記録ID: 29731
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ハイキング
積丹・ニセコ・羊蹄山
日本縦断トコトコ旅行の顛末8(長万部、のち八雲。)
2006年06月29日(木) 〜
2006年07月02日(日)
- GPS
- --:--
- 距離
- ---km
- 登り
- ---m
- 下り
- ---m
天候 | 6/29 曇、のち晴れ 6/30 晴れ 7/1 晴れ 7/2 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2006年06月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
6/29 一昨日あたりからヒザが痛みはじめた。昨日休養したのだがあまり回復していないようだ。やはり荷物が重すぎるのだろう。ちゃんと計ったわけではないが、30kgは越えていたと思う。1時間も歩くととたんにペースが落ちる。やれやれだ。 例によって5号線をなるべく避けて歩く。アンヌプリの麓の道は極度に人気がない。午前中はまだ雲が厚く、ぱらぱらと雨粒も落ちて来るが、次第に晴れてくる。羊蹄が見えそで見えない。はひ〜ん、とか奇声を発しつつ行く。別にいいんだ、誰もいないし。 ちょっと遠回りだが昆布温泉に寄ってみる。ここは温泉よりも湧水のほうが印象に残っている。こんこんと噴き出している感じだ。断続的に強弱を繰り返している。見ていて飽きない。温泉とは違う層から湧いているのだらうか。不思議なものだ。 温泉もなかなかの湯量である。ホテルの内湯に日帰り入浴を試みたのだが、露天風呂がはんぱねぇでかさだ。池の鯉にでもなったやうな気分でなんとなく落ち着かない。あまりデカ過ぎるのも考えものだな。 多少元気を取り戻して再び歩く。R66はかつて道路の線引きのバイトで来たことのある道だということに気付く。JR昆布駅からはじめてチセとニトの鞍部まで、時速7kmで走るマーカー車をひたすら追いかけ回しながら片道交互通行を誘導するという、かなりクレイジーなバイトだった。道の脇には広大な農地が広がっている。いつの間にか顔を出した羊蹄山を背景に農作業に追われる人々の点景をカメラに収めてみる。この時点で僕が用意していたカメラのシステムはオリンパスOM1に21mm,50mm,90mmマクロ,180mmの単焦点レンズ群に加えてx2のテレコンバーター、更にはサブカメラとしてペンFTを備えた、およそ徒歩旅行には不向きな悠然たるものであった。今もう一度、あれらの機材を背負って歩けと言われたら、絶対にお断りである。 昆布川温泉で再び湯を使う。一応ヒザの具合を気遣ってみているつもりである。尻別川の犬の舌のやうにのびた平べったい河原で野営。湿っぽいがそこそこマキもある。 6/30 今日は黒松内の道の駅を目指して歩くことにする。およそ30kmの行程で、昨日までの行動と比べると少々長めである。しかしここまで思うように距離が伸びていないので、ここらでひとつ「30kmくらい、その気になればどうってことないんだぜ?」ってところを自分自身に見せつけてやらないと、先行き不安である。ヒザの具合もあまりよろしくないようだし。 そんなわけで朝も早めに出発して黙々と歩く。蘭越からはR934という裏道を歩いてみる。この道は行ってみるとアップダウンが結構しょっぱい。1/20万の地図では分からないところだ。 道の駅で一休み、と思いきや小一時間もうたた寝してしまう。涼しい風が通って気持ち良かったんだなぁ、これが。爽やかに晴れ渡った空の下には、いかにも北海道という感じの牧歌的な道が真直に続いている。黒松内はまだはるか彼方だ。 「隊長、自分はもう限界です。ここに置いていって下さい。」 「何を言う。旅はまだ始まったばかりじゃぁないか? キミなら出来る。ていうかやれ。」 などとどうでも好いことを口走りながら、ふらふらと足取りは怪しげである。 一日中独り黙々と歩いていると独り言が多くなって困る。 それでも日暮れ前にはなんとか黒松内の道の駅に到着。なんだ、やれば出来るじゃないの。 この道の駅はベーグルが美味しいんだとかって情報をどっかで仕入れて密かに期待していたのだが、いかんせん到着が遅く、閉店間際の店内には売切れで空っぽになったカゴが物悲しく並んでいるばかりだ。何を血迷ったか、手作りベーコンなんてものを購入してしまう。グラム表示を値段と勘違いしてしまったのだ。あんまり安いんで変だとは思ったのだが、レジで¥1500近く請求されていささか狼狽えてしまった。そんな事くらいで狼狽えないで欲しいものだ。まあ美味しかったけど。 パークゴルフ場の四阿でテント張っていると、車で道内をまわっているという関西のおっちゃんが話しかけてくる。徒歩旅行もしたことあるんだとか。 「あんた、そりゃ荷物デカ過ぎやで・・・。」 とか言われた。俺もそう思う。大阪に来たらうちに泊まりなさいというんで、名刺を戴いたのだが、わからんなあ、そんな先の事。この時点では大阪なんてはるか遠い世界、辿り着けるかどうかもよく分からなかったのである。 