また山に行きたくなる。山の記録を楽しく共有できる。

Yamareco

記録ID: 32112
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
北アメリカ

Half Dome (Yosemite National Park) ハーフドーム(ヨセミテ国立公園)

2008年05月21日(水) [日帰り]
 - 拍手
GPS
09:01
距離
20.0km
登り
1,890m
下り
1,909m

コースタイム

5:49トレイルヘッドパーキング-6:24 バーナル滝下部JMT分岐点(Mist Trailへ)-7:38 ネバダ滝上部JMT分岐点(休憩15分)-8:22 Little Yosemite Valleyキャンプ場分岐-8:53 JMT分岐点(Half Dome Trailへ)-10:05 ケーブル下部(休憩10分)-10:30 Half Dome頂上(休憩30分)
11:00 下山開始-13:41 ネバダ滝上部JMT分岐点(JMTへ)-14:50 トレイルヘッドパーキング
(休憩含め合計山行時間約9時間)
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2008年05月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
Half Dome (8,842ft=2,695m)を登る場合、駐車場はCurry Villageの先を少し進んだTrailhead Parking(3,990ft=1,216m)が一番近い。一般車の進入はここまで。ブラックベア対策で、車中に臭いのするもの(食べ物、化粧品等)を放置しておくと、車が熊に破壊されるだけでなく、罰金が課される可能性があるらしいので注意したい。

駐車場から車道脇の遊歩道を進み、Merced Riverの橋を渡ったところが登山口になり、川の右岸を進んでいく。この後は要所に道標が設置されているため、迷うことはない。道は観光客の遊歩道として良く整備されており、距離は長いが階段以外の急登も無いため登山靴は必要無い。実際、私が仕事でいつも履いているミズノのLD50というウオーキングシューズで全く問題なかった。むしろ本格的な登山靴はこのルートに限っては少数派である。但し、ケーブルセクションではハイキングシューズの人はよく滑っており、ケーブル使って体を引っ張り上げる腕力が無い人は、つま先を使えるフルシャンクの靴の方が登りやすいかもしれない。クライミングシューズであれば楽勝だろう。

途中、4,600ftから5,980ftにかけて、川沿いのMist Trailと、山沿いのJohn Muir Trail(JMT)の2コースに別れる。Mist Trailは名前の通り滝のミストを浴びながら歩くこのコースの最も見所であり、前記区間は1.4mileで急勾配である。一方、JMTは馬の通り道になっており、距離も同2.0mileと長くなだらかであるが、実際に下りで歩いてみて、展望もあまり良くない上に、道に馬糞が多いのであまりお勧めはしない。但し、長大なJMTの一部でも歩いたという事実は良い記念になると思う。

このコースの核心部分であるハーフドーム直下のケーブルセクションは、滑りやすい岩の急斜面(下から見ると垂直に見える)を2本のケーブルを頼りに登っていくため、腕の力を消耗する。ワイヤーケーブルを掴んでさえいれば安全だが、もちろん手を離せば下の人を含めてタダでは済まず、滑り落ちるコースが悪ければ、そのまま絶壁から飛び出て800m以上の空中遊泳になるらしい(子供は保護者とロープでつながるか、カラビナをケーブルに掛けて登っていた)。
ケーブルを掴むには滑り止めのゴムがコーティングされた革の手袋が最適だが、ケーブルの登り口に沢山使用済みの物が置いてあり、適当にサイズが合うのを見つけて利用した。但し、レンジャーがゴミとして片付けてしまうことがあるらしく、その場合は下山者を待って恵んでもらえばよい。米国で作業用の革手袋は日本の軍手並の値段で売られている。

