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記録ID: 303775
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ハイキング
関東

黒潮の中の孤島!御蔵島・御山縦断&黒崎高尾

2006年07月28日(金) 〜 2006年07月29日(土)
 - 拍手
GPS
06:40
距離
19.0km
登り
980m
下り
1,101m

コースタイム

7/28
15:00里発−鳥の尾−16:05ボロ沢橋−16:40黒崎高尾−18:00里着

7/29
(里発−車で長滝山入口へ)
8:30長滝山入口発−長滝山−10:15御山10:30−鈴原高原−12:00御山登山口着

天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2006年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
東京・竹芝桟橋からさるびあ丸(八丈島行き)22:20発。三宅島経由で翌朝5:00着。
島に上陸するには、事前に宿泊予約が必要。
コース状況/
危険箇所等
●黒崎高尾への道は、えびね公園までは舗装道。

●御山への入山は、現地ガイドによる随行が必要(単独入山は禁止されている)。
早朝、船上からの御蔵島。東京から南へ約200km。島の上部には雲。
早朝、船上からの御蔵島。東京から南へ約200km。島の上部には雲。
御蔵島唯一の集落、里。300人ほどが暮らす。
御蔵島唯一の集落、里。300人ほどが暮らす。
里から御山方向を望む。見えているのは頂上ではないはず。
里から御山方向を望む。見えているのは頂上ではないはず。
里から黒崎高尾へ向かう道を行くと、徐々に高度が上がり、三宅島が見えてくる。
里から黒崎高尾へ向かう道を行くと、徐々に高度が上がり、三宅島が見えてくる。
鳥の尾から。里が一望できる。もうこんなに上ってきた。
鳥の尾から。里が一望できる。もうこんなに上ってきた。
路傍の地蔵。表面を見ると「文化元甲子」とある。江戸時代、1805年に置かれたものか。
路傍の地蔵。表面を見ると「文化元甲子」とある。江戸時代、1805年に置かれたものか。
地元で「かまじっこ」と呼ばれているトカゲ。島を歩いていると、とにかくよく見かける。
地元で「かまじっこ」と呼ばれているトカゲ。島を歩いていると、とにかくよく見かける。
カツオドリ(オオミズナギドリ)の遺骸だろうか、これも島を歩いていると時々目にする。地元の人の話では、猫にやられるらしい。
カツオドリ(オオミズナギドリ)の遺骸だろうか、これも島を歩いていると時々目にする。地元の人の話では、猫にやられるらしい。
御山頂上が見渡せてきた。
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御山頂上が見渡せてきた。
道沿いにはサクユリも咲いている。伊豆諸島の固有種とのこと。
道沿いにはサクユリも咲いている。伊豆諸島の固有種とのこと。
赤鉄橋(ボロ沢橋)と御山。ん〜、絵になる。
赤鉄橋(ボロ沢橋)と御山。ん〜、絵になる。
ボロ沢橋のすぐ先には、このように水が湧いている。伊豆諸島の他の島々と比べて、御蔵島は水が豊富で渇水がないというが、歩いていると至る所でこのように水の流れを見る。
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ボロ沢橋のすぐ先には、このように水が湧いている。伊豆諸島の他の島々と比べて、御蔵島は水が豊富で渇水がないというが、歩いていると至る所でこのように水の流れを見る。
えびね公園前より、乙女峠。奥(左)に御山。
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えびね公園前より、乙女峠。奥(左)に御山。
黒崎高尾展望台から眼下の海を見る。写真だとなかなか伝わらないが、実は海面から540mもある!
黒崎高尾展望台から眼下の海を見る。写真だとなかなか伝わらないが、実は海面から540mもある!
赤沢巨樹の森の入口。
赤沢巨樹の森の入口。
この奥には、このようなシイなどの原生林が続いている。
この奥には、このようなシイなどの原生林が続いている。
なめら川(?)の沢。ここから見ると、御山頂上から真っ直ぐ下りてきているように見える。
なめら川(?)の沢。ここから見ると、御山頂上から真っ直ぐ下りてきているように見える。
黒崎高尾からの帰り、赤鉄橋が緑の中に見えてきた。コントラストが美しい。
黒崎高尾からの帰り、赤鉄橋が緑の中に見えてきた。コントラストが美しい。
夕方、里まで戻ってくると、酒屋の前で島の人に観光客も混じって、暑気払いの一杯。
夕方、里まで戻ってくると、酒屋の前で島の人に観光客も混じって、暑気払いの一杯。
日が沈む。まるで煙をたなびかせるかのように。
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日が沈む。まるで煙をたなびかせるかのように。
翌朝、快晴。御山縦走は地元ガイドさんと。
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翌朝、快晴。御山縦走は地元ガイドさんと。
