氷との戦いで燃え尽き・新潟焼山
- GPS
- 34:10
- 距離
- 21.7km
- 登り
- 1,959m
- 下り
- 1,942m
コースタイム
4/4 6:51幕営地-7:35アマナ平-9:37[P1542]-9:50大曲-10:43スキー登行からアイゼン歩行へ(1850m)-13:49カルデラ(2320m)14:20-14:53氷斜面の斜滑降終わり(1900m)-15:50幕営地
4/5 6:53幕営地-7:35駐車場
天候 | 4/3 雨のち曇り 4/4 下界は曇りのち晴れ 4/5 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
スキーで登行できるのは標高1800〜2000m程度まで(雪の状況次第)。 下山後は笹倉温泉で汗を流して帰りましょう。 |
写真
感想
いよいよ永年勤続休暇の山行もこれが最後、思い切って新潟焼山まで行ってきました。
4/3の天気は雨になり、夜遅くに止む予報だったので、それを見越して夕方に自宅を出発しました。途中パーキングで2回食事をして、笹倉温泉には予定通り21時着。まだ小雨が残っていたのでしばし待機し、30分ほどで完全に止んだので幕営地まで夜間登山することにしました。
さて夜間登山はヘッデン点ければ大丈夫と考えていたら、なんと超ガスガス。視界がとても悪く、初の焼山なのでルートがもうひとつよく分かりません。基本的には林道沿いで適当にショートカットするのですが、冬季の林道は雪に埋もれて45°くらいの傾斜がついているので、どこが林道なのかどうかも不明瞭。トレースもなく、GPSをこまめに見ながらスキーで登ります。
林道の九十九折の最後のほうで、ショートカットの終わりで雪が滑って重いザックに引きずられるようにバランスを崩し転倒、そのまま10mほどズルズルと滑落しました。両手のピックストックで何とか止まりましたが、暗闇でこういうことが起こると結構びびります。
気を取り直して、恐怖の九十九折林道を終え、あとは夜中の1時まで登って適当なとこで幕営することに。結局0:30くらいで見つけたほどよい平坦地にテントを設営。風はなく設営は特に問題なく終了。ビールで乾杯して眠りにつきました。
翌朝はアラームをセットする前の4時半くらいに目が覚め、とりあえず水を作り朝ごはん(日清焼きそば…麺がコッヘルにこびりつくので山向きではなかった)を済ませ、いざ焼山を目指します。
朝も相変わらずのガスガスで、こまめにGPSでルートを確認しながら進みます。アマナ平から大曲に進む急斜面が少し大変でしたが、その後は緩やかな斜面を快適にスキー登行できました。
どうも今朝できた感じのトレースが1本あったのですが、大曲を最後にそれ以降は続いてませんでした。そこから滑って帰られたのでしょうか。
標高1500mを超えたあたりから、雲の上に出て視界が晴れてきました。そこで遂に焼山、火打山などが視界に入り、テンションが上がります!時刻はまだ9時半、今日は焼山だけでなく火打山にも行けるかも?なんて甘い幻想を抱いてました。
この辺りからだんだん雪が硬くなってきたので(それまではザクザク)、スキークランポン(スキーアイゼン、クトーとも呼びます)を装着します。いつもこれを装着すると、「キムタクの奥さん登場」とか「クトー静香」と親父ギャグを一人考えてしまう癖があります。それが仇となったのか、途中でクトーの固定回転子が緩み、外れてスキー板の上に乗っかるだけの状態になりました。おっと、ちゃんと固く締めるのを忘れていた…と急な固い斜面上で再度取り付けようとしたら、クトーがそのまま斜面を転落して行き…どこかで止まってくれるかと思いきや、どこまでも転がっていく姿は急斜面を滑落する登山者のように思えて…視界から消えてしまいました。
クトー静香は下山時にまた探そうということで、片クトーで登行…できるような斜面ではありませんでした。氷の上はスキーシールはまったく歯、いや毛が立たず、スキー登行を終了してアイゼン歩行に変えざるを得ませんでした。
さてクトー静香の滑落シーンが目に焼きついており、スキーやアイゼンなどの道具は決して落とさないように慎重に進めます。幸い、氷斜面はモナカ状だったので、踏み潰せば平らな場所を作ることができました。スキーをデポすることも可能でしたが、やはり山頂からの滑降をしてこそ山スキーヤー、背負って登ることにします。(皆さんはこの言葉に翻弄されず、デポがいい方はデポしてください)
標高が高くなると風も強くなってきましたが、背負っているスキー板が風にあおられるほどではありませんでした。しかしスキー登行の時は分からなかった、氷モナカ斜面がアイゼン歩行だと沈み込みます。踏み出した足の何割か損しているような感じで、疲れる割になかなか高度を稼げません。
