【南ア南部横断】 三伏峠〜荒川小屋〜二軒小屋〜田代発電所
- GPS
- --:--
- 距離
- 34.1km
- 登り
- 3,643m
- 下り
- 4,535m
コースタイム
- 山行
- 2:34
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:34
- 山行
- 8:55
- 休憩
- 1:49
- 合計
- 10:44
- 山行
- 7:37
- 休憩
- 1:21
- 合計
- 8:58
- 山行
- 5:20
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 6:40
過去天気図(気象庁) | 2016年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
(バイク28km)田代発電所手前駐車スペース06:00〜06:50波高島駅 (JR)波高島07:08(身延線)8:27甲府8:29(スーパーあずさ1号)9:22岡谷9:45(中央線)11:51伊那大島 ※甲府駅では、降りたホームの反対側に停車中のスーパーあずさに乗り換えますが、少し距離があり、走って行ってギリギリ間に合う感じでした。 (バス)伊那大島12:10(鳥倉線)14:00 鳥倉(豊口)登山口 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◆ 鳥倉登山口から三伏峠小屋まで ・ よく整備された登山道なので,危険なところはありません。 ・ 登山口ですでに標高1,780m。三伏峠小屋の標高は2,615mなので標高差835mを登ります。コースタイム3時間ですが,一定のペースを維持したので,2時間半ほどで歩けました。 ・ 途中の水場は,このところ雨が多かったせいか,水量が多かったです。これまでの経験では,ほとんど給水できないイメージでしたので驚きました。 ・ 夏山最盛期ということで,テント場はそこそこ混雑していましたが,それでも夕方6時頃で,見たところ残り7〜8張は設営可能なスペースが残っていました。 ・ この小屋の水場は遠いです。歩いて10分以上かかるので,手持ちの水があるならば,翌日,烏帽子岳へ向かう途中で給水したほうが効率が良いと思います。ただし,塩見岳を目指す場合は,ルートはこの水場から離れてしまうので,いずれにしても水場への往復が必要です。なお,疲れてしまって気力がない場合は,小屋で水を購入できます。 ◆ 三伏峠小屋から高山裏避難小屋まで ・ 縦走2日目は04:20にテン場を出発し,烏帽子岳方面へ向かいますが,まずは5分ほど歩いて水場分岐のところに荷物をデポ。分岐を左に下りていき,5〜6分で水場に到着です。ここで行動中に必要な水2Lを給水し分岐に戻りました。 ・ 烏帽子岳山頂へは,水場分岐から40分ほどで到着。山頂からの展望は素晴らしく,目の前に塩見岳やそこから続く蝙蝠尾根が見えます。また,これから向かう小河内岳やその先の荒川三山も良く見えます。西に目をやれば,中央アルプスや遠く北アルプスの山々も見えます。 ・ 烏帽子岳周辺から先は,西側の山体崩壊が進んでおり,ガレの縁を歩くところが何カ所かあります。崩壊がさらに進むと,登山道の付け替えが必要となりそうです。転落しないよう注意が必要です。 ・ 小河内岳はこの区間のハイライト。前小河内岳の下りから望むと,山頂までハイマツの緑に覆われたその優美な山容が,不思議な味わいを醸し出しています。山頂直下に建つ避難小屋がアクセントになってなんともメルヘンチックな眺めです。そして山頂に立てば,素晴らしい展望です。これから向かう荒川三山が,板屋山から高山裏避難小屋へと至る尾根を前景に雄大な姿を現し,東側には,雲海を従えた富士山も見えています。 ・ この避難小屋は,周囲に視界を遮るような木立がなく,抜群の景観が楽しめるので,富士山や星空の撮影にはもってこいでしょう。山頂近くでお会いした70代くらいのご婦人は,すでに何泊もこの小屋に宿泊し,塩見岳に登ったり,周辺を散策したり楽しんでいるとのこと。