女峰山/敗退ノ記
- GPS
- 10:15
- 距離
- 17.9km
- 登り
- 1,710m
- 下り
- 1,707m
コースタイム
- 山行
- 9:33
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 10:17
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
日光市営/西参道第1駐車場/24時間OK 510円/台 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■積雪状況 登山口から遥拝石まではくるぶし程度、その上部は足首程度 遥拝石から上部で吹き溜まりでひざ下までで 新雪の下は凍結箇所多数 ◆西参道第1駐車場→行者堂 駐車場から石段を登り日光山輪王寺を右手にしながら日光東照宮へ 東照宮入口を左斜め前方に進み、日光二荒山神社を通り抜けて舗装路に出る 二荒山神社と竜光院の間の石畳を進み、その先の右手に現れる石段を登る 石段の終点に行者堂 ◆行者堂→遥拝石 行者堂を時計回りに進むと登山道が始まる 杉林を抜け林道の接点を経ると急登が待つ 登り切ると殺生禁断碑 ほぼ平坦な樹林帯、V字にえぐられた登山道を通り開放的な笹原に出る 左手に男体山、振り返ると日光市街、関東平野が広がる ゆるい傾斜のダケカンバやカラマツの樹林を抜け、再び笹原の出る 水場を示す表示があるが、流れが悪く水が澱んでおり飲料には不向き 白樺金剛を経て八風に至る 八風は黒く荒い岩が多く、また、展望がイイ 峰を右手にしながらガレ場をトラバースすると遥拝石に至る 遥拝石から正面に前女峰がそびえ、マーブル模様の崩壊斜面や氷瀑が見られる ◆遥拝石→前女峰ピーク手前 遥拝岩から急登を制すると「女峰山←→東照宮」の標識を経て竜巻山のピークを時計回りに巻く 樹林帯から抜け出ると男体山、大真名子山の展望が開ける その先、樹林に入ると唐沢避難小屋の建物が見える |
その他周辺情報 | ◆日帰り温泉 日光市営/やしおの湯 < http://www.city.nikko.lg.jp/nikko-kankou/kankou/nikko/onsen/yashio.html > 510円/市民以外の大人 |
写真
感想
◆東北のヤマを眺めに
日光連山の一つ、女峰山は東北に近く展望がイイ秀峰である。
この夏、東北の山々を訪ね歩きたいので、その姿を近くから望むヤマとして女峰山は格好の位置にある。
電車で日光駅まで移動し、唐沢避難小屋で1泊して大真名子山、小真名子山を縦走する計画を立てた。
◆ズタボロ計画
出発2日前、日曜日の天候が芳しくないことや降雪により難易度が上がったため、計画を見直し女峰山1座を目指すことにした。
この時点でアクセスをそのまま電車としていたことはうかつだった。
出発前夜に装備や行程を確認する段階になって電車では日帰りできないことにようやく気付き、慌てて深夜に車で出発した。
何度も足を運んでいるのならまだしも、初めて向かうヤマなのに大丈夫だろうか。
漠然とした不安を抱えたまま、5:30に東照宮にほど近い駐車場に到着した。
◆ヤマを独り占め
駐車場では支度を調え終わった登山者が一人、先行して出発した。
後を追うように東照宮、二荒山神社を経て登山道を進んでいった。
しかし、前方に姿は見えず、雪の上には新しい登りの足跡はなかった。
(どこかほかのヤマに行ったのか)
ヤマレコでは3月の女峰山に登った記録は少なく、この日の入山者は自分だけなのかと、少し寂しい気持ちになる。
反対に、本当にヤマを独り占めできるかもしれない、そう思うとうれしさがこみあげてきた。
◆耳で楽しむヤマ歩き
とても静かだった。
