 8:18
イワイチョウの葉が黄色くなっていました。
お助けロープ付きの急坂がここでも現れました。お助けロープ付きの急坂は毛勝山では普通ですね。
2020年09月21日 08:27撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 8:27
お助けロープ付きの急坂がここでも現れました。お助けロープ付きの急坂は毛勝山では普通ですね。
おや青空が.....
2020年09月21日 08:32撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 8:32
おや青空が.....
おお〜、御大が姿を現しました。これが見たかったんです。
2020年09月21日 08:32撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 8:32
おお〜、御大が姿を現しました。これが見たかったんです。
ここを登り上げると
2020年09月21日 08:36撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 8:36
ここを登り上げると
クワガタ池です!これをぜひ上から見てみたい。果たして叶うか?
2020年09月21日 08:37撮影 by  iPhone 11, Apple
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9/21 8:37
クワガタ池です!これをぜひ上から見てみたい。果たして叶うか?
少し離れてクワガタ池を振り返って。ややガスっていますが、クワガタの形に見えますね。
2020年09月21日 08:39撮影 by  iPhone 11, Apple
9/21 8:39
少し離れてクワガタ池を振り返って。ややガスっていますが、クワガタの形に見えますね。
この巨岩も毛勝山らしい
2020年09月21日 08:46撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 8:46
この巨岩も毛勝山らしい
御大はまたガスに隠れてしまった。
2020年09月21日 08:48撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 8:48
御大はまたガスに隠れてしまった。
高度を上げていき山頂部を目指します。
2020年09月21日 08:54撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 8:54
高度を上げていき山頂部を目指します。
でかい。しかもこれを直登する模様。
2020年09月21日 08:56撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 8:56
でかい。しかもこれを直登する模様。
やはりクワガタに見えますね。上からクワガタ池を見ることができ嬉しい。
2020年09月21日 09:01撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:01
やはりクワガタに見えますね。上からクワガタ池を見ることができ嬉しい。
歩いてきた道とクワガタ池
2020年09月21日 09:03撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:03
歩いてきた道とクワガタ池
もう一度アップ
2020年09月21日 09:03撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:03
もう一度アップ
雲の上から白馬岳が
2020年09月21日 09:07撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:07
雲の上から白馬岳が
これは五竜かな?
2020年09月21日 09:08撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:08
これは五竜かな?
山頂に向けて手も使いながら直登していきます。
2020年09月21日 09:08撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 9:08
山頂に向けて手も使いながら直登していきます。
石を落とさないよう気を遣います。
2020年09月21日 09:20撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 9:20
石を落とさないよう気を遣います。
何度も立ち止まりながらようやくここまで来ました。ここを登ると.....
2020年09月21日 09:28撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 9:28
何度も立ち止まりながらようやくここまで来ました。ここを登ると.....
この右上が山頂なのか?
2020年09月21日 09:34撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 9:34
この右上が山頂なのか?
山頂でした。先行者がいます。この方とは「きつかった」という点で完全に一致しました。
2020年09月21日 09:34撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:34
山頂でした。先行者がいます。この方とは「きつかった」という点で完全に一致しました。
まずは三角点に挨拶
2020年09月21日 09:35撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:35
まずは三角点に挨拶
毛勝山山頂に到着です。正直笊ヶ岳よりきつかった。
2020年09月21日 09:32撮影 by  iPhone 11, Apple
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9/21 9:32
毛勝山山頂に到着です。正直笊ヶ岳よりきつかった。
山頂標の後ろには、何と見たかった裏剱が!
2020年09月21日 09:32撮影 by  iPhone 11, Apple
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9/21 9:32
山頂標の後ろには、何と見たかった裏剱が!
他は立山がわずかに見えるだけですが、見たかった裏剱が見られて満足。
2020年09月21日 09:38撮影 by  iPhone 11, Apple
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9/21 9:38
他は立山がわずかに見えるだけですが、見たかった裏剱が見られて満足。
昼食を食べて、後続者が来たので山頂をお譲りします。この後、続々と登ってきました。
2020年09月21日 09:58撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 9:58
昼食を食べて、後続者が来たので山頂をお譲りします。この後、続々と登ってきました。
