小川山フリークライミング
- GPS
- 32:00
- 距離
- 3.2km
- 登り
- 316m
- 下り
- 298m
コースタイム
12:20-14:00 小川山レイバック(5.9+)
14:30-16:00 周辺探索
16:15 キャンプ場に戻る
9/23 快晴 7:30 キャンプ場発
8:00 西俣沢対岸妹岩に至る
8:15-9:00 愛情物語(5.8)
9:45-10:30 龍の子太郎(5.9)
10:45-11:10 川上小唄(5.7)
12:20-14:00 カサブランカ(5.10a)
15:00-15:30 マラ岩南面 ホリデー(5.9+)
16:30 キャンプ場着−撤収
17:20 キャンプ場発⇒0:30 茅ヶ崎着
天候 | 9/22 快晴、9/23 快晴 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
ついに訪れることができた"聖地" 小川山。
シーズン終了も近い秋の小川山にクラッククライミングを楽しみ、苦しんで(?)きた。
6時に茅ヶ崎を出て相模湖周辺で渋滞に捕まりつつも何とか10時半頃に廻り目平キャンプ場に到着する。
最初は解らずにダートを奥の方に進んで適当な駐車スペースを探したが、金峰山荘に行くと何のことはないその裏が巨大な駐車場とキャンプ場になっているのであった。
キャンプ場はトイレ、水場は当然ながら自動販売機、シャワー室まで完備している。
ファミリーキャンプでも全然問題ないし、実際そのようなキャンパーも実に多く見られる。
気温は15℃程度と非常に快適、天候も湘南を発つときには気に病んでいたが笹子トンネルをくぐると快晴の空が広がっていた。
駐車場からは屋根岩が眼前に聳えている。圧倒的な眺望。
平らで良いスペースがあちらこちらにあるが、適当に場所を決めてテントを張り、昼ご飯と決め込む。
◆小川山レイバック
当初から絶対登りたい所があった。小川山レイバック(5.9+)★★★だ。
位置も駐車場から近いし、13Kさんは学生時代に一度訪れて(記憶はおぼろげだが)トライしていると言う。この時は数メートルしか登れなかったと言っている。さて、今ではどうか。
腹支度を済ませてさあ行こうとなったが、近いと言っても一寸迷った。
それでも人声も頼りに登っていくと親指岩が現れた。小川山レイバックだ。
4人組のパーティが取り付いていたが、丁度終了したとのこと。大分長い待ち行列があるものと覚悟していたのでこの点はラッキーだ。でも登っているところを観察できなかったのはアンラッキーと言える。
親指岩には丁度中央に縦に一筋のクラックがあり、東面に小川山レイバック、西面にクレージージャム(5.10d)★★★★がある。
レイバックには左側から数メートル岩を乗越すと取り付きのテラスに届く。取り付きのテラスはまさにテラスで非常に快適なスペースが提供されている。床(と言う感じ)にグランドシートを開いてその上にザックを置き、ギアを陳列させることができる。先ずは新品のキャメロットの効き具合をチェックしたりする。
先ずは13Kさんがリードする。出足からステミングで行く。かなり苦しみ、2本セットしたところで、一旦降りて休憩する。
再度トライして完登した。レッジではかなり逡巡が見られた。
使用ギアは下からキャメロット0.75(緑), キャメロット1.0(赤), キャメロット1.0(赤)(ここでレッジ), テクニカルフレンズ3.5, キャメロット2.0(黄), オフセットフレンズ3.0。
降りてきてもかなりバテバテで、特にふくらはぎが緊張していると言う。
次いでtadomasaがトップロープでトライする。
最初の3手ほどをレイバックでそれからはハンドジャムとステミングで登攀する。下部でもう足の付け根がブルブル言ってくる。上部は被ってくるので余計苦しい。
何とか登って降りてくるとスムースだと言われた。が、肩で息をしていて喉はカラカラに乾いている。
次に再度13Kさんがトライ。トップロープなので余裕だ。
