ネパール フルーティッドピーク 完敗

1994年12月21日(水) 〜 1995年01月07日(土)

感想

chikutaka8c2d

当時ポカラに住んでいたところ、
ワンゲル同期のY君がヒマラヤに登ってみたい。
とのことで大胆にも6500mを越えるフルーティッドピーク南稜を目指した。
89春の信大隊が氷稜で登り切れなかったことは知っていた。

4日のアプローチでアンナBCに着いた。雪は15cm。
トレッカーがまだいる。
84年とは大違いで石組みのロッジが建てられている。

順応の後、5100mのキャンプへ、
眺めは良くアンナプルナ始めマチャプチャレが素晴らしい。

天気が崩れ始めている予感、
冬季なので頂上への氷の稜が雪にカバーされて登りやすいと思ったが、
周りの山も雪が吹き飛び岩と青氷となっている。
氷河には雪が積もり、ガイドはヒドンクレバスがいっぱいだ。
と恐れている。

この標高でもかなり風が在る。日本の冬山と同じくらい寒い。
ロシュピーク方面に偵察に出るが、プラトーは雪が深く壁は岩が露出し
稜線に出るのは岩登りが必要になりそうだ。
八方塞がりになってきた。

Y君は十分楽しんだ。と弱気だ。

翌日、やはり高曇り、風が強い。
ネパール初めてのY君をテントピークにでも登ってもらおうと思うが、
こちらも雪が深く簡単に進めなかった上に
壁の青氷は硬くさっさと登れるような代物ではなかった。
簡単では無かった！
シーズンでこんなに変わるのか？
10年の年月で氷河が変わったのか？
あっさり敗退し5100キャンプに戻る。

アンナプルナ側で大きな雪崩が起きた。
氷河の段丘を飛び越えている。

帰りは雪が膝まで積もった中、アンナBCにもどった。
トレッカーは既に全員下山していた。

夜は大荒れとなり、風の音とも雪崩とも区別のつかない
轟音に脅かされながらアンナサウス側から大雪崩が来たら
お陀仏、どうしようもないな。と思っていた。
朝、起きてみると、雪が1mくらい積もっている。
アー降りてきて良かった。
ロッジの主人ともども下山する。

ポーターはカッパを持っていないので、メンバーがラッセルする。
4000mのラッセルは初めてだった。
縁が在るようだが、薄いご縁のアンナプルナだった。
やはりヒマラヤ、甘くはなかった。