大井川東俣〜三国沢〜農鳥岳〜池ノ沢下降〜東俣
- GPS
- 107:36
- 距離
- 61.1km
- 上り
- 4,401m
- 下り
- 4,406m
コースタイム
0400二軒小屋−0425蝙蝠尾根取付−0430東俣林道入口−0555橋1本目
−0645橋2本目−0705八丁平−0715橋3本目−1020奈良田越標識−1125堰堤
−1250橋4本目−1345事業所跡地−1535池ノ沢出合
2015/8/10(月) 池ノ沢出合付近→乗越沢出合の手前
0515池ノ沢出合−0610蛇抜沢出合−0850白根沢出合−1000滝ノ沢出合
−1230魚止ノ滝−1320右岸幕営地
2015/8/11(火) 乗越沢出合の手前→農鳥小屋
0500幕営地−0510乗越沢出合−0820三国沢・農鳥沢二俣−1040三国沢トラバース道合流点1110
−1255白峰南稜一般道−1315農鳥小屋
2015/8/12(水) 農鳥小屋→池ノ沢出合付近
0500農鳥小屋−0635西農鳥岳−0730農鳥岳−0830大門沢下降点
−0920広河内岳−0935池ノ沢下降開始−1105源頭部幕営適地−1240池ノ沢池
−1650池ノ沢小屋
2015/8/13(木) 池ノ沢出合付近→二軒小屋
0500池ノ沢出合−1450東俣林道入口−1535二軒小屋
天候 | 2015/8/09(日) 晴時々曇 2015/8/10(月) 晴時々曇→夕立 2015/8/11(火) 晴時々曇 2015/8/12(水) 晴時々曇 2015/8/13(木) 雨→曇時々晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【コース状況】 ◆東俣林道(蝙蝠尾根取付の先〜池ノ沢出合) 地形図の林道線と実際の林道は異なります。全体で橋4本渡ります。基本的に林道沿いに進みますが危険度と沢の水量によって林道/沢沿いの判断は必要。崩れザレ越えは約20か所。 ・前半部 最初は右岸林道を辿る。崩れは直前に河原に降り、過ぎるとすぐに林道復帰が多い。河原の中では黄色ペンキマークの誘導あり(遡行方向には目立つが下降方向ではほとんど目に入らない)。8月で水量が多いせいか、渡渉が必要となる場面も多い。八丁平は幕営適地多い。 ・中盤 東俣の遡行方向に北から西北西へ方角が変わるところ(奈良田越)の直前あたりは結構長い渡渉混じりの河原歩きが続くが、左岸へ上がるピンクテープを見逃さないようにしたい。左岸に上がるとそこから先は基本的に林道から降りない。崩れトラバースが増える。どれも踏み跡が認識できるが、新しい崩れで足元の脆いものもあり注意。林道沿いのヤブはアザミが徐々に増え、長そででもチクチク痛い。 ・後半 崩れトラバースは徐々に減る。橋4本目を右岸に渡った先に、事業所跡へ向かう林道がある。最初のカーブにショートカット踏跡があったが行かなかったので楽かどうかは不明。事業所跡地を過ぎた先で左(右岸)から向池ノ沢?の大規模な崩れが入り、トラバースしながら河原へ降りていく。左岸の池ノ沢へ向けて河原を適当に進む。中州が次々と現れ、どこでも楽に渡渉できるわけではない。池ノ沢小屋へは小さなケルンに導かれる。 ◆池ノ沢出合〜乗越沢出合 明瞭な林道はなくなる。左岸・右岸台地にはたいてい踏み跡がある。自分は主に右岸を行くことが多かった。滝ノ沢二俣は方角的に本流は左折。魚止ノ滝は右岸高巻を推奨。乗越沢出合の手前に数か所、幕営適地有り。 ◆乗越沢出合〜三国沢 水量も徐々に細くなり、倒木地帯以外は水線沿いに行く。三国沢は明るく開けたヤブ漕ぎのない楽しい詰め。一旦伏流となるが、トラバース一般道との合流あたりで水流はあらわれる。 ◆三国沢源頭〜広河内岳 整備された登山道。農鳥岳南側にお花畑。 ◆池ノ沢下降 源頭部に幕営地有り。右岸に古くごく薄い登山道があるものの、崩落でズタズタに寸断されている。沢は倒木多く水量多で、登山道と沢の行き来が続き、その判断が難しい。いつでも安全に沢に下降できるとは限らないので、懸垂下降装備の携行を推奨します。登山道には遡行方向に上部赤色、下部黄色ごく薄いペンキマークがあるものの、下降方向では一切見えず、踏み跡を見つけるのも難儀する。 ※GPSの軌跡はあばれまくっており進路の参考にはなりません。 |
写真
感想
大井川東俣を歩いてきた。
昨年、念願の大井川西俣を源頭へ(一応)遡行した。次は東俣でしょう!ってことで、大井川東俣の最初の一滴へ向けて遡行。ついでに魅惑の池ノ沢池を見てみよう、ということで2015年夏休み山行を決行。
【2015/8/8(土):移動日】自宅→二軒小屋
入山日は二軒小屋ドミトリーと畑薙臨時Pを14:30発のバスを予約。高速道路は既に夏休み渋滞がはじまっており、早めに静岡入りして追加行動食や食材、お土産などの買い物をのんびり済ませる。13:30前に臨時Pへ到着するとすでにバス待ちの列。必ず乗れるので焦る必要はないが、急ぎ駐車場へ降りていくと、昨年までと駐車のジオメトリーが異なっている。近場に空きを見つけて駐車しザックを担いでバス停へ。例年通り、井川山岳会の方が登山案内所を開設しておられ、入山届を記入し提出。今年の川(沢)は例年比で若干水量が多いとのことで気を引き締める。臨時バスが一便出て14:30のバスに無事乗車。運転士はGWに椹島で美味しいモーニングをつくってくれたスタッフでこちらを覚えていてくださっていて、声をかけていただいた。
バスは満席で臨時Pを出発。隣には会社の同僚と二軒小屋に観光で来られたという下界のきれいな娘さんが座り、ご親切にザックを足元に置かせていただいた。椹島でミニバンに乗り換え、二軒小屋到着。ドミトリー(素泊まり)は自分と男性1名で静かに過ごすことができた。風呂をいただき、生ビールを購入してテラスで細々と夕食。二軒小屋ディナーを楽しみたいのはやまやまだが、入山前夜には贅沢すぎる。良い香りの漂うダイニングの脇をとおって部屋に引っこみ、早めに就寝した。
【2015/8/9(日):1日目】二軒小屋→池ノ沢出合付近
予定通り、4時二軒小屋出発。いつもこの時間に出発して蝙蝠尾根取付き付近で薄明るくなる。暗闇のトンネルと橋を通過し西俣〜東俣の二俣を右へ。蝙蝠尾根取付きには自転車がデポしてあった。さあここから先は初めての道。左手にモノレール基地があり、すぐ先の東俣林道の看板までは立派なダート車道だが看板を越えるといきなり草ボウボウの林道で足元も踏み跡の切り開きはあるもの大小の石が埋まっていて足場は悪い。暫くヘッデン点灯で薄暗い道を行く。
東俣林道は事業所跡地まで基本的には林道を辿る。河原に降りるところは明瞭な踏み跡やピンクテープで誘導され、河原の中でも黄色ペンキマークがみられる。しかし毎回それらがあるわけではなく、参考にしたHPでは渡渉もあったようで、河原から林道に戻るのか、渡渉するのか、判断を迫られる場面が常にあって気を抜けない。林道への復帰ポイントを見逃してしばらく川の中を遡行していたときに強引に林道に上がろうとして、見た目以上に状態の悪い崖で落ちる寸前となり肝を冷やし、これ以降、時間がかかってもいいから慎重に行くことを肝に銘じた。
