南アルプス南北縦走ピストン14泊15日
- GPS
- 344:00
- 距離
- 157km
- 登り
- 15,798m
- 下り
- 16,671m
コースタイム
- 山行
- 0:240
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
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アクセス | |
予約できる山小屋 |
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写真
感想
8/23 月 (1日目)
都市生活と単純作業で腰痛になったが、山を歩いていれば治る。
昨夜は少し興奮してよく寝られなかった。遠足前の子ども状態。
東京の実家から電車で甲府へ。駅前のコンビニでコーヒーを買い、自作のバケットサンドを食べる。バスで広河原へ。コロナの影響で、北岳の山小屋は閉まっているらしい。
電車とバスで高速移動したので、身体が整っていない。少し辺りをぶらぶらし、昼食を食べてから歩き出す。初日で、全然山の意識になっていない。荷物も重いので、ゆっくり歩く。
白根御池小屋は閉まっているが、人がいた。テント泊も拒否される。仕方なく沢に逃げて、ビバーク。睡眠不足解消のため、食後すぐに寝た。
8/24 火 (2日目)
北岳山頂はガス。北岳は何回か登っているが、晴れた記憶がない。
熊の平小屋も閉まっているが、テント場と冬季小屋を開放していた。
8/25 水 (3日目)
雨で出発をためらったが、鳥が鳴いているのでやむだろう。
ビバーク適地を探しながら森を歩き、北荒川岳で森林限界を越える。ガスっていて風が強い。しばしばトレッキングポールにしがみつくようにして横風に耐える。腹が減ってきたが、休憩する場所もない。岩陰で適当に行動食を口に放り込み、歩き続ける。塩見岳の降りの岩場は、荷物が重くでかいので、極めて慎重に進む。
塩見小屋で風がやむ。やっとひといきつける。三伏峠へ森を降る。雨がやみ、緊張もとれるが、やや長い行程で、身体が痛くなってくる。
三伏峠16時半到着。テント1張1600円。高い!
8/26 木 (4日目)
寒くはないが、悪夢を見た。肉体的に疲れていたか、場所への嫌悪が夢に出た。昨日よく歩いたので、朝は少しゆっくりして6時半出発。
晴れているので稜線歩きが楽しい。富士山も見える。しかし縦走路はすぐに森林限界下に隠れる。高山帯の意識の冴えと樹林帯の安心感、緊張と弛緩を行ったり来たりして歩く。
珍しく、水で戻したアルファ米を食べる。ピクニック的で楽しいかと思ったが、急激に眠くなった。疲れも出て、荒川小屋まで一日中歩き続けるのは遠慮したくなった。やはりセオリー通り、行動食をちょこちょこ食べるのが良い。
高山裏避難小屋でもよかったが、少し歩き足りない。水場で給水して、荒川岳への登りに入る前に、登山道を外れてビバーク。
今日は精神的に明るくない。なぜ人の顔や声は不快感を与えるのだろうという想念に取り憑かれる。不健康。標高が高く、少しナーバスになっているのだろう。呼吸がやや浅く、動悸がする。リラックスに努め、読書しながらテントでごろごろした。
8/27 金 (5日目)
天気が良く、展望の良い岩尾根を歩く。ピークよりコルに美を感じるので、大聖寺平で気分よく休憩。もちろん赤石岳からの眺望も楽しんだ。百間洞山にテント。
新しく買ったモンベルの折り畳み水筒の水漏れを発見。へんなの買わなきゃよかった。予備の年季の入ったプラティパスと交換。
8/28 土 (6日目)
睡眠が浅い。クローズドセルマットでは熟睡できない身体に退化してしまった。
山歩きが日常になってきていて、書くことも無い。写真もいつも以上に撮らない。
