記録ID: 30332
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ハイキング
十和田湖・八甲田
トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)14・矢立峠を越えて。
2006年07月26日(水) 〜
2006年07月28日(金)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 60.8km
- 登り
- 371m
- 下り
- 354m
コースタイム
7/26弘前〜大鰐
7/27大鰐〜碇ヶ関〜矢立
7/28矢立〜大館〜比内
7/27大鰐〜碇ヶ関〜矢立
7/28矢立〜大館〜比内
過去天気図(気象庁) | 2006年07月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
7/26 Uedsa氏に別れを告げて、徒歩旅行再開。今日のところは弘前郊外まで出て適当に泊まってしまうつもりである。大きな町に一度入ってしまうと、抜け出すのがなかなか億劫なものなのだ。 戯れに「弘南鉄道大鰐線」というローカル線に乗ってみる。Ueda氏宅の最寄駅である城南駅から中央弘前駅まで。一応、徒歩による最終到達点であるJR弘前駅まで戻ってみた。たまにはこういう律義な一面もかいま見せるのだ。 弘前駅裏でラーメン屋を強襲。「きむらや」だったかな。ポップな内装とは裏腹にガツンとパンチの効いたこってりトンコツラーメンである。カウンターなどデザイナー・ファニチャーみたいでおしゃれなんだが、触ってみると脂ぎっている。たまにこういうラーメン食べるとおいしいな。胃もたれして腹持ちが良さそうだ。 大鰐温泉手前の石川というところまで歩いて、川縁で野営。新品のラテルネをおろす。実はここまでラテルネを持っていなかった。夜は発光ダイオードのランタンみたいなので灯りを得ていたのだが、暗すぎてつかえねえんだ、これが。ホームセンターで安物のラテルネを購入してきたのだが、初日からいきなりスイッチが壊れやがった。つまるところキャンプ用品みたいなものは山の道具に限るんだってことだろうが、幾らなんでもこいつは酷すぎる・・・。 7/27 大鰐の駅舎に荷物を置いて、温泉街をふらついてみる。いい感じに鄙びた町並みである。こういうとこを空身で歩いているとどんどんフィルムが無くなっていく。そこら中に被写体が溢れている。つげチックでそそられるたたずまいの共同浴場なども見かけたが、残念ながら営業は早朝と夕方のみである。残念だ。わびさびの出方がはんぱではない。 碇ヶ関にも温泉がある。国道をそれて路地裏を歩いてみたが、こちらは大鰐ほど温泉旅館は多くない。保養センターみたいなところで湯を使うとする。循環沸かし直しのようだった。 この辺りには阿闍羅山というのがある。ひょっとしてシーハイルの歌に出てくる阿闍羅ってのはこれのことではないだらうか?と思った。「昨日は梵珠嶺、今日また阿闍羅〜」などとみんな何気無く歌っているが、「ボンジュレイ」や「アジャラ」ってのが、一体何なのかって聞かれると実はよく分からない。「"ボンジュレイ"は"ボンジュール"が訛ったもので"アジャラ"はスイスあたりの挨拶のことであらう。つまりアルプスのスキー山行で国境を越えていく旅情を詠ったものだ。」という奇抜な解釈をまことしやかに唱えた奴がいたが、バカだよね。「岩木のおろしが吹くなら吹けよ。」という唱い出しからも分かるように、多分、弘前周辺の地名ってことで間違いないと思うよ。 温泉ごっこをしているうちに、今日もまたいい時間になってしまった。7号線から矢立峠を越えていく。峠には道の駅があって温泉にも入れる。宿泊施設も備えているようだった。しかし更に少し下ったところにも別の温泉があるようだったので、そちらに行ってみることにする。国道から林道を少し入ったところに果して「矢立温泉」はあった。いかにも東北の湯治宿って風情で、堂々たる寂れっぷりだ。