途中から崩落している1本目の橋を右岸から左岸へ。次の2本目を左岸から右岸に渡ると、八丁平と呼ばれる、わりと広い大地が右岸に広がる。ビールケースと焚火跡もあって釣師の宴会場にもなっているのだろう。どこにでもテントを張れそうだ。八丁平の林道終点の雰囲気のところで、右折気味に大井川のほうへ向かうと橋3本目を右岸から左岸に渡る。ここから先は崩れ・倒木越えと河原歩きが増える。崩れには踏み跡が認識できるもののわかりにくいところや高さのある巻きのところもあり、危険と思われるならば河原に降りたほうがよい。倒木はうまい具合に枝が払ってあったり切断されていたりで、手入れをしている人がいるのだろう。物凄い速さで歩く若者に抜かれる。今日は乗越沢出合あたりの予定だそうで、背中に羽でも生えてるのか?という速度であっという間に視界から消えた。暫く進んでいると対向より3名パーティ。雪投沢をピストンしてきたそうで、有益な情報をたくさんいただいた。
やがて堰堤が現れる。参考にしたHPでは、ダムをそのまま歩いていたり、高い位置から堰堤を見下ろしていたりと色々だ。自分は林道を行ったのでダムに降りることはなかったが、林道にも崩れが入り、落ちたら確実にあの世の高さのザレ越えとなるので、判断は必要。ここで取水しているのか、堰堤の上流側は一気に水量が増える。東俣は堰堤から上流部は年間通して禁漁区となっている。
堰堤を過ぎると林道の荒れ具合は徐々に収まり、橋4本目を左岸から右岸に渡ると、事業所跡へ向かう林道が曲がりくねった軌道で高度を増す。最初の左カーブで右の林へ向かう明瞭な踏み跡が現れ、方角的に曲がりくねった林道をショートカットするための道のようだ。かなり疲労していて、状態不明なショートカットを行くよりは、距離があっても普通に足を前に出せる林道のほうがラクと判断してそのまま林道を進む。
やがて東海パルプ広河原事業所跡があらわれる。最初に目にするのが廃マニア報告でお馴染みのトラックの入った工場だ。工場長HPによれば、1982年の台風で林道破壊され、1991年の台風でトドメを刺され事業所閉鎖、ということらしい。以来約35年間放置された状態。35年でこの程度ということは、積極的に撤去しなければあと200年くらいは原型をとどめたままなのでは。。。などと想像しながら進む。この広大な事業所には様々な建物があったようで、他にもトラックや作業所、住居のような建物など、多くの人がここで生活しながら林業に従事していたことが想像される。
事業所内は明瞭な林道が続くが、左手からの向池ノ沢からの押し出しが斜面を覆い、東俣林道は突然終了する。ここからはコンパスで方角を睨みつつ河原へ降りていく。地形図上では広い河原に川筋一本だが、実際は立派な中州が次々と現れる。中州の中は倒木だらけで、河原をうまく歩いたほうが疲労は少ない。徐々に左岸へよせるように進路を取り、池ノ沢出合へ。このへんは非常にわかりにくくGPS頼み。池ノ沢小屋を見学し、1日目終了。
【2015/8/10(月):2日目】池ノ沢出合付近→乗越沢出合の手前
本日は移動距離も短いので、5時過ぎに出発。池ノ沢出合から上流に東俣は右カーブしながら急激に川幅を狭める。蛇抜沢出合を過ぎて少し進んだ先は荒れたゴルジュ状。抜けると、東俣はゆるやかに右へ左へ曲がりつつ、左岸・右岸に台地があり、たいていは踏み跡が見つかる。ただ台地は長くは続かないので、踏み跡が行き詰る前に沢に戻るか対岸へ渡る。左岸よりも右岸のほうが日当たりが良いみたいでジメジメしていないので、右岸を行くことが多かった。沢の中では普段目にしない小鳥が多い。メジロ程度の大きさの全身茶色の鳥と、スズメよりひとまわり小さいくらいの、茶色ベースに小さな白い斑点の鳥をよく見かけた。後者の雛鳥が地べたをポヨン、ポヨンと移動するのを見つけで激写。もう全身脱力しそうなほどにカワイイ。まだ飛べないのかと思っていたら、カメラを仕舞ったとたんに羽ばたいて飛んでいってしまった。中に人が入っていたのか?