そしてtadomasaが再びトップロープでギアをセットする練習をしながら登ったところで後続のパーティも来たので終了。
この時の使用ギアは下からキャメロット0.75(緑), キャメロット1.0(赤), キャメロット1.0(赤)(ここでレッジ), テクニカルフレンズ3.5, フレンズ2.0。
やはり下部ではグランドフォールが怖いので3本は要るだろう。
クラックは必ずしも広がる一方ではなく最上部では狭まっているのでフレンズ2.0が良く決まった。
レッジからの一歩が決心が要るところだが、右に水平クラックがあるのでこれを頼りに先ず1m稼ぎ、その後はハンドジャムで行くことになる。
下部よりもフットホールドには事欠かない感じだ。
抜け口の"ピナクル"状と言うスタンスには右で立ち込んで左足を高く上げて上部の出っ張りに掛けると楽になる。
なかなか素晴らしいルートで満足感一杯になった。
更に言うと既に全身パンプ状態で、普段人工壁で使わない体と筋肉の使い方が必要だと実感した。正に全身運動。
◆周辺探索
後続パーティの様子を少し見ていたが、まだ2時半程度なので次のルートを探す、或いは少なくとも周辺のルート探索をと移動する。
親指岩南側の隙間を通ってレイバックの裏のクレージージャムを先ず見る。
やはり取り付きから一直線にクラックが伸びているが、取り付きが若干前傾していてしかもフレアしている。とても今かなう相手ではない。
ボロ岩の脇を通ってかなり登っていくとお殿様岩と思しき岩に出会う。
途中あるはずのピナクルとかクラック2本の小岩とかは見かけなかったのでルート図と違う道筋を来たようだ。
お殿様岩ではイムジン河(5.11c/d)★★★或いはスーパーイムジン(5.12b/c)★★★に取り付いているパーティがいる。
お殿様岩の右側を捲いて一登りすると最高ルーフの岩峰に辿り着く。
この裏に子持ち岩と言うのがあって5.10aのルートが2本あるようだが、あまり踏み跡も無さそうなので引き返す。
15:30を回って日も陰ってきたのか森の中は鬱蒼とした雰囲気になっている。
お殿様岩まで戻り林の中のボルダー群の方へ足を向ける。
一寸降りていくとボルダーらしき岩の群と同時にボルダーに取り組んでいるパーティが幾つか見えてきた。
13Kさんが尋ねるとスパイアだという。そしてその先にある大岩がクジラ岩。
小川山のボルダーのグレードは段位・級位で表しているので難度が解りづらい。
5級前後が先ず取り組む課題のようだ
しかし驚くのはそのハイボルダー振りだ。
クジラ岩の一番高いところは優に6m以上はあるように見える。
これをわずかなボルダリングマットだけでノーロープで登るのは一寸した冒険以上だ。
クジラ岩のフレーク(9級)に取り付いていた女の子が2m位の所から落ちたが、落ちた後にマットでバウンドして頭から横に飛ばされたのを見てゾッとした。
もう少しで岩に頭を打ち付けるところだった。
ボルダリングは命がけだ。
キャンプ場に出ると以外に明るく、森の中とのギャップが大きい。
その日のメニューはこれで終了。つまり、小川山レイバックのみ(^^;
その晩はかなり冷え込んだ。
23日朝目覚めると一面に霜が立っている。
流水で洗った手が空気に触れるとチリチリと痛い。
もう夜を過ごすには冬装備が要る様子だ。
23日はマラ岩を目指す。
マラ岩の川上小唄(5.7)★★はそのグレードにも関わらず2つ星の好ルートで、先ずここをやろうということだ。
マラ岩へは林道を数分歩き、右側にビクターを見てその次の左側への筋を入っていく。
ここから西股沢を大堰堤の上で渡るのだが、水量が多くなかなか良い(つまり濡れない)徒渉点が見つからない。
それでも何とか飛んで渡って濡れずに済む。
帰路も観察してみたが、堰堤上を行くのも浅いので濡れないかもしれない。
ここから踏み跡に従っていくとNo.3土塁工の下でまっすぐ烏帽子沢を横切るようにケルンが置いてある。
ケルンに従って渡り、林の中を踏み跡を詰めて登っていくと妹岩に出た。
