御所山(船形山) 道元峡〜層雲峡
- GPS
- --:--
- 距離
- 21.5km
- 登り
- 1,902m
- 下り
- 1,899m
コースタイム
09:20 連絡道1(ここで入渓し、道元峡を進む)
10:00 材木岩
11:20 連絡道4(道元峡終点、層雲峡へ)
12:30 大沢小屋
13:50 御宝前(遡行終了点)
15:30 御宝前追分
16:30 クラビ分岐点
17:30 落合
18:20 夫の小屋跡
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
対向車に注意。 しまった砂利ですが、凸凹があるので車高の低い車は厳しいかも。 御所山荘前と、その先にある夫の小屋跡に駐車場有り。 両方の駐車場を合わせると40台程は駐車可。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
○道元峡・層雲峡コース *渓谷の沢歩きがメインのロングルート。 丹生川を本流とする渓谷で、下流側は道元峡、上流側は層雲峡と呼ばれています。 コース内容は登山よりも沢登りに近いですが、沢歩きコースとして整備されており、 層雲峡側のコースは山と高原地図にも記載されているので、ジャンルは無雪期ピークハントにしてます。 道元峡に並行して林道が続いており、連絡道1〜4の4箇所から入渓可能。 駐車場から2つの林道が続いていますが、連絡道1から入渓するなら、柳沢林道(右側)。 連絡道2〜4から入渓するなら、御所山林道(左側)へ進みます。 今回は、最も下流側の連絡道1から入渓しました。 *道元峡、層雲峡共にルート上にはペンキマーク有り。 ゴルジュ帯のような難所には岩壁に鎖が設置されており、沢登り経験者であれば通過は容易。 沢登りとして見れば、初級の易しい沢です。(増水した場合は、その限りではありませんが) しかし、一般登山の範疇で見れば上級者向けの難ルート。 沢初心者は経験者との同行が望ましいです。 普通の登山道ではありえない様な危険な鎖場や、深い水位の渡捗箇所が有り、 沢靴でなければ通過は厳しいと思います。 また、自然落石の危険がある場所も多いので、ヘルメット着用を推奨。 ロープは使用しませんでしたが、初心者同行の際は、念の為にロープも持参した方が良いでしょう。 *最も注意すべきは増水。 コース全域を通して深い谷形状が続くので、増水した場合の脱出路は限られます。 道元峡は上記4箇所の連絡道、 層雲峡は遡行終了点の御宝前、もしくは大沢小屋から最上カゴ方面へ続く尾根道。 これら以外の場所からは脱出不可能と思われますので、増水には細心の注意を。 *層雲峡の上流部には3箇所、雪渓が残っています。 下流側の2箇所は安定したスノーブリッジ状だったので、下を潜って通過。 3箇所目の雪渓は、すでに崩壊していたので雪の上を通過しました。 今後、融雪が進むことで崩壊の危険が増すと思われますので通過には御注意を。 ○御宝前〜御宝前追分 御宝前にて遡行は終了し、あとは御宝前追分へ続く登山道を辿って御所山方面へ向かいますが・・・ この道は山と高原地図では破線で示されているルートで、急登な上に取り付き部分の足場がかなり悪い。 滑落危険のある場所が多く、沢よりもこの登山道の方がよっぽど危険に感じました。 ルートファインディングも難しく、目印のリボンやペンキマークはありますが、登山道は藪で隠れており判別し難い。 特に標高877m付近の登山道が90°曲がる地点が判り難かったです。 一応、曲がる地点には目印のプレートが置いてありましたが、藪に隠れて見つけにくい状態でした。 ○御宝前追分〜クラビ分岐 先の御宝前〜御宝前追分に比べればよっぽどマシですが、登山道には薮や倒木があり、やや荒れた印象。 クラビ分岐点の位置が地形図と大きく異なっており、 実際の位置はクラエ山を下り荒神コース方面へ進んだ先にありました。 (山と高原地図記載の位置が正しい。) ○クラビコース クラビ分岐から落合まで続く沢沿いの登山コース。 ここまでの登山道に比べれば歩きやすいです。 但し、切れ落ちた沢の傍を通過する箇所があるので、滑落に注意。 ○御所山林道 林道なので難所はありませんが、落石には注意。 トンネルが怖いです・・・(主にビジュアル的な面で) |
写真
感想
「そうだ、層雲峡へ行こう。」
前日、tooleさんから頂いたコメントを読んで、唐突に思い立った。
層雲峡は、宮城県と山形県の県境に位置する船形山の西側へ続く渓谷で、
そこには登山道としては珍しい沢コースが整備されている。
去年、一度沢登りとして山行を計画したが、雨天の為に断念したコースだった。
翌日、早起き・・・は出来ず、少し寝坊し山形方面へ向かう。
尾花沢市から船形山方面へと進むが、路上の看板には船形山の文字は見られない。
代わりに見られるのは、「御所山」という見慣れぬ山名。
山形県側では、船形山は御所山と呼ばれるらしく、路上に「船形山」の文字は一つも見られなかった。
新鶴子ダムからは細い砂利の林道が続き、前日は雨が降ったらしく、
林道には至る所に水溜りが出来ていた。
お陰で登山口である夫の小屋跡の駐車場に着くころには、車は泥だらけになっていた。
駐車場からは柳沢林道を歩いて、入渓点である連絡道1へ向かう。
連絡道1には沢へ降りる階段が設置されており、楽に沢へ降りる事が出来た。
沢に降りたところで、靴を履き替え沢準備。
準備をしつつ沢の状態を確認すると、前日雨が降っていたにも関わらず沢水は濁っておらず、
増水しているようにも見えなかった。
雨量が少なかったのか、それとも、もう水が引いてしまったのか・・・?