このあとやってくる友人との再会を楽しみにしているとのことで,「何とも贅沢でうらやましい山行ですね」と言葉をかけました。 ・ 山頂からは森林限界点まで標高差200mを下り,そこからは樹林帯の中のアップダウンが続きます。オタカラコウやマルバダケブキなどの高山植物の花を楽しみながらの歩きです。大日影山は山頂を通らずにトラバースして,ガレ場のある瀬戸沢ノ頭に到着。ここから進路を東寄りに変え,30分ほど歩くと,次第に北側の展望が開け,目の前に小河内岳の眺めが楽しめました。ここから見る小河内岳は実に立派な山容です。 ・ さらに10分で樹林帯の中に建てられた板屋岳山頂の標識のところに到着。ここで水分&エネルギー補給のため,15分ほど休憩しました。その先,何度かガレの縁を慎重に通過し,高山裏避難小屋には10:30に到着。 ◆ 高山裏避難小屋から荒川小屋まで ・ まだ先が長いので避難小屋には立ち寄らず,そのまま進むと,12カ所ほど番号が振られたテントサイトが出てきます。樹林帯の中にあって,風雨を防いでくれる貴重なテントサイトですね。 ・ 避難小屋から30分弱で水場に到着。以前立ち寄った時は,水流が細く,採水に時間がかかりましたが,今回はかなりの水量があり,冷たくておいしい水をたくさん飲むことができました。ここでも10分ほど休憩。 ・ 水場から先しばらくは樹林帯のアップダウンですが,徐々に登り勾配となり,その先,ダケカンバの林の中の急な登りをしばらく頑張れば,森林限界点に立つ標柱に到着。ここは,カールの底に位置しており,上を見上げると,荒川前岳まで,急な登りが続いています。この先の登りに備え,ここで25分の昼食休憩としました。 ・ たっぷりと休憩ししっかり食事がとれたので,そのあとの急登は快調でした。荒川前岳山頂までコースタイム1時間15分のところを1時間ほどで到着。ただし,前岳へと続く尾根に上がってからは,西側が切れ落ちたガレになっており,非常に危険なところもあって慎重に通過しました。今回のルートでは,ここの通過が最も危険な場所だと思います。 ・ そのあとは,前岳山頂で一緒になった方と少し会話し,カメラのシャッターを押してあげてから,中岳分岐に進み,そこから南側へと荒川小屋を目指して下ります。 ・ 途中,柵に囲まれたお花畑を通過します。もう少し早い時期ならば,ハクサンイチゲの大群落が見事なところですが,今年は花の時期が早いようで,すでにハクサンイチゲの花は終わってしまい,ハクサンフウロや秋の花マツムシソウなどが見ごろでした。 ・ 荒川小屋には,15:04に到着。早速,テント宿泊の手続きをし,テン場に向かうと,まだテントは5張程度と少なく,小屋に近い樹林帯の中のサイトにテントを張ることができました。ここのテン場は,目の前に赤石岳を望む,素晴らしいロケーションと水量豊富な冷たくおいしい水場があって,大のお気に入りです。トイレもきれいでいつ来ても気持ちよく過ごせるところです。しかも,ドコモの電波が通じるので,メールやネットの利用もできます。 ◆ 荒川小屋から千枚岳まで ・ 縦走3日目は,05:10にテン場を出発。昨日下ってきた道を登り返し,まずは荒川中岳を目指します。良く晴れていて,進行方向の右奥には富士山が見えていました。一方,振り返ると朝日に照らされた巨大な赤石岳の威容が素晴らしく,その右手には荒川小屋も見えています。お花畑では花の撮影も楽しみながら,稜線への登りに取り付き,標高3,083mの荒川中岳山頂には06:39に到着しました。 ・ この山頂からの眺めも見事です。東には深田百名山である悪沢岳がコルを挟んで存在感たっぷり。その左には塩見岳や蝙蝠岳,そしてさらにその奥には南ア北部の高峰が連なっています。視線を西に転ずれば,昨日歩いてきた小河内岳から高山裏避難小屋へと続く稜線。もちろん赤石岳や荒川前岳も目の前です。 ・ 山頂からの眺めをカメラに収め,次のピークである悪沢岳を目指して,まずはコルへと下りますが,最低鞍部周辺は切れ落ちた馬の背状のやせ尾根となっていて高度感があり,転落注意箇所です。そこを過ぎれば,悪沢岳への岩場の登りが始まります。登り返しの標高差は250mほどとたいしたことはありませんが,振り返ると中岳と赤石岳が並んだ絶景が大迫力。