中国旅行で体験した地方の観光地とITサービス

2018年8月6日

ヤマレコ代表のmatoyanです。こんにちは!

7月14日から21日まで、家族4人(妻の父、妻の弟、私の父、私)で中国旅行に行ってきたので、その時の話を書いてみたいと思います。
社長として中国貿易を長年やっている妻の父の案内で、湖南省の張家界、鳳凰古城、少数民族の苗族の村などを巡るバスツアーと、上海の街を観光してきました。

地方と都市部の両方に行ったこともあり、
・日本で買える、金盾を回避できるSIMカード
・クラクションを鳴らしまくる運転(昔よりマシになったらしい)
・人気の観光地には大量の人が押し寄せ、何をするにも猛暑の中列に並ぶ
・「観光商品」化された少数民族の街や文化に違和感を感じる
・気づいたら犬肉料理を毎日食べていた
・大容量のモバイルバッテリーを空港で没収される
・大量の電動バイクと電動自転車が音もなく走り回る
・どこでも使えるQRコード決済
・街中に大量に並ぶレンタル自転車
・10年以上前に開通した431km/hのリニアを体験
などなど、知っている人には当たり前の話だと思いますが、個人的には色々と貴重な体験ができました。

せっかくなので、今回はIT関連サービスの話を中心にしてみたいと思います。

1. 日本で買える、金盾を回避できるSIMカード

旅行中でもヤマレコのサーバー障害などに対応できるように、常時ネットに繋ぐ環境が必要でした。レンタルのモバイルルーターを使う方法もあるのですが、今回の旅行では中国で使える香港のSIMカードを2枚、旅行前に日本のAmazonで購入しておきました。

中国に着いてから、手持ちのSIMフリーのiPhoneXにSIMカードを指して、同梱されていた紙に書かれた設定をするだけですぐに利用できました。
このSIMカードは1枚あたり2GBまで利用できて、オンラインでクレジットカードを使ってチャージできます。ただ、2GBを使い終わったらネットに繋がらなくなってしまうのでチャージもできなくなってしまいます。
今回はSIMカードを2枚持っていったので、2GBを使い切ったら別のカードに差し替えて、使い切った方のSIMカードにオンラインでチャージすることで常時ネットを利用でき、快適に過ごすことができました。


図:チャージ画面
SIMカードに書かれた番号を入れて、次の画面でクレジットカード決済すれば指定の金額をチャージできます。

空港などで借りられるモバイルルーターではなく特殊なSIMカードを使ったのですが、これは中国は金盾(グレートファイアウォール)という通信を検閲・ブロックする仕組みがあり、通常のネット利用ではLINEやGmail、Google検索が使えなくなるというのが理由です。
今回利用したSIMカードは香港製のSIMカードで、「国際ローミング」の対象になることで中国本土の金盾の制限を受けることなく日本にいるときと同じようにLINEなどを使うことができるとのことです。ネットの接続環境は良好で、バスツアーで田舎の山の中を走っていても問題なく繋がり、ホテルのWifiも不安定だったこともありとても助かりました。

特にバスツアーの期間は移動時間が多かったので、バスに揺られながらサーバーのメンテナンスやお問い合わせの回答をしていました。
同行したメンバーには笑われましたが・・・。

2. どこでも使えるQRコード決済

中国はQRコード決済が一般的に使われており、EC関連のサービスを手がけるアリババが運営するAlipayと、LINEのようなメッセージングサービスを手がけるテンセントのWeChat Payの2つがあり、どちらも利用できる店が多いです。日本でもLINE Payのサービスが始まっていますが、私の知っている範囲ではあまり使われているようには思えません。
せっかくの機会なので、QRコード支払いも体験してみることにしました。

今回は旅行のまえに両方のアプリをダウンロードして利用登録を試してみました。
WeChat Payの方は、クレジットカードを登録するだけで認証が完了。日本で使っているクレジットカードでも認証できました。
Alipayの方はクレジットカードの認証は通らなかったのですが、自分のパスポートを写真に撮ったあと、アプリのカメラで自撮りすると1日ほどで認証が完了したとの通知が来ました。


図:Alipayの認証画面

どちらのサービスも、例えばSuicaのような「チャージ」をして利用をする電子マネーのようなものです。
中国の銀行口座を持っていると、残高が不足していても銀行口座からチャージして支払いができるようになっています。
私は中国の銀行口座は持っていないので、とりあえず体験するためにいくつかチャージをする方法を探してみました。

