仏果山・南山/ゃまヒルの血闘
- GPS
- 06:45
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 1,146m
- 下り
- 1,119m
コースタイム
- 山行
- 4:10
- 休憩
- 2:32
- 合計
- 6:42
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:宮ケ瀬バス停(本厚木駅行) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■雨上がり・高温多湿の気象条件下、山蛭が非常に活発でした。靴とスパッツに忌避剤散布は必須。日蔭の落ち葉の上や軟らかい地面では立ち止まらず、時々靴などについていないかチェックしながら歩きましたが、スパッツを直した時にたかられたのか?、手首の腕時計の下を食われました。 ■宮ケ瀬越⇒仏果山は、一本調子の登りではなく小さなアップダウンがあります。高取山から尾根を辿り、宮ケ瀬ダムわきに下りる直前は非常に急な木段の連続です。 ■南山登山口はダムから車道のゲートを抜け、右のあいかわ公園入口の歩道を無視して少し車道を下った先、横断歩道の標識付近の左側にある階段です。 ■権現平〜鳥居原の送電鉄塔下はススキが繁茂して非常に通りにくく(★10月27日の草刈りで解消済)、道形も不明瞭になっていますが、構わず南へまっすぐ進むのが正解。切り傷注意。【★=県自然環境保全センターに連絡したところ、対処してくれました】 |
写真
感想
会社の歩く会を紅葉ハイクに連れ出す下見で訪れたが、ダジャレのタイトル通り聞きしに勝る蛭との闘い?が待っていた。
8時半に仏果山登山口バス停を一眼レフカメラを携えた男性1人と一緒に下車。一足先に階段の登山口に取りつく。登山ポストと蛭防除剤スプレーを備えた箱があった。まずは日蔭の山腹を縫う登山道だから、のっけから蛭の警戒エリアだ。
このところ雨の日が続いて夜半に上がったばかり。今日は晴れはしたが高温多湿ときている。登山靴と靴下、スパッツにヤマビルファイターを染み込ませ、ポケットには百円ショップで買った小さなスプレー容器に詰め替えたヤマビルファイターを忍ばせてきた。
がやがやと声がして、立って休憩中の年配男性5人程度のグループを追い抜いた。あまり好ましい休憩場所とは言えない。声を掛けると「われわれもスパッツ着けてくるべきだったな」と、警戒はしているらしい。
南寄り斜面の日当たりで息継ぎ休憩した。まだ大丈夫だろうと足元を見たら、右足のかかとにお客さんが1匹くっついていた。脚まで登りたいが忌避剤が嫌で靴底のゴムの近くに滞留していたらしい。スプレーしたら間もなく死んだが、全く油断ならない。この先もまだ険しい登りが待っているが、途中ゆっくり休むことは避けるのが賢明だろう。
汗だくになって宮ケ瀬越到着。日蔭なので立ち止まらず、歩き回りながら息を整えて右の仏果山に向かった。多少道形が薄くなり、ひやりとしたが間違ってはいなかった。一山越えて再度登り直し、別の分岐の道標が見えた所が事実上、頂上の一角だった。木々の葉の向こうに展望台の櫓が見えている。
見晴らしは良好で大山が指呼の元に見え、足下には宮ケ瀬湖、北の方には奥多摩の山並みが広がる。特徴的なキューピーヘッドの大岳山はすぐに分かった。東の平野部は相模川あたりまで見えるが、その先の横浜方面は水蒸気に霞んでいる。とりあえず上空は晴れて、雨の心配がなさそうなのが救いだ。
再び登山道に下りて蛭との闘いを再開。尾根筋の生息数は少ないと思うが、足元の注意を怠らずに進む。軽いアップダウンを経て、高取山へはほどなく到着した。仏果山と同じような展望台がある。上ると、バス停で一緒に下りた男性が座って休んでいた。
蛭の話をすると、「さっき会った5人くらいのグループが10匹ずつたかられたなんて言っていましたが、自分は大丈夫です」とのこと。当方も会った年配男性のパーティーだろう。そう話しながら彼がズボンをめくると、靴下に赤い染みができていた。「あっ」と足をどけると1匹ポロリ。ヒルファイターをかけて退治する間に、脱いだ靴からさらに2匹が姿を見せた。
塩を持ってきたというので効果を実験してみると、かけるとたちまち動きが止まった。ヒルファイターの方が若干効き目が早いようだが、大差はない。ズボンをバタバタすると最後にもう1匹落ちてきた。「こいつらゴムのストックの先や靴底で踏んだくらいじゃ全然平気なんです」と、先輩風を吹かせて説明しながら非情のガンマンよろしく息の根を止めてやった。
薬剤と塩を食らい、日向の鉄板で日干しにされていく蛭たちを後に展望台を降りた。この先は上から見えた宮ケ瀬ダムを目指す。雨で勢いを得たキノコをたくさん見かけた。つまり水分十分ということで、尾根道といえど蛭の襲撃に油断はできない。
ベンチで休む人に声をかけると、やはり話題は蛭に。地元のハイカーらしく、「今日は多いね。もう10匹は殺した。塩が一番効く。見たら必ず殺すこと」と諭された。「勿論です」と殺気十分に答える当方。いよいよ殺伐としてきた(笑)。
送電鉄塔でダム湖を見下ろし、下り始めた道は擬木で整備された階段で歩きやすい。落ち葉の道を快調に下りつつ足元を振り返ると、太めの楊枝みたいなのがピクピク動いている。ヒルファイターをかけたが、きりがないのでスピードを上げて先を急いだ。最後は物凄い勾配で一気にダムサイトのレベルまで下り、駐車場の目の前に飛び出した。
