また山に行きたくなる。山の記録を楽しく共有できる。

Yamareco

記録ID: 2771089
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ハイキング
白馬・鹿島槍・五竜

湯俣へ野天ひとっ風呂(七倉山荘ピストン)

2020年11月29日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
7
1〜2泊以上が適当
GPS
08:44
距離
46.8km
登り
3,457m
下り
3,459m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
6:45
休憩
1:56
合計
8:41
8:17
0
8:17
8:19
63
9:26
9:30
37
10:27
10:27
19
10:46
10:48
46
11:34
11:35
22
11:57
12:41
25
13:06
13:07
41
13:48
14:40
82
16:02
16:03
1
16:04
16:11
46
16:57
16:57
1
16:58
GPSロガーで地点を取得していますが、渓谷沿いなのでところどころ地点が飛んでいます。実際の歩行距離は32km程度と推測されます。
天候 曇りのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2020年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
七倉ダム上部の七倉山荘前まで自家用車でアプローチするのが一般的。

[信濃大町駅から交通手段を使用する場合]
バス:大町市コミュニティバスの平(高瀬入方面)コースで主点のエネ博前下車、200円。そこから七倉ダムまで約9km。
https://www.city.omachi.nagano.jp/indexpage/indexpage030/indexpage034/index00022.html
(今年の時刻表)
https://www.city.omachi.nagano.jp/00003000/00042000/zikokuhyou/09%E9%AB%98%E7%80%AC%E5%85%A5%E6%99%82%E5%88%BB%E8%A1%A8.pdf
タクシー:乗り合いタクシー(事前予約制)で七倉ダムまで1人1900円。
https://kanko-omachi.gr.jp/access/bus-taxi/

[七倉ダムから高瀬ダム]
七倉山荘前のゲートから先は、
「自転車を含めて関係車両以外のすべての車両通行は禁止」
入口に監視カメラがあります。
移動手段は徒歩 or 指定のタクシーだけです。徒歩だと登りは1時間ちょっと、下りは1時間弱くらいと言ったところ。
タクシーは片道2400円、15分、4人まで。乗り合わせればそれなりに安いです。
期間によって運行時間が代わります。
今年は4/13〜11/3の間、つまりもう既に運行は終わっています。
https://kanko-omachi.gr.jp/access/bus-taxi/
コース状況/
危険箇所等
【湯俣周囲の図】
   |丸木橋撤去|↑
 △ |−−−−−|高
晴嵐荘|  高  |瀬
←竹村|  瀬  |ダ
   |  川  |ム
   | ___ |
  / / 鳥居\=\吊橋
 | |  _ ⛩| | 
 |湯| | | |水|
 |俣|♨|硫| |俣|
 |川|伊|黄| |川|
♨| |藤|尾|槍| |
 | |↓|根|↓| |

とにかく長いです。
が、一部今年の7月の台風による崩落はあるものの迂回路も造られており、際どい箇所はほぼありません。湯俣の晴嵐荘は既に冬じまいをし、山荘前の仮設丸木橋(赤い吊橋は同様に台風で流されました)も撤去されていて、ザイルが1本かかっているだけです。竹村新道へ行くには晴嵐荘を通らないといけないので、高瀬川の渡渉が必要です。

晴嵐荘前から地獄噴湯丘は伊藤新道なのでバリエーションです。
水俣川はよく揺れる古い吊橋を通って渡ることができますが、噴湯丘の前に行くには湯俣川の渡渉が必要です。流れは1年で最も水量が少ないと考察されるこの時期でも結構急。