銀行のカード以外のクレジットカードは受け付けてくれず、ネットのサービスでクレジットカードからチャージできるtOriPay(支付鳥)というサービスがあったのですが、すでにサービスは終了。
最終的に日本の空港に置いてある「Pocket Change」という機械を使うことで、現金を電子マネーに変えることができました。
もともとは海外旅行で余ったお金を電子マネーなどに交換するサービスらしいのですが、日本円でチャージしてWeChat Payにチャージすることもできます。Alipayには対応していないようです。


図:関空に置いてあったPocket Chargeの端末

関西空港にも2箇所設置されています。
出発ロビー近くの機械で1万円を投入。この時点で交換レートは出てきません。
「他に方法もないし、レートが悪くても仕方ない」ということでお支払い。
出てきたQRコードをWeChatのアプリでスキャンすることで、電子マネーにお金をチャージすることができました。

1万円で523.71元なので1元19円ぐらいのレート。やはり交換レートはあまり良くないです。

現地の支払いは2つの方法があります。
まず1つ目は自分のQRコードを見せるパターン。
レジで商品を打ち込んで、WeChat Payで支払うことを伝えたあと、アプリ上で自分のQRコードを表示します。


図:自分のバーコード&QRコード表示画面

この画面をレジのバーコードリーダーで読み込んでもらい、しばらく待つとパスワードを要求されるのでパスワードを入力して支払い完了です。
iPhoneXの場合はFace IDを登録しておくと、パスワード入力も必要なくなります。

2つ目の方法は、相手のQRコードを読み込むパターン。
お店などで紙に印刷したQRコードが表示されている場合、アプリでQRコードを読み込みます。
次に支払う金額が聞かれるので、自分で金額を入力して、パスワードを入力して支払いをします。

完了した画面をお店の人に見せて支払い完了です。

特に後者の方法はレジも何も要らなくて、QRコードを印刷した「紙」があるだけで、あとは購入者のスマホがあればすべてが完了してしまいます。
地方の露天などでも、紙を出しておけばいいだけなので、お店の方も楽に精算できます。
お店側がスマホを出してきて、お店側のスマホで表示したQRコードを読み込んで支払うこともできます。
バスツアーの社内でお土産を買ったのですが、ツアーガイドのスマホを経由して支払いをしました。

「スマホがネットに繋がっている」というのが条件になりますが、この条件さえ満たせればどんな店でも簡単に決済できるので利用者としても便利に使えます。
また、店舗側からみた場合に、どの支払い方法でも支払い手数料が無料なのがやはり大きいと思います。(引き出し時に0.1%ほど取られるようですが)
あとは偽札が多いという中国独自の事情もあるようです。

飲食店などの利益率が低い商売ではわずかな決済手数料が大きな重しになるので、数%のクレジットカード決済手数料はなかなか導入できないのが現状です。LINE Payも2018年の8月1日から店舗専用のアプリを使った支払い方法は手数料無料になるようなので、改善はしてきているようですが、紙のQRコードなどの支払いは手数料がかかるなど制限も多く爆発的に広がる可能性は低そうです。

日本の山小屋はまだ現金支払いが当たり前で、場所によっては支払いを受けた現金をヘリコプターで下ろすという話を聞くぐらいですし、このような仕組みが広まると便利な世の中になりそうですね。
ただ現状はクレジットカードも導入されているところは少なく現金支払いが基本のようなので、まだまだ先の話なのかもしれません。
中国人のインバウンド向けの決済サービスとして、日本の店舗でもWeChat PayやAlipayの導入が進んでいるようですし、こちらの方から先に広まっていく可能性もありますね。

さて、ここまででかなりの分量になってしまったので、いったん切りたいと思います。
最後に張家界市の観光地の写真をピックアップして紹介します。


天門山のガラスの道。標高1430mで下まで1000m以上ある崖に横付けで無理やり道が着いています。


武陵源の岩山。日本のようにせり上がったり火山ではなく、岩が削り取られてできた岩の柱が3000本以上あるらしいです。
世界自然遺産に認定されていて、映画アバターのモデルになった場所とも言われています。

レンタル自転車の話などもしたかったのですが、またの機会に。
ではまたー。

by matoyan

One Comment

  1. kichichan より:

    情報ありがとうございます。昨年、内モンゴル・蒙古の乗馬ツアーに参加しました。その時「金盾を回避できる」方法がわからず苦労しました。ゲルのWiFiでiPhoneのメッセージが利用できたので助かりました。これからも機会があればSIMを利用したいと思うます。

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