何度もシャッターを押しながら登ったので,中岳から悪沢岳山頂までは,1時間20分ほどかかりました。 ・ 悪沢岳山頂には08:03に到着。山頂には千枚小屋から登ってきたと思われる4名ほどの登山者がいて,素晴らしい眺めをカメラに収めたり,山頂碑で記念撮影するなど,思い思いに楽しんでいました。私も荷物をおろし,25分ほどのんびり休憩です。 ・ 悪沢岳からの下りは,大岩が堆積している中,岩の上を飛び移りながらの下りとなります。その先には名前そのままの丸い形の丸山と千枚岳。特徴ある印象深い山岳風景が続きます。 ・ 丸山までは30分ほど。さらに千枚岳へは40分ほどですが,千枚岳手前のキレット状の岩場は少し注意が必要です。右下が切れ落ちてきて,転落すると命がありません。でも,千枚岳へと至るルートはお花畑になっていて,タカネナデシコやタカネビランジなどがとてもきれいで一見の価値があります。 ・ 千枚岳山頂には,09:41に到着。この先は二軒小屋まで下りとなるので,ここで30分の大休止。家人にメールしたり,おやつを食べたり,のんびり過ごしました。 ・ 千枚岳からの下山では,登山地図によれば,山頂から尾根をそのまま東に二軒小屋へ下るルートが記載されていますが,ハイマツが茂ってしまい,ルートを見つけられなかったので,まずは千枚小屋方面に10分ほど下り,二軒小屋・千枚小屋分岐のところから左へ針路をとって二軒小屋へと向かいました。 ・ 分岐から先は,登山者も少なくなり,静かな歩きが楽しめます。草付を過ぎると樹林帯の中の道となり,さきほどの分岐から55分ほどで標柱のところに到着。その先の風通しの良い所で靴を脱いで15分ほど休憩をとりました。 ・ 休憩後,13分ほど歩くと,万斧沢ノ頭に到着。小広場になっていて休憩適地ですが,休憩したばかりなのでそのまま進み,さらに40分ほどで,登山地図に「ロボット雨量計跡」と記載されたガレの縁に出ました。ここからは,千枚岳や丸山を望むことができます。 ・ そこから先は,急な下りの連続となります。さきほどのところから1時間半ほど下ると,樹間越しにようやく二軒小屋が見えてきますが,まだ結構な下りです。さらに10分ほど頑張って下ってダムのところの吊り橋を渡り,二軒小屋には14:08に到着しました。 ・ さっそくテント泊手続きをしてテントを設営。私が本日の一番乗りのようで,夜露を避けられる樹木の下の良い場所にテントを張ることができました。その後は夕方までビール三昧。このために持参してきたたくさんのつまみに舌鼓をうちながら,まったりと午後のひと時を過ごしました。 ◆ 二軒小屋から田代発電所まで ・ 昨晩はすっかり良い気分で,沢音を聞きながらいつの間にか就寝。恐らく午後7時には寝ていたと思います。ランタンを消し忘れたのに気が付いて目が覚めたのは午前1時頃。まだ時間が早いので二度寝を決め込み,結局午前3時前に起床。一晩中明かりが付けてある快適なトイレに行ってから,テーブルの上でチャンポン麺の朝食です。そのあと,ドリップコーヒーとフルーツゼリーのデザートで締め,テントを撤収して午前5時過ぎに二軒小屋をあとにしました。 ・ 二軒小屋から転付峠(東海フォレストはこの字で表記)までは,コースタイム1時間50分ほどの,とてもよく整備された足に優しいハイキングコース。のんびり歩いて,ほぼコースタイムで峠に到着。ここに荷物を置いて,歩いて5分のところにある展望台へ。この展望台は3度目なので悪沢岳や赤石岳の展望はすでに見ているのですが,何度見ても良いものですね。快晴の下,素晴らしい眺めでした。 ・ 40分ほどして峠に戻ってくると,二軒小屋でテント泊していた夫婦らしい二人連れと一緒になりました。私のほうが先に出発しましたが,このあとは,相前後しての下山となりました。 ・ 田代発電所までのこのルートは昨年,登りで2回歩いているので,問題なく歩くことができました。出合付近は夏草が生い茂って,初めて歩くとわかりづらいですが,私の場合は問題なし。 ・ 快調に下り,八丁峠手前の渡渉点のところでラーメンの昼食のため大休止。