白神山地・高倉森・南面スラブ
- GPS
- --:--
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 631m
- 下り
- 619m
コースタイム
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年08月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
新しい土地に引っ越して、登ったことのない山に登る。何度も繰り返してきたけれど、毎度良い仲間に恵まれた。青森でも、力強く山に登りこんでいる沢ヤがいて、良い出会いがあった。
南面沢は源頭が大スラブになっている。ここまでの滝は3,4mのがみつよっつ。ザイルを出す高さではないが、なかなか手がかりがきちっとしないのが難しい。ぼろぼろのグリンタフ(緑色凝灰岩)で崩れやすくぬるっている。今回は全員スパイク地下足袋。スパヂカはこういう沢ではよくきくけど、フェルトとの違いに始めは慣れない。良いウォーミングアップをしてスラブにとりつく。特にやばいところはないが高度があるのでロープを出して行く。40mを4ピッチちょっと。途中雨もぱらつくがOK。人数多くロープ出したので時間がかかった。ケース次第でノーザイルでも行ける傾斜だ。
漁師そだちの奥谷さんは漁業用ロープを巧みにこなし、電工用ハンマーを自分仕様にして持っている。とにかく沢ばっか行っているのでこういう工夫が身に付いている。今年から沢にはまって毎週行ってるというさんは奥谷さんの指導をぴしぴし受けて1年目と思えないカンの良さである。若い頃から体を作って来た人は大丈夫なのである。
稜線はブナの森。山頂は同じような感じなので、820ポコを山頂とする。下りは尾根の藪をこぐ。ブナの山で藪こぎの苦労はしたことがない。妙師崎の暗門三滝の上に降りる。三滝は世界遺産の名所で、普通の見学者が歩いてくるところ。今回は、この三滝が増水して下れないときに捲く、マタギ道を教わるためにこの下降ルートを通った。サスガだ。こうして古来本当に山を歩く人が安全のため残した遺産がひっそりとあり、口伝でうけつがれる。これこそ遺産だと思うのだが、別に世界中から人が集まらなくてもいい。
三滝の間には工事現場で使うステンレスパイプの足組歩道が延々組まれているが先日の増水で崩壊気味でこの日は通行止め。たしかに増水したらここは下れない。足場がなければ楽しそうなゴルジュだ。一番奥の第1滝は、剣沢大滝を思わせる勇壮な滝。しかしこんなところまで足場を組んで・・・。
白神山地は世界遺産にさえならなければ、日本中どこにでもあるはずだった、ブナいっぱいのマタギ山だ。目を引く山頂はほとんど無く、開発されていなかった頃の奥美濃のような、深くて地味な渓谷美のある山域なのだと思う。玄人がひっそりと楽しめばよい山だった。しかし21世紀にそんな山が残されるわけもない。開発を免れる代わりに世界遺産登録されるしかなかった。入り口までは団体観光客が沢山くるようになったかわりに山は保存された。本当に山の価値を知るには観光バスでもなく、完全人間排除の環境原理主義でもなく、自分の手足だけで沢を歩き回る事だけだと思う。
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