北ア/穂高・横尾本谷左俣〜北穂高岳 (積雪期ピークハント/縦走 / 槍・穂高・乗鞍)
日程:
1995年06月20日
〜
1995年06月22日
メンバー:
kamog
その他メンバー2人
天候:
6/20 曇のち雨
6/21 晴のち曇
6/22 晴
6/21 晴のち曇
6/22 晴
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| コースタイム: | |||||
| 6/20 上高地7:50・・・横尾10:50・・・本谷橋12:10・・・二股13:30・・16:00 北穂池下大滝上部(テント泊) 6/21 大滝上部7:24・・・天狗の踊り場8:24・・・大キレット最低鞍部9:50・・・北 穂岳取付14:00・・・北穂山荘15:40 6/22 北穂山荘7:50・・・北穂岳北峰7:55・・・北穂沢下降点8:50・・・涸沢ヒュッ テ12:50・・・上高地17:20 |
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| コース状況/その他周辺情報: | |||||
| 横尾本谷コースは一般道ではなくバリエーションルートです。 | |||||
写真:
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感想/記録:(by kamog)
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| 上高地から本谷橋までは穂高の一般ルートを行くが、本谷橋直前の右側侵入禁止ロープ をまたぎ、本流の横尾本谷を左岸(沢や谷の左岸とは上流から下流をみた場合左側とい うこと)沿いに歩く。途中までコースサインも出ているので安心だ。 3m位の大岩を乗り越すとコースはいよいよ雪渓歩きとなる。二股までは斜度も緩くア イゼンなしでも大丈夫である。 左俣はまっすぐ伸びる右俣と直角に交わっており、その左側の岩稜帯は数十メートルの 岸壁なのでみまちがうことはない。ここから斜度が増してくるのでアイゼン歩行がよい であろう。しばらく行くと左側岸壁からすごい大滝の糸が見えてくる。上部はU字スラ ブを滑り落ちそのままほおりだされるような見事な滝だ。 滝の上部で雪渓は岩稜帯に分けられるがここは右側を行く。 約30mくらいで左俣大カールの末端に飛び出すことができ、その景観にしばらく見と れるであろう。 昔は滝谷を登るクライマーたちのベースにもなったこの地は、いまではほとんど登山者 もなく、その雰囲気から天狗の踊り場と名づけられた静寂な気持ちのよい場所である。 ルートはここから大キレット最低鞍部を目指す。地図を広げ長谷川ピークを見つけてそ の右側のコルだからすぐに分かるはずだ。約40度の雪の壁をジグザグにステップを刻 めば約1時間少々で鞍部に着く。 アイゼンを外し槍穂銃走路(一般ルートとしては上級コースであろう)を南下、 最初の悪場である長谷川ピークを越す。ここには鎖を使った狭く高度感のあるバンドの トラバースややせ尾根の乗り越しがありなかなか。A沢のコルへ降り次の悪場飛騨泣き を登るがバランスよく歩けば特に問題はない。むしろこの残雪期には北穂高岳の取り付 きのほうが難しかった。 南面にある正規ルートは雪(これが結構クラスト=氷化している)の中なので、狭いバ ンドづたいに南面に回りこみ、頂上から落ちているもろい岩稜を直上する。さらに北穂 から涸沢に至る南稜ルートも使えず、北穂岳頂上を極めたのちは雪の急斜面である北穂 沢を降りる。途中40度位の斜度もあり滑落すれば高度差700m以上ということもあ り緊張するが、フラットフィットで慎重に下る。 *************************************** 山行レポート(takachin) 1995年6月19日 深夜 どしゃぶりの雨の中、僕は車を走らせる。 時折、鋭い光の後に雷鳴が轟く。 木々のざわめき、ボンネットをたたく雨の音、迫りくる山の影。 暗闇で姿こそ見えないけれど、その圧倒的な迫力を、 僕は肌でひしひしと感じずにはいられなかった。 また遠くで雷鳴。 ただの一つとして明かりを灯す物のない山奥で、 雷光だけがその神々しく、近づき難い、山の峰々をほんの一瞬 写し出す。 僕は、 延々と続きそうな長い長い道のりと、 単調なワイパーの音と 幻想的な風景の中に吸い込まれそうだった。 「高田君、安曇村だよ」 福山さんの声でふと我に返る。 それから、 大きなダムを横切り、長いトンネルを抜け、 ようやく上高地に着いたのは、午前3時を廻ってからだった。 益々強さを増した雨と、雷の轟く音を聞きながら 車内で仮眠する。 明日晴れることを祈りながら... 1995年6月20日 朝。