聞こえてくるのは、雪を踏む音と枝から雪や氷が落ちる音、春を思わせる軽やかな小鳥のさえずり。
笹原では弱い風が葉を揺らして乾いた音を奏でていた。
時折、大きな音も耳にした。
どどどっ・・・と笹原で響く音の方を見ると10頭ほどのシカの群れが走り去る姿が見られた。
遥拝石では渓谷の反対側の絶壁に幾筋かある氷瀑が溶けて落下し、壮大な音が谷にこだました。
まだ多くの雪が残る東北の玄関口。
この時期らしい音を楽しむことができた。
◆アクシデント
遥拝石から少し傾斜を登ると、足跡がぱったりとなくなった。
ノー・トレースを進むのは多少不安があったが、進路を示す標識が十分あったのでそのまま進んだ。
足元の雪は深くなっている。
吹き溜まりでは膝下まで雪で埋もれることがあるし、新雪の下は凍結して滑りやすくなっていた。
(こんな時こそワカンを持ってくればよかった)
後悔しながら踏み抜いた足を何度も引き抜いた。
もう懲り懲りだと思いながら雪に沈んだ足を力任せに持ち上げた瞬間、体のバランスを崩した。
転倒しないように無理な体勢をとったせいで右足の太ももの筋肉を傷めた。
しばらく動けず、片足を突っ込んだまま雪面に横たわった。
結局、転んだのと同じで、冷たい雪が首筋から侵入した。
痛みのせいなのか脂汗が吹き出した。
ようやく動けるようになって立ち上がった。
時刻はまだ9:30。
正午には山頂に着くだろうと、痛みをこらえてゆっくり歩いた。
◆登頂を断念
スピードはガクンと落ちた。
痛めた右足をかばったせいで左脚が攣り出した。
とても山頂までたどり着けそうになかった。
唐沢避難小屋の手前で右側の斜面の先に稜線が見えた。
せめて眺望のイイところまでと思い、登山道を外れて稜線に出てそこから少し登った。
眼下には深く削られた谷。
さきほど遥拝石から氷瀑が見えたあの渓谷だ。
少し樹林に隠れているものの男体山がちらりとのぞく。
(今日はここまでか)
悔しい気持ちはあった。
見たかった東北の山は見ることができなかった。
しかし、登山口までどのくらいの時間を要するのかわからなかったので早々に下山を開始した。
下山途中、遥拝石の手前と白樺金剛の手前で登山者とすれ違った。
無事に山頂に立てるようにエールを送った。
◆ヤマ友に励まされ
ケガをしたのはショックだった。
身体の柔軟性の低下。
体力の衰え。
そして、老い。
気持ちがどんどん重くなった。
下山後、妙義山に行ったwildwindさんら一行、そしてkiyoponさんと落ち合い、食事を共にした。
落ち込むワタシに気づいて事情を聞かれ、話をしたらみんなから心配され、そして優しく励まされた。
kiyoponさんは、早く快方に向かうようにと自宅にあった湿布薬を分けてくれた。
一人ひとりの気持ちが嬉しかった。
帰路は多少遠回りになったが、心のケアとケガの回復とにとって、だいぶ近道になった。
◆暦
宇都宮(栃木県)
2016年3月26日(土)
日の出 5:35
日南中時 11:46
日の入り 17:58
月の出 20:27
月南中時 1:19
月の入り 7:01
正午月齢 17.0
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
こんにちは!
今回は残念でしたね(;´Д`A
アクシデント発生では仕方ないです。。。
そんな中、大佐飛から手を振ってしまいましてすみません
早く回復するといいですね。
お大事にしてください!
「すみません」なんておっしゃらないでくださ〜い!
ワタシの不注意でピークに立てず、約束を果たせなかったのですから!
今回はしっぽを巻いて下山しましたが、いつの日か女峰山山頂に立って
ジョーさんがいると思って大佐飛山にむかって大きく手を振ります!
コメントいただきありがとうございました!!
