南ア点線の旅 池山吊尾根、新蛇抜山尾根、池ノ沢、白峰南嶺、笹山東尾根
- GPS
- 76:45
- 距離
- 33.0km
- 上り
- 3,561m
- 下り
- 4,027m
コースタイム
1145 1900付近の肩 1205
1240 池山小屋 1255
1355 城峰 1410
1550 ボーコン沢の頭 9/21 630
720 八本歯ノコル
805 北岳 820
925 中白根山
1025 間ノ岳 1040
1115 三峰岳 1230
1315 熊ノ平小屋 9/22 510
635 新蛇抜山分岐
645 下降開始点 715
815 東俣の林道 915
945 池ノ沢小屋 950
1140 白河内岳からの沢の出合(2240ぐらい)
1245 池ノ沢池 1305
1315 2465付近 9/23 520
645 広河内岳 730
800 2772のピーク
830 大籠岳
900 白河内岳
1000 笹山 1015
1215 1603水場
1330 奈良田湖吊橋
天候 | 概ね晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
池山吊尾根 1900付近の肩までは薄いところがある。小屋跡では四方に踏跡があって困惑した。 が、全般的にしっかりとしたルートがある。テン場も数箇所有 新蛇抜山尾根 熊ノ平から南下した場合、岩のピークを2つ過ぎてコルからさらに20mぐらい進んだ辺りに分岐有 作業場のような小さい広場で一旦消えるがちゃんとルートがあった。 池ノ沢 たまにペンキがあった。倒木だらけでほとんど道は無い感じ。 森林限界から上は薄いがルートがある。 農鳥岳へのルートの様な丁寧に整えられた区間もあった。 白峰南嶺(広河内岳〜笹山) 広河内岳から南下した場合、池ノ沢との分岐が分かり辛いのかも。 (引き込まれて下りてきた人がいた) 薄いところもあるが踏跡がある。 白河内岳は大小の石だらけであるが、短い間隔でケルンが置かれていて辿ると樹林帯の入り口に導かれる。 視界がきかない時は苦労するかも。 樹林帯の中も踏跡がある。 背丈程の這松もきれいに刈り払われていた。 笹山東尾根 一部薄いが踏跡がある。 尾根に素直にトレースされているので仮に少しぐらい外しても自動的に復帰しそう。 間違えやすそうな1344の直角に右折するところは看板があってロープも張られていた。 |
写真
感想
池ノ沢池に行ってみたかった。
偶然、koujouchouさんの記録を拝見すると、新蛇抜山の尾根が歩けるらしい。
これは行くしかない!
せっかくなので熊ノ平に入るのは池山吊尾根を辿ってみる。
池ノ沢を上がれば広河内岳。
笹山東尾根にルートがあるらしい。
というわけでルートが決定した。
9/20は平日ダイヤで、奈良田からの始発は850と遅い。
やって来たバスは9mの中型バス1台。
ステップまで立って満員状態だ。
途中、アルキ沢のバス停で降りたのは私1人だった。
急に1人取り残された感じ。
少し緊張する。
いきなり急登、と思ったら取り付きだけだった。
以外と普通な登山道。
というのは、
鹿の角の死骸がある、とか、
特大のくまさんの○ンコがある、
などと恐ろしい話があったので、内心ほっとした。
年季の入った大きなブナの木などが点在していて、いい森だ。
踏跡は薄いところもあって、ボーっと歩いているといつの間にか獣道に!