上り道、ふと海側へ振り向けば、三宅島が見渡せる。
上り道、ふと海側へ振り向けば、三宅島が見渡せる。
寄生植物。ランの一種か?
寄生植物。ランの一種か?
中腹までのシイなどの照葉樹の森を抜けて尾根に出ると、笹原が広がる。
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中腹までのシイなどの照葉樹の森を抜けて尾根に出ると、笹原が広がる。
シマヘビ。これもまた森を歩いていると、しばしば見かける。
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シマヘビ。これもまた森を歩いていると、しばしば見かける。
大島分川の谷。とにかく深い。
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大島分川の谷。とにかく深い。
南側を見ると、つぶねが森の麓にひっそりと御代ケ池。
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南側を見ると、つぶねが森の麓にひっそりと御代ケ池。
長滝山にて。雲が海側からあっという間に湧いてきて、御山にかかった。まるで高山のよう。
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長滝山にて。雲が海側からあっという間に湧いてきて、御山にかかった。まるで高山のよう。
長滝山から。左から巌ケ原、一の森、その奥に御山。この尾根を進んでいく。
長滝山から。左から巌ケ原、一の森、その奥に御山。この尾根を進んでいく。
一の森からは一度、大島分川の谷の頭まで下り、また上り。
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一の森からは一度、大島分川の谷の頭まで下り、また上り。
島名産ツゲの木も強風の影響でこのとおり。
島名産ツゲの木も強風の影響でこのとおり。
御山山頂到着!
山頂付近からは、山頂直下から始まり、南に海まで続く平清水川の深い谷が見渡せる。この谷にはオオナギミズドリがたくさん生息していて、秋になると若鳥がたくさん飛んでいくと、島の人から聞いた。
山頂付近からは、山頂直下から始まり、南に海まで続く平清水川の深い谷が見渡せる。この谷にはオオナギミズドリがたくさん生息していて、秋になると若鳥がたくさん飛んでいくと、島の人から聞いた。
山頂付近から、北側の鈴原湿原を見渡す。海上から御蔵島を見ると、どこにこれだけの平原があるんだと思える。
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山頂付近から、北側の鈴原湿原を見渡す。海上から御蔵島を見ると、どこにこれだけの平原があるんだと思える。
鈴原湿原より、御山山頂方向を望む。この時期は
草が成長して湿原には見えないのだが。
鈴原湿原より、御山山頂方向を望む。この時期は
草が成長して湿原には見えないのだが。
朝方は噴煙が出ていなかった三宅島の雄山から、煙が出ていた。
朝方は噴煙が出ていなかった三宅島の雄山から、煙が出ていた。
さよなら御蔵島、また会う日まで。
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さよなら御蔵島、また会う日まで。
【おまけ】平清水川の河口、川口の滝。ここから御山山頂までまっすぐ見渡せる。
【おまけ】平清水川の河口、川口の滝。ここから御山山頂までまっすぐ見渡せる。
【おまけ】御蔵島のイルカウォッチングの様子を。マスク・シュノーケル・フィンでの素潜りのみ。島の周りにイルカたちが棲みつき、岸から近い場所でも普通に見かける。
【おまけ】御蔵島のイルカウォッチングの様子を。マスク・シュノーケル・フィンでの素潜りのみ。島の周りにイルカたちが棲みつき、岸から近い場所でも普通に見かける。
水面近くを見回してみると、多くのイルカが群れていた。若いオスたちらしい。何をしているのだろう。一説に交尾の真似事をしているともいわれる。
水面近くを見回してみると、多くのイルカが群れていた。若いオスたちらしい。何をしているのだろう。一説に交尾の真似事をしているともいわれる。
ウォッチング客が大勢で負荷をかけるような見方をせず、イルカたちの機嫌が良ければ、水中すぐ近くで見ることができる確率は高い。これで前方2mほどだったか。
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ウォッチング客が大勢で負荷をかけるような見方をせず、イルカたちの機嫌が良ければ、水中すぐ近くで見ることができる確率は高い。これで前方2mほどだったか。
こちらから変な格好をして泳いでみせると、好奇心旺盛なので、すぐそばまで近づいてくることもあります。ほとんど腕を伸ばせば触れられる距離!(でも接触は厳禁というルールです。)
こちらから変な格好をして泳いでみせると、好奇心旺盛なので、すぐそばまで近づいてくることもあります。ほとんど腕を伸ばせば触れられる距離!(でも接触は厳禁というルールです。)
おさな児は母イルカのお腹の下に守られて…。
おさな児は母イルカのお腹の下に守られて…。

