笹子峠から笹子雁ヶ腹摺山
- GPS
- 05:46
- 距離
- 15.8km
- 上り
- 1,002m
- 下り
- 980m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありません。 笹子峠の切通は急坂でロープが張られています。 法面の若干の崩落などありますが、基本的には 慎重に進む限り、全く問題ありません。 里山歩きの趣ですが、売店や茶店など一切ありません。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
スカート
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
飲料
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
クリップライト
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ティッシュ
保険証
スマートフォン
プロトレック
サングラス
タオルマフラー
ストック
アーミーナイフ
カメラ
アマチュア無線機
|
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感想
古くは五街道の一つとして知られる甲州街道。
江戸時代の当時は甲州道中と呼ばれ、幕府直轄領だった甲州と江戸を結ぶ、
重要な交通路でした。
その道中の最大の難所として知られていたのが、笹子峠。
現在も、長大なトンネルを抜けなければならない、地形上の難所です。
この笹子峠には、時代に翻弄された複雑な歴史があります。
それを紐解きながら、この道を辿ってみることにしました。
が、単に旧道を歩くだけでは面白くないので、ついでに(!)登山。
隣接する笹子雁ヶ腹摺山をピストンして楽しむこととしました。
まず笹子峠から。
江戸時代まではまさに、交通の要衝。
明治維新の頃には、抵抗する幕府勢力が進軍し、敗走した峠です。
さらに古くは、武田氏が治める甲府と臣下の小山田氏が治める大月を繋ぐ道でした。
茶店が点在し、峠には馬屋が整備されていたようです。
大層な賑わいを見せていたのでしょうね。
ところがこの峠、明治の急激な近代化に伴い、急速に廃れていきます。
まず明治36年の中央本線開通。
これにより、物資と人の往来が鉄道に変わります。
更なる悲劇は、甲州街道そのものが御坂峠に変わったこと。
昭和6年、国道8号(現在の20号)が御坂峠経由で開通し、
路線バスまで通るようになると、笹子峠は完全に道としての役割を失います。
(この頃の御坂峠の様子は、太宰治の「富嶽百景」で知ることができます)
そんな中で、御坂峠経由の冗長な経路でなく、
笹子峠を越える車道の整備が望まれたのでしょう。
悲願の声は、明治天皇野立所跡の碑にも添えられています。
そしてついに笹子隧道が昭和11年に着工し、13年に開通。
再び笹子峠が、主要街道の座に返り咲きます。
大戦を経た昭和27年頃に新笹子トンネルが計画され、昭和33年に開通すると、
笹子隧道は国道から外され、その役割を終えます。
その期間わずか20年。
大動脈としての新笹子トンネルにより物資の輸送がトラックに変わる中、
歴史の変遷に翻弄された隧道だけが残され、今に至ります。
隧道は登録有形文化財に指定され、守られています。
笹子峠から旧甲州道中を辿る道。
隧道こそ近代の遺構ですが、むしろこの道は江戸時代の匂いが強いです。
旧笹子宿から、峠を目指します。
矢立ての杉は樹齢1000年を超す杉の巨木で、戦国の頃にも有名でした。
歌手の杉良太郎がその保護に尽力し、寄贈された両面地蔵が奉られています。
が、残念ながら古道の趣を残す遺構は少なく、
今は、積まれた石垣や文字の読めない石碑が点在するのみです。
味わい深い旧道を歩んで、峠へ登ります。
名だたる有名人が歩んだ道も、今は昔。
すっかり寂れた峠から、笹子雁ヶ腹摺山を目指します。
ここからは稜線伝いの、登山です。
一部が急峻ながら、比較的よく踏まれた快適な道です。
途中、稜線の道と巻き道の新道に分かれます。今回は新道を使いました。
大小の鉄塔を過ぎ、急斜面を登り詰めると、懐かしの山頂。
以前は南の稜線を直登しました。
ツツジが満開の時期でしたが、生憎富士山が見えなかったのを覚えています。
