沢渡黒伏と柴倉山 船形連峰西部の鋭鋒へ
- GPS
- --:--
- 距離
- 11.6km
- 登り
- 1,196m
- 下り
- 1,199m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
初めに村山野川を渡渉します。吊り橋は冬期間は撤去されているようです。赤水沢沿いの林道(歩道)は、奥の方ではほとんど雪に埋もれており、一部崩れていて急斜面のトラバースを余儀なくされました。白水沢との合流点より少し手前で左手の尾根に取り付き、黒伏山と白森をつなぐ主稜線へ登りました。 夏道の無い白森〜沢渡黒伏間は、前半は残雪豊富で快適。沢渡黒伏の細い稜線にかかると、灌木の藪こぎになります。ただ、踏み跡はあり視界もきくので、不安なく歩くことができました。 白森〜銭山〜福禄山間は残雪豊富、快適な広い稜線。福禄山〜1209ピーク〜柴倉山は小規模ながらアップダウン大。柴倉山山頂への登りは、灌木が切り払われていない細い急斜面。ほとんど夏道が出ていて助かりましたが、一部残雪の急斜面に乗り移ることもありました。残雪の多い時期の登頂は、難度が高くなると思われます。 下山は柴倉山と1209ピークの間から、1101ピークを通る尾根を下りました。この尾根には登山道がありましたが、稜線からの下り口は不明でしたので藪に突入。細い尾根に下りた地点で夏道を見つけました。 |
写真
感想
一昨年の秋にkiyoshiさん、yamaya7さんと同行させていただき、船形連峰西部の山域を黒伏山まで縦走したことがあった。白森山頂付近で休憩した際に目にとまり、気になっていたのが沢渡黒伏である。標高はさほどでもないが、痩せた稜線の先にギザギザの山頂部、北東面はムクロ沢に切れ落ちて険しい顔を見せている。kiyoshiさんに伺うと、白森からの登山道は無いとのこと。以来、残雪期に登ってみたいなと心の片隅に留めていた。
せっかくのG.W後半だが、秋田地方には寒気が居座って連日曇りか雨。唯一の晴れ予報だった5日も、前日には曇りで雨がぱらつくという予報に変わった。当初予定していた、地元秋田の山々を残雪を踏んで登るという計画はとうとう諦め、南へと向かうことにした。二万五千図を持っていて、この時期に私でも登れる・・となれば船形山域。朝5時に自宅を出、雲がかかった神室連峰を横目に、さらに南下する。右手、村山葉山が白く輝いて見える。
船形連峰西部の山域は周回コースがとれるのがいい。スキー場まではとても良い道路、長い林道歩きがないので助かる。標高700m付近まで車で上がってしまうので、この時期でもすぐに雪が現れる。だが一つ難点は、村山野川の渡渉だった。滑って右手を着き、シャツの袖と手袋、それに右の長靴の中を濡らしてしまった。今回は標高差も距離もさほどではないが、沢渡黒伏へは藪こぎもあるだろうし、こりゃワイルドな山登りになるな〜と出だしから覚悟した。
赤水沢右岸沿いの道をしばらく辿ってから、左手の尾根に取り付く。南西側に回り込むと残雪が多く現れた。次第に高度を上げ、黒っぽいコケの付いたブナ林の世界に囲まれると、白森と黒伏山をつなぐ主稜線は近い。白森へは歩き易い雪堤が延び、急登をしのいでまず山頂へ。今回はワカンを付けることもなく、ツボ足で通した。
白森から沢渡黒伏へは、中間ピークまで期待通りの残雪歩き。中間ピークからは背の低い灌木をかき分けながら行くが、踏み跡が付いていて、足元は意外に分かりやすい。途中でザックをデポし、空身で山頂へ向かう。沢渡黒伏山頂は四方が切れ落ち、すばらしい眺望を拝むことができた。朝日連峰や月山、神室連峰も次第に姿を見せてきた。船形山は巨大な船底を現し、仙台カゴ等も個性を発揮している。荒神山方面にも奥深さを感じた。来て良かった!