感想

(少し古い記録ですが…。)

世界的にも数少ない、野生のイルカが通年で棲みついてる御蔵島。
これまでに何度かイルカウォッチング(素潜りのみ、スキューバ使用禁止)のため訪れ、他では考えられないような貴重な体験をした。近年、イルカで一躍有名になった島だが、もともとは伊豆諸島随一の深い森を持つ水の豊富な「森と水の島」として興味を持っていた。そこで今回は海だけでなく山もきちんと歩いて、御蔵島をより知りたいと思った。

島では一部を除くと、入山する場合は地元ガイドさんと一緒に行くことになっている。これは観光客が勝手に歩くことで島の生態系に悪影響を与えないようにという配慮による。この島の昔からの貴重な収入源として、将棋の駒や印鑑の材料となるツゲの木があり、山に自生しているのだが、この高価な木を余所者が勝手に持ち出し損害を被っていたことも過去にあったようだ。

滞在3日で、初日と二日目の午前中にイルカたちに会い(今回もたくさん出会い、何頭かは以前見かけた個体にも出会う。)、二日目の午後と三日目、島を歩くことにした。

最初に行った黒崎高尾は、以前島のガイドさんに車で連れていってもらったことがあるが、今回は里から歩いた(この道はガイドなしでも歩行可)。何といっても、海中からどんと850mも突き出た島のこと、行きは上り一方だが、高度を上げるにしたがって里が高い所から一望できたり、三宅島や神津島が一緒に見える場所があったりで楽しい。またそこかしこで水が流れているのを目にすることができて、御蔵島が「森と水の島」であることを実感できる。

黒崎高尾は水面からいきなり500m以上ある崖で、その上から海を見下ろすと、目がくらむような迫力がある。舟が直下を通りかかるのを目にしてその小ささを感じると、いかに高い所にいるかがわかる。


翌日の御山縦走はガイドさん、女性客二人とともに、長滝山入口からゆっくり登り始めた。
尾根まで出ると、ダイナミックな島の地形がよくわかる。御蔵島は御山を中心にして北東方向(大島分川)と南方向(平清水川)に巨大な谷を持っている。イルカウォッチングのポイント探しで島を何度か一周していて、その度に海上からこれらの巨大な亀裂(谷)を見ているが、上から見下ろすとまた壮観である。

シイの原生林を抜けて尾根に出ると、一面の笹原。その向こうに御山が見える。
天気は良かったが風が強く、海の方からひっきりなしに雲が湧いてきて、御山にかかる。その様を見ていると、まるで高山に雲がかかっていく様子にも似ている。黒潮の中に浮かぶ島ならではの、ダイナミックな光景である。強風の影響で、島名産のツゲの木が変形しているのを、幾度となく見かけた。

尾根沿いに上り下りを繰り返し、頂上への分岐点から歩くと、ほどなく頂上。
頂上そのものは草が伸びて眺望が利かなかったが、少しだけ戻ると展望が開け、
南の平清水川の谷と北の鈴原湿原方向が見渡せる。二つはまったく正反対のおもむきである。

御山から鈴原湿原へは、緩やかに下っていく。鈴原湿原に出る手前にもう一か所、小御代という湿原が登山道から少し離れた所にあるということだが、夏場は完全に草の中に没しているとのこと。
鈴原湿原のあたりは何ともいえず緩やかな場所で、こんな平原がこの急傾斜だらけの島のどこにあったのかという感じの場所である。

「森と水の島」を実感したいなら、赤沢の森や南郷の大ジイに至る道の鬱蒼とした原生林を歩くのが良いと思うが、御蔵島のダイナミズムを実感したいなら、この御山縦走をお勧めする。

(2013年6月 記)




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