秀麗富嶽の頂ですから、やっぱり富士山は拝みたいですね。
今回は狙った通り、富嶽の御尊顔を拝むことができました。
しかし灌木が多く、なかなかベストショットが掴めません(笑)
むしろツツジと一緒に富士山を写す方が映えそうな。そんな秀麗富嶽でした。
とても賑やかな山で、道中も山頂も往来が激しかったです。
コンビニランチを頬張り、じっくり撮影に勤しみました。
撮影を存分に楽しんで、下山。
来た道を戻り、今度は隧道を抜けてみます。
とても綺麗に整備された隧道で、驚きました。
照明はありませんが、真っ直ぐ突き抜けて向こうが見えているので、
怖くはありませんでした。
先日の大日影トンネルとはまた違った趣ですね。
隧道を抜けると、再び旧道。
やはり随所に歴史的な匂いはあるものの、すっかり寂れた道です。
徐々に標高を下げながら、深く色付いた紅葉の木々を楽しみました。
麓まで来て、ようやく歴史の跡を垣間見ました。駒飼宿。
急峻な屋根の、合掌造りのような古民家が立ち並ぶ集落で、
ここだけは、江戸時代の家並みを一部に残しています。
無事に現在の甲州街道に出て、甲斐大和駅へ。
歴史探訪と題しての登山でしたが、
同じ甲州道中の小仏峠との対比も面白く、とても楽しかったです。
廃れて久しい峠道ですが、小仏峠よりも歴史的な魅力に溢れています。
後世に残すためにも、より多くの方々に楽しんでもらいたい、
そんな趣深い道でした。
kunadono さん、はじめまして。
笹子の雁ケ腹摺はネーミングも面白い
気にはなっていたお山の一つですが、
旧甲州街道とからめて登れるとは
とても面白そうです。
機会があれば(って当分ないんですが)
是非行ってみたくなりました。
いいアイデアをありがとうございます。
s-katayamaさん初めまして(*^^*)
コメントありがとうございます。
雁ヶ腹摺山、面白い名前ですよね。
ちょっとアクセス悪いですが、
同じ名前の山が他にも二つあります。
そちらもお奨めですよ♪
ぜひ登ってみてください!(*^^*)
こんにちは。
ここへの入り口となる国道を良く通るのですが、その先は未踏です。
以前から気になっていて、1度行ってみたいと思うようになっていましたが、矢立の杉、予想以上です。中が空洞になりながらも生き続けている、凄い生命力ですね。
その先の笹子隧道、ここも興味津々。
中は、歩きたくないなぁという気がしますが、行った時の気分しだいで、通るかどうかわかりません、ちょっと怖い(^^;
昔のトンネルなのに、洒落た入り口で1度は見てみたいと思っています。
ルート地図見て、「なんで途中で右側に寄り道しているのかなぁ?」と思いましたが、そこが山頂だったのですね。
笹子駅から甲斐大和駅へのルートも私の理想です。
来シーズン日が一番高く明るい時間を狙って、是非とも行ってみたいと思います。
良いルート情報ありがとうございました。
sim_nnsさんこんばんは(*^^*)
隧道ですが、もし気が退けるようでしたら、
峠を越えて向こう側に降りるのも手ですね。
丁度トンネルの反対側に降りることができます。
トンネル内は綺麗ですが何か見所があるわけではないですので(^^ゞ
それから、峠の雁ヶ腹とは反対側にも道があり、
そちらの山も同じ手で登れそうですね。
最近この界隈の山が気に入って通いつめてます。
何より富士山の眺めが素晴らしいですね♪
ぜひ登ってみてください(*^^*)
紅葉と富士山、それに笹子峠の歴史のお話楽しく拝見しました!(*´-`)
ありがとうございます(*^^*)
初めまして。
笹子トンネル前後、私のクルマ、毎度ひぃーこら言いながら登ってます(笑)。
歩いたら面白そうだなと思います。
なーんも考えず山歩くことばかりですが、こんな掘り下げて調べたりしたら楽しそうですね。
奥多摩、高尾、中央線沿線重点的に歩かれてらっしゃるようですが、同じ山域歩くと愛着湧きますよね。
初めまして(*^^*)
コメントありがとうございます。
同じ登山でも見方を変えると、自然や歴史、人の足跡や営みなど、本当に味わい深くて楽しいですね♪ 目まぐるしく変化する日常から離れ、ゆっくり変化する山中を楽しめます(*^^*)
比較的近場の山ばかり登っていますね。やっぱり里山や低山が好きなんでしょうね(^^ゞ
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