聖岳東尾根にトレースを刻む
- GPS
- 80:00
- 距離
- 21.4km
- 上り
- 2,485m
- 下り
- 425m
コースタイム
29日 4:00起床5:55BP-11:00JP11:25-15:40白蓬ノ頭付近BP
30日 6:15BP-8:30東聖岳-9:50奥聖岳-10:15前聖岳10:20-11:53東聖岳-13:45BP
31日 5:55BP-7:00JP-8:40出会所小屋跡-9:20聖岳登山口9:43-13:20沼平ゲート
天候 | 28日:晴れ 29日:晴れ 30日:晴れのち一時雪 31日:雪のち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2013年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
道路規制情報は静岡市のHPでチェック http://www.city.shizuoka.jp/deps/dorohozen/tu-koukisei.html 189号線を使用できたので助かった。 トイレがある(前泊できそうな)場所は、 ・富士見峠の駐車場→トイレ使用できた。但し、峠で標高も高く寒い。 ・沼平から20kmほど手前の道の駅風の南アルプスの里 →トイレ使用できた。前泊にオススメ。 ・沼平ゲートP(ただし、トイレはプレハブでドア無し)→トイレ使用できた ※ 畑薙ダムの駐車場のトイレは冬季使用不可 ※ 沼平ゲートでテントで前泊したが、かなりの 強風(稜線並み)が谷間を抜けていた。 車中泊なら良いがテントだとイマイチ。。。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
<道の状況> ■ 沼平-聖岳登山口 夏は通常東海フォレストの送迎バスを使用する 林道だが、冬は14km歩く。路面が全面ガチガチ とまではいかないので、メンバー全員で、アプ ローチシューズを使用(登山口にデポ) 単なる林道だが、凍結箇所での転倒はもちろん、 落石多いし、熊見かけるし、十分な注意が必要。 トンネルは赤石ダムの一ヶ所だけ。 ■ 聖岳登山口-出会所小屋跡 聖沢の一般登山道。取りつき尾根を200mほど 登ってから隣の尾根にトラバースする。 BPには大きな石が複数ある。近くの沢で水を取れる。 ■ 出会所小屋跡-ジャンクションピーク(JP) 下山時は小屋の裏手からの支尾根上のトレースを 追ったが、登りの際は、聖沢登山道をトラバースし、 1,418mピークの北西のコルから取りつき。 前週単独者が入ったようだが、トレースはうっすら。 最初から足首〜脛ラッセル。特に傾斜が緩むところ ではルーファイ注意。また、ハイマツ多いところでの 踏みぬき多数。Co2,000m付近からワカン装着。 急傾斜で最大太腿ラッセル。 ■ JP-白蓬ノ頭 アップダウンを交えた登り。緩傾斜多いがその分 吹きだまりも多い。最大で腰ラッセル。BPは白蓬 ノ頭から30mほど南西の樹林帯。強風が吹いても テントには殆ど影響のない最高の立地であった。 ■ 白蓬ノ頭-東聖岳 東聖岳への登りを開始するまで樹林帯の二重山稜。 マーキングあるが、樹木への着雪等で見失いがち。 ここでもワカンで膝〜太腿ラッセル。 二重山稜部ルーファイ注意。視界が開けたところで、 北側の尾根に取りついた。途中からアイゼン。 ワカン等はデポ。 ■ 東聖岳-奥聖岳 技術的核心。基本はリッジ上or聖沢側をトラバース。 山頂直下の岩場は、左肩に向けて15mほど登る。 下りが怖いが、登りに作ったステップにアイゼンを 効かせれば問題はない。ただ、ここは個人差が出るところ。 上部に灌木が少しだけ顔を出していたが強度は不明。 ロープ使用するにも相応の技術が必要。確保方法にも よるが40mロープがベターか。 ■ 奥聖岳-前聖岳 ほぼ水平。ただし強風。時々耐風姿勢。山頂滞在 時間5分弱。 <装備> 通常の雪山装備以外に、今回は以下を用意した。 ■ ロープ50m→使用せず ■ スノーバー→使用せず ■ ガチャ類→使用せず ■ ヘルメット→奥聖岳の手前の核心部で装着。 (強風による凍傷対策を優先) ■ 赤旗竿(10本)→ピーカンで2本ほどだけ 使用しただけ。但し、視界不良でノートレースの 状況なら必要だった。 <登山ポスト> 沼平ゲート、聖岳登山口。 年末年始は沼平登山指導センターに県警が常駐するが、 28日の朝はまだ不在だった。 <下山後の温泉> 畑薙ダム近くの白樺荘は毎週火曜定休で入れず。 沼平ゲートで教えてもらった静岡市街の「美肌湯」へ。 http://www.bijinyu.co.jp/ @1,000円。サウナあり、露天なし。 <食事> 大晦日に営業している美味しいお店を見つけられず、 チェーン店の「かつ銀」でとんかつを食べた。 |