さっそく突入してみる。館内はひっそりと静まりかえっているが、何やら人の気配がする。障子窓の隙間に浴衣姿のおばばが見え隠れする。多分腰を据えて湯治にいそしんでおられるのだらう。羨ましいことだ。旅行鞄に原稿用紙と万年筆を詰め込んで、こんな湯治宿で執筆活動を展開したらさぞや愉快であろう。「書けない。」とか言って、湯に浸かったりお酒をたしなんだりする訳である。泉質は鉄分の多い、赤茶けた湯である。浴槽や洗い場の床は温泉成分が凝固してデコボコになっていて、歴史を感じさせる。なんか、すごく効きそう。 林道脇のちょっとした広場みたようなところで野営。近くに祠があったので詣でておいた。これで今夜の安眠は保証されたやうなもんだな。 7/28 矢立温泉よりさらに奥まったところには日影温泉というものもあるようだ。一体どんなところなんだろうか。泉鏡花の「高野聖」を彷彿とさせるやうな魔境に違いない、と想像を逞しくして昏倒しそうになったが、今回のところはパス。山道を辿るのはめんどくさいからね。 国道沿いをいそいそと下って、白沢から左手に農道みたいな物静かな道に入る。大館の東側に抜けられるハズなのだが、道が合ってるのか今一つはっきりしない。あまりにも地味な道なので少々不安になってくる。道の脇には山あいの狭い平地を利用した小さい田んぼが幾つもある。こじんまりとしていて可愛らしい風景だ。車もほとんど通らない道だが、ロードレーサーでツーリングをたしなむ人を見かけた。例の、ぴちぴちのウェアーに変な流線型のヘルメット、サングラス、グローブと決め込んでいる。周囲の風景から相当浮いている。サイクリングをたしなむ人はがちがちのコスプレで決めている事が多い。形から入るものなのかも知れない。実用的な意味合いがあるのかもしれないが、あの出立には圧倒されるよね、いつもながら。徒歩旅行者のフォーマルな衣装ってのはどんなものなんだろうね。そんなのないのか。僕個人としては、ザックをどこかに隠して全身にファブリーズしておけば宮越屋でコーヒーを飲んでいてもそんなに違和感無いってくらいの服装で歩いていたいものだ、と思っている。 道はちょっとした湖の脇を抜けていく。どうやら間違ってなかったようだ。「釈迦池」というらしいよ。ここからしばらく行くと道路工事に遭遇。はるか頭上に巨大な橋を架けている。こんなとこにそんなデカい道造って大丈夫なのか? 山道を抜けて住宅街に入ると、目の前に忽然と巨大なドームが現れる。樹海ドームというらしい。野球場かなんかだろうか。広場では子供達がチャリを乗り回して遊んでいる。あんまりジロジロ見ないでね。 この近くに「ふるさわ温泉」なるものがあったので行ってみる。別にどうという事もない普通の温泉。僕は装備や食糧はケチっているが、温泉には寛容なのだ。入りたければ幾らでも入っていい約束になっている。 大館の町は素通りして比内まで。比内地鶏の比内である。道の駅の食堂で地鶏の親子丼を食べてみる。実は先日、誕生日だったんで奮発してみた。40代ににじり寄っていくお年頃である。徒歩旅行なんてしている場合ではないよな。地鶏っていっても親子丼にしてしまうとたいして有難味がねえな、ということで町のお肉屋さんを更に物色してみる。あまりに高いんでびっくりしてしまった。これでは地元の人でもそうそう口にする訳にはいかないんじゃなかろうか。すっかり萎縮してしまって、近所のスーパーの特売の鶏肉で我慢しておく。親鶏の肉だとかって、赤味がつよくてえらく固い肉だった。歯ごたえがあって薩摩地鶏のやうだ、と言えなくもない。 米代川沿いの舟着き場みたいなところで野営。チンポの形をした巨大なモミの木が夕空に屹立していたのが印象的だ。 |
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見てみたら嵌っちゃいました。
続き楽しみだなぁ。
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