上高地〜横尾本谷左俣 土砂降りだった未明の雨がまるで嘘のように 6月20日の朝は穏やかな陽気。 決して晴れてはいなかったが、結構強い雨を予想していたのでホッと一息。 急いで荷物をまとめ、7時30分過ぎに上高地をスタートする。 まずは横尾までの淡々としたウォーミングアップコース。 昨年の秋、この地を踏んで以来だから本当に久々のはずなのに、 なんだか毎日の散歩コースを歩いているように親しみのある景色が広がる。 道の端にはひっそりと高山植物が咲いている。 本来なら、ゆっくり時間を取って歩きたいところだが、 雨が降りそうなこともあったし 何よりも、初日の行程にしてはかなりの距離を稼ぐ予定だったこともあって、 約2時間ほどで横尾にたどり着く。 空はドンヨリ曇り空で屏風の岩場すら見えない。 ふたたび、雨が降り始める。 予想はしていたけれども今日はどうも好天は望めそうにない雰囲気だ。 「コリャア、明日も雨だな、ウン」 雲の流れを見て、後藤さんはつぶやいた。 僕の気持ちの中にも暗雲が垂れ込めてきた。 横尾からはいよいよ本降りとなり、 フードにあたる雨の音がうるさく感じられるようになってきた。 所々行く手が寸断されていたり、(土砂が崩れていたり、思っていたよりも雪渓が標高 の 低いところまで残っていた) この折からの雨にも悩まされ、本谷橋からは幾らも行かないうちに一行かなりの ペースダウンを余儀なくされる。 ドシャ降りの中、寒さに震えながらアイゼンを装着。 二俣から続く延々の左俣を一向に好天しそうもない天気を恨めしく思いながら黙々と登 る。 しかし、なかなかペースが上がらず、いたずらに時間を費やすばかりで、ついには予定 していた 本谷のカールまで到達することなく、雪渓の中腹にて急遽ビバーク。3人共かなりの 体力を消耗していたので、最後の力を振り絞りできるだけ早く即席のテント場をこしら える。 テントの中に入っても心落ち着かず。そそくさと飯を食ったあと、まだ止まぬ風と雨の 音に 半ばあきらめの気持ちを抱きつつ早めの就寝となる。 ラジオでは「明日も雨が降る」と繰り返している。 浅い眠りの中でつい先日分かれた彼女が僕に微笑みかけている。 明日もおそらく雨だろう。 1995年6月21日 横尾本谷左俣〜本谷カール〜大キレット〜北穂高山荘 午前二時...尿意をもよおしモソモソとテントから出ると外に後藤さん 「アレ?晴れている?」 高田、寝ぼけているのか、外に出てから初めて雨の降っていないことに気がつく。 「高田君、上見てごらんよ」 後藤さんに言われて空を見上げると、なんと!満点の星空!! 近くを流れる滝の音と 北穂高のシルエットが なんとも言えず神秘的! こんな大自然の中で こんなちっぽけなテントを張っている俺等。 不思議な時間を過ごしている僕。 朝、起きてみると頭がズーンと痛い。 ついでに吐き気も催してきて、なんだか食欲がない。 朝飯は無理をしてでもたべなくちゃ、と2人に言われるも、 なかなかどうして食べ物が喉を思うように通らない。 どうやら急激な気圧の変化で、軽い高山病にかかってしまったらしい。 強引に食べ物を胃の中に流し込む。 福山さんもなんだか調子がよくないらしく 僕等一行は、一時は撤退も考えたが、 しかし、朝食を終え、いったん外に出てみると あまりのすばらしい天気に思わずそんなことはちっぽけなことに思えてきた。 僕も福山さんも次の瞬間には 「行きましょう!」と力強く答えていた。 眼前には北穂高岳が僕らを今か今かと待ち構えている。 テン場から本谷のカールへは程なく到着。 ここは、本当に素晴らしいところ。 昔、まだ北穂高に山小屋ができていなかった頃 滝谷をやるクライマーたちがこの本谷カールを拠点にしていたと聞いたことがあるが なるほど、それもうなずける。 すぐ目の前に大キレット、南側には悠然たる北穂高を見上げる位置。 つまりそのロケーションたるや最高なのだ。 なによりこの日はカール一面に未だかなり残っている雪と真っ青な空とのコントラス ト、 心地よいゆったりとしたそよ風があいまって本当に良い気分だった。 しかし、大キレット最低鞍部までの雪のカベに早いところ取っつかなければならない 僕らはそうゆっくりもしていられない。 カールから見るに、その所要時間は少なく見積もっても約1時間。 その間、眼前に横たわる斜度40度はあるかと思われる雪の斜面を ひたすら登らなければならない。 この斜面で空元気の高田は、その空元気さを買われトップに立つ事に。 が、調子に乗っている阿呆の鷹だはここで50m大滑落することとなる。 斜度の後半、疲労からキックステップの甘さが出たのとピッケルと使った 滑落停止の練習が不十分だったのが主な原因だろう。 カールの地形でなければ谷底へまっさかさまだった。 肝を冷やす。 そんなトラブルがあったからか、大キレット最低鞍部に着いた時には 既に日はかなり高く、おまけに飛騨側からは大量のガスが流れてきていた。 