しかたがないのでふかふかの落ち葉の中をガサガサ横切るとはっきりしたトレースに復帰した。
水を4L担いでいるせいか、急ぐ必要がないので気が緩んでいるせいかやたら鈍い。
先週台風が通過したおかげで、秋の空と乾いた空気で気持ちよく歩ける。
1900付近で尾根に乗り、トラバース気味にゆっくり高度を上げるとやがて水平になり、その先に池が見えた。
静かな別世界だった。
小屋を過ぎて、尾根が細くなってくると城峰だった。
前方に頭が白い薬師岳が見える。
方向を東に変える。
ルートははっきりしている。
テン場も所々現れる。
共通しているのは必ずゴミがある。
ガラス瓶、ビール等のカン、缶詰のカン、4lぐらいのカン、
かつて林道ができる前は主要ルートだったのだろうか。
昭和初期の頃はゴミは捨てる物だったのだろう。
山小屋のし尿も垂れ流しが当たり前だったし。
ゴミ捨てを正当化するつもりは毛頭無いのだが、当時の状況としては止むを得ないところがあったかもしれない。
テントは頒布で重く、ペットボトルなどはもちろん無くガラスやカンの容器で持っていくしかなかった。
単独なんて当然不可で、パーティーで装備を分担してやっと到達したのだろう。
現代は交通も便利でルートもきちんと管理されていて北岳日帰りなんて猛者もいる。
お手軽なのだが何か寂しい。
かつては何日もかけ、喘ぎながら進んでは幕を張りピークを目指す、そんなスタイルに憧れてしまうのは頭がおかしいからか。
樹林帯を抜け、展望が開けるとここは砂払か。
這い松に隠れるようにテン場がある。
とりあえずザックを置いて空身で踏み跡を辿るとボーコン沢の頭だった。
360度の展望を独り占めだった。
気がつくと明るかった。
しまった、寝坊か、と顔を出すと東の空が少し明るかった。
「間に合った」と急いでカメラを手に飛び出した。
雲海にシルエットの富士山が浮かんでいた。
荷物を片付けて歩き始めたのは630だった。
まあ、今日は行程が短いのでのんびりでいいのだ。
八本歯は見た目は何だがしっかりとルートがある。
きっと冬季もそれほど危険には成らないだろう。
はしごを降りると突然にぎやかになる。
今日一日は普通の登山の日だ。
北岳にも上がってみる。
さすがは3200m、素晴らしい展望だ。
暫く眺めたら来た道を戻る。
北岳山荘を横目に南へ。
間ノ岳を右に折れて三峰岳に向かう。
向こうからいかにも沢の人が上がってきた。
なぜか沢装備の人に親近感を覚えてしまう。
何でも両俣から来たが、えらく大変だったそう。
右を見れば三国沢が美しい。
いつかこの沢も歩けるだろうか。
三峰岳はまた1人になった。
まだ午前11時で時間がたくさんある。
EPIを出してコーヒーを入れてボケーっと過ごした。
熊ノ平のテン場に下りると先客は1人だった。
小屋で手続きをするとき、ご主人に様子を聞いてみると、台風の影響で水が多いらしい。難しければ戻るように、と言われる。
少し心配になってきた。
井川越まで上がってみるとdocomoの電波を捉えた。
予想高層天気図をdownloadする。
する事も無く、日暮れと同時に寝てしまった。
今日が核心である。
目覚ましを掛けていたがその前に目が覚める。
さっさとまとめてランプが必要無くなる頃歩き始める。
右手に農鳥岳を見ながら今日は地形図を見ながら歩く。
新蛇抜山の分岐をはずすわけにはいかないので現在地を確認しながら進む。
後ろから1人抜いていったのだが1本のルートの途中で地図を手にきょろきょろしていたからきっと不思議に思っただろう。
2つ岩のピークを過ぎてコルに来ると赤テープがあって一見それらしいかんじであった。
が、踏み込むと違う。
更に進むと、あった!ちょっと分かりにくいが確かに踏み跡があった。
1つ関門を突破したので休憩とした。
遠くで熊除けの鈴の音がした。
また1人になってしまった。
薄いながらもトレースはあった。
ただ、樹齢が若くて場所によっては藪漕ぎ状態である。
この辺りは根こそぎ伐採したのだろう。
索道の拠点なのか広場がある。
トレースが消えて続きを探した。
ひたすら下ると沢の音が聞こえてきた。
森が深くなって突然広い林道に出た。
振り返ると木の幹に、新蛇抜のペンキがあった。
付近をうろうろすると、倒壊したプレハブがあった。
右岸を南下すると向こうから2人のパーティーが歩いてきた。
完全沢装備である。
広河原でテントを張って、今日は東俣を詰めるとの事。楽しそうである。
さて、いよいよ沢靴に履き替える。
ばりばり新品で緊張する。
水に足を入れるが以外と流れが速い。
浅くて穏やかそうな所に移動して、流れに体を平行にして少しずつ進む。
転んだらアウトなので慎重に。
やれやれ、渡渉できた。
左に林道があるのだが、折角の沢靴なのだからとばしゃばしゃ川の中を歩く。
池ノ沢が近い頃、踏み跡が陸に繋がっているので行ってみる。
あった、噂の池ノ沢小屋。
ちょっと怖いので中には入らず、池ノ沢に入る。
話の通り倒木だらけだ。
踏み越えたり潜ったり平均台のように渡ったり面倒くさい。
沢講習で靴はフェルトが良いといわれていたのだが、半信半疑だった。
しかし実際には本当に滑らない!
不思議だ。
快適に濡れた岩を歩くことができる。
素晴らしい!