写真
感想
夏の赤石沢遡行で赤石岳から望む聖岳東尾根。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6887.html
ゆーまと「あそこ行きましょう」などと話した
ことをきっかけに、ゆーまとは行けなくなったが、この
年末、向かうことに。
事前計画段階では、過去の記録や地形の把握は
もちろんだが、装備も悩んだ。特にロープ長は
結果50mを持参したが、最後まで30mにするか悩んだ。
さて、仕事納めの日、職場で目の前に溢れるアルコールを
ぐっと堪えて、20時に登戸集合。東名高速松田BSで
旗竿を担いだ怪しいらっきーをピックアップ。
新静岡ICから、地獄の県道で一路畑薙を目指す。
赤石沢のときに、もう当面この道は走りたくないと
思ったが、半年もしないうちにまた来ることになるとは。。。
よほど南アルプスが好きなんだなと。
途中、道の駅風情の休憩施設、富士見峠と南アルプスの
里を偵察。見上げると満天の星。静岡市葵区の懐の
深さにある種の感動を覚える。「ここが静岡市とは・・・」
車酔いに耐えながら何とか1時ごろに沼平のゲート着。
年末年始を山で過ごす登山客で賑わってるかと思いきや、
驚愕の車ゼロ。。。そして強風。テントも簡単に
建てられない。
計画上、初日は出会所小屋跡まで。時間的にも余裕が
ある。だが、その後の進行を考え、少しでも先、ジャンク
ションピークに近づくべきか、悩む。
が、沼平までの道路や沼平付近の様相を見て、この
1週間まとまった積雪はないと判断。体力を温存し、
水作りの労(ガスの消費)を避けるためにも、計画通り
出会所小屋跡までとする。
結果としてはこの判断が正解であったことに、2日目
気づかされる。
軽く飲んで2時ごろ就寝
■ 12月28日 晴れ、強風
朝起きると車が一台増えていた。登山者かどうかは不明だ。
その後タクシーがやってきて単独行の若者を下す。
彼は茶臼から聖〜荒川方面まで縦走する計画だそうだ。
スゴイ。どちらにしても、東尾根は我々がトレースを
作ることになりそうだ。
のんびり準備して出発。
林道はアプローチシューズで歩くため、登山靴もザックに
くくりつけた。おかげでとにかく重い。ボッカは登りで
背中に荷物が載るが、水平道では思いっきり肩に載る
ことに気づかされる。本当に苦行、ひたすらに耐える。
赤石ダムまで来ると目指す東尾根と白銀の稜線を
望むことができ、モチも上がってくる。
登山口からBPまでは一息だ。
出会所小屋跡にテント設営。他にパーティはいない。
隣の沢で水を汲み、取りつきを偵察。計画通りにことが
運ぶ。肩の痛みを除けば体力も温存できた。
夕刻は充実のつまみで乾杯し、らっきーの塩麹鍋で
明日の急登に向けて気勢を上げる。
この日はぐっすり寝ることができた。
■ 12月29日 晴れ
6時、ヘッデンを灯し出発。
先週、同人青鬼の方が単独で入山していたことを把握
していたので、このトレースを探すが殆ど残っておらず、
結局はラッセル。最初は足首から膝程度。それでも元気
いっぱいなので、ズンズン、でも体力温存しながら進む。
しかし、ハイマツ帯では何度も踏みぬいて、
腰まで浸かる→脱出で苦労する→体力消耗→ストレス蓄積
を繰り返す
次第に明るくなるが、逆に雪は深くなる。傾斜が緩むと
吹きだまりが増え、トレース箇所もロストし、またも
踏みぬく。
でも、何だか嬉しくそして幸せだ。
純白のノートレースの斜面に自分たちだけの足跡を
つける。他にパーティもいない。ルーファイも自由(自己
責任)。
あー雪山の素晴らしさ、これだ〜っ、樹林帯でも
存分に味わえる!と、シミジミ噛みしめる。
標高1,900mを越えた辺りで、さすがにつぼ足は限界を
迎えたのでワカンに切り替え。本格的なラッセルに励む。
南アルプスの乾いた雪はなかなか踏み固まらない。
何とかジャンクションピークに到達したが、計画より
1時間以上遅かった。
が、ここではまだ終わらず。