(追記)
2010年より、金、土、日祭日のハーフドーム登頂は人数制限がされるようになりました。
その他、ヨセミテの情報は、このサイトが非常に参考になります。
http://www.yosemite.jp/
朝のバーナル滝。ミストトレイルは滝の左岸を濡れながら登っていく。濡れる時間は短時間であり、空気が乾燥しているため、雨具は不要である。
朝のバーナル滝。ミストトレイルは滝の左岸を濡れながら登っていく。濡れる時間は短時間であり、空気が乾燥しているため、雨具は不要である。
バーナル滝上部より下を見下ろす。写真左側にトレイルが見える。この時期の水量は相当迫力がある。水滴でレンズにスジのような影が出来てしまった。
バーナル滝上部より下を見下ろす。写真左側にトレイルが見える。この時期の水量は相当迫力がある。水滴でレンズにスジのような影が出来てしまった。
5,200ft地点の橋を渡り、ここからネバダ滝の右岸急斜面に取り付く。
5,200ft地点の橋を渡り、ここからネバダ滝の右岸急斜面に取り付く。
ネバダ滝を横に見ながら急登する。足下は階段になっているため、危険はない。
ネバダ滝を横に見ながら急登する。足下は階段になっているため、危険はない。
ハーフドームを南東側から望む。こちらから見るとただの岩山である。ネバダ滝上部からしばらくなだらかな道が続く。
ハーフドームを南東側から望む。こちらから見るとただの岩山である。ネバダ滝上部からしばらくなだらかな道が続く。
ハーフドームを北東方向から望む。ここからケーブルセクション下の肩の部分まで岩場をジグザグに登っていく。夏であれば直射日光と岩肌からの照り返しで相当に暑そうである。早い時間に通過すべき場所だと思う。
1
ハーフドームを北東方向から望む。ここからケーブルセクション下の肩の部分まで岩場をジグザグに登っていく。夏であれば直射日光と岩肌からの照り返しで相当に暑そうである。早い時間に通過すべき場所だと思う。
目の前に立ち塞がるケーブルセクション。本当にこんなところを登るのか?先行者が2名豆粒のように登っているのが見える。
3
目の前に立ち塞がるケーブルセクション。本当にこんなところを登るのか?先行者が2名豆粒のように登っているのが見える。
ケーブルに取り付く前にしばし休憩する。休憩というより、覚悟を決める時間といった方が適切だった。横で躊躇っていたおじさんは、毎年ここで何人も深刻な怪我をしていると、耳寄りな情報を教えてくれた。登り始めると、横木の間隔が広すぎて、途中岩肌で何回かスリップして、ケーブルを握る手に力が入る。ちなみに斜面の右側に滑り落ちればその先は切れ落ちているため、登山口の標高まで1分かからずに下山できるだろう。
3
ケーブルに取り付く前にしばし休憩する。休憩というより、覚悟を決める時間といった方が適切だった。横で躊躇っていたおじさんは、毎年ここで何人も深刻な怪我をしていると、耳寄りな情報を教えてくれた。登り始めると、横木の間隔が広すぎて、途中岩肌で何回かスリップして、ケーブルを握る手に力が入る。ちなみに斜面の右側に滑り落ちればその先は切れ落ちているため、登山口の標高まで1分かからずに下山できるだろう。
山頂よりエルキャピタン方向を見る。ケーブル自体は5分程度で上がりきった。手のひらは緊張の汗でびっしょり。今までの登山でこんな迫力のある登山道を登ったことはない。高度感が苦手な私にとっては精神的にきつかった。
1
山頂よりエルキャピタン方向を見る。ケーブル自体は5分程度で上がりきった。手のひらは緊張の汗でびっしょり。今までの登山でこんな迫力のある登山道を登ったことはない。高度感が苦手な私にとっては精神的にきつかった。
山頂ではこんな動物がお出迎。人を恐れていないところを見ると、餌付けがされているのだろう。
1
山頂ではこんな動物がお出迎。人を恐れていないところを見ると、餌付けがされているのだろう。
山頂から下を見る。目もくらみそうなオーバーハング気味の絶壁。身震いする。
1
山頂から下を見る。目もくらみそうなオーバーハング気味の絶壁。身震いする。
グレイシャーポイントが目の前に見える。以前はあそこからこのハーフドームを見ていた。その先の丸い出っ張りはセンチネルドーム。
1
グレイシャーポイントが目の前に見える。以前はあそこからこのハーフドームを見ていた。その先の丸い出っ張りはセンチネルドーム。
山頂からの360度の絶景をしばし楽しんだら下山を開始する。時間が遅くなると、登りと下りの入れ違いで渋滞してしまう。一人でも途中で動けなくなれば流れは止まる。すれ違いで片手を離すのが非常に怖かった。ちなみに、ここでは下り優先となっている。おじさんが写っている先から急降下になる。上から見ると肩の部分がそれ程広くないのがわかる。万一滑落しても、あそこで止まれば怪我で済みそうだ。カメラを落とす危険性があるので、撮影はここまで。
3
山頂からの360度の絶景をしばし楽しんだら下山を開始する。時間が遅くなると、登りと下りの入れ違いで渋滞してしまう。一人でも途中で動けなくなれば流れは止まる。すれ違いで片手を離すのが非常に怖かった。ちなみに、ここでは下り優先となっている。おじさんが写っている先から急降下になる。上から見ると肩の部分がそれ程広くないのがわかる。万一滑落しても、あそこで止まれば怪我で済みそうだ。カメラを落とす危険性があるので、撮影はここまで。
JMTから見たリバティーキャップとネバダ滝。滝の右岸に登山道が刻まれている。
1
JMTから見たリバティーキャップとネバダ滝。滝の右岸に登山道が刻まれている。
馬を使ってのお手軽ハイク。JMTは馬で登ってこられる。馬で荒野を駆け巡った時代の名残か、米国の国立公園では今でも馬やロバは交通手段の一つとして利用されている場所が多い。
馬を使ってのお手軽ハイク。JMTは馬で登ってこられる。馬で荒野を駆け巡った時代の名残か、米国の国立公園では今でも馬やロバは交通手段の一つとして利用されている場所が多い。
トンネルビューより。手前にエルキャピタン、奥にハーフドーム。雄大な景色である。
3
トンネルビューより。手前にエルキャピタン、奥にハーフドーム。雄大な景色である。

