藻岩山・円山縦走(地蔵巡り)
taroyama10
体力度について
- GPS
- 05:10
- 距離
- 10.9km
- 登り
- 813m
- 下り
- 807m
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| 過去天気図（気象庁） | 2016年05月の天気図 |
|---|---|
| アクセス |
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感想
最高気温23度と初夏のような暖かさを、天気予報が告げていた。
家の中に閉じこもっているのが勿体なくて、
いつものようにザックを担いで藻岩山へ歩き出した。
きょうは普段と違う路を歩きたいと考えていた。
漠然と思い描いていたのは、
藻岩山から円山をへて三角山へ抜ける縦走コースだ。
自分にとっては、今年が十数年ぶりの登山再開。
ここ半月ばかりは2日に1度のペースで藻岩山の慈啓会コースに登り、
足を慣らしてきた。
ただ、さすがに慈啓会の往復2時間コースでは退屈になってきたため、
長時間の山歩きに挑みたいと考えていた。
そこで思いついたのが藻岩〜円山〜三角山の縦走。
既にこの「ヤマレコ」でも先輩方が登られており、
ルートも開かれている。
トレーニングにはちょうど良いコースだと思えた。
ただ歩くのも面白くないなぁ、と思いついたのがお地蔵さんの撮影。
普段の山登りでもちろん見かけてはいたが、
地蔵に振られた番号が頭に入ると集中が途切れるため、
今までは気を払わないようにしていたのだった。
今回はスマホで一カ所ずつ撮影した。
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藻岩山の三十三観音の由来について、
朝日新聞の連載記事「藻岩山物語」には
こう記されている。
「札幌中心部に新善光寺を開いた大谷玄超師が1886（明治19）年、檀家（だんか）たちの力を借りて山頂に至る参道を切り開いた。さらに西国三十三カ所観音霊場の数にちなんで、藻岩山に三十三の観音像を設置し、霊場にしようと考えた」
ここでいう参道が現在の慈啓会コース。
登山口には同じ浄土宗の観音寺が建てられている。
いつも思うのだがなぜ「観音寺コース」と呼ばないのだろう。
どなたか教えていただけると幸いだ。
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慈啓会コースは最もポピュラーなコースという事もあり、
この日はとにかく人が多かった。
何人もの人に追い抜かれ、すれ違った。
中には小学生以下とみられる子供の姿もあり、羨ましく思った。
きっと「疲れた」「もう登れない」なんてぐずるんだろうな。
でも、父さん母さんには一緒に登った記憶が大切な想い出になる。
だから、僕も息子たちをいつか連れて来よう。
きょうは目的地が遠いから、慈啓会コースは淡々と進んだ。
馬の背から藻岩山頂までをピストンして、旭山記念公園コースへ。
ここから先は一気に人が減る。
静かな山道を黙々と歩くのが、やはり自分には合っている。
荷物と体の重みを感じながら、一歩一歩、山靴を前に運ぶ。
20度を超える気温だけに、汗が噴き出す。
持って来た500�瀬螢奪肇襪凌紊牢�に空。
あめをなめて、乾きをしのぐ。
予想外だったのが旭山記念公園コースのハードさだ。
道自体は歩きやすく固められ、路面も乾いており、
非常に歩きやすいのだが、とかくアップダウンが激しい。
途中一カ所、標高差30〜40�辰曚匹�
かなり厳しめのつづら折りを下りたところで、
膝に痛みが来た。これはまずい。
藻岩山を降りてしまえば後は楽だろう…などと
甘く考えていた自分を反省。
疲労感が増しててきたので、三角山縦走は断念することにした。
円山はどうしよう…と逡巡しながら山を下る。
藻岩山や円山をめぐる「札幌周辺自然歩道」は、
学生時代によく歩いた丹沢近辺の「東海自然歩道」と
雰囲気がよく似ている。
大都市に近く、適度な上り下りがあって、
道も平坦で歩きやすい。ハイキングに持ってこいだ。
ただ、あの頃と違うのは自分の体の重さ。結構きつい。
25キロも増えてしまうと、
勢いだけで山行計画を立てるのは厳しいのだと実感する。