聖岳山頂は強風。荷物を置いて奥聖岳をピストン。三角点がケルンの陰にひっそり鎮座していた。稜線に風のないポイントがあり、富士山を眺めながら休憩する。人が多いが、そういえば休日だ。
聖平小屋にテント。いつも通り、人気のない不便な場所にテントを張る。聖沢で水遊び。少し下流に歩いて水浴びと洗濯もした。
8/29 日 (7日目)
出発早々、バランスを崩して体重がトレッキングポールにかかり、壊れる。アルミなので曲がった(カーボンは折れる)。曲がった箇所を折り、石で叩いて形を整え、ポール本体に差し込む。とりあえず使える。
上河内岳は荷物を置いて駆け上がる。
茶臼岳への灌木帯の尾根が気持ち良い。ハイマツを嗅ぎ、鳥の声を聞いて歩く。
次第に針葉樹の森になる。薄暗くて地味だが、荒川、赤石、聖と縦走してくるとむしろ新鮮。気分転換になり、落ち着く。
光岳への岩の谷筋の登りで疲れてくる。脱水気味だが、水が入らない。塩をなめて水を飲むと身体が楽になる。小屋前の水場で水をがぶ飲みして完全復活した。
荷物を置いて光岳と光石へ。これで折り返し地点。満足感と物足りなさが半々。1週間程度の縦走でいつも覚える感覚。
光岳小屋にテント。静かなテント場。食後に軽く木道を散歩する。幸福感がじわりと滲み出る。
8/30 月 (8日目)
風が強く、肌寒い。ガスった森の中を淡々と歩く。
同じ道を歩いていても、見る方向、天気、時間帯、前後関係、気分が異なるので新しく気づくことが多い。茶臼側からは上河内岳が神々しく見えた。
晴れて気分も良くなる。時間に余裕があるので、南岳のお花畑を愉しむ。高山植物の写真も1枚だけ撮った。名前は知らない。リラックスしすぎて疲れも出てきた。
聖平小屋にテント。聖沢で身体を拭く。着干しする気力が出ないので、洗濯はやめておいた。数日前に古い帽子が破れて、脳天えぐられた人みたいだったので、テント内で修理。ダクトテープを貼るだけ。
8/31 火 (9日目)
肌寒い朝。昨日から秋になった感じ。
聖岳は再び強風。ハイマツに隠れて休憩する。
聖側から見ると、兎岳は迫力がある。寄り道して避難小屋も見学する。
荷物が軽くなってペースが上がるかと思ったが、パワーが出ない。ゆらゆらと無心で歩き、視野が移るに任せる。疲れていて面倒だったが、荷物を置いて大沢岳をピストン。空身でぶらぶら歩いたので、むしろ神経疲労と身体のコリが取れた。
百間洞山にテント。今日も水を浴びる気分にならない。何となく空気に圧がある。雨の気配。
夕食の準備をしていると、鹿の親子がテントの前に現れ、草を食みはじめた。ずっと見ていても飽きない。明日も元気に歩くため、いつも以上にしっかりと食べた。
9/1 水 (10日目)
朝食の準備をしていると、また鹿の親子が現れて、こちらを見ている。なにもやらんぞ。
復路の赤石岳は風が強く、ガスっていて、寒い。そのおかげかライチョウが3羽現れ、しばらく一緒に歩いた。
赤石避難小屋で休憩。非常食箱を覗いてみると、レトルトご飯やノンフライ麺がたくさん。そのまま食べられない。
荒川岳で雨も降りはじめる。崩落した尾根は高度感があり、崖から風が吹き上げてきて、自ずと集中状態になる。
今度は完全にトレッキングポールが壊れた。ダブルポールで四足動物化していたので、歩き方を忘れた気分。しばらく歩くと感覚が戻り、ポールを左右持ち替えながらスイッチバックを降りる。シングルポールさばきもけっこう面白い。
水場で給水して、高山裏避難小屋にテント。パスタの夕食後、ミューズリーをばりばり食う。飢餓感が出てきた。
9/2 木 (11日目)
朝方、風が轟いていて目が覚める。出発の準備をしていると雨が降ってきた。スマホの電波が入るので、天気予報を見てみると、週末にかけて天気が崩れるらしい。台風直撃とか劇的なやつなら避難小屋で優雅に停滞するが、この程度なら歩かないといけない。