今度は無数にある急坂を転ばずに下れるか不安です。再び雲が湧いてきました。
2020年09月21日 10:06撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 10:06
今度は無数にある急坂を転ばずに下れるか不安です。再び雲が湧いてきました。
写真の具合で平坦に見えますが、実はすごい急坂です。石を落とさないようにとても気を遣いました。
2020年09月21日 10:18撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 10:18
写真の具合で平坦に見えますが、実はすごい急坂です。石を落とさないようにとても気を遣いました。
岩の点在する下山路はトムラウシを思い出す。
2020年09月21日 10:24撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 10:24
岩の点在する下山路はトムラウシを思い出す。
チングルマの果穂が残っていました。最盛期にはこの辺りはすごいんだろうな。
2020年09月21日 10:40撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 10:40
チングルマの果穂が残っていました。最盛期にはこの辺りはすごいんだろうな。
ガスが段々と濃くなり、クワガタ池もこの通り。
2020年09月21日 10:41撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 10:41
ガスが段々と濃くなり、クワガタ池もこの通り。
池塘道もこの通り
2020年09月21日 11:24撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 11:24
池塘道もこの通り
ガスが濃くなり池塘も見えにくくなりました。
2020年09月21日 11:27撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 11:27
ガスが濃くなり池塘も見えにくくなりました。
下ってトラバース、このパターンの道が繰り返されます。
2020年09月21日 11:31撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 11:31
下ってトラバース、このパターンの道が繰り返されます。
ここもそうですがほとんど見えませんね。
2020年09月21日 11:40撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 11:40
ここもそうですがほとんど見えませんね。
尾根伝いの道。晴れていたら気持ちよかっただろうな。
2020年09月21日 12:11撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 12:11
尾根伝いの道。晴れていたら気持ちよかっただろうな。
段々先が見通せなくなってきました。
2020年09月21日 12:20撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 12:20
段々先が見通せなくなってきました。
白い巨木。このガスの雰囲気に合います。
2020年09月21日 12:33撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 12:33
白い巨木。このガスの雰囲気に合います。
この先がもしかして1479Pかな?
2020年09月21日 12:55撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 12:55
この先がもしかして1479Pかな?
1479Pでした。
2020年09月21日 13:04撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 13:04
1479Pでした。
こういうのを乗り越えるのは体力を消耗します。
2020年09月21日 13:21撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 13:21
こういうのを乗り越えるのは体力を消耗します。
尾根道に入ると張り出した根も多いのですが、立派な杉の巨木も多く見られます。
2020年09月21日 13:25撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 13:25
尾根道に入ると張り出した根も多いのですが、立派な杉の巨木も多く見られます。
これは一体どうやって生えているのか?
2020年09月21日 13:26撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 13:26
これは一体どうやって生えているのか?
枝が下向きに伸びている巨木
2020年09月21日 14:09撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 14:09
枝が下向きに伸びている巨木
ひたすら根に足をとられないように慎重に下ってきましたが、今度はお助けロープの急坂です。
2020年09月21日 14:27撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 14:27
ひたすら根に足をとられないように慎重に下ってきましたが、今度はお助けロープの急坂です。
アキギリ?
2020年09月21日 14:45撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 14:45
アキギリ?
写真では高度感が出ませんが、この延々と続くロープ。
2020年09月21日 14:52撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 14:52
写真では高度感が出ませんが、この延々と続くロープ。
車道が見える!もしかして?
2020年09月21日 15:05撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 15:05
車道が見える!もしかして?
登山口まで戻ってきました。足はフラフラ。もはやゾンビです。
2020年09月21日 15:05撮影 by  DSC-RX100, SONY
1
9/21 15:05
登山口まで戻ってきました。足はフラフラ。もはやゾンビです。
朝渡った橋が見えてきました。
2020年09月21日 15:09撮影 by  DSC-RX100, SONY
9/21 15:09
朝渡った橋が見えてきました。
ゴールインです。正直これまで登った山の中で一番きつかった気がします。無事に暗くなる前に戻ってこられてよかった。
2020年09月21日 15:10撮影 by  DSC-RX100, SONY
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9/21 15:10
ゴールインです。正直これまで登った山の中で一番きつかった気がします。無事に暗くなる前に戻ってこられてよかった。