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旭山記念公園に出て、飲み物休憩。
10分も休むと、何だか力が湧いてきた。
円山登山だけは行けそうだな―と立ち上がり、
登山靴からスニーカーに履き替えて出発した。
公園前の道路は花見に向かう車で渋滞していた。
春の札幌をザックを担いで、
ゆっくり歩くのは何だか心地よい。
自動車に乗っていては分からない、街の魅力に出合える。
「札幌って自然にあふれて良い街だなぁ」
しみじみとかみしめながら、双子山交差点から円山へとのぼり返す。
街角の桜が、本当にきれいだった。
正午も過ぎておなかもすいた。
ファミリーマートで買ったウイダーを飲んでエネルギーチャージ。
円山登山口に向かう途中、通り抜けた円山西町の住宅街が
実にのんびりしていて気に入った。
円山かいわい独特の高級感もなく、街路も整備されていない。
買い物や交通は不便そうだけど、僕にはあってそうだ。
円山は動物園コースから登った。
大師堂（八十八カ所）コースと違い直登のため、
余計なつづらおりはなく、標高差100�辰曚匹魄豕い謀个襦�
つらい、つらい、つらい。足が重すぎる。
苦しみに耐えて登るうちに、学生時代を思い出した。
やっぱりあの頃も、こんな気分で登っていた。
あの山超えれば、女の子に告白してみよう。
あの坂登れば、人生が開ける。
で、登ってみれば、現実は意外に何にも変わらない。
ただただ頑張った自分を、誇らしく思えたものだった。
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円山山頂からの風景は、藻岩山からの風景より好きかもしれない。
街が、より近くに見えるからだ。
数分休んで、今度は八十八カ所コースから下山。
地蔵巡りも再開だ。今度は八十八観音と数が多い。
それらの由来を円山公園のウェブサイトから要約して紹介する。
「円山の登山道が整備されたのは大正3年。村の開祖と呼ばれる上田萬平が費用を出し、自らも鍬をふるって頂上までの登山道を開鑿(かいさく)した。弟の善七は、この登山道に沿い、弘法大師が開いた四国八十八カ所のように、八十八観音を創建することにしたという。札幌近郊には四国から入植した人達が多く、観音像創建への寄進も集まり、同年5月に開眼安置の法要が行われた。翌4年には市内の成田山新栄寺により、登山口に弘法大師の遺徳を偲ぶお堂(大師堂)も建てられ、弘法大師の像も安置された。その後、献納された観音様は二百体にものぼるといわれている」
藻岩山の三十三観音は明治期建立なのに対し、円山の八十八観音は大正期建立とより新しい。また、藻岩山は浄土宗の僧侶たちが建てたのに対し、円山は開拓者たちの手で設置された違いもある。それぞれの観音は「霊山」として開かれた藻岩山、「市民の山」として信仰を集めた円山を象徴する、対照的な背景を持っているようだ。
ちなみに、円山と藻岩山を結び付けるエピソードはもう一つある。
以下に円山公園のウェブサイトを要約する。
「現在私たちが呼ぶ『円山』(標高226m)の本来の名前は「モイワ」だったことはほとんど知られていない。モイワとは、アイヌ語で「小さな山」という意味。町から望むその山容は、まさにモイワそのものだった。一方で「藻岩山」(標高531m)と名付けて親しんでいる山はというと、これは本来「インカルシペ」を呼ばれ、アイヌ語で「いつも遠くを見渡す所」という意味を持っていた。
明治4年、時の判官岩村通俊が京にならって円山・藻岩山山麓一帯を円山村と名付けた際、当時の「モイワ」は円山と呼ばれるようになったという。「モイワ」という名前は隣のインカルシペに移り、その後藻岩山と呼ばれることになった」
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200体近くある円山の観音様を撮影するのは、
数が多すぎて疲れてしまった。
大師堂に近づくと焼肉の香ばしい匂いが漂ってきた。
花見を楽しむ人々だ。
ひとり、山を歩いてきた人間には少しまぶしく見えた。
家族のもとへ帰ろう。黙々と、家路に就いた。
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