もし、後者だったら、少々厄介かもしれない。
水が引くのが早い沢は、雨が降ったら増水するのも早い、という傾向にある。
予報では、今日は雨は降らないらしいが、空は曇り空。
不安な気持ちで灰色の空を仰ぎ見る。
当初は単調なゴーロが続いたが、やがて沢幅は狭まりゴルジュ帯となる。
水線突破が厳しい地形になってくるが、水深が深い場所には沢岸に鎖が設置してあり、
泳がずとも岩壁をへつる事で通過が出来る。
かなり高度感を感じる鎖場なので、楽に通過、とは言えないがスリリングで夢中になれる鎖場だ。
この日はやや水温が低く、泳ぐのは辛い環境だったが、盛夏の気温が高い日であれば、
鎖に頼らず泳いで通過するのも楽しそう。
整備されている沢コースではあるが、遡行者の好みや技量に合わせて好きなようにルートを選べる面白い沢だと思った。
ゴルジュの先には柱状節理の材木岩、更に進むと大きな岩屋がある竜ヶ滝、
そして沢を流れる不思議な青さの水流、と見所も多い。
期待していた以上の沢で、遡行開始前に感じていた不安感もいつしか綺麗さっぱり消えていた。
竜ヶ滝を越えた先にて道元峡は終わり、ここから先は層雲峡となった。
ここで遡行終了とし連絡道4を通って林道へと抜ける事も可能だが、時間はまだ十分にある。
引き続き、層雲峡へと進む。
層雲峡は、道元峡に比べると水量は少なく、地形的にも面白味は少ない。
途中、雪渓があったのには予想外で、通過にはヒヤヒヤさせられたが、何事もなく無事通過。
昼頃には大沢小屋に到着した。
沢岸にひっそりと佇む大沢小屋。
初めて訪れた小屋だが、深い渓谷の中によくこんな立派な小屋を建てたものだ、と感心させられた。
昭和初期に建てられたとあり、老朽化が進んでいたが、
小屋内には囲炉裏や五右衛門風呂が備えてあり設備は充実している。
囲炉裏を囲んで焚き火したり、五右衛門風呂で湯を沸かして入浴してみたり、等。
沢登りだけでなく、山での生活も楽しめそうな環境であり、
これは日帰りでは無く、1泊で来るべき沢だったなぁ、とやや後悔す。
ただ、老朽化が進んでいる為、小屋の窓や壁には隙間が多い。
その為、この日の小屋の来訪者は、私以外ではハナアブさん1匹と、ブヨの団体さん。
他には蚊の団体さんに、なんかよくわからん甲虫さん、と人よりも虫の利用者が多い。
虫が苦手な私には、少々辛い環境かもしれない。
しかし、五右衛門風呂まである小屋泊まりには惹かれるものがあり、
次回は、1泊で訪れよう思いつつ、大沢小屋を後にした。
大沢小屋以降は単調な沢歩きが続く。
難所らしい難所も無いので少し沢歩きに飽きて着た頃、進行方向に大きな滝が見えてきた。
落差50mはあるであろう、大滝。
層雲峡の終点である御宝前に、ようやく到達した。
ここまでは狭い沢の地形が続いていたが、この御宝前にて地形は開け、
周囲は極立った崖で囲まれており、まるでここだけ別天地のように感じる。
長い渓谷の最深部であり、また、船形連峰の最深部、とも言われる御宝前。
御所山修験道の聖地とされていた場所らしく、その光景には荘厳さが漂う。
更に奥に進んで行くと、崩落崖に突き出た七福神岩、そしてもう一つの大滝。
先に見た大滝に比べると若干落差は低めに見えるが、これも十分見応えのある滝だった。
この大滝にて、遡行は終了。
あとは登山道を辿って下山するだけ。
沢は終わりなので、もう後の行程は楽だろう。
・・・そう思っていた私は甘かった。
御宝前から御宝前追分へ続く登山道の、辛い事。。。
急登が続き、足場はかなり悪い。
沢歩きよりも、この登山道の方がよっぽど危険に感じたよ。
今回の道元峡・層雲峡コースは、沢登り初心者にもオススメ出来そうな良いコースだったが…
この登山道だけは問題だ。