その間にさきほどの二人連れが追い抜いて行きます。八丁峠を越え,イエローワイヤーの張られた急な下りをやり過ごして沢の渡渉点に着くと,二人連れが休憩中だったので,私がまた先導役となります。その先,田代発電所入口を11:44に通過し,車を駐車した場所には11:52に到着。荷物を整理していると先ほどの二人連れがやってきたので,「林道歩き大変でしょうから,私のクルマに乗っていきますか?」と声をかけました。奈良田温泉に置いた車を回収に行くということだったので,伝付峠入口のバス停まで乗せて差し上げましたが,バス停に到着後,それほど待たずにバスに乗れたようでなによりでした。 ・ 私のほうは,二人を降ろしてからヘルシー美里(入浴料550円)の誰もいないお風呂でのんびり入浴し,波高島駅でバイクを回収して,自宅に戻りました。 |
その他周辺情報 | ・ 下山後の入浴は、ヘルシー美里(入浴料550円)がおススメです。私が行った時も誰もおらず貸し切りでした。 ・ それから、今回もスマホの山旅ロガーでログが取得できず、地図上で落としたルートとなっています。下山して、地図ロイドの会議室で質問したところ、「GooglePlay開発者サービス」の不具合が原因らしく、アンインストール、再インストールを行った結果、GPSが正常に動作するようになりました。皆さんも、お気を付けください。 |
写真
感想
・ 以前から、南アをテント縦走する際、静かで快適な二軒小屋の芝生のテント場にテン泊して、のんびり生ビールを味わいたいなあと思っていました。では、どうやって二軒小屋にアプローチするのか?これがなかなか厄介です。
・ 二軒小屋へは、ロッジ宿泊者ならば送迎バスを利用して畑薙から往復するのが普通ですが、テント縦走の場合はこの手が使えません。でも長い林道歩きはまっぴらです。
・ そこで考え付いたのが、今回のルートでした。いつものようにクルマにバイクを積載し、下山口の田代発電所近くに車を駐車し、バイクでJR身延線の波高島駅まで移動。さらに、JR中央線を乗り継いで伊那大島駅で下車。伊那大島駅からは、夏季限定の登山バスで鳥倉登山口へ。
・ これにより、三伏峠〜小河内岳〜荒川前岳〜荒川小屋〜悪沢岳〜二軒小屋〜転付峠〜田代発電所という南ア南部を横断する3泊4日のテント縦走が実現できました。
・ 荒川前岳からわざわざ標高を下げて荒川小屋でテン泊したのは、目の前に赤石岳を望む素晴らしいロケーションと冷たくて水量豊富な水場があって、ここも快適なテン泊が楽しめるから。
・ 千枚岳〜二軒小屋以外の登山ルートは何度か歩いていており、今回は荒川小屋と二軒小屋にテン泊することが最大の目的でした。
・ その中でも、二軒小屋は期待に違わぬ快適さ。一杯600円のキンキンに冷えた生ビールを、芝生の上に置かれたテーブルで持参したつまみとともに味わうことができました。ジョッキを飲み終えた後は、自販機で500円のロング缶を3本購入。長い午後のひと時をビール三昧でのんびり楽しみました。
・ また、早めの時間帯に到着したので、イワナと鶏肉が乗ったおいしいお弁当(千円)も注文することができ、その晩の夕食として頂くことができました。これも、ebi0813 さんのレコ( http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-335235.html ) のおかげでした。参考にさせていただき、ありがとうございました。
・ それにしても二軒小屋は、テン泊者にはアプローチしにくいためか、これだけ快適で素晴らしいロケーションにもかかわらず、本当に空いていて静かですね。テントは私のほかに3張のみ。フカフカの芝生の上でのテン泊のおかげで、ぐっすりと眠ることができました。小屋・テント利用者用のトイレも水洗できれいですし、一晩中灯りが点いていて利用しやすいです。専用の洗面所兼乾燥室が用意されているのもうれしいポイントです。
・ 今度は、秋の紅葉の頃、二軒小屋でのテン泊目的で、田代発電所から往復してみようかなと思いました。
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