天候を急激に悪化させるものではないものの 北穂高までの道のりを考えて、一同少な目の昼飯で再び行動開始。 いよいよ、恐怖の大キレットへと足を踏み入れる事となる。 今回の行程の中でも1,2を争うほどの核心部だと僕は思うのだが、 ただでさえ、少し前に大滑落を演じて意気消沈していた僕に 大キレットの岩稜帯は更に追い討ちをかけてくれるような所だった。 一般ルートなのに最初から最後まで息をつかせぬ岩場が続き、 うわさには聞いていたが、北アルプス有数の岩壁「滝谷」の存在のお陰で ものすごい高度感を感じる(実際、コースの飛騨側はかなり下のほうまで スパッときれおちている) 核心部の「長谷川ピーク」や「飛騨泣き」にいたっては本当に生きた心地がしなかっ た。 (つまり「走馬燈」なんて言う言葉を安易にも使いたくなる、そんなコース) 「飛騨泣き」ならぬ「高田泣き」だ。 三点確保しながら慎重に進む。 地図で見る分に、この先はもう危険個所はないだろうと 大キレットに入ってから初めて休憩を取ったのは確か午後2時頃。 ようやく雷鳥なんぞを観察できるようになって、 周りの景色が見られるようになって 事の重大さに気が付いたのはちょうどそんな頃だったと思う。 確かに有名な大キレットの難所は過ぎたらしいのだが、 その先、僕らの進むべき「道」がどうもないっぽいのだ。 見上げれば北穂高の山小屋は何とか見えるのだが まだ高度差にして150mはある。 後ろを振り返ればもう2度と行きたくない大キレット。 前には見たくもない大きな雪渓が延々と山頂まで どうやら「道」を塞いでしまっているらしい、のだ。 しかも今度の雪渓は本チャンだ。 滑落したら最後、本当に命の保証はない。 伸るか反るか、一か八か、でも、もう前に進むしかない。 結局、雪渓の上を歩くよりは幾分危険の少ない(それでも正規ルートからはまったく 外れたコースで浮石が異常なほど多かった)岩場をかなり強引に登ることに。 先頭の後藤さんが慎重にルートを選びながら進む。 正規ルートではないので落石の危険、滑落の危険が高く お互い少し間隔をあけるように、と指示が飛ぶ。 この頃から、飛騨側からのガスの濃度が次第に濃くなる。 滝谷が見えない分、高度感は薄れたが、何時自分の足下が崩れるやもしれぬ場所での この数時間はかなりの精神的疲労がたまった。 意識朦朧としながら、結局小屋には午後4時頃到着。 これ以上の山行は無理と判断しこの日の宿は北穂小屋とする。 1995年6月22日 北穂高山荘〜涸沢〜横尾〜上高地 今回のコースでは当初、本谷〜大キレットの最低鞍部までを バリエーションとして楽しむ予定だったが、 今日の行程も予想通りバリエーションとして楽しむこととなる。 ご来光と朝飯を十二分に満喫した後、出発。 覚悟はしていたが北穂北峰を乗り越したその先は案の定、 北穂の北斜面と同様、南斜面も遠く涸沢まで大大雪渓状態。 考えても見てほしい。 スキー場の上級コースが何キロも続いていて、その先がスッときえている。 そこを一歩一歩、標高差にして約800m下の山小屋まで歩いていかなければ ならないのである。 滑り出したら、前日大滑落をした高田は止まれない確立大であり、 大キレットに引き続き大ピンチ必至。 大袈裟といわれようとも、このときばかりは命の大切さを柄にもなく真剣に考えた。 雪が少しほぐれた8時30分頃、意を決して後藤さんを先頭に行動開始。 僕らのほんの少し前に、とても山なれしている人が先行していたお陰で (なんと、この人は僕等がおっかなびっくり下り始めたときすでにかなり下のほうまで アイゼンも着けずに下っていた) しっかりとしたトレースを見まちがうことなく進めた。が、 やっぱり2時間半に渡る極度の緊張は、かなりストレスがたまる。 ガクガク恐怖と疲労で膝が笑い、いつ滑り出してしまうかも分からないので お尻をつけて休むこともままならず 当然、ザックの荷物を取り出すことすらできず、水分補給も雪渓の雪を 齧りながら、じりじり、雪の斜面からの日差しの照り返しが暑い。 だからこそ、涸沢へ無事たどり着いた時には本当にホッとした。 振り返ったこの急斜面をなんとかそれでも歩いてこれたこと、 自信が付くってこういう事なんだなって誇らしげに眺めた。 僕等が歩いてきた道のりが遠く山頂に向かって伸びているのを見て 山登りの楽しみが、また少し分かったような気がした。 僕にとって今回の山行が実りのあるこのであったこと しっかりと実感しながら、ようやく少しずつ雪の溶け始めた涸沢の地を後にする 1995年6月22日 晴れ。 合掌。 |
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穂高岳
[3190m]
/ 槍・穂高・乗鞍
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