今回は往復を通じて我々パーティと工事関係者以外は誰にもお会いしませんでした。
その他周辺情報 湯俣で入浴しても、結局帰りに長時間歩くので汗をかきます笑

葛温泉高瀬館で日帰り入浴可能です。
高瀬館の奥のゲートが11/30 10時から冬期通行止めに入り、以後は七倉山荘までの2.4kmも徒歩となります。
※ついでに赤岩尾根の大谷原も11/30から、扇沢も12/1から冬期通行止めです。
https://www.pref.nagano.lg.jp/omachiken/doro/documents/kisei01.pdf
予約できる山小屋
七倉山荘
七倉山荘前のタクシー待機は、今年は11月3日で終わっています。そうでなくても最初から七倉山荘から歩くつもりだったんですけどね。
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七倉山荘前のタクシー待機は、今年は11月3日で終わっています。そうでなくても最初から七倉山荘から歩くつもりだったんですけどね。
調べる人が多いと思うのですが、七倉山荘と高瀬ダムの間は、指定車両(自転車含む)以外は全て通行禁止。つまり、指定会社のタクシーを使う以外はここから歩くしかないということ。残念ながらチャリデポという技は七倉山荘までしか使えません。
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調べる人が多いと思うのですが、七倉山荘と高瀬ダムの間は、指定車両(自転車含む)以外は全て通行禁止。つまり、指定会社のタクシーを使う以外はここから歩くしかないということ。残念ながらチャリデポという技は七倉山荘までしか使えません。
最初のトンネルは真っ暗。8時-15時は灯りを消しているそう。というわけで、ライトは必携。
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最初のトンネルは真っ暗。8時-15時は灯りを消しているそう。というわけで、ライトは必携。
船窪小屋への登山口はトンネルのごく手前にあります。
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船窪小屋への登山口はトンネルのごく手前にあります。
1つ目のなが〜〜〜〜いトンネルを過ぎると、たまに見かけるお猿さん。割と人馴れしている様子ですがもちろん上高地のように近づいてはきません。
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1つ目のなが〜〜〜〜いトンネルを過ぎると、たまに見かけるお猿さん。割と人馴れしている様子ですがもちろん上高地のように近づいてはきません。
顔みたいな3つ管。
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顔みたいな3つ管。
高瀬ダムへのつづら折りの登り途中で。ダムの洪水吐は傾斜が45度位ありますね。。。そして晴れているとこの洪水吐の向こうに見える山は。。。(後の写真で改めて)
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高瀬ダムへのつづら折りの登り途中で。ダムの洪水吐は傾斜が45度位ありますね。。。そして晴れているとこの洪水吐の向こうに見える山は。。。(後の写真で改めて)
1時間ちょっとで高瀬ダムの上へ。タクシーなら15分ですけどね💦向こうのトンネルをくぐると北アルプス三大急登のトップ、ブナ立尾根へ。奥は不動岳、その左は烏帽子岳かな?
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1時間ちょっとで高瀬ダムの上へ。タクシーなら15分ですけどね💦向こうのトンネルをくぐると北アルプス三大急登のトップ、ブナ立尾根へ。奥は不動岳、その左は烏帽子岳かな?
昭和54年に造られた高瀬ダム。その前まではある程度整備されたルートがあり、昭和20年代頃は葛温泉までバスが通っていたそうです。高瀬ダム建造後に地質の変化があり、ルートが崩壊したことで登山者が激減、東京電力の観光ツアーバスが大震災前までは高瀬ダムまで通っていましたが、大震災後の事業整理でそれもなくなり、現在では以前にも増して静かな場所となりました。
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昭和54年に造られた高瀬ダム。その前まではある程度整備されたルートがあり、昭和20年代頃は葛温泉までバスが通っていたそうです。高瀬ダム建造後に地質の変化があり、ルートが崩壊したことで登山者が激減、東京電力の観光ツアーバスが大震災前までは高瀬ダムまで通っていましたが、大震災後の事業整理でそれもなくなり、現在では以前にも増して静かな場所となりました。
「槍ヶ岳」という標識はありますが、ここから槍ヶ岳へ登る人は極稀。
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「槍ヶ岳」という標識はありますが、ここから槍ヶ岳へ登る人は極稀。
ダムの東側に着けられた水平な路をひたすらひたすら歩いていきます。薄曇りの中の冠雪しつつある裏銀の山々。
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ダムの東側に着けられた水平な路をひたすらひたすら歩いていきます。薄曇りの中の冠雪しつつある裏銀の山々。
林道終点。ダム保全用の車両があり、ここまではダンプカーも入ります。
林道終点。ダム保全用の車両があり、ここまではダンプカーも入ります。
ここからは普通の水平な登山道。流石にスニーカーとかではキツイですね。
ここからは普通の水平な登山道。流石にスニーカーとかではキツイですね。
と言っても、古いながらもよく整備されています。多少崩落箇所はありますが、恐怖を感じるような箇所はありません。
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と言っても、古いながらもよく整備されています。多少崩落箇所はありますが、恐怖を感じるような箇所はありません。