やがて二俣が現れる。滝ノ沢出合。方角的に右俣の滝ノ沢は直進で、左俣の本流は左折。右岸に立ち枯れの目立つ木があり、デカい赤文字で「滝」と書いてある。本流をさらに遡行すると、やがて魚止ノ滝があらわれる。東俣で唯一の滝だ。ちかくまで寄って写真を取り、引き返して右岸の巻き道へ進む。落ち口からかなり離れたところへ踏み跡は続いている。魚止ノ滝を越えると地形図通りに平穏な渓相となる。右岸側に幕営適地があるとの事前情報があり右岸側を注意して進む。広い大地の奥のほうへ砂地があり、荷物を包むようにブルーシートがあって誰かここをベースにしてるのかなと思いつつ、本日の幕営地はここに決定。
黒い雲がどんどん現れはじめていたのでさっさとテントを張り、落ち着いたところに夕立。テントの外から声をかけられたので、傘をさしてタープ設営を手伝いに行く。ここを拠点に活動する釣師だと首都圏在住のオッサンは自己紹介をはじめる。ここに東海フォレストを経由せず入るルートを見出した(三峰川林道)、今回は10日間の滞在で、6〜9月は月2回のペースで通っている、と。イワナをご馳走してやるよと言われたので最初は話を合わせていたが、イワナのお返しに何をくれるか?と言われて(他人に差し上げられる余分なものなど登山者は持っている筈がない)一気に興ざめし、違法釣師に恵んでもらう必要はないと考え、以降は自分のテントに引き籠った。静かにノンビリと幕営を楽しむことができず残念だった。
【2015/8/11(火):3日目】乗越沢出合の手前→農鳥小屋
5時出発。少し先の右岸台地に、昨日の夕方頃に遡行していた3人組のテントがあり、脇を静かに進む。乗越沢出合を見送り、大分水流の減った沢を遡行する。時々崩れが入り倒木だらけのところは岸を行く。谷が低くなり徐々に頭上があかるくなってきて稜線らしきものも見えてきた。日差しにキラキラ輝く草地があらわれはじめ、右俣農鳥沢、左俣三国沢の二俣到着。明るく穏やかなここは天国のようだ。農鳥沢は詰めがハイマツヤブで悪いと初日に離合した3名パーティの人が言っていた。今回は左俣の三国沢を詰める。
左俣の三国沢はあかるく開けておりヤブ漕ぎがない。下部は右岸側に鹿道の走る草地があって登りやすいが、途中でハイマツ林に出会ってしまうので、あまり沢から離れないほうがよい。沢もどんどん枯れていき、伏流となる。フリクションのよい岩ゴロを詰めていくと三峰岳〜間ノ岳を頂点とした大井川源頭部のお椀に囲まれる。トラバース道も見えてきた。さあ、いよいよ大井川の源頭へ。トラバース道へ到達すると水流が再び現れており、水場となっていた。このまま三峰岳方向へ進み最初の一滴を見てみたいと思ったが、農鳥小屋の時間制限が気になり、トラバース道で遡行終了とした。
ここで大休止を取り、トラバース道を農鳥小屋方面へ。トラバース道は農鳥沢源頭部では地形図よりも標高の高いところを通過している。農鳥沢源頭部は緑色の無い岩ゴロ斜面で、詰めはやはり面白くなさそうだ。それにしても整備された登山道は歩きやすい。ジグサグ斜面を登り切って稜線へ到達。南下するとすぐに農鳥小屋だ。農鳥オヤジと若者が門番のように控えており、テント?と尋ねられる。大雑把に説明を受け、\1000要求される。あれ?南アルプス登山観光情報や他のソースには\500と書いてあったけど?千円札を渡したが領収書も出ない。井川観光協会や東海フォレスト系山小屋の、組織運営故の健全経営ぶりと快適さをつくづく感じた。
南側のテン場はすでに半分ほど埋まっている。登山道脇のスペースにテント設営し缶ビール\600/350ccを1本購入、大井川源頭部を眺められるところへ移動してプシュッ。3日ぶりのビールがノドを締め付ける。霞んだ先の三国沢源頭部のカール地形、左に仙塩尾根、熊の平小屋、ずっと辿ってきた大井川東俣の谷筋を見下ろし感慨にひたる。寒くなったのでテントに引っこみ、簡単に夕食。19時をまわっても普通声でしゃべり続けるテン泊登山者に、やっぱりテントは誰もいないところにひっそり張るのがいいなぁ。。。としみじみ。
【2015/8/12(水):4日目】農鳥小屋→池ノ沢出合
5時出発。オレンジ色の朝陽が目の前の西農鳥岳を照らす。今日はキツい後半戦が予想されるため、前半はできるだけゆっくり歩いて体力温存を目指す。西農鳥岳へは標高差250だが急登が続くのでキツい。一旦ピークに出るがそこは西農鳥岳山頂ではなく、稜線を少し進んだ先に標識がある。農鳥岳までご一緒した、写真目的の若者は白峰三山縦走で今日は大門沢小屋までとのこと。何度もシャッターを押していただいた。ありがとうございました。