登山道、と言うよりは滝の巻き道のような感じで、沢ではロープは使わなかったけど、
この登山道ではロープを出そうか、と何度か思わされた。
(ロープはザックの中だったので、出すにも出せなかったけど…)
厳しいのは取り付き部分だけで、その後は楽になるが、分岐点の御宝前追分まで登るのは結構しんどい。
御宝前追分に着く頃には、もう疲労困憊。
当初の予定では、この後、御所山まで行くつもりだったが、時間的にもう無理。
いや、時間があったとしても、行く気力があったかどうか…^^;
迫る日没のタイムリミットに急かされつつ、下山に取り掛かる。
層雲峡コースの沢歩きは楽しかったが、下山は過酷。
なかなかハードな山行だった。
やはり、日帰りでは無理がある行程だったかも。
次回は、大沢小屋泊まりの1泊2日の日程で道元峡と層雲峡コースを歩き、
御所山の頂きを目指してみたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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すごいですね
僕は泳ぎが苦手なので...
こーゆーのビビッてダメですね
でも、こーゆーとこ行ったことないだけに、景色は感動しました。
雪渓の下をくぐるなんて...
想像もしたことありません
それにしても...
あの写真は、霊じゃ??
うぉぉぉ〜〜
前回の二口もそうですが
一般の人とくに素人同然の私には到底行けない所を進むというのは
新鮮でとてもわくわくします。
暑い夏に訪れてみたい沢登り
それにしても御所山(船形山)にも
こんな隠れた?名所があるとはレコで拝見して知りました。
それにしても凄い〜
トンネルに映っているのは水滴だと思います。
よく勘違いするようですが。
その前のトンネル内部の方が怪しいと思われます
沢登りは一般登山に比べると危険が多い、という点はありますが、
悪戦苦闘しながら難所を突破した時は爽快です。
道元峡では一カ所、深い水位の渡捗箇所がありますが、
それ以外の場所では概ね膝下位の水位。
増水さえしていなければ泳がなくても通過できますので大丈夫ですよ^^b
でも、鎖場が怖いかも・・・
泳ぎよりも、恐らくそちらが辛いでしょうね^^;
ぇ、、、やっぱり、あれは霊ですか
埃が光に反射した、とかそういうオチだと思っていたのですが・・・
うむむ、今夜は寝れなくなりそう><
これからは暑い季節になるので、沢が多くなるかもしれません
今回のような深い渓谷の沢は秘境感があってとても面白いです。
わくわくしながら先へ進みました。
やはり沢ともなると行く人は限られるので、知名度は低いのかもしれませんが、
今回のコース、沢屋さんには昔からよく知られたコースみたいですよ。
コースの途中の大沢小屋は、建てられた当時は沢人達の憧れの小屋だったそうです。
なるほど!あれは水滴ですか〜
トンネル内部が少し気になりますが、安心しました。
ですよね〜 、
霊なんて居ないですよね
これで今夜は安心して寝れそうです。
では、時間も遅いことだし、安心した所で風呂でも入って寝ますかね〜
・
・
・
おや、誰か来たようだ?
こんな遅い時間に誰だろう?
とっておきのこのコース、思わず口を滑らせてしまいました
Luskeさん、やはりあっさり歩いてしまいましたね
僕はこのコースの存在を山と高原地図&ネット検索で知ってからいつか歩いてみたいと思っていました
適切に使える自信は全く有りませんが
沢道具が一通り揃う予定が立ちました
沢シューズ、ハーネス、ネオプレーンソックス等はLuskeさんのアドバイス通り、某スポーツ店で手にいれましたよ。
その他の道具も必要に応じておいおい揃えて行こうと思います。多くはネットで注文中です!