名無避難小屋。すぐそばに「名無沢」という沢があることに由来する旧くからある避難小屋です。
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名無避難小屋。すぐそばに「名無沢」という沢があることに由来する旧くからある避難小屋です。
ダルマストーブ設置。燃やすものだけならいいのですが、割と新しいゴミもチラホラ。。。
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ダルマストーブ設置。燃やすものだけならいいのですが、割と新しいゴミもチラホラ。。。
ふすまを開けると畳敷き。
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ふすまを開けると畳敷き。
こんなところにまで手掘りのトンネル。
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こんなところにまで手掘りのトンネル。
高瀬川の源流が近づきますが川幅は広く、川保全用の重機が通る轍が所々にあります。
高瀬川の源流が近づきますが川幅は広く、川保全用の重機が通る轍が所々にあります。
唯一ちょっと崩れているところ。今年の7月の台風で崩れたようです。
唯一ちょっと崩れているところ。今年の7月の台風で崩れたようです。
七倉ダムから3時間あまりでようやく湯俣の晴嵐荘が見えてきました。
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七倉ダムから3時間あまりでようやく湯俣の晴嵐荘が見えてきました。
晴嵐荘への吊橋地点にある看板。すでに閉鎖されているので看板も倒されています。どっちみち冬の間に雪で押しつぶされるからなんでしょうね。
晴嵐荘への吊橋地点にある看板。すでに閉鎖されているので看板も倒されています。どっちみち冬の間に雪で押しつぶされるからなんでしょうね。
吊橋は今年の7月の台風で流されましたが、夏の間は丸木橋を仮設していました。既にそれも撤去され、完全に冬じまい。竹村新道へ行くには渡渉しなければなりません。
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吊橋は今年の7月の台風で流されましたが、夏の間は丸木橋を仮設していました。既にそれも撤去され、完全に冬じまい。竹村新道へ行くには渡渉しなければなりません。
水俣川にかかる吊橋。これは相当前からあるものですが未だ流されず残っています。
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水俣川にかかる吊橋。これは相当前からあるものですが未だ流されず残っています。
標識はありますがいずれもバリエーションであり気軽に足を伸ばせる場所ではありません。
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標識はありますがいずれもバリエーションであり気軽に足を伸ばせる場所ではありません。
水俣湯俣出合、硫黄尾根末端部にある山の神。硫黄尾根は自分の中では別世界。
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水俣湯俣出合、硫黄尾根末端部にある山の神。硫黄尾根は自分の中では別世界。
湯俣川方面に渡してあるロープ。ここから伊藤新道が始まります。硫黄尾根の赤い石はここまで伸びていることを伺わせます。
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湯俣川方面に渡してあるロープ。ここから伊藤新道が始まります。硫黄尾根の赤い石はここまで伸びていることを伺わせます。
まもなく上流側に噴煙が。
まもなく上流側に噴煙が。
モクモクして前も見えません。
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モクモクして前も見えません。
黒いのは全部熱湯。あちっ!というくらい熱いです。
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黒いのは全部熱湯。あちっ!というくらい熱いです。
天然記念物の噴湯丘。
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天然記念物の噴湯丘。
こういう源泉の噴出の積み重ねが噴湯丘になるわけですね。
こういう源泉の噴出の積み重ねが噴湯丘になるわけですね。
噴湯丘を間近に見ようと思いましたが、やはり渡渉が必要。
噴湯丘を間近に見ようと思いましたが、やはり渡渉が必要。
そこで一応ネオプレンを持参してトライしますが、膝上まで流れがあったので、濡れるのが嫌で諦め。この時期は流石に装備を濡らしたくないです。
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そこで一応ネオプレンを持参してトライしますが、膝上まで流れがあったので、濡れるのが嫌で諦め。この時期は流石に装備を濡らしたくないです。
さて、先に来た人が作ってくれていたのであろう野天があったので、ありがたく入ることに。
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さて、先に来た人が作ってくれていたのであろう野天があったので、ありがたく入ることに。
お見苦しくて恐縮です。寝転んでやっと身体が浸かるくらいの深さですが、源泉と河川の水とが混じってちょうどよい湯加減。最高。
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お見苦しくて恐縮です。寝転んでやっと身体が浸かるくらいの深さですが、源泉と河川の水とが混じってちょうどよい湯加減。最高。
結局1時間位のんびりしてしましました。湯上がりは猛烈に寒く、慌てて着替えます。そしてまだ昼飯も食ってないし帰りも15km以上あるので少し急ぎます。