白蓬ノ頭まで、さらに雪は深くなる。急傾斜で腰まで。
ラッセル下手な我々、同じところで何度も落ちては
蹴るの繰り返しのシーンも。泣けてくるが、やはり幸せ。
気力、体力は充実だ。
ザッパが泣きごと言い始め、「この辺テントに良さげ
ですよ〜」と言ってくるが、明日のアタックを考慮すると、
ここは白蓬ノ頭まで進めておきたい。時間もまだ余裕ある。
Co2,500m付近の急登は雪の中を泳ぐようなイメージ。
目の前に広がるたった30m程度を進むのにエラい時間が
かかる。
碧い空が広がり標高も2,600mを越えたところで、白蓬ノ
頭手前に出たと判断し、BPを決定。
時刻は15:40になっていた。9時間40分、丸一日、殆ど
ラッセルとなった。
疲れた中、私は翌日のために少しだけ偵察に出かけ、
ザッパとらっきーがテント設営のための整地。疲れて
いるがまだまだやることがある。幸い、風を避けられる
ところだったので、雪壁を作らずに済んだのは助かった。
水作って、ザッパのカレーを食べて、明日の好天を
祈って就寝。
そういえば、このBPでは携帯の電波が入ったので、
ヤマテン予報をチェックできた。翌日は冬型も緩み、
絶好のアタック日和のようだ。
■ 12月30日 晴れ 風は4日間で最も弱い。
アタックの日。
3:00起床でのんびり準備する。
前夜は疲れすぎたからか、標高が高いからか、睡眠
導入剤を飲んだのに、余り寝られずシンドイ朝だった。
6時過ぎにワカンを装着して出発。昨日の偵察箇所を
過ぎるとすぐにラッセル。
またか!
ここで疲労を貯めるわけにはいかないが、時間をかけ
過ぎるわけにもいかない。
リーダー的には、無理してピークを目指さない、撤退
ポイントを意識しながら、心がけながら進む。
二重山稜の何とも分かりづらい地形を縫いながら、
東聖岳に向かう尾根に取りつく。
陽光を浴びる赤石岳が余りに美しい。やはり南アルプスの
盟主だ。2013年の最後にこの風景を見られただけで
満足だな、と思ってみる。
森林限界を越えてもなお雪は深い。
昨日頑張りすぎたか、今日は足が重い。代わって今日は
らっきーが元気だ。足取りが軽そうだ。テントでの
あの寛ぎ姿勢が活きているようだ。
アイゼンに切り替えてひと登りで東聖岳に到着。ここまで
問題となるところはない。
前半のラッセルで時間をくったのでさっさと進む。
奥聖岳に向けた最後の登りの手前で、判断事項について
メンバーと打ち合わせ。撤退ポイント等の確認。
ロープをザックの一番上に移動する。
しかし、ここでトラブル。ジャケットのジッパーが破損。
胸から上が締まらなくなる。氷点下13℃程度で強風の
ため、リスクはあるが問題なしと判断できたので
続行する。
さて、核心のミックス帯。
登りは見かけほどは怖くないが、下れるかどうかだ。
この辺は個人差が出るところ。注意が必要だ。
もっとも、この日は雪質が良い。アイゼンが心地よく
決まってくれる。振り返ると富士山。メンバーが後ろ
から(多分)笑顔で登ってくる。最高の風景だ。
下のコルから50分ほどで奥聖岳のピーク。
やった!
すげー景色だよ!!
振り返れば我々だけの一条のトレース。
唯感動。
前聖のピストンはおまけ。
私の今回のピークは奥聖岳だな。
慎重に下山。
最後は体力が切れヘロヘロだったが、無事にBPへ帰還。
祝杯をあげる。
夜は私の久々食担、キムチ鍋。
ご満足いただけた様子。
■ 12月31日 雪のち晴れ
昨夜のうちに5〜10cmほどの積雪があったようだ。
この日もワカンを装着して出発。
1日遅れで3パーティほど入ったようで、大体トレースが
あったので、苦労せず駆け下りることができた。
登りに9時間半もかかった道のりを3時間で下ることが
できた。
林道では落石が目の前に落ちたり、熊を見かけたり、
凍結箇所でスリップしたり、そう簡単ではなかったが、
無事に帰還。
2013年のラストを飾る聖岳東尾根を完歩することが
できた。
ほんと、3人で力合わせて頑張ることができた。
ありがとう。
コメント
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Good job。
shimogさん、ありがとうございます。
少しはここまでの成果が出たかなと思います。
今年もひとつ宜しくお願いします!
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