LArcさん、こんにちは。
土曜日はお疲れ様でした
また、帰りは遠回りして桐生まで来ていただいてありがとうございました
快晴の青空の下、撤退するのは相当勇気の要る決断と思います。
腫れや違和感はその後どうですか?もし違和感が残るようなら迷わず医者に診てもらってくださいね〜
お大事になさってください
いつもコメントありがとうございます。
本山行で撤退したことを勇気というのなら、その前にもっと神経を集中して
ヤマに臨むべきでした。
足の痛みはお仕置きと思ってこれからの教訓にしたいと思います。
そんな不注意によるケガ、また、今回、山行はご一緒しなかったにもかかわらず
お世話になりました。
まだ2日しか経っていないので意識できるほど回復している実感はないのですが、
頂いた湿布のおかげで車を運転して帰宅することができました。
あとはワタシ自身の治癒力を信じて。。。
もちろん医師の治療も・・・
LArcさん
こんばんは
唐沢小屋まで行ったとしても
そこから山頂までの森林帯の難しさと
最後の斜度のしんどさ
撤退
正しい判断だと思います
あと雲竜瀑に通じる前女峰の山並みと
山肌の美しさ!素晴らしい風景ですね
雪山のダメージは思っている以上です
お体いたわってくださいね
拙い撤退レコに過分な評価、また、ご心配いただきありがとうございます。
地図の等高線を見るまでもなく、遥拝石から見えた前女峰は見上げる高さ。
やっぱり厳しい急登が待ち構えていたんですね。
撤退したことにより、遥拝石から雲竜瀑をじっくり眺めることができました。
マーブル模様の山肌の美しさ、雲竜瀑の崩れる音!
そう思うと、この撤退には収穫もあったなぁと思えます。
日光のお母さんは、ワタシのような男にも慈悲の心を持った深い愛情を持っていますね。
鉄人LArcさんに、こんなことが起きていようとはつゆ知らず、
当日は呼び出しをかけてすみません
(ひもかわで癒されたならなによりですが。。。 )
それにしても、ほぼ貸し切りの女峰山。景色もサイコー。
(本来なら、大真名子、小真名子までの縦走計画…。)
この時期は静かな静かな山歩きが楽しめるエリアなんですね。
でも、だからこそ余計に、今回は単独行でアクシデントがあっても、
自力で無事に下山されて、本当によかったです。
冬山の単独は、本当に気を付けてくださいね。
(それか、声かけて下さればいいのに、とも思います。あぁみずくさい )
いつもコメントありがとうございます。
貸し切りのヤマ!と浮かれていたせいか、思わぬ落とし穴。
いえ!穴じゃなかった!
単なる吹き溜まりにハマってしまったのです。
一人で行っちゃったバチ・・・ですね。
人手の少ない山域でソロ山行。
幸い陥った危機の程度が軽かったので大事には至りませんでした。
ただ運が良かっただけです。
この日の夜、皆さんにお会いして気持ちを平常に戻すことができました。
あのまま一人で帰っていたら・・・どんより・・・
しばらくショックで立ち直れなかったかもしれません。
皆さんに救われました。
ありがとうございました。
LArcさんにまさかのアクシデントでしたね。
LArcさんでもこんなことが起こるんだ。
私は最近不注意なことがいくつかあり、気を付けないといけないと思っています。
これまで大きなアクシデントがないのは幸いですが、常に緊張感を持っておかないといけないと自分を戒めています。
LArcさんのことですから回復は早いと思いますがどうかご自愛ください。
私も緊張感を失わないよう気を付けて山に行こうと思います。
kiyoponさんたちの心遣い嬉しいです。
やはり仲間が一番ですね。
hakkutuさんにもご心配おかけしました。
未熟さが露呈したレコをさらしています。
緊張感・・・なかったですね。
ほんの何回か踏み抜きが続いただけ・・・
少し体力が奪われただけ・・・
わずかに時間がかかっただけ・・・
それだけなのにちょっとイライラしてしまい冷静さを失っていました。
「バランスを崩すかもしれない」ということを予想するべきでした。
予想するべきだったのはkiyoponさんをはじめヤマ友と会った時のことです。
大したケガじゃないのに、こんなに心配してくれて、励ましてくれるとは・・・
ホント、仲間が一番です!
コメントいただきありがとうございました。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する