農鳥岳まで、右手に仙塩尾根〜塩見岳を眺めながらの稜線散歩だ。霞んでいるものの、蝙蝠尾根のむこうに荒川三山や赤石岳、ずっと先に大無間尾根までが見渡せる。農鳥岳を越えたところは小規模ながらお花畑になっている。ここを過ぎて標高を下げると、ここは月ですか?といいたくなる荒涼とした風景となる。大門沢下降点を過ぎると一気に人気がなくなり、登山道も不明瞭になる。生い茂るハイマツのあいだのアップダウンをこなしつつ広河内岳。ここから南に所謂白峰南稜がずっと続いている。またいつかここを歩いてみよう。広河内岳を越えると登山道はいっそう不明瞭となり、何となくそのまま池ノ沢の下降となる(稜線道との分岐はわからなかった)。
池ノ沢源頭部はハイマツと岩ゴロの混じる急斜面で、登り方向には赤ペンキマークがついているものの下降ではさっぱりわからず外す。下降方向では右手寄りに踏み跡があるようだ。なんとか緑色の基部まで進む。幕営できそうな広場が一瞬現れるがすぐにハイマツ漕ぎ。もんどりうちながらなんとか突破すると左手にわずかな水流が現れ、幕営できそうな小さな広場。少し先に樹林帯があらわれ、その先でいきなり水流がはじまって沢靴に換装。このへんは登山道は見当たらず苔の瑞々しい水流沿いを下っていく。
徐々に水流は太くなり、右岸沿いにうっすらと踏み跡が認識される。登り方向には幹に古そうな赤ペンキマークがたまーに現れるが降り方向ではさっぱり見えない。踏み跡も、崩落による倒木や崩れ斜面、枝沢に寸断され、この先も登山道は続いているのか、沢に降りたほうが安全か、判断局面が途切れず、精神的に疲労する。登山道はかなり高い位置を通過しているところもあり、本当にこのまま進めるのか、不安に襲われることも何度もあった。
平坦な倒木地帯を過ぎるとこんなところに、こんな大きな池が突然!という感じに池ノ沢池が現れる。神秘的というよりは淀んだ雰囲気。幕営するにも整地が必要そうだ。池の右岸側に登山道マークがあって取付く。ここから下も荒れまくった登山道と登り方向への古い黄色ペンキマークが続き、時々沢に降りつつ進行。正直、予想していた荒れ具合を越えていて、時間も押してきて、精神的にかなりキツかった。沢幅が太くなり、右上に池ノ沢小屋、先のほうに大井川本流が見えたときは心底安堵した。
【2015/8/13(木):5日目】池ノ沢出合→二軒小屋
今日は往路で一度通過した道を二軒小屋へ戻るのみ。但し天気予報では朝から雨で、増水しないうちに広河原事業所跡まで辿りついておきたいので薄暗いうちに出発。
上流部は大体覚えていたものの、下流部はすでに記憶の外で、あれ?こんなところ通ったっけ?とか、ここはどっちに行ったんだっけ?が多く、脳細胞の死滅ぶりにガックリ。途中で7〜8名の大パーティと離合。熊の平へ上がり、仙塩尾根から蝙蝠尾根で周回されるそうだ。コース状況を簡単に説明し、無事にと声をかけてすれ違った。
往路に辿った道とはいえ脚はもう限界で、まだか、まだかと唱えつつ、人工物(東俣林道入口看板)が目に入ったときは達成感よりも疲労感が一気に突き上げた。脚を上でなく前に出せるって最高!と高速道路のようなダート車道を二軒小屋へ進む。無事、帰着。
二軒小屋では夕食時に畑薙〜伝付縦走のバリエーション屋さんと合席になり、翌日の椹島までたくさんの話で盛り上がった。楽しい時間をありがとうございました。またどこかでお会いできるといいですね。
おまけ:
畑薙臨時Pで下山届を出すついでに、井川山岳会の方から面白い話を伺った。
「大井川と、富士川は、繋がっているんだよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
意味があまりにもわからず、固まっていると、説明してくださった。
二軒小屋の少し奥にある田代ダムには、東京電力の施設と書いた看板が設置してある。中部電力管轄地のような場所でなぜここだけ東電?とずっと疑問に思っていたが、まあよくわからないけど何か事情があるんだろう位に頭の中で片付けていた。そこで上記の話で、曰く、田代ダムの水を引いてタービンを回して発電し、その水は、なんと早川町から富士川へ落としているのだそうだ!!!繋がっているとはそういうことか!!!