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結局1時間位のんびりしてしましました。湯上がりは猛烈に寒く、慌てて着替えます。そしてまだ昼飯も食ってないし帰りも15km以上あるので少し急ぎます。
水俣川に架かる吊り橋は老朽化していて結構揺れます、という警告板ですが。。。
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水俣川に架かる吊り橋は老朽化していて結構揺れます、という警告板ですが。。。
見ての通り。こういうのに弱い人にはなかなかつらいかもしれません。
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見ての通り。こういうのに弱い人にはなかなかつらいかもしれません。
水俣川は普通の清水。昔の文献では左岸(上流から下流を見て左)に林道があったという記録がありますが、今では見る影もないただの河原。
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水俣川は普通の清水。昔の文献では左岸(上流から下流を見て左)に林道があったという記録がありますが、今では見る影もないただの河原。
一方の湯俣川は濁水。こちらもかつては左岸に伊藤新道がついていました。現在は復旧の動きがあるにはあるようで、三俣山荘から下って途中まではルートもある程度整備されているようです。
https://kumonodaira.net/route/all_mitsumata_E1.pdf
一方の湯俣川は濁水。こちらもかつては左岸に伊藤新道がついていました。現在は復旧の動きがあるにはあるようで、三俣山荘から下って途中まではルートもある程度整備されているようです。
https://kumonodaira.net/route/all_mitsumata_E1.pdf
さて、あまりに腹が減ったので名無避難小屋で昼飯です。先に手に入れたばかりの燕三条の4w1hでホットサンドと。。。
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さて、あまりに腹が減ったので名無避難小屋で昼飯です。先に手に入れたばかりの燕三条の4w1hでホットサンドと。。。
クラムチャウダーを作って食べます。はふはふ。
クラムチャウダーを作って食べます。はふはふ。
午後は天気が回復し、烏帽子や不動岳などの裏銀と後立山の境目あたりの静かな山が一望です。
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午後は天気が回復し、烏帽子や不動岳などの裏銀と後立山の境目あたりの静かな山が一望です。
裏烏帽子。
高瀬ダム第5発電所。ものすごい落差のチューブ管。この落差を利用して発電するという発想。昔の人の知恵です。
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高瀬ダム第5発電所。ものすごい落差のチューブ管。この落差を利用して発電するという発想。昔の人の知恵です。
東沢出合から餓鬼岳。出合からはダムの畔に降りられます。このルートで唯一餓鬼岳が見える場所です。
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東沢出合から餓鬼岳。出合からはダムの畔に降りられます。このルートで唯一餓鬼岳が見える場所です。
だんだん烏帽子や不動、船窪と言った山々が近くに見えるようになってきました。この時点で15時半過ぎ。とりあえず明るいうちに高瀬ダムまで行けばあとは舗装路です。
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だんだん烏帽子や不動、船窪と言った山々が近くに見えるようになってきました。この時点で15時半過ぎ。とりあえず明るいうちに高瀬ダムまで行けばあとは舗装路です。
16時に高瀬ダム着。右岸(上流から下流を見て右)側にある洪水吐、まるでスキージャンプ台のよう。放水口に流木が詰まっていますが、放流の時にはまとめて流れていくんでしょうか。。。
16時に高瀬ダム着。右岸(上流から下流を見て右)側にある洪水吐、まるでスキージャンプ台のよう。放水口に流木が詰まっていますが、放流の時にはまとめて流れていくんでしょうか。。。
この通り堤防の縁は流木でどん詰まり。
この通り堤防の縁は流木でどん詰まり。
洪水吐の後ろに見えるのは唐沢岳。朝はガスっていて見えませんでしたが、こんなに間近に見られるとは!
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洪水吐の後ろに見えるのは唐沢岳。朝はガスっていて見えませんでしたが、こんなに間近に見られるとは!
5000mの看板から開始する七倉ダムへの残距離。。。実際には5500mくらいあり、「山と高原地図 鹿島槍・五竜岳 2011」での登り1.5h、下り1.25hというのはなかなか渋めです。。。
5000mの看板から開始する七倉ダムへの残距離。。。実際には5500mくらいあり、「山と高原地図 鹿島槍・五竜岳 2011」での登り1.5h、下り1.25hというのはなかなか渋めです。。。
薄暗くなり始める中、急いで降ります。帰りはトンネルに灯りが点いているのでだいぶ気楽ではあるものの、最後の山の神トンネルは全長1.2kmほどと長大であり、歩行者には殊更長く感じられます。。。
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薄暗くなり始める中、急いで降ります。帰りはトンネルに灯りが点いているのでだいぶ気楽ではあるものの、最後の山の神トンネルは全長1.2kmほどと長大であり、歩行者には殊更長く感じられます。。。
何とか明るさが残るうちに下山しようと頑張るkun_pu氏。その先にはトンネルの出口=ゴールが。疲れているところ粘りを見せてくれました。
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何とか明るさが残るうちに下山しようと頑張るkun_pu氏。その先にはトンネルの出口=ゴールが。疲れているところ粘りを見せてくれました。