感想

ヨセミテには以前観光で訪れたことがあり、その時ハーフドームはグレーシャーポイントから眺めるだけであった。山歩きを昨年から始め、今の体力であればサンフランシスコからの1日往復も可能であるため、いつか登りたいと思っていたが、今回5月に仕事で米国に行く機会があり、シリコンバレーで1週間程仕事をした後、東海岸への移動前の予備日があったので、この機会を利用して何とか登れないものかと考えた。しかし、ハーフドームは最後の150m程のケーブルセクションにワイヤーがアップされないと一般人は登れない。ケーブルアップがされるのは毎年5月中旬であるが、残雪が多い年は6月になることもあるらしい。
出張期間中何度か公園のWebページを確認したが、残雪ラインの情報は日々上昇しているものの、ケーブルについては未定との表示が続き、半ば諦め、予備日はニューヨークのミュージカルでも見ようかと思っていた。いよいよ移動の3日前になってエアーの予約をする前に最後の確認をしたら、何と「UP」の表示になっているではないか。本年最初の山行は、ガッツポーズで急遽ヨセミテとなった。

SFO空港で前日の21時から24時間契約でレンタカーを借りてヨセミテを日帰り往復し、当日SFO22時過ぎのレッドアイ便(東海岸行き夜行便は時差の関係で到着が既に朝なので「充血」便と呼ぶ)にてJFK空港に向かうという強行軍である。
ちなみに、ヨセミテの宿泊施設は半年前から直ぐに予約で埋まってしまうため、例え時間が十分あったとしても車中泊であったと思う(パーク内での車中泊は禁止だが、シートを倒して休んでいる程度ならレンジャーも見逃してくれるらしい)。

前日の20時過ぎにSFOのHertzでレンタカーを借りる。米国の主要空港ではレンタカー事務所は殆ど24時間営業である。
事前に予約手続きを完了しておくと、電光掲示板に名前と車のナンバーが表示されており、カウンターに行かなくてもそのままキーが刺さった車に乗り込み、そのまま出発ができる。
予約していたクラスより2クラス大きいSUVにアップグレードされていたが、一人なので殆ど意味が無く、ガス代を考えるとヤレヤレという感じである。

日付が変わってBig Oak Flatの公園入口に到着。ゲートに人はいないが、料金は出るときに払えばよい。もし入場時に払った場合は、出るときにその券を見せて通過すればよい。(しかし、いい加減なもので、出るときもゲートの人が先に進めという手振りで、次々に通過する車をスルーさせていたので、結局料金は払わず仕舞いとなった。)
少し時間があったのでゲート横の駐車場(トイレ有り)で仮眠をしていると、4時前には明るくなり、慌てて起きてトレイルヘッドパーキングに到着したのが5時半過ぎ。
米国のTrail Mapは、コースタイムではなく距離表示のため山行計画が立てにくいが、ネットでの事前調査で登山経験者は正味歩行時間で8時間から10時間の報告が多く、休憩を入れて往復10時間と見積もり、飛行機の時間から逆算して帰りのパーク出発時刻を16:00と設定すると、登山開始時刻は6:00である。
何とか予定前の5:50に駐車場を出発した。
------

下山後は駐車場で水を頭からかぶり、車の中で裸になりタオルで体をごしごし拭いて着替え、駐車場を15時過ぎには出た。
一人だと運転を交代してもらえず徹夜登山後の運転はヘトヘトになったが、危惧していたサンフランシスコ近くの高速の渋滞もなく、予定の飛行機に余裕で間に合った。
強行軍の疲れで飛行機の中では出発して直ぐに爆睡してしまい、折角ファーストクラス(といってもANAの国内線でいえばプレミアレベルを米国内線では勿体ぶってこう呼ぶ)にアップグレードしても、何のサービスを受けることもなくJFKに到着した。もちろんレッドアイで。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:4480人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら