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Yamareco

記録ID: 811261
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
富士・御坂

富士山(御殿場ルート・厳冬期)

2016年02月11日(木) [日帰り]
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
11:03
距離
19.7km
登り
2,509m
下り
2,567m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
9:54
休憩
1:05
合計
10:59
6:35
15
林道
6:50
6:50
12
7:02
7:02
46
7:48
7:48
139
10:07
10:07
29
10:36
10:53
48
12:02
12:12
78
13:30
14:01
20
14:21
14:21
7
15:04
15:04
16
16:33
16:33
34
17:07
17:07
6
17:13
17:13
21
GPSスタートするのを忘れた。洞門を06:25頃に出発したと思われる。
天候 はれ
過去天気図(気象庁) 2016年02月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
大砂走りの下りは極めて危険
予約できる山小屋
御殿場口新六合目・半蔵坊
御殿場口七合四勺・わらじ館
朝日を浴びる富士山。数分前はもう少しピンクだったのだけど撮り逃した
朝日を浴びる富士山。数分前はもう少しピンクだったのだけど撮り逃した
さて、長丁場の始まりです
さて、長丁場の始まりです
大石茶屋手前。雪ザクザク
大石茶屋手前。雪ザクザク
もうこの時点であまりに雄大な景色であり、大満足
もうこの時点であまりに雄大な景色であり、大満足
往路はブル道の杭に沿って登った。先人のトレースに感謝
往路はブル道の杭に沿って登った。先人のトレースに感謝
愛鷹山も今では身近に感じるようになった
愛鷹山も今では身近に感じるようになった
本日の恰好
六合目小屋
六合目あたりで夏道を見つけたけれど、とくに安全そうなわけでもないので、そのまま直登を続けることにする
六合目あたりで夏道を見つけたけれど、とくに安全そうなわけでもないので、そのまま直登を続けることにする
自分がなぜこんなところにいるのか信じられないくらい、真っ白な世界に一人きりでしんとしている。聞こえるのはドーントーンという自衛隊の砲火音だけ
自分がなぜこんなところにいるのか信じられないくらい、真っ白な世界に一人きりでしんとしている。聞こえるのはドーントーンという自衛隊の砲火音だけ
わらじ館だ、たぶん
わらじ館だ、たぶん
美しき丹沢山塊
赤岩八合館から上は夏道を行くことにする
赤岩八合館から上は夏道を行くことにする
長田尾根記念碑。どうしようか迷ったけれど、トレースもたくさんあったので夏道の大弛沢を行く。
長田尾根記念碑。どうしようか迷ったけれど、トレースもたくさんあったので夏道の大弛沢を行く。
しかしここからが異様にきつかった。まったく思うように進めない。標高差100mに30分近くかかっていたようだ。すぐに息が上がってしまい歩き続けられない。あまりの遅さに我ながら愕然としていた
しかしここからが異様にきつかった。まったく思うように進めない。標高差100mに30分近くかかっていたようだ。すぐに息が上がってしまい歩き続けられない。あまりの遅さに我ながら愕然としていた
それでも一歩一歩、苦行のような登りを続けてようやく山頂鳥居が視界に入った
それでも一歩一歩、苦行のような登りを続けてようやく山頂鳥居が視界に入った
やっとのことで御殿場口山頂到着。山頂に出たとたん暴風に煽られる。アメダス気温-14.7℃(13時)
やっとのことで御殿場口山頂到着。山頂に出たとたん暴風に煽られる。アメダス気温-14.7℃(13時)
暴風の中、やっとの思いで浅間岳に登ってとにかく剣ヶ峰だけは拝む。今日はこれが精一杯。技術的にも体力的にもとても剣までは辿り着けない。馬の背では火口側からの強風で雪煙が舞っていた。恐ろしい
暴風の中、やっとの思いで浅間岳に登ってとにかく剣ヶ峰だけは拝む。今日はこれが精一杯。技術的にも体力的にもとても剣までは辿り着けない。馬の背では火口側からの強風で雪煙が舞っていた。恐ろしい
下りるのはあっという間
下りるのはあっという間
赤岩八合館から下も夏道を辿ってみる。トレースは薄い
赤岩八合館から下も夏道を辿ってみる。トレースは薄い
わらじ館からのトラバースでバランスを崩してしまい、あろうことか滑落してしまった。

写真は滑落を止めたピッケルの跡で、遠近感がないけれど跡は10mくらいある。滑落はたぶん20mくらいだったのだろう。転んだら最後、あっという間に加速してしまう。飛び降り自殺の走馬灯のような気分の中(飛び降り自殺したことはないけれど)、
無我夢中でピックを突き立てた。ピッケルを手に持っていて本当によかったと思う。

止まってみて初めて我に返ったけれど、ピックの跡なんてこんなに細いのだ。それほどまでに氷は固く、ピックが掻いたのは表面のほんの2mm程度にすぎない。よくこんなんで止まったものだと感心してしまう。
わらじ館からのトラバースでバランスを崩してしまい、あろうことか滑落してしまった。

写真は滑落を止めたピッケルの跡で、遠近感がないけれど跡は10mくらいある。滑落はたぶん20mくらいだったのだろう。転んだら最後、あっという間に加速してしまう。飛び降り自殺の走馬灯のような気分の中(飛び降り自殺したことはないけれど)、
無我夢中でピックを突き立てた。ピッケルを手に持っていて本当によかったと思う。

止まってみて初めて我に返ったけれど、ピックの跡なんてこんなに細いのだ。それほどまでに氷は固く、ピックが掻いたのは表面のほんの2mm程度にすぎない。よくこんなんで止まったものだと感心してしまう。
もうね、白い平原すぎてどこがどこだか
もうね、白い平原すぎてどこがどこだか
これは丹沢山塊の美しさに感動しているところです。上部に雪を頂いた姿はどこぞのアルプスと言ってもよいくらい格好良い
これは丹沢山塊の美しさに感動しているところです。上部に雪を頂いた姿はどこぞのアルプスと言ってもよいくらい格好良い
どこにいるのかよくわからず、とりあえず宝永山に向かって夏道の下りである大砂走りに戻ろうとしているところ
どこにいるのかよくわからず、とりあえず宝永山に向かって夏道の下りである大砂走りに戻ろうとしているところ
下り六合発見。知ってる場所だとホッとする
下り六合発見。知ってる場所だとホッとする
宝永山直下の大砂走。春の腐り雪なら駆け下りているところだけれど、今回は雪も固いので、慎重に下る。足先が痛い
宝永山直下の大砂走。春の腐り雪なら駆け下りているところだけれど、今回は雪も固いので、慎重に下る。足先が痛い
大砂走りのこのあたり、かなり急でちょっと危険過ぎる。アイゼンはきちっとグリップするものの、夕方の日陰に入って雪も固くなっている。ところどころクラストしていてズボッと足がはまり、バランスを崩すことがある。ここで転んだらそれこそ一巻の終わりだ。一歩一歩意識して足を運ぶ
大砂走りのこのあたり、かなり急でちょっと危険過ぎる。アイゼンはきちっとグリップするものの、夕方の日陰に入って雪も固くなっている。ところどころクラストしていてズボッと足がはまり、バランスを崩すことがある。ここで転んだらそれこそ一巻の終わりだ。一歩一歩意識して足を運ぶ
ようやくのことで急斜面を脱した(次郎坊あたりか)。本当に、生きた心地がしなかった。
ようやくのことで急斜面を脱した(次郎坊あたりか)。本当に、生きた心地がしなかった。
夕暮れの丹沢山塊
夕暮れの丹沢山塊
大石茶屋まで戻りました。ありがとう>富士山
大石茶屋まで戻りました。ありがとう>富士山
残りの林道歩きも長いけれど、これまでの恐怖に比べたら天国のようなもの
残りの林道歩きも長いけれど、これまでの恐怖に比べたら天国のようなもの
何とか明るいうちに洞門に戻れました。生きててよかった
何とか明るいうちに洞門に戻れました。生きててよかった

装備

個人装備
靴:スカルパミラージュ

感想

2年越しの目標だった富士山厳冬期の登頂を達成してとても感慨深い。と同時に、いくつか学ぶこともあり考えさせられる山行になった。

富士山厳冬期の登頂は2年前から漠然と目標の一つとして据えていた。無雪期の御殿場ルートも下見してあったのだけど、昨年は骨折で冬季を棒に振ってしまった。今季も比較的風の弱そうな休日を狙って待ち続けていて、ようやくそれが実現した。逃すわけにはいかない。

富士山スカイランは積雪・凍結なく、ノーマルタイヤで太郎坊洞門まで行けた。6時過ぎだったので洞門先の空き地は満車。路肩に残雪があるので路肩駐車も容易でなく、やむを得ずバリケード近くに路駐っぽく車を止めた。

山行は本当に素晴らしいものだった。登山者は極めて少なく、広大な富士山を見渡す限りほぼ一人きりで歩いていたようなもので、爽快な非現実感を味わっていた。今でも夢のように思う。

しかし、雪山の恐ろしさを思い知った山行でもあった。晴天、無風、比較的暖かいという、冬富士ではめったにない好気象条件であるにも拘わらず、山頂では暴風、そして下りでは滑落の恐怖を味わった。滑落をピッケルで止めたことのある人って実際のところどれだけいるのだろうか? ピッケルなんてただの飾りで、滑落したらピッケルくらいでそうそう止められるものではないと僕は思っていた。滑落停止訓練と違って、とっさの際に適切にピッケルを突き立てる行為もそううまくできるとは思えなかった。なので、登りでは急斜面でもポールで歩くことが少なくなかった。しかしそれではいけないのだ。滑落の危険のあるところではポールではなくピッケルを持つべきなのだ。しかも、転んだ時にすぐに使えるような向きに持っていなければならないのだ。

今回の富士山に関していえば、大砂走は下りに使ってはいけなかった。斜面が急すぎて、万一滑落した場合あまりにも危険すぎる。雪が腐れば気持ちよく走れそうだけど、今回はダメだ。ブル道を下ったほうがまだマシだったのだろう。

数少ない冬山経験において僕は既に2回も滑落している(初の滑落も富士山)。今回は運よく止まったからよかったものの、このまま同じことを繰り返していたら確率的に言って遠からず止められない滑落に遭遇することはまず確実である。どうしたものかと思う。

登りの失速には愕然とした。とくに八合目から山頂までは、高度差300mに1.5H以上かかっている。トレラン時なら300mは30分程度なので、3倍以上だ。もちろん雪の上なのでトレランと同等とまではいかないけれど、大差ないスピードで行けるものだと思い込んでいた。何が違うのか? 足の重さだ。普段のトレランシューズは片足約300g。一方で冬用の靴とアイゼンは合わせて片足1200gを超える。まったく、桁が違う重さだ。トレランと同等のスピードなど出せるはずもない。こうなると考えどころは、トレランシューズも軽くすればさらにスピードを出せるのか? ということだ。今さらながら靴の軽さの重要性を改めて認識した次第である。

下山後、左足親指爪が内出血していることに気付いた。下山時に妙に足先が痛かったのはこのためだったのだ。トレランシューズでは足先を痛めることがまったくなかったのに、より足保護に優れているはずの登山靴でなぜ足先を痛めてしまうのか? たぶんサイズが小さいのだろう。登山靴は固くて融通利かないからなあ。これもまたどうしたものか。

確実に好天を狙っていたのは、僕の手持ちの冬用装備品が貧弱そのものだからだ(逆に貧弱な装備品でどこまでできるのか/できないのかを試してみたかった)。何しろヘルメット、ゴーグルがない。厳冬期用ハードシェルもないのでレインウェアで代用、中間着も持ってないのでユニクロのフリース、手袋は25年前のスキー用だ。今回は事なきを得たが、マジで命がかかっているので命を守る装備品を疎かにするのは愚かなことだ。山に行く回数を減らしてでもまずは必要な装備品を揃えたいところだ――といっても先立つものが…。

とまあ、いろいろ考えることの多い山行だった。

水分持参:1.4L(うち保温1L)、消費800ml。食料消費:稲荷x6、赤飯おにぎりx1、大福x3、煎餅小袋x2、板チョコx1。比較的暖かくて荷物は何も凍らなかった。

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富士山御殿場口ルート
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス
技術レベル
2/5
体力レベル
4/5
無雪期ピークハント/縦走 富士・御坂 [日帰り]
技術レベル
2/5
体力レベル
5/5
ハイキング 富士・御坂 [日帰り]
富士山御殿場日帰りピストン
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
1/5
体力レベル
3/5

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