雨が冷たい。樹林帯なら耐えられるが、森林限界を越えると風が強く、雨粒が痛い。小河内岳の登りで本格的に身体が冷えてきた。
小河内岳避難小屋に逃げ込む。手がかじかんでジッパーがつかめない。身体も震えている。低体温症。とりあえず乾いた服に着替え、寝袋にくるまり、身体を温める。避難小屋の非常食のカップラーメンをありがたく頂く。普段も山でもラーメンは食べないが、旨いと思った。
少し昼寝もすると体温が戻ってきたが、心は折れたままで、再び濡れて冷たい服を着て歩く気にならない。停滞を決める。読書、ストレッチ、坐禅をして避難小屋滞在を愉しむ。屋根の雨だれで給水できた。
夕方、青年が一人泊まりに来た。
9/3 金 (12日目)
昨日はTシャツと雨具で寒かったので、中間着の長袖を着る。
雨風は昨日ほどではない。このまま塩見岳を越えられると助かるが、塩見小屋を過ぎると雨が強まる。
登山者のグループが塩見岳から降りてきた。高齢の方も散見される。このおばあちゃんが雨風にさらされ、寒さに震えながら、濡れて滑りやすい岩場を歩いてきたのだと思うと、涙が出そうになるほど感動し、勇気づけられた。
復路の塩見岳ー北荒川岳も天気に恵まれない。天狗が出そうな灌木帯の草原に鹿が戯れていて良い雰囲気なのだが、立ち止まる余裕はない。寒いのでふいごのような強い呼吸を繰り返し、歩き続ける。
16時過ぎて熊の平小屋到着。気力、体力を使い果たした。誰もいないのでありがたく冬季小屋を使わせていただく。身体を温め、体力を回復させるため、大量の夕食を食べた。
9/4 土 (13日目)
朝方に雨足が強まる。停滞する理由を探してぐずぐずしていたが、鳥が鳴いたので出発を決める。
稜線に出てスマホで天気予報を見る。一日中雨。今日も惨めな日になりそうだ。
幸運にも、雨はぱらつく程度。しかし、昨日使い尽した気力が十分に回復しておらず、集中に欠ける。たまに放心し、不用意に足を置いてしまう。無理して仙丈ケ岳まで行かず、樹林帯にビバーク。雨が降り出す。夕方に雷が鳴り、夜は土砂降りの雨。
9/5 日 (14日目)
曇っているが、時々青空が出て、仙丈ケ岳が現れる。ライチョウもくうくう鳴いて歩いている。休日で、登山者とよくすれ違った。
北沢峠へ降る。標高が下がり、身心が弛緩するのを感じる。内臓もゆるみ、腹が減る。
北沢峠で休憩、給水し、甲斐駒ヶ岳に登る。樹林帯のピークかコルでビバークしようと思ったが、テントを張るスペースがない。疲れていたが先へと進み、結局森林限界を越えた展望の良いピークにテントを張る。このほうが最終日にふさわしいかもしれない。明日はご来光が見られるかも。夕食後、ガスが切れて甲斐駒ヶ岳が現れる。行動食が余っているので、ちょっとしたお菓子パーティになった。
9/6 月 (15日目)
5時半頃にテントを撤収していると、甲斐駒ヶ岳の肩越しに太陽が昇る。太陽光がガスに乱反射し、一面、光になる。神秘的。しかし、あまり気分に浸らずにさっさと出発。
荷物を置いて摩利支天をピストン。甲斐駒ヶ岳は岩が美しい。男子なので、お花畑より岩に魅力を感じる。
甲斐駒ヶ岳山頂。雲海が広がる。下山は黒戸尾根。修験道や山岳信仰由来の道が好きなので楽しみにしていた。一気に駆け降りるつもりだったが、ハシゴやクサリ場が多くて難儀した。
13時頃、登山口に到着。ためらうことなく尾白川に飛び込み、身体を清める。
小淵沢まで行くつもりで道路を歩いていると、コミュニティバスが停まってくれた。長坂駅まで200円。本当に助かりました。電車とバスを乗り継いで東京の実家に帰る。さらに視力が良くなって、ものが鮮明に見えすぎる感じがするが、すぐに落ち着くだろう。2週間の無補給の山歩き(ちょっとずるしたけど)は、今後の布石になると思う。
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