いつまでも留まっていたかったが、風が強い。寒さを感じる前にザックをデポした場所へ戻ろう。再び白森に立ち、今度は柴倉山へ向けて縦走を開始する。1211mの福禄山まではアップダウンもさほどではなく、快適な雪山散歩だった。福禄山で休憩し、手強そうな柴倉山に向けて鋭気を養う。柴倉山山頂直下は両手を使って登る。雪庇の残るもう少し早い時期だったら、自分には登れなかっただろう。登山道に素直に感謝する。
柴倉山からの展望もすばらしかった。正面に船形山が大きい。一昨年秋の時はガスで見えなかったが、今日はすべて見え、なかなか立ち去り難かった。
下山は柴倉山と1209ピークの間から藪に突入、間もなく残雪が現れて急斜面を下った。尾根に移ると登山道が現れ、以後はブナ林を楽しみながらゆっくりと下った。
秋田の山々も尾根筋は雪が消えてきている。今年は予定していた山々に登れずじまいだったが、今回の沢渡黒伏と柴倉山は面白く、遠征して良かった。そして丁度いい時期に登れたと思う。秋田の天気が良くない時は、またこの山域にお邪魔したい。ブナ林の樹肌が美しく、かつ静かな山々だと思う。山中で人をお見かけすることはなかった。動物たちの足跡だけがにぎやかな稜線だった。
コメント
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冬の沢渡黒伏はこのルートからの登りでしたね。徒渉点、やはり第一関門でしたか。
柴倉山という最高難度のオプションもついて、言うことなし!凄すぎです
ここでも冬靴を温存して長靴でしたか。いつ冬靴使うんだろ
実はある雑誌で、厳冬期沢渡黒伏のスキー記録読んだばかり。登りは同じコース取りでしたね。その方は確か沢渡黒伏山頂からムクロ沢に滑り込んでいたような。これもありえない記録ですが。
ゆっくりお休みくださいね。
(私の)心臓に悪い記録は今シーズンはこれくらいでもいいんじゃない
「りらく」ですね。私も読みました。七十七銀行秋田支店で この方は本当にすごいですね。本当にありえない 特に体力・スタミナは自分の3倍はあるな〜と思って読んでます それに山頂からムクロ沢は、すごい高度感でしたよ
レコに書いたように、今回は時期がベストだったと思います。沢渡黒伏と柴倉、両方登るには。
冬靴、まだ値札付いたまま・・ 返品しちゃおうかな 長靴オヤジスタイルから抜け出せない
のとんがりはすごい存在感です。
ここから落ちたら骸になるのでムクロ沢?
こんな場所誰が行くの!?
と一般人は思いますが、山屋さんは普通の歩く場所なんですね
マニアックな山の歩き方、写真を見ながらドキドキです
山形側から見える船形山、独立して大きく見えます
いやはや、まだまだタフな山歩きにエスカレートされたのですね。悪いお友達の影響でしょうか?!
東北の山の懐の深さには本当に参ったものです…
それにしても、ここを長靴ですか。恐れ入ります。
筋肉痛とかひっかき傷とか、名誉の勲章もあるのでしょうか? どうぞ下山後はご自愛ください。
山形側からこんな見事な船形山の姿を見たのは私も初めてでした。船をひっくり返した姿、存在感ありましたよ〜
沢渡黒伏も東根市内からだと目立ちますね 隣の黒伏山は横向いてますから、なおさら 修験者の聖地だったらしいですが、そんな感じ、わかります
沢渡黒伏山頂の大岩に立つと、ムクロ沢への高度感でこわいくらいでした なんか妖しい雰囲気も漂うような・・
悪いお友達に影響を受けて・・でもホントはもう少し悪くなりたい
新雪が降った後で、それが融けて10cmぐらいもぐる状態もあり、長靴で良かったです。最初の渡渉もありましたから。でももうワカンは必要無かったかなと。ワカンを付けないなら、スパイク付きの長靴がベストだったなと思いましたよ。スパイク付き長靴だと、ワカンを付ける時に中央のベルトにスパイクが当たってしまうので、ワカンを持参するときは止めていたのですが・・
東北は間もなく新緑の季節です。またぜひお出でください
そう言えば以前、岳人か何かに沢渡黒伏〜白森の記事が載っていましたよ。
この山に行くには大抵は下から登って行きますからね。かなり険しかったのではないですか?
ハーネスやロープが欲しい山ですからね。
確かにこれは心臓に悪い記録です
私は吊橋が使えるようになったら観音寺黒伏(黒伏山)にでも行ってきましょうかね
実はこちらも未踏だったりします
昨年の秋、僕が分水嶺から眺めた黒伏高原のあの難しそうな山域ですね
沢の渡渉、藪漕ぎ、急登と三拍子揃ってますよね。
こういう山行をするのがkamadamさんです
久しぶりのアウェイは歩き甲斐があったのではないでしょうか
人と会わない山歩きをしたくなったら、kamadamさんに相談します
アイデア料金とらないでくださいね
沢渡黒伏に下から登るには、相当険しいようですね。ガイドブックで紹介するような山じゃない、なんて書かれているネツト記録を読んだことがあります。
この山頂に一番楽に立つ、いいタイミングだったなと思います 藪が酷いと思われる、白森〜中間ピークが歩き易い残雪で覆われていましたし、中間ピークからの細尾根は雪庇が落ち切っていましたし ただただラッキーでした
観音寺黒伏も下から登る道はすごい急登ですね
あはは・・ tooleさんに人と会わない山歩きを相談されても・・
沢渡黒伏と白森の間は、雪が消えたらまず会わないと思いますよ ただ、今回雪に覆われていた白森と中間ピークの間は、夏季はたぶん背丈くらいの藪に覆われるのではないかと推測します。踏み跡も見えないでしょう。まさにtooleさんの世界
GWは越後までは無理でしたが、私も遠征して楽しみました
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