これも帰路観察したのだが、マラ岩から降りるラインを採るとNo.3土塁工の上に出た。
◆愛情物語
先ずは出会った妹岩で登れそうなルートを探すと丁度正面の壁に愛情物語(5.8)と言う斜上するクラックを行くルートがある。
13Kさんがリードし、tadomasaは残置プロテクションを使ってリードした。
傾斜が無いように見えるが取り付くと以外と手強く、特にスラブをトラバースして終了点に辿り着くところではランアウトして緊張する。
下部のクラックは非常に楽しめるが、フットジャムが効きすぎて足が抜け難いことがある。
終了点から後ろを振り返ると素晴らしい展望だ。
隣を見ると薄刃のようなマラ岩がそそり立っている。
使用ギアは下からキャメロット1.0(赤), オフセットフレンズ3.0, フレンズ2.0, キャメロット1.0(赤), ボルト, キャメロット3.0だった。
◆龍の子太郎
次に川上小唄、と思ったのだが先客がいたので、先ずはその登りを観察して、それから一旦次の課題へと戻った。
次なる課題は妹岩南面の龍の子太郎(5.9)★だ。龍の子太郎は2ピッチあるが、1ピッチ目が5.9で★、2ピッチ目は5.8で無印、と言うことで1ピッチだけやることとした。これもクラックルート。
取り付き部から一寸愛想のないツルッとしたスラブだが、その上2m程上がったクラック部はフレアしていてどうやってもジャムが決まり難い。ここが核心と言える。
そこを何とか乗越すとクラックの終点だがここは体を左に振ってレイバックで行くと気持ちが良い。体が自然にそうした体勢になっていく。
13Kさんがリードし、tadomasaは見た感じ困難さを感じてトップロープでトライした。結果的にはトップロープで良かった。何しろ2回もクラック部分でスリップしたので。
使用ギアはオフセットフレンズ3.0, フレンズ2.0, キャメロット1.0, キャメロット3.0, Metlius4(上部)だった。
◆川上小唄
"マラ岩の頂上に最も簡単に辿り着けるルート"とガイドに記述されているマラ岩東面の川上小唄(5.7)★★は結構な人気ルートだ。
隣にイレギュラー(5.10d)★★、レギュラー(5.10b/c)★★、ブルースパワー(5.11c)★★と言う超人気ルートがあることもあり、マラ岩東面は時間と共に都会並の混み具合になっていく。
川上小唄はその隣にあって、決して初心者だけのためのルートでなく、皆が楽しめるルートと言う位置付けで受け入れられているようだ。
テラスに登りそこから張り出している岩に取り付き3m程登るとマラ岩に取り付ける。ボルトは3本設けられている。
1本目のボルトの後がなかなか動きづらいところがあるが、難度はやはり5.7というところ。(それでもtadomasaはすっかり臆病モードでトップロープで登った。^^;)
普通の人はこんなマラ岩の剃刀のような姿をこのルート以外では見ることが出来ないだろう。
◆カサブランカ
5.8, 5.9と来たから次は5.10aとばかりにちょい早い昼ご飯の後に何故か空いている龍の子太郎の隣のラインのカサブランカ(5.10a)★★★に取り付いた。
ところが手強い。
13Kさんがリードしたが、半分を越えた辺りでギブアップ。美しいフレアクラックが始まるところだ。tadomasaが引き継ぐが何とか頑張っても同じ所止まり。
丁度このフレア部に取り付くためにはフットジャムが完全に決まらないと乗り切れない。ここから先は手掛かりはまるでなくハンドジャム、フットジャムのみが頼りになる。結局はジャミング技術が未熟だから、と言うこと。
クラックには3本のカムがセットされたままになったが、13Kさんが裏から廻り懸垂で降りてギアを回収した。
支点からは45mロープでぎりぎり懸垂下降できる高さであった。
その後に13Kさんはトップロープでトライし、完登した。中間のレッジまではスムーズ、その後も快調であった。やはり繰り返し練習が一番と言うことかもしれない。