舗装路で靴の泥を落としがてら蛭がいないかチェックし、水とエネルギー館前のベンチで昼食。下見の目的で館内を巡り、ちょうど日曜午前11時半から始まった館長によるダム説明会に参加した。といっても聴衆は最初は自分1人、その後夫婦1組が加わっただけに終わった。
ゆっくり休んでからインクラインを横目にダムを横断する。物凄い高さだが、柵が高くて下が見通せないため、ダムの真ん中の展望塔に入った。ここではガラス越しながら一番下まで見ることができる。高所恐怖症の人は近づかない方がいいだろう。
さて、ダムの北側に渡って右に曲がり、南山の登山口を探す。すぐに右へあいかわ公園内に向かう遊歩道が分かれるが、これだとだいぶ坂を下るようなので車道を直進。すると、次の遊歩道分岐の手前、左側の空き地に草むした登山口の階段が見えた。ヤマビルファイターの容器が置いてあるが中身は空だった。
再び蛭との闘いだ。急坂をしばらくあえぎ登り、息を整える間、地面に触れず擬木の上に乗って足元を見ていると、気配を感じた2匹が顔を出した。即座にヒルファイターで攻撃。その先の東屋で電話をかけがてら休んだ時は足を下に着かずに腰かけた。ただ、出発する際、新しい靴が当たって痛いのでスパッツの辺りをいじったのだが、どうやらこの時に素早い敵が左腕に飛びついたらしい。
知らぬが仏で南山山頂に着き、伸びたススキが邪魔なので、失礼してベンチに乗って写真撮影していたら、ポトリとベンチの上に落ちたのがいる。なんと血を吸って太った蛭だった。あわてて手足、首筋などをチェックしたが、どこにも血はついていない。実は自然に離れた直後なので出血はごく少なく、傷口は腕時計の下に隠れて見えなかったのだった。
そうとは知らず、誰か他の人の血を吸った奴を連れて来てしまったのだろうと判断し、ともあれ抹殺する。文字通り血反吐を吐いて死んだのを確認し、権現平を目指した。快適な尾根道をしばらく歩くと鹿柵が見え、ダムが見渡せる権現平の見晴らし台に着いた。そこで写真を撮り、出発しようとして腕時計を見ると、なんとベルト回りに血が!
「うっ、やられた!」。撃たれたガンマンよろしく思わず声が漏れる。リュックを下ろして救急処置をした。血を絞ってからティッシュでふき取り、水筒の水で傷口をすすぐ。すぐにジンワリしみ出す血を再びふき取って、ポイズンリムーバーで何度も血を吸い取った。蛭が注入した血液サラサラ成分「ヒルジン」を吸い出すためだ。
もっとも、どの程度吸い出せるのかは分からない。蛭が離れてから20分、さほど大量に血を吸ってはいなかったようだが、吸い付いたのはさらに20分以上前のはず。傷口付近にヒルジンがとどまっていれば効果があるのだろうが・・・。なんにしても少量の出血はしばらく止まらないので、防水のバンドエイドを貼って様子を見ることにした。
蛭の特性として傷は痛くもかゆくもない。あれだけ警戒していたのに、うかつだった。蛭はとにかく暗い所を好むので、むき出しの腕ではなく腕時計のベルトの陰に潜り込んだのだろう。下半身は鉄壁の防御で臨んだのだが、腕の死角を狙うとは敵ながらあっぱれというしかない。
送電鉄塔下で道が見えないほど繁茂したススキと格闘し、ようやく下り出した登山道を蛭の再攻撃に注意しながら進む。気休めに刺された左手首を高く上げながら歩いてきたが、30分もするとバンドエイドのパッドがじっとり濡れて周囲に血が滲み始めてしまった。
そうこうするうちに車道に下りる梯子が見え、鳥居原側の登山口に着いた。年配の男女3人がいたので蛭にやられた話をすると、男性が「きょうは多い。100匹以上捕った。見つけたら捕まえて塩で殺さなきゃだめだ」と蛭を入れている薬瓶を見せた。この人も地元の方らしい。「でも、手首やられるのは珍しいな。葉っぱから飛びかかったのかな?」などと首を傾げたが、いやはや100匹退治とは恐れ入りました。
鳥居原園地でバンドエイドをはがし、トイレの水道で傷を洗って虹の大橋経由で宮ケ瀬バス停を目指す。血はまだ止まらない。出血はごく微量で、ふき取ると傷も分からなくなるが、2、3秒でまた針先程度の血が染み出す。1分放置すると直径3、4mmになって流れ出すので、またティッシュでふき取るという作業の繰り返し。普通、この程度の出血ならそのまま固まるものだが、血液凝固を阻害するヒルジンの効果だろう。午後1時半ごろ蛭が離れたから、かれこれ1時間半も作用が続いている。
バスに乗っても血が止まらないと困るなと思い始めたころ、観光客でにぎわう宮ケ瀬に到着。人が少ない所を探して体の汗を拭いていたら、ようやく血が固まり始めた。もう大丈夫と、抗生物質とステロイド入りの軟膏を塗って新しいバンドエイドを貼る。結局、我流の応急処置をしても、蛭が離れてから1時間半〜2時間は血が止まらないことが分かった。
蛭との闘いに加えて、今日は山で巨大ミミズ(注:害はないというか益虫)と巨大ゴキブリ(注:山で生きる珍しいオオゴキブリで、家にいるばっちいゴキブリとは全く別種)とも遭遇し、見たくない連中との出合いで予想以上に疲れた。バス停前で自分にご褒美の缶ビールを飲み始めてから、「またアルコールで血液サラサラになる?」と気づいたが、後の祭り。幸いアルコールにはヒルジンほどの効果は無く、再び出血することはなかった。
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