そういえばアイゼン歩行は今シーズン初?かと思いましたが、御在所本谷での訓練で一回やってました。
昨日の雨が木の枝や岩に大きな粒となって凍りついたものが、気温の上昇とともに融けてバラバラと上から落ちてきます。時々直径5cmくらいのものがあり、体に当たると結構痛いです。上に岩場や樹木があるところで特にたくさん降ってくるので、そういうものがないところを選んで登らなくてはいけません。大きな氷塊が落ちてきたらどうするか?大自然は「ラクっ!」なんて言ってくれませんから、上は見ないといけないし足元も見ないといけなく大変でした。幸い、大物は落ちてきませんでしたが…。
大曲にいた頃は「火打も行けるかも?」何て思ってたのが角砂糖よりも甘かった、このペースではとても山頂(2400m)に届かない…2100m、2120m…2200m、2230m…と頻繁に高度計を確認しますが、なかなか上がりません。とりあえず14時まで、粘っても14時半までと決めて少しずつ足を進めます。
標高2200mを過ぎた頃から、踏み抜きも少しずつマシになり、そうなると登行速度が上がります。そしてようやく、カルデラのある2320m地点に到達しました!この時点で13:50、山頂にたどり着くにはあと1時間はかかりそうな急峻な氷の斜面を見て、サバサバした感じでここで終了、と決意できました。名づけて鯖街道?(親父ギャグ vol.2)
しばし、焼山はもちろん、昼闇山・高松山・鉢山・阿彌陀山・烏帽子岳といった対面する山々、登ってきた大曲を見ながらの休憩です。焼山山頂付近はいまでも火山活動があり、湯気が出ています。その周囲は温度が高いせいで雪がなく地肌が明るい色なのが印象的でした。
さて問題はここからのスキー滑降です。はたしてこの氷粒びっしりの斜面、スキーのエッジが効くのか?試し滑りをすると、一応エッジが効いて停止できるので、アイゼンでの下降をしなくても済みました。とは言え、下手に転倒するとそのまま大曲または三途の川(賽の河原)まで一気に滑落するのは目に見えています。樹木がないので、標高差800mを滑落するだけ滑落して停止するのでしょうけども…大怪我する可能性も十分あるので、とにかく転倒しないように斜滑降で下りていきます。ターンすると、板チョコのように固い氷モナカの中はしっとり元パウダー、というロッテのチョコパイを明治の板チョコでくるんだような斜面、スキーがモナカ内部にめり込んでまともに操作ができないので、斜滑降とフェイキー(後ろ向け)斜滑降を繰り返して、あたかもターンして下りたようなシュプールを残して標高1800mくらいまで我慢の滑走(下山)でした。
何せ前夜の暗闇での10m滑落経験と、午前中のクトー静香が斜面を転がり落ちていくシーンを見ていますから、とにかく安全に下りることが第一でした。問題は、下降時に大量の氷粒を斜面下に落としてしまうことです。これだけは回避のしようがありません。下に誰かがいたらひとたまりもないでしょう。時々、スキー板がモナカ表面にめりこんだ際に作った数10cm四方、厚さ2cmばかしの明治の板チョコよろしく氷板が凶器のように落ちていきます。こんなのに当たったらまじでやばい、下に誰もいなくてよかったです。(この日は幸い、山スキー&スプリットボードの2人組が標高1750m付近で先に下りて行ったのを見ただけでした)
大曲以降は徐々に緩み、快適な広大斜面!これがパウダーなら卒倒ものだろなぁ〜と思いつつ滑って下りました。余りにも広すぎて面白みがないくらいです。斜度がもっと欲しいのですが、斜度のあるところは氷だらけでしたし…。つまりちょっと来るのが早かったのかも?1ヶ月後くらいの方がちょうどいいのかな。
斜度はだんだん緩くなり、スキーのワックスも徐々に削れてなくなると、とたんに滑りが悪くなります。テフロン液体の not wax を塗ると超滑るのですが、5分もしないうちにまた滑らなくなり、しょっちゅう塗りなおしが必要なのが弱点です。でもここぞというところで塗って登り返しを回避するのには便利です。
下りも登り返しをなくしたいのと、幕営地を通り過ぎないように小まめにGPSを確認しながら滑り降ります。そして15:50、幕営地に到着!6:45からのスタートで9時間強の山行、山頂には届かなかったけども燃え尽きました!もちろん雪中に冷やしておいたビールで乾杯、うまい〜しかし1本しかない(涙)。アルコール不足は紙パックの梅酒を雪で作った水で割って補充。そういや雪でロックというのもありでしたね。雪だからロックじゃくなてスノウ?