感想

北陸遠征第2弾は富山の名峰毛勝山。北アルプスや北陸の山に登ると剱岳の近くに鎮座する妙に存在感のある山。コースとなっている西北尾根は標高差1800mのきつい尾根として知られ、笊ヶ岳、オプタテシケ山に続き、今年自分を試す登山となりました。

前日のうちに登山口に入り、翌日に備えることにしました。数少ない駐車スペースをゲットしましたが、意外に傾いており、車中泊に苦労しました。しばらくすると続々と登山者が帰ってきましたが、皆さん一様にゾンビのように生気なく歩いていました。翌日その意味を知ることになりました。

遅れてもヘッデンになることを避けるため、思い切って3時に出発することにしました。一度2:00に目が覚め、まだ時間があると思っていたら、次の瞬間、時計を見ると既に2:45。慌てて飛び起き、支度をして、3時過ぎに出発しました。登山口までは前日に確認済みだったのでスムーズにたどり着けました。

登山口からすぐにお助けロープの下がったものすごい急登が始まりました。先月の有明山の急坂に匹敵、いやそれ以上の坂でした。お助けロープは下山時に数えたら14本ぶら下がっていました。とにかく次から次に急坂が立ちはだかります。おまけに天クラA予報なのに雨がシトシトと降り始めました。またこのシルバーウィークは気温が下がると聞いていたので秋冬向けのウェアを着ていたところ、レインの重ね着でとても蒸し暑く、体力を奪われました。

1時間ほどで急坂は終わりを告げましたが、その後の尾根道は無数に根が張り出しており、微妙にアップダウンもあるので、ますます体力を奪われていきました。地図には1274Pの印がありますが、全くどこがそれか分からず、気がつくと通り過ぎていました。次の1479Pは見落とすまいと思い、気をつけていましたが、ようやく夜が白んできたころ、リボンの付いた木の奥にひっそりと立つ三角点を見つけました。ここまで3時間弱、雨の中、誰にも会わず、とても山頂までたどり着ける気がしませんでした。ダメならモモアセ山で折り返そう、と自分と会話をしながら、再び進み始めました。やがて鳥のさえずりが聞こえるようになり、雨があがったことを確信しました。

ガスガスの中、アップダウンと木の根に苦しめられながら進んでいると、1人、また1人と健脚の登山者が抜いて行きました。自分1人ではないことが分かりホッとしました。同じようなピークらしきものが続くようになり、モモアセ山はまだか、着いたら大休憩してその後を考えようと思いながら、行けども行けどもそれらしい標識は見当たりません。モモアセ山は一体どこだろうと地図を見るとモモアセ山を指していました。拍子抜けをすると同時に、クワガタ池まで頑張ろうという気になりました。

やがて池塘が現れ、ややガレた道をトラバース気味に登っていくようになりました。ふと周囲が明るくなると眼前に巨大な山容がガスの中から出たり入ったりしていました。山頂への登りは直登一本槍で厳しそうでした。ガレ場の急坂を登ると忽然とクワガタ池が姿を現しました。ここまで来ると願わくばクワガタ池を上から見てみたい。山頂部に取り付きながら後ろを振り返ると、最初はガスが薄くかかっていましたが、そのうちに完全にとれ、そのユニークな姿をはっきりと確認することができました。

