エヴェレスト初登頂者の一人、テンジン・ノルゲイの2冊目の自伝(テンジンは文盲のため、1冊目と同様に口述ベース)であり、エヴェレスト登頂後の人生について語っている。
ヒマラヤ登山学校の教師としての活動の他、欧州・米国・アジア・日本・オーストラリア・ニュージーランドなどを旅した(記念イベントでの招待講演が多いが、シッキム王子の結婚式参列などもある)内容が綴られている。また、生い立ちや家族構成やその活動などにも触れられており、さらには趣味(スキーなど)・嗜好(動物が大好きで特にチベッタン・テリアをたくさん育てて海外の友人の贈り物となった)などのエピソードも興味深い。
最終章(第15章)「老いゆく虎」では、さまざまな友人たち(多くは欧米の登山家)について語った後、インド政府ならびにネパールについての不平不満を少々吐露した後、自分のふるさとであるソル・クーンブ地方の発展に向けての次のような考えを述べている:スイスのように、ルクラに登山センターを作って、シェルパ族のガイドがこの谷で仕事にありつけるようにすべき。エヴェレストのベースキャンプばかりでなく、その支流の谷にももっと景色の良いところが沢山あって、快適な登攀もでき、楽しいトレッキングやキャンプ生活もできる。天候は、三月と四月が最適。なお、本書の扉には日本国内のものも含めて、貴重な写真も多く収められている(但し本文の内容としては日本の話題はほとんど出てこない)。
【読了日:2017年10月16日】
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