足元の石を選んだり、前方のコースを選んだり何かと忙しい。
夢中で登る。
大きな二股にでた。
右はかなり傾斜があり水量も1:1ぐらいだ。
地形図を見ると白河内岳からの沢のようだ。
左を辿ると水量が減って歩きやすくなる。
傾斜も増して岩をよじ登る感じだ。
更に細くなって流木が積み重なった様な所に来た。
木の山を越えると、何と透明な池が!
遂に来れた、池ノ沢池。
谷間に隠れるかのようにひっそりと佇んでいた。
美しく、静かだった。
対岸にくまさんがお食事をしていた、という記録があったのだが、今日はくまさんはいなかった。
しばらく眺めていたら体が冷えてきたのでもう少し上がる事にする。
程なく湧水地となる。
ここが最後の水場なのだろう。
沢靴を乾いた登山靴に変え、ポリタンクに水を詰める。
久しぶりに登山靴で歩く。
広場があり、焚き木の跡がある。
緊張が解けて一気に疲れがでてきた。
ここを今日の宿としよう。
標高差のせいか昨日の熊ノ平よりは暖かい夜だった。
さっさと撤収して広河内岳を目指す。
美しい樹林を進むと這い松の壁だ。
トレースを辿って枝を掻き分けるように前進する。
ゴーロの薄い踏み跡を辿る。
途中、小さい石を敷き詰めた、整備されたルートがあった。
かつては歩く人が多かったのだろうか。
右の広河内岳が近づく頃、上からテント装備の2人パーティーが下りてきた。
池ノ沢にでも行くのだろうかと思うと、何と笹山に向かうと言う。
こっちは池ノ沢で、笹山はもっと稜線寄りです、言った。
どうもトレースを素直に辿って来たらしい。
「あそこは行ったほうがいい」と、広河内岳を指して農鳥小屋のご主人が言ったそうである。
なるほど素晴らしい!
いつもと違う角度からの塩見岳、蝙蝠岳が美しい。
昨日辿った仙塩尾根、新蛇抜山の尾根も見える。
白峰南嶺、いつか青薙山まで辿ってみたい。
コーヒーを入れてパンをかじってのんびり過ごす。
来た道を引き返して分岐を左の稜線伝いに進む。
薄いがトレースがある。
稜線漫歩だ。
振り返ると広河内岳が大きい。
白河内岳はゴーロの山だった。
トレースは無いが無数のケルンが道を指していた。
広い、視界が悪いと苦労しそうなところをケルンに導かれると、突然樹林帯に突入した。
冬の偏西風に曲げられた、芸術的樹木の森、光岳の森を思い出した。
程なく、背丈程の強烈な這い松帯を通る。
しっかりと刈り払われている。
東海フォレストか早川町か、ありがたい事です。
樹齢が若い、幹の細い林を過ぎて、方角を東に高度を上げると、最後のピーク笹山だった。
もう、塩見岳も蝙蝠岳もさようならです。
また来ます。
笹山東尾根を下りる。
トレースははっきりしている。
途中、単独の人が上がってきた。
日帰りピストンだそうだ。
すごい根性だ。
標高差約2000mの日帰りなんて、私にはムリ。(特に精神的に)
飽きるほど下る。
1344のジャンクションピークを東に折れると、しばらくして人工的建造物が現れる。
発電設備である。
道が突然階段になり、手摺までついている。
地上に下り飛び石の川を渡ると、この世との境の吊橋に出た。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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4日間の縦走に行かれていたのですね、、、羨ましい
きっと、また、20kg近くのザック担いでいったことでしょう
北岳、間ノ岳、熊ノ平、サクサク越えたんですね〜
目的の池ノ沢池、澄んでるなぁ、、、
辺りの静けさが伝わってきましたよ。
お天気に恵まれて最高の4日間でしたね。
今後のレコも楽しみにしています
slowlifeさんの超軽量装備を知って、
「軽量化=>スピード=>安全」
という原点に立ち返り、この度装備を見直しました!(カルビーフルグラは袋毎とせずに半分にする、とか…)
結果、大した効果もなく相変わらずメタボザック状態です(泣
やっぱりslowlifeさんの1桁台は謎です。
写真では池ノ沢池はきれいにみえますが、実際はもっときれいでした。(?)
水はとても澄んでいます。
不思議な空間でした。
池ノ沢池までの路程も、池ノ沢池からの路程も初めて出会う光景で、驚きの連続でした。
南アルプスの魅力に益々はまってしまいそうです。
(やや中毒ぎみです)
22日の朝焼けきれいでしたね。
池の沢ルートに行ってきました。
レコが最高に参考になりました。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
記録を拝見しました。
感慨深い行程でしたねぇ。
池の沢の感動が昨日の事のように思い出されます。
私もいつの日か東俣を辿ってみたいと思っています。
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