山頂部の登攀はガレ場の直登で試練でした。落石を起こさないように気をつけながら、手も使って登るのですが、あまりに傾斜が急なので息が切れなかなか進めません。もくもく湧いた雲からは白馬岳が頭を覗かせていました。早くも下山する人とすれ違いました。この方は毛勝山を3時間で登るそうで足袋の足で軽やかに下っていきました。亀のような歩みながら足を動かしていればいつかは終わると信じて直登に耐えました。やったのことで上まで来ると後は右に緩やかに登るだけ。6時間半の苦闘の末に毛勝山山頂にたどり着きました。正直先日登った笊ヶ岳よりキツかったです。

山頂にはもう一方。お互いに写真を撮り合い、少しお話ししました。山頂の周りにはもくもくと雲が湧いており、登りに見えた白馬岳は見えなくなっていました。山頂標の後ろにはギザギザの山が!楽しみにしていた裏剱でした。他の山は雲で覆われて見えなくなっているのに剱岳だけが頭を覗かせていました。巨大な山容といい、クワガタ池といい、裏剱といい、見たかったものだけをピンポイントで見せてくれるという幸運。惨めで辛かったモモアセ山までの記憶は吹き飛びました。

問題は下山。ガレ場の急坂、根の張り出した尾根、ロープの急坂などなど、どれも滑りやすい難所ばかり。下山が苦手で人一倍時間がかかるので、無事に下山できるのか、暗くなる前に下山できるのか不安になりました。すれ違う人に3時に出発したと言うと一様に驚かれましたが、下山が苦手だからそうせざるを得なかっただけで、頑張っているわけでもなんでもない。慎重に慎重に山頂からガレ場の急坂を下っていると再び辺りはガスに包まれ、その後ガスはとれることはありませんでした。まるで僕(と何人か)のために2時間ほどだけカーテンを開けてくれたみたいでした。

下山では滑らないよう最新の注意を払いながら下りましたが、それでも2度ほど何でもない木の根で滑って転びました。途中から両足の小指が痛くなりましたが、横を向いたり、後ろを向いたりしながら、急坂を下りて行きました。池塘地帯で背中がチクッとしました。背中からインナーがはみ出ていたので整えました。そのとき何か硬いものに触れたので、捕ってみたらダニのようでした。毛勝山のレコでダニが付着していたというのがあったことを思い出しました。後で背中を見てみましたがそれらしい跡はなく、痛くも痒くもならないけど大丈夫かな??下山開始から5時間、林道が見えた頃には足はガクガク。ゾンビになっていました。前日に見かけた登山者たちの仲間入りです。

笊ヶ岳に登れたらどんな山でも登れると思っていましたが、上には上がありました。キツくて辛かった毛勝山でしたが、見事な山容、上からのクワガタ池、山頂からの裏剱と、ガスの中、奇跡的に見たいものを見せてもらえました。一生忘れることのできない山となりました。

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コメント

私もクワガタ見たい。。
お久しぶりです。昨秋ガッスガスの冠山で一緒になりました。
霧の中スタートからのすごい晴天、クワガタも見られて夢のような展開でしたね。これだけ長丁場で全行程霧だったらと思うとゾッとします^-^;
時間もレベルもぜんぜん違いますが、おかげさまでこちらもあの時のリベンジでようやく霧の晴れる瞬間に立ち会えました!
2020/9/23 17:18
Re: 私もクワガタ見たい。。
お久しぶりです。その節はガスガスで下山後晴れるという展開でしたね。今回はスタート直後から雨に降られていたので、期待値が、ガスの中でもクワガタ池を見られればいいや、くらいに下がっていましたから、奇跡のような展開に感激しました。冠山もついに、ですね。お互いにガスが晴れて良かったですね。
2020/9/23 20:13
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無雪期ピークハント/縦走 北陸 [日帰り]
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