記録ID: 269510
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雪山ハイキング
近畿
【とんがり山幻想】 西寺山(凍れる無名滝)〜とんがり山 午後の縦走(兵庫県篠山市)
2013年02月10日(日) [日帰り]
- GPS
- 05:37
- 距離
- 5.8km
- 登り
- 652m
- 下り
- 650m
コースタイム
13:10 井根口池(四斗谷集落手前)
13:13 墓地
14:28 無名滝(1時間撮影)
15:11 西寺山稜線
15:29 西寺山手前東ピーク(昼食)
15:59 西寺山山頂「三等三角点」見晴らしなし
16:52 四つ辻(四斗谷〜黒谷の峠)
17:36 とんがり山(620m)山頂
18:25 薬師堂 四斗谷集落
18:47 井根口池
13:13 墓地
14:28 無名滝(1時間撮影)
15:11 西寺山稜線
15:29 西寺山手前東ピーク(昼食)
15:59 西寺山山頂「三等三角点」見晴らしなし
16:52 四つ辻(四斗谷〜黒谷の峠)
17:36 とんがり山(620m)山頂
18:25 薬師堂 四斗谷集落
18:47 井根口池
天候 | 晴れているが、当然ながら曇る瞬間がある。 夕焼けあり。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【午後の陽光】 午後1時過ぎ、井根口池からながむるとんがり山の山稜は、淡い冬日の戯れの向こうにゆっくりとその優しい裾野を右肩下がり池の彼方に落としている...。 いつどこかで見た記憶が、関連性のないシーンが呼び覚ますことはしばしば経験することである。この光景が、一体何を想起したのかすら判然としないままに、それが何らかの過去の温和なある場面に回帰する可能性を秘めていることを断片的に連想させることだけが明らかにされた。 一方、井根口池の彼方に見え隠れする小さな屋根たちの一群は、日本のささやかな「家庭」のひとつのあり方を示していた。この自然と人の営みの組み合わせの比率は、きわめて理想的なものである。と同時にいかんともしがたい実効性を権化させているように定着してはばからない。さらには、このたった一本の程よい里へとつながる舗装路の幅こそが、「日本」とういう民族のあり方と平和と懐柔を象徴していた。さらには、この人工的である針葉樹とその隙間にしめやかに築かれたあまりにちっぽけな墓地の様相と陰翳は、同時に日本という社会の中での死者の位置づけを見事に顕して佇み続けているのである。 私は、冬日を返す湿った墓地の傍らの細道を山へ帰っていく。山は、行く場所ではない。あきらかに帰る場所なのだ。人は海から来て山へ帰る。 地図のない山行である。およそ長年の山行で、山相を見れば、山頂へ至る道であるかいなかのおおよその見当はつく。左手にバブル時代の朽ちた別荘地の名残があり、どこの別荘地にも見られるような、取り残された一軒が荒廃の匂いの中に異様な姿を晒している。日常の営みの肥大がそのまま建物に具現化された様相である。それを左に見ながら、比較的開けてはいるが、訪問者の少ない谷筋を遡る。正面には目前に立ちはだかる冬枯れの山肌。クヌギ、コナラ、赤松の多い山。枯れた谷。かまわず突き進むが、道は判然としない。谷の狭くなっていく果てを目指す。 【凍れる無名滝】 谷は、時に山道に変化し曲折、ついには一層狭まり、どこからともなく水音が聞える。ひと筋の流れが現れ、色のない谷に一輪、真っ赤な血のような椿がコロリ・・・。夜の冷気にさながら腐乱する水死体のような花びらの蠟の質感。夢中になり撮影。やがてひあたりの悪い谷はさらに幽谷の様相を呈し始めるとやがて小さな氷結の世界を開陳し始める。結晶という奴は、何ゆえに人の心を意図も簡単に射るのもなのか。あらゆる小さな”凝縮”は、大きな拡散を超えるものだ。 ミクロの世界は、さまざまに装い形を変え私たちを幻想へいざなう。やがて、ファインダーの彼方に終結の形が具現した! それは予期もしない巨岩の滝である。しかも、ひと筋の滝をしたたり落とす上部の一枚岩の岩盤には、磨崖仏まで掘られているではないか! 私は、ひどく興奮していた。丹波地方は古くより修験道の山が数多くあったが、この山もそうであったのか。人知れず修験者が潜むにふさわしい空気が形成されているのだ。私は、磨崖仏を近くで見ようと近づく。その瞬間、仏像は見事消えていた。ありもしない磨崖仏を神韻縹渺とした山の気が、束の間私に見せつけたのだ。 ひたすら、撮り続ける。とんがり山への周遊ルートの所要時間から、撮影時間は加算されておらない。それでもかまわず撮り続けた。ひとしきり、この谷への自身の昨日を確認した後、獣道へ付く。ここから西寺山への稜線〜山頂への道は近く遠い。山容が確認できない山の構造と小さな峰の輻輳が異様に心理的時間を拡大してみせる。馬の背の雑木の乾いた音は時に心地よく時に疎ましく、己の心情を見事に反映させる鏡の役割を担う。木の間がくれに見える山の名が判然としない。四斗谷を隔て向かいに見えるのが371.3mの名なき山。ピークと思えた場所で食事。後にそうではないと判明。 1時間の歩行にて到着した山頂は、至って平凡。三角点が山頂を示すが、展望の類はいっさいなく、さらにブッシュが茂り平凡この上なし。早々に通り過ぎると、当面下り道。北の斜面は淡い残雪。時に靴底が取られる。ピークから50分で四斗谷〜黒谷の峠道と交差。もはや夕暮れ、いざとなればこの道を下り里へ下りられることを確認。 とんがり山ピークには17:35、峠より約45分。ピーク直前にて落日。薄闇の中で見る山々。小さな祠が山頂であることを主張するばかり。滲むような朱の西の空の落日の名残は弱弱しく。世界はくすんだ青と灰色。薄明の残るうちに下界へ近づきたい。歩速をさらに早める。やがて闇が支配する。カメラのファインダーの光を頼りに山道を辿る。遠いイヌの遠吠え、虚し。 廃寺の祠に二基の灯篭が現れ、里が近いことを知らせる。やがて薬師堂が現れ、山行は終了。死んだような四斗谷の集落を川沿いに下り歩く。冬のオリオン座は、明快な構図を頭上に広げている。 |
写真
撮影機器:
感想
四斗谷は、異なった世界に存在する。
【冬の午後の西寺山〜トンガリ山 をさまよう】
マーラー 「さすらう若人の歌」 指揮ヴィルヘルム・フルトヴェングラー ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1951年録音
マーラー 大地の歌 指揮ブルーノ・ワルター Aキャスリーン・フェリア Tユリウス・パツァーク ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1952年5月15,16日録音
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