次のパーティ(男2人)が巨大なキャメロットを持って来たが、そのギアの使い込み具合から見ても相当やりそうだったので見ていると、カムを交互に前進させての人工登攀を見せてくれた。(もっともこれをやりたい訳では無く、仕方なくではあるが。)
一緒に見ていた他のパーティのクライマーが言うにはフレアしているだけにフットジャムが良く効く、とのこと。
また小川山のクラック課題は、小川山レイバック(5.9+)→カサブランカ(5.10a)→ジャックと豆の木(5.10b/c)→クレージージャム(5.10d)と回っていくそうだ。
◆ホリデー
時間的に後1本と言うところで、マラ岩の南面に手頃なルートを見つけた。ホリデー(5.9+)★だ。
下からはマラ岩の全貌が見える。ホリデーはその左下部分で2つのフレークを繋げるきれいなラインを描いている。ガイドにはボルトプロテクションが1つ描いてあるが、下から見える位置にはない。中間のスラブ部分にあるので、そこまではランアウトしてしまう。
最初の数メートルは易しいが、バルジ状の所は以外と居心地が悪く高度感がある。
この部分はクラックは薄いので13KさんはMetolius(青)を使ってプロテクションを取る。バルジが立ち上がっているところにボルトがあるが、このつるつるに近いところを乗越すのが1つの核心だ。
ボルトの辺りまではハンドジャムが効くがそこからはクラックは使えず、右手の遠いところにホールドがあるが次の左手の一手が出ない。
結局13Kさんもtadomasaも(そして次のパーティのリードも)ボルトを踏むインチキをして左手をフレークの一番下に伸ばすことが出来た。
後に登るクライマーを見るとここで左手を壁を押すようにして安定させて難なくクリアしていった。
フレークでは13Kさんは下側と上側に1つづつカムでプロテクションを取る。
下側のフレークは実際にはももが余裕で入る幅の広いものでキャメロット3.0を使ったが安心できるものではない。上側のフレークにはキャメロット2.0をセットし、これは良く効いている。
そしていよいよフレークの乗越しに仕掛かる。13Kさんはフレークをアンダーで持って足を壁に押しつけて上げていきオポジションの体勢に持ち込んだ。一旦オポジションが決まるとそこからは交互に手を前進させてオポジションを維持したまま登っていく。実にダイナミックで気持ちの良いクライミングだ。
tadomasaはこの部分はフレークに肘まで入れて安定させてからオポジションに持ち込んだ。
2人ともこの時に右足を大きく開いて安定したスタンス上に置いていたので、この安定を崩すのに気合いが要った。
後に女性クライマーの登りを見たがこの右のスタンスを使わずに出だしからもうオポジションに入り掛かっていた。この方が容易に体勢の移行が出来ると感心した次第。
ダイナミックなムーブと言い、見事な見栄えと言い、正に星付きにふさわしい5.9ルートだ。
これで丁度今回のツアーを終了させる時間となった。
マラ岩からは真っ直ぐ下る踏み跡を通ったが、先に書いたようにNo.3土塁工の上に出た。
上部では結構浮き石に気を遣う。
林道から振り返るとマラ岩の雄姿がひときわ目立つ。今朝まではどれがマラ岩かも解らなかったが、かなり親密になった気がする。
湘南への帰路は3連休の大渋滞に見事にはまり、キャンプ場を5時過ぎに出たにも関わらずその日のうちに到着できなかった。
◆小川山の印象
初めて訪れた小川山のフリークライミング山行は素晴らしいの一言に尽きる経験であった。ルート、キャンプ場いずれも素晴らしい。
特にルートは非常に贅沢にルートが設定されている。贅沢というのは本当に厳選したラインしかなく、派生したようなルートが殆ど無い。(湯河原であればすぐにルート間にルートが埋まる。)
従って星が付かなくてもどのルートも登って楽しい。
キャンプ場は展望雄大、岩場へのアプローチも良く、広くて清潔。設備も完備。と言うことで子供連れのファミリキャンプにも好適と言える。(実際そう言うパーティも結構いた。)
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