夕飯は焼きそばではなく、袋麺のどん兵衛を2つ。無線機でFMラジオを聴き、蝋燭を灯しながら19時に就寝。21時に目が覚め、トイレついでに満天の星空を見上げると流れ星!そのまま再度寝て、翌朝4:30に起きて、またまた満天の星空に流れ星が!街中では見えない流れ星が山では見えるので、山でテント泊するたびに流れ星を見るのでしょうね。願い事は相変わらず、「あ、流れ星!あ〜」と思っている間に終わってますが(笑)
翌朝もいい天気です。せっかくなのでもう一度大曲まで行くという案もありますが、昨夜の燃えつきで後は撤収して下山するのみ。22kgのザックを背負ってなので地味な滑走しかできません。九十九折の林道、視界が晴れると結構危険なところでした…滑落する場所によっては、そのまま100mほど下の沢まで落ちて終了というような場所もあり、改めて恐ろしくなりました。やはりガスで視界が悪い時は行動しないのが一番ですね。無事だったのは運が良かっただけ、反省です。
この日は朝から天気がいいせいか、山スキー8名、アイゼン・ワカン組2名と多くの登山者を見かけました。気温がかなり上がったので、上の斜面も緩んでるかな?あの氷粒が大量に降ってなければよいですが…。
早い時間に下山したので、ゆっくりと高速道路を走らせて帰ります。自宅から往復850km、燃費14.4km/Lの無給油走破でタンク(70L)には8L残ってました。
この土日は悪天候なので登山道整備は中止となり、これが休暇の最後の山行となりました。16日間中、山に行ったのは11日間と山づくし。こんな楽しい人生送れて幸せものだと心底思います。感謝感謝。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
燃え尽きたというより、オヤジギャグから察すると壊れかけてたかのようにも見えますが ・・
とりあえず11日間事故怪我等も無かったようで良い休暇を堪能されメデタシと言ったところでしょうか!
明日からの予定が天候でオジャンになったのは残念。
裏話が聞きたかったですねぇ。(多分あるある )
ゆっくり休まれて社会復帰してくださ〜い!
親父ギャグは普段から言っているので、それはつまり普段から壊れているということでしょうね
滑落も遭難もなくてよかったです。今回のクトー静香(結局探したけど見つからなかった)滑落事件で、普段いかに運が良くて無事に下山できているのか改めて感じました。
明日明後日に使う体力温存しておいて失敗しました
今日も目一杯登って滑って、燃え尽きどころか灰になってた方がよかった?(調子に乗って滑落死して本物の灰になってたりして〜三途の川はすぐそこでしたから)
momochanこんばんわです。
レコを読んでいるこちらの方も大変疲れました
(面白すぎるギャグのせいでもある )
とにかく何があろうと毎回スキースタイルだけは貫き通しましたね!敬意を表します。
そういえばあと2週間ですね! 「鈴鹿oneday」ですよ!計画には4/20〜4/21となっていました。差し入れ持って応援に行きますので 頑張ってくださいね!
という具合にプレッシャーかけときます!
「クトー静香」なんて家で言ってもまずクトーとは何か、から説明しないといけないので、理解してもらう間に笑ってもらうタイミングはどこかに飛んでいくのでした
山スキーはまだ4月中に福井の赤兎岳、GWにも新潟焼山を考えてますから、まだ終わりじゃないですよ
そういえばワンデイ縦走なんてプランがありましたね…なんか山スキーを優先したくなってきました
計画にもムフフ師匠からつっこみがありましたが・・・。
なんなら秋まで延期しましょうか?
夏は無理なんで。
ワンデイ縦走の計画、2014年に変えておきましょうか
さすがに捻挫明けであの縦走を実行するのも問題視されそうですし…単に山スキーに行きたいだけですが
お疲れさまでした
山に浸った2週間 うらやましい限りです
私も何時か山に入り浸りの日々を送りたいものですが定年までむりかなあ
しかし娑婆の生活に戻るのもたいへんですねえ
会社に真っ直ぐ向えます?
フラフラと山に向かわないようにお気を付けて
昨日はせっかくの2連休でしたので花の写真でも撮ろうかと朝明に向かいましたらここにも山依存症の方々が(人のことは言えませんが)
風と雨、霰の中 どろんこになって遊んできました
人生最大の満喫をさせていただきました
毎年でもやってみたいのですが、さすがにね〜
次は5年後ですが、その時にまだこの会社に居れるかどうか定かでないところが辛いところです
それはともかく…
日曜日の篤志家3名のうち1名はToshiさんだったんですか
きっとドMな方々と思っていたら、やっぱり
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する