感想

昨今、TVでも放映された「徒歩でしか行けない温泉」として有名な湯俣温泉。
私の中では北鎌尾根の歴史と悲劇、あるいは三俣や雲ノ平の近代登山に寄与した伊藤新道の印象が強くあります。

「何トカ湯俣迄ト思フモ有元ヲ捨テルニシノビズ、死ヲ決ス」(松濤明著「新編・風雪のビヴァーク」より)
「まず一時間だ。一時間歩けば湯俣の小屋へつくことができるのだ」(新田次郎著「孤高の人(下)」)
「私たちは絶えず、どこからか山賊に襲撃されるされるのではないかという不安にかられながら湯俣へ下った。(略)発電所の建物が見えたとき、われわれはまさに地獄から蘇生した気持ちだった。」(伊藤正一著「定本・黒部の山賊」)

=====

長大ではあるものの標高差はそれほどなく、むしろ上高地から涸沢往復よりもアップダウンが少ない、平坦に近いルートと言えましょう。ダム、川の東側を延々と登るだけの単調で退屈なルート、と思う方もあるいはおられるかもしれません。しかし、上記文章からは「湯俣は即ち生還の地」であることを伺わせてくれます。一方、この山奥で春夏秋冬湯を湛え、静かに噴煙を上げ続けながらも、未だ然程拓かれず、歩いて数時間かけねばお目にかかることができないという異色な存在でもあります。

遠くに住んでいるとなかなか足が伸びないであろうこの湯俣、日帰りで行くには勿体ない、魅力ある場所です。今の季節なら冬期の装備を携え、竹村新道から裏銀座最奥部を縦走して烏帽子や蓮華、針ノ木を目指すというのも地味ですが楽しそうだと想像力を掻き立ててくれます。また、無雪期ならそのまま水晶や雲ノ平、そしてもう一つの秘湯である高天原温泉を訪ねるなどという楽しみ方もいいかもしれません。脚力や体力に自信がある方なら、湯俣から1日で雲ノ平を目指すことも可能でしょう。

転職で長野に越して最初の冬を迎えます。
ひと夏の間、コロナ禍で様々なことに制限を受ける日々ではありましたが、机上でこうして様々なルートを想像する楽しみ方もまた濃厚に味わうことができたのかもしれません。そして、コロナが収束したときにそれを実現させよう、という励みにもなったように思います。

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