なお、Wikipediaにはちゃんと説明がありました。。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%BB%A3%E3%83%80%E3%83%A0
あとがき:
特種東海フォレストの名物運転士H井さん。どうかお身体大切に!次回の南ア山行でお会いするのを楽しみにしてます。
本山行にあたり、下記ウェブサイトを参考にさせていただきました。この場をお借りし、心より御礼申し上げます。
・山歩きあっちこっち「大井川東俣」:2014年の記録。詳細記録であり、危険箇所は妥当な注意喚起があり、(笑)あり。これからも楽しみに拝見します。
・南アルプス南部調査人のブログ「大井川東俣ルート記録」:2012年の東俣遡行記録。言わずと知れたHP。客観的コース案内が予習に最適です。
コメント
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僕も実は7月末に2泊3日で白峰南嶺〜池ノ沢池〜東俣〜熊の平を歩いて来ましたよ。池ノ沢は道ほとんど残っていて沢に降りる必要がなくて沢履装備が逆に疲れましたね。
お疲れ様でした。簡単なコメントなので続く?
Evergreenさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
7月末ですか。お天気は大丈夫でしたか?
さすがに南アを歩き回っておられるだけあって、池ノ沢も楽々でしたか。
自分はキツく感じましたし、コース状況に書いたように他人様には報告したいです。
全ての人に生きて帰ってきてほしいので。
ebi0813さん、二軒と池の沢の中間くらいで言葉を交わしたものです。私の遡行中はパッとしない天気だったので、またいつか青空の下で遡行したいと思っています。(稜線歩きの15日は快晴で最高だったんですけどね。)お疲れさまでした。
bright_smileさん、こんにちは。
膨大な記録からコレを見出してくださり、コメントいただきまして、どうもありがとうございます。
誕生日にお会いした大パーティ、よく覚えていますよ!初日から雨で大変でしたね。
仙塩尾根は快晴でしたか!それはホントに羨ましいです。素晴らしい眺望を楽しまれたことでしょう。
もしもどこかに山行記録をアップロードされておられましたら、よろしければ拝見させてください。
お疲れさまでした。またどこかでお会いできますように!
二軒小屋、椹島では大変楽しく過ごさせていただきました。胡散臭い尾根の幕場でお会いできたら最高ですね!(ヤマレコデビューしました)
1000beroさん、こんばんは!
どうもご無沙汰しておりました。といっても10日ぶりですが、ずっと昔のことのようです。
その節は大変楽しいお話でお相手くださり、ありがとうございました。モノクロ月光画像は無事再構成されたでしょうか?あるある話ばかりで盛り上がってしまい、ご経験豊富な1000beroさんのノウハウをもっと教えていただけばよかったと若干後悔しております。
胡散臭い尾根(笑)でまたきっとお会いできますね。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!!
ebi0813様、返信ありがとうございます。
1週間掛かってようやく先日の結果をヤマレコにアップできました。というわけで、写真には手がついていない状況です
。あ、来週は両俣で避暑の読書予定です、飲み物十分で。全然進みませんね。
1000beroさま、記録拝見しましたよ!
お話で伺っていた山行のイメージが画像で具体化され、おーそうだったのか!とか、冷却材!とか、楽しませていただきました。
両俣いいですねぇ〜。飲み物ってやっぱりアレですよね。箱で持ち上げでしょうか(笑)
うひゃー、楽しいですね。両俣は沢沿いなので飲み物だけでなく食材もひやせます。人通りが少なく、穴場です。未読の本を持って来てのんびり過ごします。ガシガシ登ってもいいですが。
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