7/1 八雲在住のkinta氏に連絡を取ったところ、明後日非番だからそれまでに来い、とのこと。結構しょっぱい注文である。しかしkinta氏はお医者さんであり、寿司をおごってくれるってことになれば、お皿がまわってる店に連れてかれるなんてことはまず考えられない。ここはひとつ、頑張ってみる価値はあるな。なんだか今日もきびすい一日になりそうな予感。うふふ。 昨日に続いて激しく晴れわたっている。あんまり天気がいいのも考え物だ。豊浦を過ぎると民家の影もなく、水場を探すのも一苦労。異常に汗をかくし、異常に喉が渇く。 わらびたいの駅の向かいには、急斜面の上に神社がある。意味もなく詣でてみた。しかしこの辺りは本当にさびれたとこだなぁ。二股まで来るとようやく集落が現れる。広場では老人がゲートボールに興じている。写真を撮ってたら 「取材のひとかいのぉ?」 なんて言われた。 「いえ、別に、ただ歩いています。」 とかって答えたらきょとんとしていた。 ここから二股川を上流に10kmほど遡ると有名な“二股ラジウム温泉”があるのだが、足をのばしてみるガッツはない。 ヒザの具合は日に日に悪くなる一方で、長万部に着く頃には時速2km程度しか出ていなかったと思われる。500mさきに見えている自販機まで15分かかる。老人並だ。一度ザックを降ろしてしまうと再び立ち上がるのに異様なほど時間がかかる。旧いパソコンみたいだ。 長万部温泉は地味だが泉質が良く、好印象だ。 「あぁ、こらぁいい。なんもだぁ」 と賑やかなおっちゃんと仲良くなってしまい、“長万部かに祭り”なるものに連れて行ってもらうことに。車で港に乗り付けると、なかなか盛大にやっている。気前よくビールなど御馳走になるが、疲れている所為かあまりはかどらない。 「なんも、えんりょすなぁ。」 とかって言ってくれるのだが、なんだか無性に喉が渇く。いくらビールを飲んでも潤わないんだなぁ、不思議と。 今夜はそのままおっちゃんの家に御厄介になることに。 7/2 一宿一飯の恩義ってことで、おっちゃんの仕事を手伝うことに。おっちゃんはホタテの養殖を生業としている。噴火湾はホタテの養殖が盛んなところである。 昨夜は結構遅くまで飲んでたと思うが、今朝は2時半起床。今朝っていうか、真夜中である。漁船で夜の港をあとに沖にでる。こんな真っ暗な中でも自分の漁場は分かるんだそうで、レーダーなんか見なくても間違える事は無いと言う。遠くを航行する漁船も灯りを見ただけで誰の船か分かるらしい。さすが漁師だ。 海底に沈めた網を引き上げると中にはベビーホタテが入っている。こいつらを育ててビックホタテにして売るという仕組だ。船が小さいので時化てなくても停泊すると結構揺れる。寝不足というのもあって酔ってしまった。 「なんも、むりすんなぁ。」 なんて言ってくれはするのだが、一応、一宿一飯の恩義なんで、ゲロゲロしながらもがんばって働いてみる。つってもブイを右から左に移してみたりといったどーでも好さそうな事しか出来ないのだが。 港に帰ると引き上げたホタテをトラックに積んで作業場へ移動。網からホタテを取り出して、ミシンみたいなもので紐に縫いつけていく。これを再び海に帰せばホタテは逃げれない、という寸法らしい。僕に手伝えることがあるのはこの辺までみたいだ。 ホタテのみそ汁とジンギスカンという朝食をいただいて、おいとますることに。まあ恩義は果たしたんじゃないだろうか。 出かけにおっかさんが幾らか包んで渡してくれる。昨夜は 「いい年こいて仕事もせんと、ふらふら旅行とは何事だ。」 なんて叱られもしたのだが、根は優しい人なので。これは無事鹿児島まで辿り着いたらなんか送って差し上げなくてはなるまいな? ところでおっちゃんの家は豊津という、長万部から15kmほど南に来たところにある。ここまで車で連れてこられたので徒歩旅行に空白が出来てしまったことになる。 歩き直そうかと思ってバス停に行ってみたが、あまり細かいことにこだわるのもみっともないかと思いなおして止めた。まあ、宿題ってことでいいんじゃないだろうか。 ちっちゃい待合室にはカポーティの引用など落書きされていた。「もう眠りたくも死にたくもなかった。ただ旅したかっただけ。」とかそんな奴。甘酸っぱいよなぁ。他にも“自転車で日本一周旅行中”なんて書かれてたりする。なんでこんなところにそんなこと書くのか意味不明ではある。 そんなわけで豊津から仕切り直し。八雲へと海沿いの道を辿って行く。えらく殺風景だ。5号線は例によってうるさいので砂浜を歩いてみたりする。このへんの砂は何故か真っ黒である。けっして綺麗とは言えないが静かで良い。しかし流石に眠いなあ。 八雲市街に入る頃には今日もふらふらである。「なんでもっと手前に駅を造らなかったんだ」などと悪態をつきながらも無事八雲到着。 今夜からkinta氏宅の食客だ。さっそくしゃぶしゃぶを御馳走になった。焼肉じゃなくてしゃぶしゃぶってとこがkinta氏らしい。 |
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