明治25(1892)年2月11日にベルリンを出発し、翌明治26年6月12日にウラジオストクに到着するまで488日間、約1万5千kmのヨーロッパ大陸(ウラル山脈以西)およびアジア大陸(ウラル山脈以東)の横断記。タイトルから分かるように単独の騎馬旅行。出発時点では少佐であったが、旅の途中で中佐になり、帰国後は日清・日露戦争にも参加して最終的には大将となっている。日本男子の気骨が感じられる。蒙古での経験談によれば、当時の蒙古はかなりモラルが落ちていた様子。個人的には、弱った馬を交換しなければならないときの別れのシーンや、落馬して大けがをした際のシーンなどが特に印象に残った。ちなみに原著は毛筆、片仮名まじり、句読点なしのものとのことで、本書に収録されているのは筑摩書房編集部が抜萃して現代語に訳したもの。
【読了日:2017年4月13日】
福島大将は私の実家のすぐ近くに生家があり、ブランコ一つのちいさな公園になっています。福島公園といって、幼稚園児の頃よく遊びました。
戦後は忘れられた英雄ですが、対露戦争準備のための諜報活動とは言えこの冒険は凄いですよ。
このルポも、確か本人が書いたのではなく当時のノンフィクションライターが想像入りで書いたものだったと思いますが、福島大将の遠征記はどうもこの筑摩書房のものしか見当たらないようです。
評伝としては金子民雄の「中央アジアに入った日本人」にありました。
私は、腹を壊した大将が、どこかウラル山脈の辺境でウンチをして復活する場面が、その筆致が滑っていて印象に残っています。
yoneyamaさん、たびたびのコメントおそれいります。
福島大将のご実家が近くということですが、私の実家のすぐ近くには(A級戦犯となってしまいましたが)荒木陸軍大将のお家があったことを思い出しました。どんな人だったかは良く知らないのですが。
「単騎遠征」ではたしかにご指摘のようなシーンにかなりの紙面が割かれていました。人によって、印象に残る場面がさまざまなのは当然のことですが、それもこれもふくめて、楽しいですね。
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