美しい沢の景色に見惚れてますます歩いてみたくなりましたが、僕に行けますかね
写真を拝見していて、やはり一泊した方が楽しめそうだなと思いました
小屋が素敵すぎます
20キロオーバーの山行お疲れ様でした。
今回はいつもの登山の20キロ以上に
疲れたのではないでしょうか?
最深部の大滝は迫力ありますね。
たどり着いた者だけが見ることの出来る
風景。すばらしいです
沢の鎖場は無事に通過できれば面白そうですが、
自分にはそれ以上に丸太橋がスリルです。
絶対腰が引けますよ!これは
あの〜、ホラーねたがあったので、
以前から聞きたかったことを。
北岳厳冬2013の41枚目の写真の真ん中に
人影が写っているように自分には見える
のですが・・・
本物の人でしょうか?
それとも気のせいでしょうか?
はたまた・・・。
私が言うのもなんですが大沢小屋は良い小屋です。というのも今から37年前の私が19歳(実は今日が私の誕生日で56歳になりました)に、友人達を泊まったことがあります。ほとんど記憶が残っていないのですが、米を炊いて、風呂に入ったような覚えがあります。受験を終えた大学1年の時で、運動不足でなんとか御所山山頂に立ったけれど、ガスで全く何も見えなかったことはよく覚えています。楽しかったことよりがっかりしたことのほうが記憶に残るものですね。
tooleさん秘蔵のコース、一足先に歩かせて頂きました。
今回はやや曇りがちな天候でしたが、もし快晴に恵まれれば更に水流は美しく映えそうです。
初心者が歩く沢としてはどうだろう?という観点で歩いてみましたが、
とりあえず、自分としてはOK判定。
ただ、写真42の鎖が切れている滝が技術的な難所となりそうなので、そこの通過は注意が必要です
また、雪渓の状態も心配なので、安全を重視するのであれば雪渓が無くなるであろう、梅雨明け辺りが良いかと思います。
むしろ、危険に感じるのは沢よりも登山道ですが・・・
多くの難路を歩いてきたtooleさんであれば、恐らく問題ないと思いますよ
しかしtooleさん、大問題が一つ。
登山口までの道が良くないです!
tooleさんの車で夫の小屋跡まで行けるか・・・それが心配であります><
お、さっそく道具揃えましたか!
沢シューズ、ハーネス、ネオプレーンソックス、これらがあれば、とりあえず個人装備としては十分ですね。
ロープはパーティの共同装備としてあれば良いので、行けますね。
どうも、東北は梅雨に入ってしまったようなので、梅雨明け辺りにでも、沢初め如何でしょうか^^b
ルートに沢が含まれると心が疲れますので、一般登山道の20kmよりも深く疲れた、という感じがします。
やはりこのルートは1泊2日がベストですね^^;
今回の沢はロングルートですが、最深部が最大の見所、というのがにくい演出です。
ルートが長い分、その最深部の光景はより一層素晴らしく感じました。
丸太橋、足場が安定しませんが、沢からの高さは数m程度なので、たぶん怖さはそれほどないと思いますよ
それよりも鎖場の方が絶対怖いです><
こちらは7〜10m位は高さがありますから・・・
北岳厳冬の写真、今回、改めて見直してみました。
たしかに・・・人影みたいなものが映ってますね・・・
この時、Kさんは小屋の中に居たので、Kさんでは無いし、一体、この影は何でしょうか???
自分としては、光のいたずらと信じたいところです
HITOIKIさんも、過去に大沢小屋を訪れた事がありましたか。
当時に比べると、いささか老朽化が進んでしまったのでしょうが、まだまだ大沢小屋は現役。
立派なペンションのような佇まいで、次回はぜひ一泊したい、と思わせる小屋でした。
HITOIKIさんもまだまだ現役、大沢小屋のようにいつまでも山と関わり続けて頂きたいものです。
HITOIKIさんのこれから先の登山人生が素晴らしいものになるよう、お祈り致します
御所山の山頂、残念でしたね。
このコースは距離が長く、一般道に比べて難ルートなので、景色に恵まれなかったら、がっかり感が激しいでしょうね^^;
私も同じような経験がありますので、お気持ちは判ります。
でも、そうのような思い出も貴重なもので、楽しい思い出ばかり、というのも味気ないかも。
辛い思い出や、がっかりした思い出等があってこそ、長い登山人生に陰影が出て、深みが増すのかもしれませんね
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